臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

P(リン)のお話・1

2019.01.31

久しぶりに腎臓内科のベイマックスが

記事を書いてくれました。ニッチな

ネタかもしれませんが、臨床では大事

です。ぜひご一読ください! 

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ICU管理中の患者さんのPが低い・・・

透析患者のPが高い

・・・

あなたが、看護師さんからこんなこと

言われたらどうしますか?

 

今回からP(リン)のお話です。

ヒトの体の中には約600gのPが

存在し、そのうち85%は骨に存在

しています。

 

Pは体内ではcAMPやcGMPなどの

情報伝達のメッセンジャーやATPなどの

エネルギー、補酵素、リン脂質などで

使用されています。

 

そのためPが体内から少なくなると

エネルギーや情報伝達などがうまく

働かなくなります。また、Pが多くなると

動脈硬化につながります。

 

ヒトの体内ではどのように摂取され、

どのように調整を受けているのでしょうか?

 

まず、食事(乳製品やたんぱく質の多い

もの、保存料など)に含まれるPは

十二指腸や小腸で吸収されます。

 

この時にビタミンDの作用を受けて

吸収が良くなります。(ビタミンDが

十二指腸などにあるⅡb型Na-Pi共輸送体

の働きを高めるためです。)

 

余分なPは腎臓から排泄されます。

まず糸球体で濾過されたPの80%は

近位尿細管で再吸収されます。

腎臓でのP排泄を調節する因子としては

PTH、活性型ビタミンD、FGF23、

細胞外液量の増加、グルココルチコイド、

ドパミンなどがあります。

 

またP排泄を抑制する因子としては

成長ホルモンやインスリンがあります。

 

次回は、これらが異常を見た時に

どのような病態を考えるべきか?

について紹介します。

(腎臓内科のベイマックス)

 

救急搬送患者の対応中

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第19回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成31年3月2日(土) 、3日(日) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

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現在参加者募集中です。

開催概要はこちらから

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20分間の真剣勝負?

2019.01.29
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

まず、病室前の廊下で簡単な症例提示

があります。

 

「78歳の男性。3日前に呼吸困難感を

主訴に救急車で搬送されてきました。」

 

検査所見などは一切提示されないまま、

 

「さあ、20分間で診察をして、身体所見と

考えられる診断をまとめて下さい。」

 

水戸協同病院でのPhysical examination 

roundは、このように始まります。

 

 

病室に入る時にアルコールで手を消毒

しているか?患者さんに挨拶しているか?

これらもチェックポイントです。

そして、患者さんには基本的に

質問(問診)をしてはいけません。

 

冒頭の症例はCOPDの急性増悪の

症例で、診察時はだいぶ呼吸状態も

落ち着いてきている時でしたが、

診察する医学生は緊張しながらも、

チームメンバーと相談しながら、

身体所見を一生懸命に取っています。

 

ではここで、あなたにも質問です。

COPDの際に見られる身体所見を

挙げて下さい。

いろいろありますが、

あなたはいくつ言えましたか?

 

・口すぼめ呼吸

患者さんはほとんど無意識にやって

いますが、Auto PEEPの効果があります。

 

・気管短縮

肺の過膨張で横隔膜が下がるため、

肺や気管が下に引っ張られて、相対的に

気管が短く見える。胸骨上縁と輪状軟骨

までの距離が2横指以下の時に言う

 

・胸鎖乳突筋の肥大

呼吸補助筋を使うので肥大してくる

 

・剣状突起下での心尖拍動

肺の過膨張で心臓も下に引っ張られて、

心尖拍動が剣状突起付近に移動してくる

 

・フーバーサイン

これも肺の過膨張で胸郭の動きが制限

され、下部肋骨が吸気時に内側に移動

すること

 

・バチ指

いちおうCOPDの身体所見ですが、

COPD単独でバチ指は稀です。

肺癌などの検索をしましょう。

(よく、徳田先生が強調しておられます)

 

COPDの身体所見は、他にもいろいろ

ありますが、ラウンド終了後は、

このような所見とその解釈を、

担当の研修医からフォードバックして

もらいます。

 

五感をフルに使って真剣に身体診察に

取り組み、身体診察後の詳細なフィード

バックを受けると、もう一度ベッドサイドに

行ってみたくなるはずです。

 

あなたは身体診察のみの20分間で

どこまで診断に迫れるのか?

水戸協同病院でのPhysical examination 

roundに、ぜひ挑戦してみて下さい。

 

第19回水戸医学生セミナーは

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お申し込み後は、自動返信メールが

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 過去の参加者の感想は・・・

↓↓↓

・初めて身体診察をさせてもらい緊張で

 後悔ばかりでしたが、学生がこれ程

 任せてもらう機会はないと思うので

 貴重な体験になりました。

 

・実際の患者さんを診察させていただいた

 ので所見が印象に残りました。フィード

 バックもあり診察しっ放しにならなかった

 のも良かったです。

 

・普段、自分がいかに身体診察を怠って

 いるかが分かりました。今後、実習では

 もっと主体的に患者さんに関わって

 いきたいと思います。

 

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血培陽性です!

2019.01.26

80歳台の女性。

尿路感染症による発熱で、

体動困難となり入院しました。

 

入院時の血液培養は陰性で、

尿培養は素直な大腸菌(E.coli)。

点滴でセフェム系抗菌薬を選択して

順調に発熱も尿所見も改善して

いました。

 

ところが入院4日目に突然の

悪寒戦慄を伴う発熱を来しました。

再度血液培養を2セット採取したところ、

翌日の夕方に細菌検査室から、

「先生!血培陽性でした。4本中1本から

GPC(グラム陽性球菌)が出ました。」

 

こんな時、あなたは次にどうしますか?

このような状況で考えておくべきことは

点滴ラインからの血流感染です。

 

特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus 

aureus)による菌血症は感染性心内膜炎

や腸腰筋膿瘍など、厄介なことに

つながる可能性があり、決して甘く

見てはいけません。

 

患者さんの状態によっては、

菌が同定される前に適切な抗菌薬に

変更するなど、迅速な対応が必要と

なります。

 

一方で、血液培養を採取する際の

汚染(Contamination)の可能性も

考えられます。

具体的には表皮ブドウ球菌

(Staphylococcus epidermidis)の

場合です。

 

そこであなたは、

「菌の同定や感受性はどうですか?」

と聞いてみましたが、「明日にならないと

分かりません」と言われてしまいました。

 

でもあなたは、ここで引き下がっては

いけません。

 

「コアグラーゼはどうですか?」

聞いてみて下さい。

 

コアグラーゼ陽性か陰性かで、

菌がある程度推察できます。

 

もし、コアグラーゼ陽性(CPS:

Coagulase Positive Staphylococcus)

なら黄色ブドウ球菌

 

コアグラーゼ陰性(CNS: 

Coagulase Negative Staphylococcus)

なら表皮ブドウ球菌となります。

 

4本中1本でCNSなら、汚染菌の可能性

が高くなり、もう少し様子を見ても良い

かな?と判断できます。

 

一方、CPSなら点滴ラインからの

血流感染がより疑わしくなるので

ラインの抜去・差し替えと共に

抗菌薬の変更を検討します。

 

臨床的にヤバそうな患者さんなら、

MRSAの可能性を考えてバンコマイシン

(VCM)を考慮します。後日、MRSAでは

ないことが判明すれば第1世代セフェムの

セファゾリン(CEZ)を選択します。

 

状態のよい患者であれば、そう慌てる

ことはないかもしれません。しかし、

状態の悪い患者さんに血液培養で

GPCが検出されたら、速やかな対応が

必要となる場合があることは知って

おいて下さい。

 

こんな時、菌が同定されなくても、

ある程度がヤバいか、ヤバくないかの

判断ができることを知っておきましょう。

(編集長)

 

入院患者のカンファ中

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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シナリオ作成中!

2019.01.24
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

メディカルラリーは映画やドラマと

一緒でシナリオが大事です。

 

水戸医学生セミナーで行うメディカル

ラリーでは、シナリオを当院のJ2

(2年目の初期研修医)が作っています。

 

理由は、初期研修医目線のシナリオが

医学生のあなたにとって一番リアル

だからです。

 

そしてこのシナリオ作りは、J2の卒業

作品的な感じになっています。これは

当初予想していなかった思わぬ効果

なのですが、研修医がシナリオを作る

ということは、ACLSやJATEC、MCLS

をよく理解していなければできません。

 

また自分たちがER当直などで経験した

症例やエピソードをベースに作られる

ので、自分たちの対応を反省し、かつ

症例の理解が深まるなど、教育的な

効果も大きいのです。

 

第17回セミナーの集合写真

 

出来上がったシナリオを見ると、

日常のあるあるや、自分たちの失敗

したポイントを上手にちりばめて仕上げ

ているので、毎回のことながら感心して

しまいます。

 

そんな研修医目線での

メディカルラリーを経験できる機会は、

水戸医学生セミナーしかありません。

 

ただいま第19回水戸医学生

セミナーの参加者を募集中です!

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過去の参加者の感想は・・・

↓↓↓

・本当に参加して良かったです。またぜひ

 次の機会に参加させて頂けると嬉しいで

 す。 

・すべてに関して大変満足でした。特に

 先生方が非常に丁寧に教えて下さって

 知識、手技ともにセミナーの参加前に

 比べて身についたと思います。

 

 

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頭が真っ白になりました・・・

2019.01.22
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

「冷静に考えればそんなに難しいこと

じゃないのに、あの場でいろいろ言わ

れると頭が真っ白になる・・・・。

できなかったことは悔しいけど学生の

うちに「知っているのとできるのは違う」

ってことに気が付けたのは大きな収穫

でした。」

 

これは水戸医学生セミナーでのメディカル

ラリーを終えた直後の参加者の言葉です。

ラリー中に、この医学生が何をしていい

のか分からず立ち尽くしていたので、

終了後にスタッフが「どうでした?」と

尋ねたらこの言葉が返ってきたそうです。

 

水戸医学生セミナーでのメディカルラリーは

医学生と研修医の4,5名が1チームとなって、

約20分間のラリー中にスタッフが演じる

患者のトリアージ、診断、処置を行い、

その点数を競うものです。スタッフは臨調感

あふれる演技で、参加者を戸惑わせます。

 

冒頭の医学生は、外傷患者を評価して、

それに続けて現場での処置をしようとして

いたのですが、別の傷病者役のスタッフから

「はやく何とかしてくれ!」と大声で言われて

しまったことで頭が真っ白になったのです。

 

あなたが知識としては知っている、理解

していることでも、実際にやってみると

出来ないことは多くあります。

 

「そんなに難しいことじゃないのに・・・、」と、「できない自分」と今のうちに対峙

しておくことは、これからの臨床の現場

に出ていくあなたにとって間違いなく

貴重な経験になります。

 

そんな貴重な経験ができる水戸医学生

セミナーのメディカルラリーに

ぜひ、あなたも挑戦してください!

 

参加者のラリーの感想は

・リアリティーを追及しており、とても楽しむ

 ことが出来た

・とても緊迫感があり、現実差があり勉強に

 なった

・大学の実習ではできない経験をたくさん

 得ることができた

・実際に体を動かすことの難しさを痛感した

・何もできなくて情けなく思ったが、本当に

 貴重な経験になった

 

 

水戸医学生セミナーは外傷を含めた

救急医療や身体診察を通した内科診断学、

言うなれば臨床における「動」と「静」

学べる究極の「体験型セミナー」です。

 

あなたの参加をお待ちしています! 

 

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(編集長)

 

 

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嘔気の鑑別  その2

2019.01.19
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回は嘔気の鑑別を紹介しました。

「嘔気」をキーワードにすると

鑑別が非常に多くなってしまいますが、

カテゴリーで考えていくと、少し楽に

なります。

 

では今回は提示した症例について

考えてみましょう。

 

前回提示した症例は60歳代の女性で、

それまで医療機関にかかったことが

無い元気な方が、2週間前から嘔気と

食欲低下を訴え外来受診しました。

 

この時の外来ではバイタルも身体所見も

問題なかったので、メトクロプラミド

(プリンペラン®)を処方されたけど

その後も症状が改善せず、再度受診し

たので、これからあなたが診察する

という設定です。

 

どんなことを聞き出せばよいか?

鑑別疾患を想定しながら問診を

進めていきます。

 

例えば

消化管疾患なら、

・下痢や嘔吐はあるか?

・腹痛の有無、

・開腹手術歴

・健診歴(胆石の有無など)

・食事や旅行歴

 

全身性疾患や内分泌代謝疾患

・発熱の有無

・体重の増加・減少

・皮膚や関節の症状

・嘔気の増悪、寛解因子

・顔貌

 

中枢神経疾患

・頭痛の有無や体位での変化

・歩行障害

・意識変容などの有無

 

泌尿器・産婦人科疾患

・腰痛や血尿の有無

・妊娠歴

・月経周期

・月経困難症の有無

 

 薬剤・中毒

・服薬歴

・職業歴

・居住地域

 

他にもいろいろありますが、

少なくともこの辺は確認したいところです。

さらにOPQRSTを加味しながら鑑別を

絞っていきます。

OPQRSTとは?

 

しかし、この症例は喫煙歴がある程度で

あまり病歴から絞り込みができず、

神経学的所見も含めて、身体所見でも

明らかな異常は見当たりませんでした。

 

採血検査も軽度の脱水がありそう

でしたが、2週間持続する嘔気を

説明できる異常はなしでした。

 

ところがルーチン検査として施行した

胸部レントゲンで左肺野に異常陰影を

認めたのでCTを施行すると・・・・、

肺に腫瘤影が・・・・。

となると、採血で高Ca血症はなかったので、

頭部CTを施行しました。

 

右小脳に怪しい影を認めました。

造影MRIを施行すると、

 

診断としては肺癌と転移性脳腫瘍でした。

 

脳腫瘍であれば、頭蓋内圧が上昇する

臥位で頭痛が増強してもよさそうですが、

この症例では認めず、絞り込みが

上手くいかなかったケースです。

 

一般に、嘔気というと消化管疾患を

考えますが、鑑別は幅広く、中には

脳腫瘍や心筋梗塞など重篤な疾患が

隠れていることがあります。

 

よくよく病歴を聞き出して、少ない検査で

診断にたどり着けるように意識しながら

診察してみてください。

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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あなたはメディカルラリーをご存知ですか?

2019.01.17
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

あなたはメディカルラリーをご存知ですか?

 

医学生のあなたはメディカルラリーなんて

聞いたことが無いかもしれませんが、

水戸医学生セミナーの参加者が一番

悔しがってリベンジを心に誓うのが、

このメディカルラリーです。

 

今では、救急科の先生たちや救急隊が

参加するメディカルラリーは国内各地で

行われています。

 

じつは、日本でのメディカルラリーは

2002年に開催された大阪の千里メディカル

ラリーが日本で最初のラリーでした。

 

なぜ国内でラリーが開催されるように

なったのか?これには前の救命救急

センター長である須田先生が深く絡んで

います。

 

須田先生はとっくに還暦を過ぎていますが、

今でもドクターヘリに搭乗している筋金入りの

救急医です。この須田先生が海外で

メディカルラリーなるものがあると聞いて、

2001年に他の2人のドクターと参加しました。

 

そのラリーはメディカルラリーの元祖と

呼ばれるもので、今から20年以上前の

1997年からチェコで開催されている

「Rallye Rejviz(ラリー・レビー)」です。

 

須田先生らはこの大会に日本から初めて

参加した訳ですが、結果は散々なもの

だったそうです。

 

例えば、車で指定された場所に行き、

そこで「あの建物の中で何かあるぞ」と

言われ、そのまま入ったら銃で撃たれて

すぐにゲームオーバーになったり、

診断を付けることに気を取られ過ぎて

周りの状況が把握できず時間切れなど、

大会スタッフに「何しに日本から来たんだ?」

と言われたそうです。

 

安全確認をしないで救急活動を始めては

ダメという基本が頭に無かったり、院内の

救急室と同じ感覚で野外での活動をしたり

と、須田先生らはかなりショックを受けた

そうです。

 

でも、実際の車がひっくり返してあるなど、

町中がステージになっている臨調感

いっぱいのラリーは非常に楽しかった

そうです。それから日本に帰ってきて、

一緒に参加した先生方と国内でラリーを

開催したいと意見がまとまり、翌年の

千里メディカルラリーの開催に至った

という話です。

 

水戸医学生セミナーのメディカルラリー

では、当初は須田先生にシナリオを

作っていただいていました。ある意味、

日本初のメディカルラリーの流れをくむ

由緒正しい(?)メディカルラリー

言えます。そして国内唯一の医学生

限定メディカルラリーです。

 

過去の参加者の感想は

↓↓↓

・メディカルラリーは初めてだったが、

 机上で学んだ知識を実際に活かすことの

 難しさを感じた。

・初めてのラリーで、患者さんを助けられ

 ませんでしたが、とても楽しかったです。

 またリベンジしたいです。

・打ちのめされました。

・実際の災害現場を模して体験することで、

 いつかこの場を経験した時にしっかり

 判断して適格な指示をできるように

 したいです。

・現場に出たときに自分がどのような

 問題に直面するのかを知るための良い

 機会だった。

スタッフの迫真の演技で、

まさに実戦さながらのラリー

 

水戸医学生セミナーは外傷を含めた

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いくつ言えますか? 嘔気の鑑別

2019.01.15
カテゴリー: カンファレンス 内科

60歳代の女性

それまで元気で医療機関にかかった

ことが無い方でしたが、約2週間前から

嘔気を訴えるようになり、徐々に食欲

低下を来しました。外出もしなくなった

ので家族が心配して外来を受診しました。

 

この時の外来ではバイタルも身体所見も

問題なかったので、メトクロプラミド(プリン

ペラン®)を処方され経過観察となりました。

しかしその後も症状が改善せず、再度

受診しました。

 

さて、もしあなたがこの患者さんを診察

することになったら鑑別は何を考えるでしょう?

 

ご存知の通り、鑑別を考えていくうえで

何をキーワードにするかは重要です。

キーワードの設定で鑑別疾患の数が

大きく変わってくるからです。

 

「嘔気」は鑑別疾患が多すぎるので、通常は

別のキーワードと組み合わせて考えます。

 

ただ、この症例が最初に受診した時は

嘔気以外のよいキーワードが見つけ

られませんでした。

 

2度目の受診では鑑別を絞るための

問診をしなければいけませんが、

その時に鑑別疾患が頭に浮かんで

いないと上手く聞き出せません。

 

「嘔気」の鑑別カテゴリーとしては

・消化管疾患

・全身性疾患

・中枢神経疾患

・内分泌・代謝疾患

・泌尿器・産婦人科疾患

・薬剤・中毒

・その他

 

ここで全部書くことは無理なので、

ごく一部だけを紹介します

 

・消化管疾患

閉塞性と非閉塞性に分けられます。

非閉塞性なら、胃炎、消化性潰瘍、

胆石発作、肝炎、腹膜炎などなど

 

・全身性疾患

急性感染症、心不全、急性心筋梗塞、

強皮症、アミロイドーシスなどなど

 

・中枢神経疾患

頭蓋内圧が亢進する疾患(脳腫瘍、外傷)

めまいを呈する疾患(メニエル病)

眼科疾患(緑内障)

片頭痛・てんかんなどに分けて考えます。

 

・内分泌・代謝疾患

糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、

高カルシウム血症などなど

 

・泌尿器・産婦人科疾患

腎盂腎炎、尿路結石、子宮内膜症など

 

・薬剤・中毒

抗がん剤、アルコール、抗コリン剤、

モルヒネ、一酸化炭素、重金属、

NSAIDSなどなど

 

・その他

妊娠、妊娠中毒症など

 

嘔気だけで考えると、鑑別があまり

思いつきませんが、カテゴリーで

考えると、意外と多くの鑑別疾患を

挙げることができます。

 

さて、あなたはいくつの鑑別を挙げる

ことができたでしょか?

(編集長)

 

水戸医学生セミナーでの一コマ

(ラリー前にお手伝いの救急隊員とシナリオの確認中)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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五感をフルに使って真剣に身体診察に取り組み、

身体診察後の詳細なフィードバックを受ける。

 

すると、あなたはもう一度ベッドサイドに

行ってみたくなるはずです。

 

あなたは身体診察のみで、どこまで診断に

迫れるのか?ぜひ挑戦してみて下さい!

 

水戸医学生セミナーは、大学の授業で

体験できない、内科と救急のエッセンスを

盛り込んだ「究極の体験型セミナー」です!

 

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ST上昇はSTEMIだけ?

2019.01.12
カテゴリー: 初期研修

ある休日のオンコール当番。

ERから電話がかかってきました。

 

「60歳代の女性が自宅で倒れている

のを発見されて、救急搬送されました。

バイタルは大丈夫ですが、心電図の

胸部誘導でST上昇を認めます。

STEMIだと思うのですが。」

 

STEMIなら、もちろんPCIをするので

「行きます。PCIのコールをお願いします」

と返事しました。

 

ただ、発症時間を知りたくて

「何時ごろからの胸痛ですかね?」

と聞くと、「意識レベルがヘンで、

胸痛の訴えははっきりしません。」

とのこと。

 

さて、この情報だけですが、

あなたは違和感を感じませんか?

編集長はSTEMIなのに、意識障害を

伴っているのがひっかかりました。

 

胸痛がはっきりしないSTEMIはあり

です。でもSTEMIだけで意識レベル

が悪くなることは普通ありません。

 

では、他に鑑別を挙げるとすると?

病院に向かう途中で、編集長が考えた

ことは「大動脈解離」でした。

 

上行大動脈の解離が、冠動脈に及べば

STEMIになるし、腕頭動脈や左総頚動脈

に及べば脳梗塞などを来すからです。

 

ただし、解離に伴うSTEMIは右冠動脈を

巻き込む下壁梗塞が多いのですが、

今回のST上昇は前胸部誘導というのが

合わない点です。

 

さて、病院に到着して患者さんを見ると

確かに意識清明とは言えない、でも

麻痺はないし、血圧の左右差もない

状況でした。

 

あまり大動脈解離っぽくないな、と思い

ながらエコーをあてましたが、少なくとも

上行大動脈に解離のフラップは見えません。

 

そのままカテ室に搬送しようと思いつつ、

救急科の先生にCTチェックを勧められて

あまり乗り気ではないものの、チェック

することに。そしたらこんな画像・・・・。

 

さて、この症例の答えは何だか

わかりますか?

答えは、くも膜下出血(SAH)。

そしてSAHを契機とした

たこつぼ型心筋症でした。

 

たこつぼ型心筋症はもともと日本から

報告された疾患概念ですが、

STEMIと同じように胸痛とST上昇を

きたします。しかし冠動脈に有意狭窄

がなく、たこつぼのような特徴的な

左室造影で診断されます。

 

海外でもTakotsubo Cardiomyopathyで

通用しますが、Stress Cardiomyopathyとか

Apical ballooning syndromeとも言われます。

情動ストレスなど、過度のストレスによって、

カテコラミンが多量に分泌されることで、

心筋障害や心筋の微細循環障害を

来すのが原因ではないかと言われています。

JACC:72, 1955-1971, 2018

 

当然SAHなどの頭蓋内のイベントで

カテコラミンが多量に分泌され、

たこつぼ型心筋症を起こします。

 

今回はSAHによって意識障害を来し、

倒れていた。さらに、SAHを契機に

たこつぼ型心筋症を起こし、STが

上昇していたと考えられました。

 

よく遭遇する疾患の中から

「なにか違う?」と重篤な疾患を

見つけだす感覚は大事です。

 

ただ、それには丁寧に臨床を積み重ねて

経験値を上げていく必要があります。

 

日々の診療が流れ作業にならないように

患者さんと向き合ってください。

(編集長)

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妊婦のアッペ

2019.01.10
カテゴリー: 周産期センター

あけましておめでとうございます。

もう、お正月気分でご挨拶するような

時期でもなくなってしまいましたが、、、

大変ご無沙汰しております。

チームさんばです。

 

昨年は大きな事件なく1年間過ごす

ことができました。院内の様々な

部署で助けてくださる方々のチーム

ワークのたまものだと思っております。

 

病院の忘年会、手術室の忘年会で

ご挨拶させてもらってハタと気づき

ました。なんとすべての科の先生の

お世話になっておりました。

本当にありがたいです。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

早速ですが、今回の話題も他科の

先生にお世話になったものです。

 

妊娠14週の急性腹症!

つわりで吐き気は以前よりあり。

加えて胃痛が出現したため前医入院。

補液で管理されていたが発熱あり。

炎症反応上昇あり。右下腹部と

右背部に疼痛出現。治療目的に

当院母体搬送入院となりました。

何が考えられるでしょうか?

 

まずは病歴聴取。

実は小学生の時に虫垂炎の診断で

抗菌薬治療を2回されているとのこと。

怪しいですね。

 

診断の為にエコーしてみました。

 

 

 

実は私たち産婦人科専門医たちは、

日々エコーを手に胎児、子宮、卵巣を

自分たちでみて診断しているので

得意な気になっていますが、腸に

関しては全くのド素人。

 

病歴から虫垂炎を疑ってはいましたが

この所見から「虫垂、腫れてるね、

糞石もあるね」なんてまったくわかり

ませんでした。技師さんも、外科の

先生もさすがです。

 

さて、診断しましたがどうしましょうか。

以前も抗生剤投与で落ち着かせている

から、妊娠中に手術は良くないよね。

と考えた方、危険です。

 

妊娠中の虫垂炎は即手術でお願い

します。この方も無事外科の先生に

腹腔鏡で治療していただき、前医に

戻ることができました。

 

年間、1,2例と決して多くないですが

外科の先生と協力して緊急で手術

しなきゃならない妊婦さんの病気の

ご紹介でした。

(チームさんば)

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