臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

BNP/NT-proBNPの使いどころ(2)

2025.09.27
カテゴリー: カンファレンス循環器

今回もBNP/NT-proBNPの続きです。

 

BNP/NT-proBNPは心室の壁応力(伸展ストレス)に応じて分泌されるので心不全の時に上昇しますが、じつはそれ以外の状況でも上昇することがあるので覚えておきましょう。

 

心不全以外でBNP/NT-proBNPが上昇するのは、心原性だと

 ・急性冠症候群、急性心筋梗塞

 ・肺塞栓症

 ・心筋炎

 ・肥大型心筋症

 ・弁膜症

 ・先天性心疾患

 ・上室性・心室性不整脈

 ・心臓挫傷、心臓浸潤、心臓悪性腫瘍

 ・除細動後、ICD作動後

 ・心膜疾患

 ・侵襲的あるいは外科的心臓手技

 ・肺高血圧症、右心不全

 ・炎症性心筋症

といったものが挙げられます。これらは心室の壁応力が上昇しそうなので、理解しやすいと思います。

 

一方、非心原性でBNP/NT-proBNPが上昇する要因としては

 ・高齢者

 ・貧血

 ・腎疾患

 ・敗血症

 ・虚血性あるいは出血性脳卒中

 ・肺疾患(肺炎、COPD、睡眠時無呼吸症候群)

 ・肝疾患

 ・重症貧血

 ・重症熱傷

 ・重症代謝性疾患(甲状腺中毒症、糖尿病性ケトーシス)

 

逆に、BNP/NT-proBNPが低下する要因としては

・肥満

・心膜疾患(心腔液貯留している時など。ドレナージにより上昇を来すことがある)

 

もちろん肺炎と心不全が合併することなど、いろいろな状況がありえます。なので、数値だけでなく、患者さんの状況を見てBNP/NT-proBNPの値を解釈する必要があります。

 

また、他の上昇する原因があるので安心せず、心不全にならないように輸液管理やレントゲンのフォローなど、油断せずにその後の管理に注意していくことも大事になります。

 

(参考:日本循環器学会/ 日本心不全学会 心不全診療ガイドライン 2025年改訂版)

(編集長)

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BNP/NT-proBNPの使いどころ(1)

2025.09.25
カテゴリー: カンファレンス循環器

気管支喘息で吸入薬(ICS/LABA)を継続している70歳台の男性患者さんが、休日のERを受診しました。

 

数日前から咳嗽がひどくなり、昨夜は眠れなかったと。発熱はなく、喀痰はいつもとあまり変わりないとのこと。喘息の中発作なのか、肺炎なのかと考えて、あなたは胸部レントゲンをオーダーしました。

 

レントゲンを見てみると、右下肺野に以前にはない陰影が出ていましたが、肺炎というか、胸水というか、微妙な影で判断が付きません。「臥位になるとひどくなる咳嗽」という訴えが気になり、もしかしたら心不全?と急に不安になりました。そんな時、あなたならどんな検査を追加しますか? 

こんな時に役に立つのがBNPまたはNT-proBNPです。今回から、このBNP/NT-proBNPの使いどころを紹介していきます。

 

【BNPについて】

まず、BNPはナトリウム利尿ペプチドと呼ばれるものの一つです。心室にて、壁応力(伸展ストレス)に応じて遺伝子発現が亢進し、速やかに生成・分泌されるため、壁応力が増大する心不全では、その重症度に応じて血中濃度が増加するという特徴があります。

 

主な作用は、ナトリウム利尿、血管拡張、アルドステロン分泌抑制などで、心不全の診断、治療効果の判定、予後予測に有用で、欧米のガイドラインでも、本邦のガイドラインでも取り上げられています。

 

なお、ナトリウム利尿ペプチドには、心房性(ANP)、脳性(BNP)、C型(CNP)の3つがあり、ANPは心房から97%、BNPは心室から90%、心房から10%分泌されています。BNPが心室から分泌されているのに、脳性ナトリウム利尿ペプチドとなっているのは、ブタの脳から単離精製されたためのようです。

 

【NT-proBNPについて】

一方NT-ProBNPは、BNP前駆体から分離された非活性型のペプチドで、BNPと等モルが分泌されます。

 

ANPは半減期が短く、検体採取後も不安定のため検査にあまり向いていません。3者の違いを以下の図にまとめてみました。BNPとNT-proBNPの検査の際には、血漿なのか血清なのか、検体の保存方法などの違いから、NT-proBNPを使う施設が多い印象です。NT-proBNPは血清を用いるので、通常の生化学検査をしていれば、あとから追加して検査できるのは大きなメリットだと思います。

 

また心不全で処方されるARNI(アルドステロン受容体ネプリライシン阻害薬:エンレスト®)は、BNPの分解を阻害しますので、服用開始から8~10週程度は高値になり、その後低下してくることを覚えておく必要があります。

(編集長)

 

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水戸済生会の内科研修プログラム説明会をZoomで開催します。

J2が対象ですが、水戸済生会の内科専門プログラムに関心のある方なら、医学生でもJ1でも参加可能です。あなたの参加をお待ちしています♪

 

日時:2025年9月26日(金)

   19時開始(40~50分程度の予定です)

場所:Zoom

内容:①内科専門研修の概略

   ②消化器内科の専門研修

   ③腎臓内科の専門研修

   ④循環器内科の専門研修

   ⑤膠原病内科の専門研修

   ⑥血液内科の専門研修

   ⑦脳神経内科の専門研修

   ⑧質疑応答

 

申し込み方法

下記リンクの問い合わせフォームからお申し込みください。フォーム内の「お問い合わせ内容」欄に「内科専門研修プログラム説明会参加希望」と入力し、送信して下さい。

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先輩が来てくれました♪

2025.09.23
カテゴリー: 初期研修

今の時期はJ2のあなたにとって専門研修先を決める時期です。すでに決めた人もいれば、まだ迷っている人もいるはず。

 

以前に紹介したことがありますが、当院の初期研修医を調べてみたところ、初期研修が始まる時に希望していた診療科と、専門プログラムとして選択した診療科が異なっていたのは、6割を超えていました。この傾向は恐らく今も変わっていないと思います。つまり、診療科の選択に悩んでいる人の方が多いということです。

 

特に水戸済生会には救命救急センターがあるので、救急科にするか、他の診療科にするか、両方できないかと悩む研修医が何人もいました。今のJ2でもそうした悩みを持っている人がいるのですが、同じような進路選択の悩みをもった先輩から実際に話を聞いてみたらどうかと声をかけたところ、後輩たちの役に立つのならと快諾いただいて、先週当院に来てくれました。

 

来てくれたのは卒後7年目になる所先生です。所先生も産婦人科と救急科で悩んでいましたが、まずは産婦人科に進んで、みごと産婦人科専門医を取得しました。

 

そんな所先生を囲んで、研修医たちが用意したお弁当を食べながら、水戸済生会での初期研修を終えた後のこと、他院の違い、専門医を取得するまでのこと、専門医を取得したこれからのことなど、先輩の実体験を聞きながら、いろいろと質問をしていました。

 

進路選択はあなたの自由ですが、最終的に自分で責任を負うことになるし、これを他人のせいにはできません。また、進路選択の自由は、同時に不安との表裏一体でもあります。であれば、いろいろな先輩の話を聞いて、自分なりの判断軸を持つのが大事になってくると編集長は思っています。水戸済生会で初期研修を終えた先輩たちは100名を超えるまでになりましたので、今後もこのような機会を作っていこうと考えています。

(編集長)

 

お弁当を食べながら♪

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退院までの道のり(3)

2025.09.20
カテゴリー: 初期研修

今回は実際に転院調整のながれを見てみましょう.

 

転院調整が必要になる患者さんは,食事摂取困難であったり,痰が多く頻回の口腔内吸引が必要になる患者さんが多くを占めます.転院/新規施設退院の必要がある場合,まずはソーシャルワーカー(MSW)さんに相談します.この時に必要になるのが,患者家族との治療,ADL回復のゴール設定と共有です.転院後の治療目的を共有することと,急性期病院と慢性期病院の医療提供体制の違いの認識共有もまた,事前に必要な事項です.

 

これらを患者や家族から聴取したら,多職種での情報共有後に本格的に転院調整を行なっていきます.MSWさんが家族と面談,電話相談をとってくれて,具体的な転院先の提示を患者家族にします.その後,数回の話し合いを経て希望の転院先が候補がいくつか決定します.

 

転院先が決定したら,患者さんの現状の紹介状を作成し,転院先候補にに診療情報提供します.そこで転院待ちの状態となり,順番が回ってきたらいざ転院といった流れとなります.

 

大まかな流れは以上ですが,我々が行わなくてはならないことを挙げると

●入院した時点での大まかな退院への道筋の共有.

●状況が変化した場合に,家族への連絡を欠かさず,転院が必要性についての説明.

●退院するにあたってのADLのゴール設定.

●多職種間での患者さんのゴール設定の共有と,現状の共有.

●転院打診時の紹介状作成.

●転院直前の現状報告の紹介状作成.

 

これらができて初めて,転院調整の第一歩を踏み出すことができます.

ここで強調しておきたいことは,入院した時から転院調整は始まっていると言うことです.皆さんも頑張ってください!!

(Nくん)

ベッドサイドでお話し伺い中

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退院までの道のり(2)

2025.09.18
カテゴリー: 初期研修

今回は退院,転院調整についてです.

 

自宅退院できるほどに回復した患者の退院はさほど難しくはないです.しかし入院期間が長くなってしまい,サルコペニアが進み栄養状態が悪くなってしまった患者さんの退院先をどうしようかと悩む場面はこの先必ず遭遇します.そういった場合に利用できる医療,介護資源は以下の3つが挙げられます.

 

1.回復期リハビリ病床

2.療養病床

3.施設介護サービス

 

1.回復期リハビリ病床

入院の目的:社会生活への復帰を目標とする転院

入院の要件:主病名が以下に示す対象疾患であること(図1)

適用される保険:医療保険

この病床に入るためには,入院主病名が対象疾患でないといけません.(大腿骨頸部骨折でこの前まで入院していたが,退院後に廃用が進んだからとの理由では入床できません)

 

<回復期リハビリテーションを要する状態>

 

2.療養病床

急性期の医療必要度が無くなった患者さんが,退院後の通院が困難であり,継続的に医療による介入が必要な場合に転院先となる病棟です.急性期が過ぎたけど,経管栄養に依存していて自宅退院や施設退院ができない患者さんはこういった病院への転院を行う場合が多いです.気管切開や難病等の患者の疾患や状態に応じた「医療区分」,患者のADLに応じた「ADL区分」により評価され,診療報酬体系が変化します.

 

入院の目的:早期退院を目指す転院

入院要件:疾患が慢性期にあること

できる医療内容:胃ろう,TPN,インスリン,吸引や抗菌薬加療,人工呼吸器管理

月額利用料金:10万円ほど

適用される保険:医療保険

看護師人員配置:20:1(夜間帯に患者を見る人数比)

(参考資料)

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001218901.pdf

 

3.施設介護サービス

公的施設と民間施設があり,公的施設の方が月額費用が安い傾向にあります.しかし,24時間の看護師在駐がないところもあり,医療依存度の高い方は,療養病床での転院となります.

 

公的施設としては (*この順で、要介護度が高 → 低となります)

特別養護老人ホーム  介護老人保健施設  ケアハウス

 

民間施設としては (*この順で、要介護度が高 → 低となります)

介護付き有料老人ホーム  住宅型有料老人ホーム  サービス付き高齢者向け住宅  健康型有料老人ホーム  グループホーム          

 

民間施設は前払金が必要な場合や,月々の費用が高額に設定されている場合が多いですが,その分早期に入所できるメリットがあります.対して公的施設は前払金が必要なく,月々の費用も低価格で設定されている分,入所希望が多く,早期の入所はあまり期待できません.また,これらの介護施設に入所するためには,要介護申請を経て要介護度を明らかにしなければ,入所する施設を選ぶことができません.このため,普段からの家族内での高齢者の介護についての話し合いと,かかりつけ医による介護サービスの導入と定期的な要介護度の見直しが非常に重要になってきます.

 

当院に限らずERには,施設入所中の発熱や食事摂取不良で搬送されてくる患者がとても多いですが,そういった場合,急性期を早期に乗り越え,ADLが低下しないうちに早期にもとの施設に退院を目標として加療していきます.しかし入院が長くなり,医療依存度が高まってしまうと施設退院の適応がなくなってしまい,退院先がなくなって療養転院を余儀なくされることもしばしばあります.

(Nくん)

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退院までの道のり(1)

2025.09.16
カテゴリー: 初期研修

入院患者さんで、特に高齢者では、せっかく元気になったのに退院できないということが日常的にありますが、こんな時は他の職種と力を合わせて退院に向けて、患者さんや家族、関係先に働きかけを進めていくこともドクターの大事な仕事の一つです。このような場面ではソーシャルワーカーや看護師だけでなく、リハビリや薬剤師などからの情報も統合したうえで家族に話をしますが、退院までの道のりの全体像を頭に入れておかないと、話がかみ合わないことがあります。

 この記事は4年前に、当時J2だったNくん(現在は麻酔科専攻医)が書いてくれたものですが、良くまとまっていて、その後も何度か紹介した記事です。病棟で必ず役に立つ内容ですので、病棟での仕事をこなせるようになってきた今の時期に、ぜひ読んでみてください。

(編集長)

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当院の総合内科では、自分が主治医になって治療にあたります.それは医師として当たり前の仕事なので納得できると思いますが,高齢者であればあるほど,家族による退院の受け入れ体制が脆弱になり,施設の利用や介護サービスの介入が重要になってきます.

 

その理由としては,

・独居である場合

・高齢の配偶者と2人ぐらしで子どもは別の場所で暮らしている場合

・子どもや孫と同じ住居であるが,もともと介護に時間がとられ,慢性的に介護疲れしている場合

・施設入所しており、すでに家族との関係が疎遠になっている場合

などなど.あげだしたらきりがないです.

 

退院先の受け皿を広くする役割を持つのが

・ケアマネージャ

・介護保険申請

・特別養護老人ホーム等の施設型介護福祉施設

・かかりつけ医

 

これらの福祉サービスのいずれかを何らかの理由で享受していない場合,高齢者の退院は非常に難しくなります.

 

そのため,特に救急搬送されてくる患者に関しては,ERで患者家族がいる時点で「要介護度は?(介護保険は申請していますか?)」「ケアマネはいますか?連絡先は?名前は?」「施設の利用は?」と聞いておくことが大切です.

 

次回から,転院や退院の際に私たちが知っておくべきことを紹介していきます.

(Nくん)

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退院までの2つの治療計画

2025.09.13
カテゴリー: 初期研修

春から研修が始まって半年が経過しました。初めは何が何だか分からなかったと思いますが、あなたも今では指導医に言われたことに要領が良く対応できるようになってきたはずです。

 

一方で、患者さんがなかなか退院しないので、いつの間にか担当患者さんが増えているなんてことも経験しているはずです。

 

そこで今回は、段取りよくスムーズに退院に結び付けるためのコツを紹介します。そのコツとは、2つの治療計画を考えておく」ことです。

 

どういうことかというと、1つ目はその日1日の計画」。例えば術後の患者さんなら、今日はドレーンを抜くとか、糖尿病の人なら今日中に眼科コンサルトをするとか。ICUの患者さんなら、何とかバイタルを安定化させようとか、抜管しようとか、カテコラミンをこの辺まで減量しようとか。

 

そして、多くの人に欠けているのが2つ目の「退院までの計画」です。例えば感染性心内膜炎と診断されたら、4週間は抗菌薬の投与が必要ですから、それまでに何を済ませるとかは、時間的な余裕があります。

 

ところが高齢者の肺炎なら、抗菌剤の投与は2週間程度としても、すぐに退院できるように、リハビリの介入をして、ADLを落とさないようにする。退院担当の看護師さんやソーシャルワーカーさんと相談して、自宅退院なのか?施設なのかを手配しておかないといけません。さらに家族にも退院に向けて、準備してもらわないといけません。意外とやることがあります。

 

このように疾患と直接関係ないことも、先読みして計画を立ててスムーズな退院に持ち込むのは、必須のスキルになります。

 

研修医の間は指導医の先生に言われたことを片付けようと必死になるは仕方ないことですが、指導医と議論しながら退院までの全体の治療計画を意識して仕事をしていくと、格段に段取りが良くなります。ぜひ意識して診療にあたってみてください。

(編集長)

 

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【おしらせ】水戸済生会 内科専門研修プログラム説明会2025@Zoom

2025.09.11
カテゴリー: 後期研修

今週初めの専門研修ブログでもご紹介しましたが、水戸済生会の内科専門プログラム説明会のご案内です。J2が対象ではありますが、当院の内科専門プログラムに関心のある方なら、医学生でもJ1でも参加できますので、こちらのブログでも紹介します。

 

専門研修先を決めるのは、大学の医局などの研修先に意思表示をして、専門医機構に登録するという手順が必要です。今の時期は、あなたがJ2なら来年の研修先をどこにするか決めた人もいれば、まだまだ悩み中という人もいると思います。当院のJ2も決めた人が多いのですが、まだ決められない人もいます。

 

9月8日時点では専門医機構からも、内科学会からも登録開始時期についての情報はありませんが、特別な理由がない限り、おそらく昨年同様に11月1日から登録開始になると思います。

 

さて、当院では基幹型の内科専門研修プログラムを有しており、特に腎臓内科、消化器内科、循環器内科は内科専門医を取得後に異動することなく各サブスペシャルティ領域の専門医資格を取得できる施設です。

 

さらに2023年秋から脳神経内科医と膠原病内科医が、2024年春から血液内科の常勤医も加わって、内科の診療体制が充実しました。呼吸器内科専門医が不在という弱点を除けば、JOSLER症例の確保に困ることはありません。

 

当院の内科専門研修プログラムに関するお問い合わせもいただいていることから、今年も院外で研修しているあなたを対象にZoomでの説明会を開催することにしました。

 

開催日時は以下の通りです。繰り返しになりますが、J2をメインの対象としているものの、水戸済生会の内科専門プログラムに関心のある方なら、医学生でもJ1でも参加可能です。あなたの参加をお待ちしています♪

 

【水戸済生会 内科専門研修プログラム説明会】

日時:2025年9月26日(金)

   19時開始(40~50分程度の予定です)

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内容:①内科専門研修の概略

   ②消化器内科の専門研修

   ③腎臓内科の専門研修

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「胃腸炎」よもやま話

2025.09.09

皆様こんにちは。消化器内科の蒼いRX²です。

「胃腸炎」の季節ですね。

 

「『胃腸炎』はゴミ箱診断」

「カルテに『胃腸炎』と書くな」

「下痢がない『胃腸炎』はない」

「『胃腸炎』に抗生剤使うな」……

 

オーベンからこんな風に言われたことはありませんか?今回は俗にいう「胃腸炎」について少し掘り下げてみます。

 

☆今回のポイント
① 「胃腸炎」のmimickerを押さえる!
② 「胃腸炎」は臨床像にとことんこだわる!

 

①「胃腸炎」のmimickerを押さえる!
mimickerとは、本来は“ものまねをする人”という意味ですが、ここでは症状がとても似ていて誤診しやすい疾患を指します。「胃腸炎」のmimickerはあまりに多すぎて書ききれないので、ここでは致死的な疾患を3つだけ挙げますので是非覚えておいて下さい。

 ・敗血症:特に腎盂腎炎・胆管炎
 ・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
 ・アナフィラキシー:消化器症状の頻度は25~30%

 

どれも見逃したら大変なことになる疾患ですね。これらの典型的な臨床像を思い浮かべると、問診や診察で除外すべきポイントが見えてきます。

 

さて、これらに共通するとても重要なバイタルサインがひとつありますね……“呼吸数”です。「ん?この人胃腸炎っぽいけど、なんか呼吸が速いなぁ」と思った瞬間、ギアを入れ替えましょう。頻呼吸は急変の予兆です。迷わず血液ガスを取ってください。小児や高齢者は特に要注意です。

 

付け加えると、心筋梗塞の中でも特に下壁梗塞は嘔気・嘔吐を伴うことが多く「胃腸炎」と間違われやすいなので重要です。また、「女性を見たら妊娠と思え」は今も昔も変わらないクリニカルパールですが、特に異所性妊娠は常に鑑別に挙げておくことが大切です。

 

②「胃腸炎」は臨床像にとことんこだわる!
ではどんな条件がそろえば「胃腸炎」と呼べるのでしょうか。「胃腸炎」と呼ぶくらいなので、上部・下部消化管両方の症状が、上から下へ出てきます。つまり、「嘔気・嘔吐 → 下痢」という、この順番で出てこない限り、「胃腸炎」と呼んではいけません。

 

えっ順番も大事なの?と思うかもしれませんが、下痢が先行して嘔吐が後から来る疾患には虫垂炎、腸閉塞(閉塞機転より肛門側から軟便が出てくる)などが挙げられます。

 

また救急で超有名な林寛之先生は、ご自身の著書の中で「胃腸炎」に特徴的な臨床像を以下のように挙げられています。

 

 ・水様便がピーピー大量
 ・発熱や腹痛はあっても軽い(腹部所見に乏しい)
 ・嘔気・嘔吐が比較的強い

 

これらの臨床像を全て満たし、基礎疾患のない患者であれば、病歴と身体所見だけで自信をもって「胃腸炎」と診断できますので、採血やCTなど不要です(研修医の練習のためにエコーぐらい当ててあげると患者さんの満足度も上がって一石二鳥かもしれませんが)。

 

逆に完全に満たさないのであれば、カルテ上のプロブレムは「#胃腸炎疑い」よりも「#急性下痢症」や「#心窩部痛 #下痢 #発熱」などにしておいた方が無難です(バイアスがかかるのを避けるため)。

 

また血便など非典型的な症状があれば、それは絶対に「胃腸炎」ではないのでギアを入れ替えて精査すべきです。

少し長くなってしまいましたが、改めて今回の2つのポイント、
① 「胃腸炎」のmimickerを押さえる!
② 「胃腸炎」は臨床像にとことんこだわる!
これらをしっかり意識して診療にあたってください。それではまた。

 

<参考文献>
1) 林寛之著『ステップビヨンドレジデント4 救急で必ず出会う疾患編 Part2』羊土社
  胃腸炎mimickerの表は必読です!
2) CDS勉強会資料『便通異常』林寛之先生

(蒼いRX²)

 

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腰痛のレッドフラッグサイン

2025.09.06
カテゴリー: カンファレンス 内科

40歳台の男性が、腰痛を主訴にERを受診しました。日中の仕事中に荷物を運ぼうとして腰を痛めたようです。帰宅してから徐々に痛みが強くなったので来院しました。

 

診察すると、痛そうにしていたものの、歩いて診察室に入ってきました。下肢のしびれや麻痺もありません。脊椎の叩打痛もなし。

 

レントゲンなどもチェックしないで、痛み止めを処方して帰宅させて良いでしょうか?

ちょっと考えてみて下さい。

↓  

ここで思い出してもらいたいのは「腰痛のレッドフラッグサイン」です。

 

腰痛はよくある症状で、すぐに画像検査や入院が必要となることは少ないのですが、中には重篤な疾患が隠れていることがあります。そこを見分ける時に役立つのがレッドフラッグサイン(警告症状・警告所見)です。

 

具体的には

 ・4~6週間の保存療法でも改善しない

 ・夜間疼痛や安静時痛

 ・筋力低下や感覚障害の進行

 ・50歳以上

 ・癌あるいは癌を強く疑わせるような病歴

 ・原因不明の体重減少

 ・静脈麻薬の使用

 ・最近の尿路感染症、皮膚感染症

 ・免疫抑制状態

 ・発熱、悪寒

 ・骨粗鬆症の既往

 ・慢性のステロイド使用

 ・薬物乱用

 ・強い外傷

 

冒頭の症例は、上記のいずれにも該当しないので、画像検査なしで帰宅で良い症例だと思います。もちろん、痛みが長引いたり、麻痺やしびれなどが出現したら、受診するように伝えておくことも重要です。

 

一方、最近のエムスリーの記事で、化膿性脊椎炎を疑ってMRIを施行すべきであったという判決が取り上げられていました。

 エムスリーの記事はこちら

 

少なくともこの記事の内容からは、患者さんは50歳以上で発熱を伴っていたことから、画像検査を考慮すべき状態であったようです。

 

ミスが心配だからと、なんでもかんでも検査というのは、あまりセンスの良いものではないと思いますが、検査を考慮すべき症例では、行えるようにしておいて下さい。

(編集長)

無事にAライン確保♪

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