臨床研修ブログ

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病棟での問診のコツ(1)

2024.04.20
カテゴリー: カンファレンス 内科

4月も半分を過ぎましたが、病棟では患者さんを担当して、問診やオーダー、カルテ記載など、毎日の仕事が忙しいと思います

 

そして、担当患者さんのことを全然把握できない・・・・、そう思っているあなたは心配いりません。最初からできる人はいませんから、焦らずにやっていきましょう。

 

さて、病棟では担当患者さんのところに行って話を聞きますよね。指導医が外来などで記載しているカルテの内容を確認するのはもちろんですが、それを鵜呑みにせず直接患者さんに確認することが大事です。

 

そうは言っても、患者さんと何となく話しにくい、うまく聞き出せないなんてことがありますよね。家族だとなおさらかもしれません。患者さんや家族から話を聞きだすには、どんなことに注意したら良いでしょう?ここでは病棟での問診のコツを紹介します。

 

1.挨拶と自己紹介

病棟に入院してきた患者さんのところへ行ったら、まずは挨拶です。「こんにちは。入院中に□□先生と一緒に担当します研修医の○○です。」

 

この時に患者さんの名前を確認を忘れないように。編集長も話していたら、じつは全然別の患者さんだった、という経験があります。特に慣れていない時ほど注意です。

 

また、もし家族がいれば家族にも挨拶すると同時に、患者さんとの関係を聞いておきます。「失礼ですが、ご関係は?」と言えばOKです。

 

これも編集長の経験談ですが、明らかに奥さんと思われる女性が入院に付き添ってきたので、「奥さまですね。今回の入院では・・・」などと話し始めたら、、奥さんは亡くなっていて、年の近い妹さんが一緒に来ていたなんてこともあります。

 

家族のことは後になるほど聞き出しにくくなるので、最初の時点で聞き出しておくのがコツです。家族がいない時は、誰に電話など連絡をとるのが良いのか患者さん自身に確認しておきましょう

 

2.患者さんの状態を尋ねる

病棟には、基本的に具合の悪い患者さんが入院してきます。そこで、いろいろ問診する前に「今のお加減はいかがですか?」「少し話を伺ってもいいですか?」と患者さんを労わる一言から始めましょう。

 

もちろん検査入院などでは体調も悪くない場合もありますが、外来受診から入院までの間に状態の変化がないかを、最初に聞きましょう。その後で「今日はどうしましたか?」など、患者さんが自由に話せるいわゆるOpen Questionから始めて、最初の数分間だけでも、こちらから言葉を挟まずに聞くことに徹すると、患者さんや家族のあなたに対する印象がすごく良くなります。

(編集長) 

回診の一コマ

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4月23日(火)18:00~18:20

 

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当日は研修医も登場しますので、ぜひとも直接質問して下さい!!

 

参加にはレジナビから申し込みが必要です。

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レジナビのページはこちら(申し込み締め切りは当日15時まで)

 

糖尿病のお薬・・・インスリン

2024.04.18
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はインスリンの紹介です。インスリンというと種類も多くて良く分からない、スライディングスケールしかやったことがないという人が多いかもしれませんが、今回は実践的な最低限の知識(と編集長が思っている)に絞って紹介します。

 

【機序】

血中のブドウ糖を肝臓や脂肪細動、骨格筋などの細胞内に取り込ませることで血糖値を低下させます。健常者では、主に肝糖産生を調節して空腹時血糖を制御する基礎インスリン分泌と食事による食後血糖を制御する追加インスリン分泌からなっています。

 

【適応】

<絶対的適応>

・インスリン依存状態

・高血糖性の昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧性高血糖状態)

・重症の肝障害、腎障害の合併

・重症感染症、外傷、中等症以上の外科手術

・糖尿病合併妊娠(コントロール不良の妊娠糖尿病を含む)

・静脈栄養時の血糖コントロール

 

<相対的適応>

・インスリン非依存状態でも著明な高血糖の場合

・経口糖尿病薬のみではコントロールが得られない場合

・やせ型で栄養状態が低下している場合

・ステロイド治療中の高血糖

・糖毒性を積極的に解除する場合

 

【禁忌】

特別なものはありません。

 

【副作用】

「インスリンの副作用はなに?」と質問すると多くの研修医が「低血糖」「低カリウム血症」と答えてくれます。もちろんこれは正解ですが、これに加えて、体重増加」もぜひ覚えてください。

 

インスリンは血糖を肝臓や脂肪細胞などに取り込ませるだけでなく、脂肪の分解を抑制する作用もあるため、体重増加につながります。入院中など急性期にインスリンでコントロールするのは問題ありませんが、外来での管理の時はできるだけインスリンを増やさない工夫が求められます。

 

インスリン療法の基本は、健常者に見られる血中インスリンの変動パターンをインスリン注射で模倣することです。当院の総合内科では、基礎インスリン分泌として眠前に持効型インスリンを、追加インスリン分泌として食前に超速効型インスリンを打つ4回打ちを基本とし、ダラダラとスライディングスケールをしないようにしています。

 

また、①経口糖尿病薬を使ってもコントロールが悪い時にインスリンに切り替える方法もありますが、②治療開始早期にインスリンを導入し、積極的に糖毒性を解除してコントロールを付けてから経口薬に切り替える方法もあります。患者さんにどのような方針なのかを良く説明しておくことが大事です。

 

インスリン療法の大事なことは、その患者さんの生活スタイルに合わせてアドヒアランスを向上させるように工夫することです。糖尿病の先生はいろいろな手を知っているので、困ったときは相談すると良いと思います。

(編集長) 

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4月23日(火)18:00~18:20

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糖尿病のお薬・・・イメグリミン

2024.04.11
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回は血糖依存性のインスリン分泌促進系薬剤のうちイメグリミンについてです。この薬剤は登場してから日が浅く、まだ目にしたことがない人も多いと思いますが、慌てないように知っておきましょう。

 

【機序】

・ミトコンドリアに作用することで膵臓でのインスリン分泌促成作用や骨格筋でのインスリン抵抗性改善作用、さらに肝臓での糖新生抑制作用があります。

 

【特徴】

・ビグアナイドに構造や機序が似ているそうですが、違いはグルコース濃度依存的にインスリン分泌促進作用があることと、ビグアナイドで起こりうる乳酸アシドーシスが起きないとされているところです。

 

【禁忌】

禁忌ではないものの、腎機能低下例(eGFR<45)では投与は推奨されていません。また肝機能低下例にも慎重に投与が必要です。

 

【副作用】

・消化器症状:嘔気、胃部不快感、便秘、下痢

・特にビグアナイドとの併用で消化器症状が増えるようですので、避けた方がよいでしょう。

・他の糖尿病薬との併用の際は低血糖に注意です。

 

投与量としてイメグリミン(ツイミーグ®) 1回1000㎎を1日2回服用となっています。

 

今後、この薬剤の立ち位置がだんだんと定まってくると思いますので、適宜情報収集しておくと良いと思います。

(編集長) 

J2からのご指導中

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糖尿病のお薬・・・GLP1受容体作動薬

2024.04.09
カテゴリー: カンファレンス 内科

年度の切り替わりでちょっと間が空いてしまいましたが、今回は血糖依存性のインスリン分泌促進系薬剤のうちGLP1受容体作動薬についてです。

 

GLP1受容体作動薬は注射薬として登場しましたが、2020年から内服薬も発売されています。最近では心血管イベント減らす糖尿病薬としてSGLT2阻害薬と同様に循環器内科で処方される場面が多くなりました。

 

【機序】

・インスリン分泌を促進する消化管ホルモン(インクレチン)の一つであるGLP1のアミノ酸配列を変化させて、DPP4で分解されにくくした薬剤。膵β細胞膜状のGLP1受容体に結合して血糖依存的にインスリン分泌を促進させる。さたにグルカゴン分泌抑制作用もある。

 

【特徴】

DPP4阻害薬同様に、

・体重増加を来しにくい。

・空腹時に低血糖を来しにくい(GLP1は腸管に食べ物が入る刺激で分泌され、空腹時は分泌されない)。

・心血管イベントを減らす。

 

さらに、

・長時間分解されなくても低血糖を起こさないので1日1回投与と週1回投与の注射薬がある。

・当初は注射薬だけでしたが、2020年に経口薬も登場(1日1回朝空腹時の服用です)。

 

【禁忌】

腎機能低下例でも使用可能ですが、エキセナチド(バイエッタ®、ビデュリオン®)は透析を含む重度腎機能低下例には禁忌です。

 

【副作用】

・消化器症状:嘔気、胃部不快感、便秘、下痢、腸閉塞

(DPP4阻害薬と同様に、消化管ホルモンの作用を増強し、腸管蠕動や食欲抑制する方向に作用します)

・急性膵炎の報告がある。特に膵炎の既往がある患者には慎重投与

 

週1回の注射で済むので、アドヒアランスが保てない患者に向きます。例えば高齢者なら、家族や訪問看護師さんが週1回打つだけになるので、コントロールが安定するケースを良く経験します。一方、食欲低下作用があるので、高齢者では脱水や低栄養、サルコペニアや骨量減少など、マイナスの面が出ることがあります。体重の推移に十分注意を払う必要があります。

 

なお、Webで検索するとダイエット目的のGLP1受容体作動薬の広告がたくさん出てきますが、ダイエット目的の使用は薬機法違反になります!!当たり前ですが、やったら捕まります。

(編集長) 

あいにくの曇り空でしたが、

敷地内の桜は満開になっています

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糖尿病のお薬・・・DPP4阻害薬

2024.03.30
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回からインスリン分泌促進系薬剤のうち、血糖依存性のものを紹介していきます。この血糖依存性に分類されるものには、DPP4阻害薬、GLP1受容体作動薬、イメグリミンの3種類があります。今回はDPP4阻害薬です。

 

【機序】

・インスリン分泌を促進する消化管ホルモン(インクレチン)の一つにGLP1があります。このGLP1の分解酵素であるDPP4を選択的に阻害することで、GLP1の作用を増強させます。

 

【特徴】

・体重増加を来しにくい

・空腹時に低血糖を来しにくい(GLP1は腸管に食べ物が入る刺激で分泌され、空腹時は分泌されない)。

 

【禁忌】

特別なものはありませんが、同じDPP4阻害薬でも腎排泄や肝排泄など代謝経路が異なるものがあるので、よく処方するものを確認しておきましょう。たとえばリナグリプチン(トラゼンタ®)とテネリグリプチン(テネリア®)は腎機能低下例でも減量は必要ありませんが、他の薬剤は減量が必要です。ビルダグリプチン(エクア®)は重度の肝機能障害では禁忌となっています。

 

【副作用】

・消化器症状:嘔気、胃部不快感、便秘、下痢、腸閉塞

(消化管ホルモンの作用を増強し、腸管蠕動を抑制する方向に作用します)

・膵外副作用:有名なDPP4関連膵炎、水疱性類天疱瘡は覚えておきましょう

 

DPP4は種類も多く、合剤や週1回だけ服用の薬剤もあります。使いやすい薬剤ですので、自分が処方する薬剤はある程度絞って、排泄経路や副作用は良く把握しておくと良いと思います。編集長は特に高齢者で腎機能が問題になるので、腎機能に影響を受けない薬剤を多く使っています。

(編集長) 

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糖尿病のお薬・・・グリニド

2024.03.28
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はインスリン分泌促進系薬剤のうち、SU剤と共に血糖非依存性の薬剤であるグリニドを紹介します。

 

【機序】

・SU剤と同様に膵β細胞に作用して、インスリン分泌を促進

 

【特徴】

・SU剤と比べて、吸収も消失も速く、食後高血糖の是正に向く

・毎食前に服用する必要があるので、無理な人には無理

 

【禁忌】

・重症感染症などの経口摂取ができないような全身状態不良時

 

【副作用】

・低血糖

・肝機能障害(稀)

 

効果発現までが速いので、「いただきます」と言う時に服用しないと効果が発揮されません。逆に、服用してから何も食べないと低血糖を起こします。食前服用の薬なので、真面目にお薬を飲んでくれる患者さんに向いています。また、SU剤ほどではないものの、肝機能や腎機能が悪い人では効果が遷延します。禁忌とはなっていないものの、減量するなど慎重に用います。

(編集長) 

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糖尿病のお薬・・・SU剤

2024.03.23
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回までは糖尿病薬のうちインスリン分泌非促進系の薬剤(ビグアナイド、チアゾリジリン、αGI、SGLT2阻害薬)を紹介してきました

 

今回からインスリン分泌促進系薬剤を紹介していきますが、このクラスの薬剤は、さらに血糖非依存性と血糖依存性に分類されます。今回紹介するSU剤は血糖非依存性薬剤ということになります。

 

【機序】

・膵β細胞に作用して、インスリン分泌を促進

 

【特徴】

・作用は強力だが、高齢者や腎機能低下例では、重症の低血糖が遷延しやすい

・同じインスリン分泌促進系の薬剤と併用は、より低血糖を起こしやすくする

 

【禁忌】

・腎機能障害(eGFR<30)は禁忌(当然、透析患者さんはダメです)

 

【副作用】

・重症・遷延性低血糖

・肝機能障害(稀)

・無顆粒球症(稀)

・体重増加

 

かなり以前は糖尿病治療薬の種類も少なく、SU剤を極量まで増やして、それでだめならインスリンという流れで使っていた時期がありました。その頃は遷延性低血糖が問題で、編集長は5日間も低血糖が遷延した症例を経験したことがあります。薬剤の影響と分かっていても、さすがに心配になりました。もしあなたが、SU剤を服用中の低血糖症例に遭遇したら、入院のうえ経過観察してください!

 

現在はまず他剤で開始して、2剤目もしくは3剤目以降に少量から併用して、とにかく低血糖を避けることが重要です。となると、高齢者や腎機能が悪い人には避けて、太っていない(インスリン抵抗性のない)比較的若い患者さんに少量追加するのが良いように思います。

(編集長) 

朝回診の一コマ

見学の学生の前でイイところ?見せてます

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糖尿病のお薬・・・SGLT2阻害薬

2024.03.07
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はSGLT2阻害薬です。

 

ご存じの通り、SGLT2阻害薬は糖尿病薬というよりも、心血管イベントを低下させる循環器病薬、腎保護作用を有する腎保護薬としての地位を確立しましたが、なぜ心血管イベントが低下するのか詳細な機序ははっきりしていません。これからもしばらく話題を提供してくれるでしょう。

 

今回は、循環器領域のことはあえて触れず、基本に戻って糖尿病薬としての役割を整理しておきます。

 

【機序】

・腎臓で糖を再吸収させるSGLT2の働きを阻害することで、尿糖排泄を促進させます。

 

【特徴】

・インスリンとは独立して作用を示す。

・1型、2型糖尿病どちらにも適応あり

・体重減少や血圧低下が見られる

・腎保護作用がある

・心血管イベントを抑制する

 

【禁忌】

・重症感染症、術後などは使用しません

 

【副作用】

・尿路・性器感染症

・脱水・口喝

・DKA

・皮疹 など

 

エネルギーを尿に排泄するので、高齢者では低栄養やサルコペニアを悪化させる可能性があり、症例を選ぶ必要があります。またケトン体上昇に関連した有害事象の増加が報告されており、術前は中止が必要です。さらに血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性があります(正常血糖ケトアシドーシス)。服用中の患者さんが全身倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛などを訴える場合は血中ケトン体(できない時は尿ケトン体)を確認することが大事です。

 

腎機能低下例では効果が減弱するので良い適応ではありません。また透析例では使用しません。尿路感染症はADLの良い人ではそれほど経験しませんが、編集長は、おむつを使用するような高齢者(特に女性)には使用を避けています。

 

最も向くのは比較的若年で、腎機能に問題なくて肥満や脂肪肝のあるような人に良いと思います。もちろん心不全が合併している患者さんにもよい適応です。

 

 (編集長)

Aラインの確認中

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糖尿病のお薬・・・αグルコシダーゼ阻害薬(αGI)

2024.03.05
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回は、インスリン分泌非促進系薬剤のうちαグルコシダーゼ阻害薬(αGI)を紹介します。

 

【機序】

・小腸において二糖類からブドウ糖への分解を阻害し、糖の吸収を遅らせて食後の急激な血糖上昇を抑える。

 

【特徴】

・二糖類が未消化のまま大腸に行き、それが大腸の細菌叢により発酵されてガスが発生する。このため副作用として、おならや腹部膨満感などがある。

・体重が増加しにくい。

 

【禁忌】

・重症感染症、術後などでは使用しない

 

【副作用】

・重篤な肝機能障害

・開腹手術歴がある人、高齢者では腸閉塞に注意

 

空腹時の血糖はそれほど高くないけど、食後高血糖があるような、比較的軽症の糖尿病患者さんに向きます。しかし中等症以上の糖尿病では他剤との併用薬という位置づけです。糖尿病の前段階である耐糖能異常における2型糖尿病発症を抑制する目的で処方する場合もあります(ボグリボースのみ)。食事の直前に服用しないと効果が大きく減弱してしまうので、その点で向かない患者さんがいます。

 

もしαGIを服用中の患者さんが低血糖を起こした場合は、ブドウ糖を服用させないと速やかに血糖が改善しないので注意が必要です。

 

アカルボースは1回50㎎から開始し、1回100㎎まで増量できます。ボグリボースは1回0.2㎎から開始で、0.3㎎まで増量可能です。昼食直前の服用はどうしても飲み忘れが多くなるので、編集長は朝夕食直前で処方することが多いです。

 (編集長)

今日のER♪

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糖尿病のお薬・・・ビグアナイド

2024.02.29
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回は、インスリン分泌非促進系薬剤のうちチアゾリジリンについてまとめてみます。一般名はピオグリタゾン(先発品はアクトス)です。

 

【機序】

・肥満細胞に作用して、インスリン抵抗性を改善

 

【特徴】

・インスリン分泌に関与しないので、単独では低血糖を起こしにくい

・体重増加がみられる

 

【禁忌】

・心不全患者

 

【副作用】

・水分貯留傾向があり、浮腫や心不全の増悪に注意

・女性で骨折のリスク上昇が報告されている

・肝機能障害

 

一時期は抗動脈硬化作用もあると、もてはやされた薬剤です。その後は膀胱がんのリスクが上がるのではないかとのデータが出され、これを契機にあまり処方されなくなりました。しかし現在は膀胱がんのリスク上昇は否定されています。

 

用量としては通常30㎎錠を1日1回服用ですが、女性や高齢者では15㎎錠から開始。最大用量は45㎎/日です。

 

体液貯留傾向があるので心機能が悪い人高齢者には避けた方がイイですが、インスリン抵抗性のある肥満患者で心機能に問題ない人には良い適応となります。また体重増加を来しやすいので、食事療法もきっちりやる必要があります。

 

現在はあまり処方されることもない薬剤になってしまいましたが、編集長の個人的な意見としてはHbA1cがリバンウンドすることなく長期に安定して低下するので良い印象をもっています。

 (編集長)

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