専攻医の皆さんへ

疾患だけでなく
患者さんを診る気持ちを

臨床研修センター長 千葉 義郎

これからを担う専攻医の皆さんへ

水戸済生会総合病院は茨城県の県央地区にある472床の総合病院で、救命救急センター(3次救急)を有しており、ドクターカーやドクターヘリの基地病院でもあります。また、茨城県立こども病院と隣接した総合周産期母子医療センターがあるため、茨城県の県央・県北地区の周産期の最後の砦としてハイリスク分娩や産科救急などを一手に引き受けています。
専門研修プログラムは、基幹型プログラムは内科のみですが、他の診療科は筑波大学などのプログラムの連携施設となっており、多くの診療科の専攻医を受け入れて研修の機会を提供してきました。

さて、ここであなたに考えて欲しいことがあります。専門研修と初期研修の違いは何だと思いますか?
いろいろな考えがあると思いますが、初期研修ではいわゆるメジャー系診療科を中心にローテーションする研修プログラムが決められていました。自分はあまり興味がなかったとしても、決められた診療科をローテーションする必要がありました。そして指導医がいつのまにかフォローしてくれていたり、何かトラブルが生じたとしても最終的に責任を取らされることはなかったと思います。

では、専門研修ではどうでしょうか?
患者さんを任されて、患者さんや家族に病状の説明などをする、入院中のこまごました指示や書類もあなたの仕事になります。手術などの手技ができるようになることに目が行きがちですが、こういった地味だけど重要で、必ずしなければいけないことを、あなたは自分でできるでしょうか?そう、あなたも気づいていると思いますが、初期研修を終えても出来るつもりになっているだけで、やってみると一人では何もできないというのが大半の研修医です。

でも、専門研修では自分のやりたいこと、興味や関心のある領域を自分で選択したわけです。指導医の力を借りつつも、その領域については患者さんに頼られ、他科の先生にアドバイスをできるようにならないといけません。あなたにはその覚悟はできているでしょうか?

当院は現在の場所に移って35年以上経つ地域に根差した市中病院の一つです。そんな当院にはいろいろな患者さんが来ますが、中には20年とか30年といった長期間にわたって通院を続けている方もいます。最初は一つの疾患でも、長い間にいろいろな問題が加わって、いろいろな診療科にかかっていたりします。ですから、自分の診療科のことはもちろん、他の領域のこともある程度は知ったうえで患者さんに接する必要があります。

そこで当院では初期研修医も専攻医でも「総合診断能力を有するスペシャリスト(専門医)を目指す」、「医療を支えるチームの一員として、‘ 疾患 ’のみならず‘ 患者さん ’を診ることができる」という目標を掲げています。
一人の医師がすべてをカバーすることは正直困難ですから、自分の得意分野を持つことは大事です。しかし自分の得意分野だけしかできないのではなく、適切な医師に、適切につなげられるような総合診断能力を持つ必要があります。また、他の職種と共にチームの一員として、疾患だけでなく患者さんを診るという気持ちを忘れないでほしいと思います。
当院は、あなたが積極的にいろいろな症例を経験して、大きく成長できるよう、これからも研修の機会を提供していきます。

臨床研修センター長
血管内治療グループ長
循環器内科部長

千葉 義郎

  • 山形大学(平成8年卒)
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本循環器学会循環器専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会 専門医
  • 日本インターベンションラジオロジー学会 専門医
  • ステントグラフト指導医(胸部・腹部)
  • 日本脈管学会 脈管専門医
  • 日本不整脈学会 ICD認定医
  • CRT認定医
  • 死体解剖資格