臨床研修ブログ
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水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
研修医講義から・・・小児虐待
水戸済生会では研修医向けに毎週研修医講義を開催しています。各診療科の指導医が、ERで役立つことなど、知っておいて欲しいことを教えてくれる時間です。
先日の研修医講義では小児科の担当でしたが、小児虐待の話をおとなりのこども病院の本山先生にしていただきました(ちなみに小児虐待に関する研修は、初期研修の必修カリキュラムにもなっています)。
本山先生はこども病院の小児総合診療部の副部長と集中治療室長を兼務されていて、当院からのこども病院ローテーションではいろいろとお世話になっている先生です。専門は小児の救急集中治療や総合診療だけでなく、子ども虐待医学会の代議員で、茨城県で最も小児虐待事例に関わってきた虐待医学の専門家でもあります。
そんな本山先生から、実際の事例を踏まえながらこども病院の虐待対応チーム(CPT)の活動や茨城県内の体制、我々が診療で注意することなどを聞くことができました。編集長も参加していましたが、なかなか考えさせられる印象深いものでしたので、このブログでも紹介していきます。
(編集長)
講義中の一コマ
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?
あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、
下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
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病棟からのコールを減らすコツ・・・タイミングはいつなのか
前回は院内の業務の中で最大のストレスである病棟からのコールを減らすコツとして、「食事とクスリ」を紹介しました。今回はもう一つ、コールを減らすためのコツを紹介します。
それはコールのタイミングです。勘のいいあなたは気づいていると思いますが、病棟からのコールが多いタイミングが2つあります。
1つ目は、申し送り前後です。これはどこの病院でも同じです。日勤の看護師が準夜の看護師に申し送るために、日中の出来事をまとめておく必要があります。具体的には16時前には日勤看護師の情報収集が始まっていますから、もし、この時点で翌日の点滴のオーダーが出ていなければ確認しなければいけません。もし、翌日に手術や検査が予定されていれば、その準備が必要なので、食事とかクスリを確認しなければいけません。
2つ目は、患者さんが入院した時。原則論として、医師からの指示がなければ看護師さんは何もできないことになっていますので、「何やりますか?早く指示簿を書いて下さい」となる訳です。でも、この時点であなたは指導医から、どんな患者さんかを聞いていないことが多いですよね。それで看護師さんへの指示出しを後回しにしてしまう。するとまた病棟からコールが鳴って「まだですか?」 ・・・、と悪循環です。
対策としては、翌日のオーダーやルーティンの指示は16時前に出しておくことです。新規入院患者さんについては、入院の知らせがあったらすぐに、指導医に方針の確認をして、その足で患者さんの様子を見に行き、挨拶をしてしまうことです。こうすることで、とりあえずの指示は書けます。そして、分かる範囲で指示やオーダーを出して、足りない部分は後で付け足せば看護師も分かってくれます。
看護師も患者さんに何をしてあげられるのか? 大事なことは何か?の情報共有や方針の確認をしたいのです。ここをおさえておけば、病棟からのコールの回数を減らすことができるはずです。看護師さんたちを味方につけて、効率の良い仕事を出来るように工夫してみて下さい。
(編集長)
PICC挿入の指導中
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◆レジナビ内科専門研修に登壇します!
9月8日(日) 12:30~12:50
レジナビFairオンライン2024 内科専門研修プログラムに当院も登壇します。
消化器内科、循環器内科、腎臓内科だけでなく、膠原病内科、血液内科、
脳神経内科が加わってパワーアップした内科専門研修についてご紹介します。
もちろん、あなたの質問に直接お答えします♪
参加にはレジナビのサイトから申し込みが必要です。
下記リンクからお申し込み下さい。
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病棟からのコールを減らすコツ・・・食事とクスリ
早いもので9月になりました。人によってはローテーションが変わって、新しい診療科のことを覚えるのに精いっぱいだと思います。
編集長自身の経験でも、研修医たちを観察していても、ローテーションが変わると、慣れるまでには2週間ほどかかります。最初の週は何が何だか分かりませんが、2週目にはすこし動きもわかってきて、3週目には自分で先を読んで行動できるようになるはずです。焦らずに頑張ってください。
さて、そんな慣れない状況なのに、PHSには病棟の看護師から連絡がじゃんじゃん入ってきてかなりストレスです。仕方ないとあきらめるのも一つの方法ですが、減らせるものなら、減らしたいですよね。今回は、そんな時に役立つコツを伝授しましょう。
看護師さんが、必ず確認してくる2つのポイントがあるのを知っていますか?
・・・そう、「食事とクスリ」です。
・検査や手術前に食事を止めるのか?
・いつ再開するのか?
・同様にクスリは飲ませていいのか?
・中止するのか?
看護師は、ここを必ず確認してきます。逆に考えると、この点をあらかじめ指示簿に明記しておけば、PHSが鳴る回数は確実に減らせます。
さっそく明日から食事とクスリの指示を忘れないようにしてください。
(編集長)
ICLSコースでの一コマ
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副鼻腔気管支症候群(SBS)
遷延性・慢性咳嗽の原因として、今回は副鼻腔気管支症候群(SBS)を取り上げます。
SBSは「慢性・反復性の好中球性気道炎症を上気道と下気道に合併した病態」と定義されています。
ちょっと分かりにくいですが、慢性副鼻腔炎に慢性気管支炎、気管支拡張症あるいはびまん性汎細気管支炎が合併したものです。注意点としては、SBSで出てくる慢性気管支炎はタバコが原因の慢性気管支炎とは別物という扱いです。臨床像としては、慢性の湿性咳嗽、慢性副鼻腔炎による鼻閉感、後鼻漏を呈し、進行例では労作時呼吸困難も見られます。
診断基準としては以下の3点すべてを満たすことですが、さらに鼻汁や喀痰中に好酸球の増加を認めることが特徴とされています。
①8週間以上続く呼吸困難発作を伴わない湿性咳嗽
②次の所見のうち1つ以上を認める
1)後鼻漏、鼻汁、咳払いなどの副鼻腔炎症状
2)敷石状所見を含む口腔鼻咽頭における粘液性あるいは粘膿性の分泌物
3)副鼻腔炎を示唆する画像所見
③マクロライド系抗菌薬や喀痰調整薬による治療が有効
治療としてはマクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン600㎎/日やクラリスロマイシン400㎎/日)の長期投与が第一選択となります。ただし、効果があらわれ始めるのは2~4週間目以降とされているので、効果判定は4~8週間で判定することになります。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
ICUで気切造設中
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中学生にお話をしてきました
先日はこのブログで中学生の職場体験の記事を掲載しましたが、今度は実際に中学校に伺ってお話しする機会をいただきました。
中学2年生を対象としたグローバル市民科「未来への羅針盤」職業講和という企画で、茨城大学附属中学校にJ1の山内先生とJ2の福本先生の2人が伺って、医療のお話をしてきました。実は山内先生も福本先生も附属中のOG/OBなので、オファーをいただいてすぐに手上げしてくれました。
他にも銀行関係やIT企業、元アナウンサーといった方々も呼ばれていたのですが、2人は手分けして医師になるまでと医師になった後のキャリアのことや、未来の医療の流れで医師の働き方といった話をコンパクトにまとめて話たところ、中学生に非常に好評だったそうです。その他に点滴確保の練習台を持ち込んで実際にやってもらったりもしました。
研修医の2人も手ごたえを感じて楽しかったと言っていましたが、今回の話を聞いてくれたことがきっかけで、将来医学部に入って、当院で仕事を一緒にする人が出てくれるはずです。
(編集長)
点滴とれるかな?
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ICLSコースに参加しました!
先日のことですが、院内でICLSコースが開催されてJ1とJ2の8名が参加してきました。
ICLS(Immediate Cardiac Life Support)は2002年から日本救急医学会がやっているものですが、AHAのACLSが源流となっています。ICLSのImmediateは突然の心停止に対する最初の10分間を重視することから用いられていて、研修医や看護師、救命士に加えてあらゆる医療者を対象にしています。
水戸済生会総合病院では、コロナの影響で中断した時期もありましたが、「ホロルの里ICLSコース」という名称で今回で24回目の開催となりました。
2つにブースに分かれて、午前はBLS、気道管理と挿管、モニターと電気ショック、輸液経路と薬剤投与などを実践して、午後には様々なシナリオを用いながらチームでのICLSを繰り返します。おそらくこの日に行った胸骨圧迫の回数は、初期研修中の2年間で実際に経験するのと同じくらい繰り返したはずです。
質の高い胸骨圧迫
午前はやや硬さが残っていましたが、午後には全員の動きも良くなって、声を出しながらのチーム蘇生ができるようになっていました。研修医たちはすでにERなどでICLSを経験していますが、細かい注意点や全体の流れなどの把握が弱いところがあったと思いますが、かなり解消されたようです。
これからも院内でのICLSコースを開催していきますので、興味のある方は本サイトの問い合わせフォームからお問い合わせください♪
(編集長)
午後のメガコード
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感染後咳嗽
遷延性・慢性咳嗽の原因として、今回は感染後咳嗽を取り上げます。
外来などで咳が長引く患者さんには、「かぜなどの感染後に咳が長いこと残ることが多くて、感染後咳嗽なんて呼ばれています」といつも説明するのですが、感染後咳嗽の定義は何かと言われると答えられないことに編集長は気づきました。
そこで、定義から確認すると、
「呼吸器感染症(特にかぜ症候群)の後に続く、胸部X線写真で肺炎などの異常所見を示さず、通常、自然に軽快する遷延性ないし慢性咳嗽」となっています。
付け加えると、原因微生物が気道から排除され、抗菌薬治療の適応がない、感染の後遺症としての咳嗽を指しています(マイコプラズマ肺炎や百日咳などは3週間以上となっても気道中に原因微生物が存在することがあるので、この場合は該当しません)。
感染後咳嗽は、臨床的な診断が基本で、以下の3点がある場合に診断されます。
①かぜ症候群が先行していること
②遷延性咳嗽あるいは慢性咳嗽を生じるた疾患が除外できること
③自然軽快傾向がある
成人の遷延性咳嗽に占める感染後咳嗽の割合は35%という報告がありますが、感染後咳嗽に対する特異的な薬剤はないため、中枢性鎮咳薬など非特異的治療となります。なので患者さんへは、禁煙やマスクの着用、飲水やアメなので喉を湿潤させることなどを指導します。咳のピークが過ぎて、他の疾患が除外されていれば自然軽快を待つように指導することも必要となります。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
回診の一コマ
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田口先生の”皮膚科教育レクチャー”が開催されました
先日のことですが、昨年開催して好評だった、皮膚科教育レクチャーが今年も開催されました。
皮膚症状の訴えは、入院中でも、外来でも、もちろんERでも多く遭遇します。判断がつかない症例や、どの軟膏を処方したらよいのか分からないことが多いのが正直なところで、ベッドサイドでの皮膚科のニーズは大きいものがあります。
昨年度は当院の皮膚科医が非常勤だったこともあり、水戸協同病院皮膚科部長、筑波大学臨床教授の田口先生によるレクチャーをお願いしたり、水戸協同病院での皮膚科ローテートを受け入れていただきました。
今年春から当院の皮膚科医も常勤になりましたが、田口先生のレクチャーは大好評だったので、今年度も開催してもらいました。
今回のテーマは「薬疹」。病棟では看護師さんから「薬疹っぽくないですか?」と言われると全部薬疹に見えてしまいますが、今回のレクチャーでは、アルゴリズムでの対応を教えていただき、すぐに役立ちそうです!
2回目の開催も予定していますので、今から楽しみです♪
(編集長)
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胃食道逆流症(GERD)その2
遷延性・慢性咳嗽の原因としての胃食道逆流症(GERD)の続きです。
GERDが関与する遷延性・慢性咳嗽の診断については、実際の臨床では詳細な問診と、診断的治療を行って診断をしていきます。疑うポイントとして、以下の特徴を有する慢性咳嗽(特に乾性)ではGERDによる咳嗽を疑っていきます。
①胸やけ、呑酸などの食道症状を伴う
②咳払い、嗄声、咽喉頭異常感などの咽喉頭症状を伴う
③咳が、会話、食事中、体動・就寝・起床直後、上半身前屈、体重増加などのタイミングで悪化(夜間の咳はない/少ない場合が多い)。
④咳き込んで嘔吐してしまう。
⑤咳の原因となる薬剤の服用(ACE阻害薬など)がなく、咳喘息、副鼻腔気管支症候群(SBS)などの治療が無効、あるいは効果不十分。特に咳喘息の治療で夜間の咳は改善したが、昼間の咳が残存する場合にはGERDの合併を疑う。
治療効果による診断確定は、GERDに対する治療(PPI、消化管運動機能改善薬、肥満・食生活の改善)により咳嗽が改善すれば確定できるとされています。
治療については、胃酸分泌抑制薬で高用量のPPIが第一選択になりますが、食道症状の改善は早期に得られるものの、咳の改善には2~3か月かかる場合もあり、改善度も低いようです。このため消化管運動機能改善薬(モサプリドなど)の追加を早めに追加することが勧められていますが、エビデンスには乏しいようです。
保存的療法としては、GERDの危険因子である肥満、喫煙、激しい運動、飲酒、カフェイン、チョコレート、高脂肪食、炭酸飲料、柑橘類、トマト製品、各種薬剤)の回避はしばしば有効で、減量や就寝前の絶飲食、睡眠時の上半身挙上、腹圧を上昇させる衣類を避けることなども有効のようです。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
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胃食道逆流症(GERD)その1
今回は遷延性・慢性咳嗽の原因としての胃食道逆流症(GERD)を取り上げます。
GERDとは、胃酸や胃内容物が胃から食道に逆流することによって、何らかの症状や合併症を生じた状態を指します。欧米では慢性咳嗽の3大原因疾患の一つとされていますが、日本でも増加傾向とされ、食生活や肥満の頻度や程度が欧米に近づいてきたことや、原因疾患としての認知度が高くなってきたことなどが関与していると言われています。
このGERDが咳の原因になる機序は2つあるとされています。1つ目が、逆流が下部食道の迷走神経受容体を刺激し、中枢を介して反射性に下気道に刺激が伝わる機序。そして2つ目が逆流内容が上部食道から咽喉頭や下気道に到達して直接刺激する機序です。
臨床像としては、夜間に咳が好発して食道症状も多いタイプと日中に多く、食道症状が少ないタイプに分けられます。
夜間に多く、食道症状が多いタイプは食道裂孔ヘルニアなどが関与が多いとされ、高齢で肥満が強い人に多いようです。一方で日中に多く、食道症状が少ないタイプは若年者に多く、咳が会話、食事中、上半身前屈に伴って悪化しやすいとされています。
診断のために検査には、上部消化管内視鏡で異常を示さないことが多く感度が低い検査となり、24時間食道pHモニタリングは偽陰性や擬陽性が多くなるようです。酸以外の逆流も感知できるpHーインピーダンスモニタリングが逆流をとらえる最も感度が高い検査法とされていますが、どこの病院でも施行できる検査ではありません。実際の臨床では詳細な問診と、診断的治療を行って診断をしていきますが、詳細は次回に紹介します。
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
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