臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

今年度1回目!・・・松永先生の感染症レクチャー

2022.04.30

4月28日に感染症の松永先生による今年度1回目のZoomレクチャーが開催されました。松永先生の感染症レクチャーのことは、このブログでは何度も紹介していますが、今年で14年目となる当院のコアなレクチャーの一つです。

 

松永先生のことを紹介すると、東大医学部を卒業後に在沖縄米国海軍病院インターン、東大医学部附属病院内科研修医、そして茨城県立中央病院内科研修医を経て、2002年から米国コロンビア大学関連病院St.Luke’s-Roosevelt Hospital Center内科レジデント、2005年からUCLA関連フェローシッププログラム感染症科臨床フェローを修了されています。帰国後は東京医科大学病院感染制御部を経て、2010年から帝京大学医学部付属病院の感染制御部の准教授としてご活躍の先生です。当院には平成21年から感染症カンファや院内講演会などでお越しいただいており、現在も年5回の研修医向けの感染症レクチャーをお願いしています。

 

これだけ長い期間に渡って一人の感染症専門医から教えを受けるのは、なかなか無いことかもしれません。院内に10年前に松永先生のレクチャーを受けた先輩ドクターがいて、筋の通った文化のようになっているように思います。そして松永先生のレクチャーで学んだことを総合内科をローテーション中に繰り返し実践し、身につけていくていくのが水戸済生会での初期研修の強みです。

 

今回のテーマは、昨年同様に「COVID19感染症」のオーバービューと「感染症診療の基本」でした。COVID19については後遺症や感染対策も含めてまとめてもらい、研修医たちの断片的だった知識がすっきり整理されたようです。感染症診療の基本は非常に重要な内容なので、このブログのオープン当初からネタとして何度も紹介してきましたが、何度やっても勉強になるので、今後も復習もかねて紹介していきます。

           (編集長)

 

このスライドが一番大事!

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紹介状を書く時(5)・・・クリニックへの報告

2022.04.28
カテゴリー: 初期研修

今回は紹介してくれたクリニックや病院に報告し、フォローをお願いする時の紹介状について考えてみましょう。

 

個々のケースで記載する内容や重要ポイントは異なりますが、忘れて欲しくないのは、あなたが書いた紹介状はそのクリニックの先生だけが読むものではないということです。

 

その患者さんが他の理由で別の病院を受診する時に、あなたが書いた紹介状のコピーが一緒に別の病院に行くかもしれません。そこを意識して、今後の診療に関わる先生たちにも分かるように書くと良いです。もちろん、いきなり略語は使わないこと。使うなら初めて書いたところにカッコ書きで略語を示します。

 

記載すべき内容としては、入院サマリーのような詳細な経過は通常必要ありませんが、診断の根拠となった検査所見や手術などの術式は重要です。悪性腫瘍であれば治療選択の根拠となる病理所見と進行度分類(ステージング)を記載すれば共通認識が出来るので細かいことは書かなくてもよいかもしれません。

 

肺炎や心不全であれば、人工呼吸器管理を要したなど経過の中の重要ポイントを記載します。クリニックの先生が患者さんと話した時に、事情が分って話を合わせられるように入院中のイベントを記載すると良いと思います。

 

今後のフォローに関しては、あなたの診療科では当たり前と思っていることでも、クリニックの先生や専門が異なると全く分からないものです。なので、少々くどいくらいに、どんな点に注意してもらいたいのかを明示した方が安全です。たとえばある薬剤を追加したので、3か月ごとに採血で肝機能をフォローして欲しいとか、抗血小板薬は出血のトラブルがなければ6ヶ月は継続してもらい、その後は減量可能だが完全に中断はしないでほしいとか。もし、出血のトラブルがあれば、勝手に中止しないで受診してもらうなど。

 

薬剤を追加した理由も簡単に触れておくとこちらの意図を理解して、患者さんに上手く説明してくれることも多くあります。一番悲しいのは、やめてほしくない薬剤が中止されてしまうことです。そうならないように、きちんと伝えるようにしましょう。

 

また、かかりつけのクリニックと自分の病院の両方でフォローしていく場合もありますが、どちらで内服処方するのかをはっきり記載しておかないと、両方から処方されていたり、処方されていなかったりする事態が起こり得ます。

 

繰り返しますが、あなたにとっては当たり前のことでも、クリニックの先生にとっては全く分からないことだらけです。そこを意識して記載してみて下さい。

           (編集長)

ICUの回診風景

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紹介状を書く時(4)・・・施設に退院する時

2022.04.26
カテゴリー: 初期研修

今回は施設に入所する時に、その施設の嘱託医に宛てて書く場合を考えてみましょう。

 

紹介状を書く時のポイントは誰に宛てて書いているのかをはっきりさせることですが、施設と言っても、ショートステイのように短期間入所する場合から、特別養護老人ホームのように長期入所となる場合まで様々です。そして、施設によってはすぐ近くに同じ経営母体の病院があったり、遠くの開業医が嘱託医としていたりと幅があるので、入所先の施設の状況がどうなのかを、できるだけ地域連携室やソーシャルワーカーなどから情報を集めてから書くと良いと思います。

 

記載する内容はリハビリ転院と同じように、詳細な入院経過はあまり重要ではありません。DEATHとSHAFTTをおさえたADLの記載の他に、施設入所の場合は高齢者が大半ですので、患者さんや家族の希望にもふれておくといいですね。

 

大事なことは、施設は病院ではないので、嘱託医が対応できることは限られます。嘱託医が施設で診療をするのは週に1回だったり、2週に1回だったりするので、医療が必要な場合は、外来なりERを受診してもらうしかありません。

 

まるで施設でも(病院のように)Iいろいろ対応できるでしょ、と言わんばかりの書き方だと、だいぶズレた紹介状になってしまいますので、注意しましょう。

 

また、各施設独自の書式で情報提供書の記載を求められることも多くあります。医師以外の施設スタッフも読んでわかるように、略語は用いないで分かりやすく書くようにしましょう。

           (編集長)

だいぶ段取りよく出来るようになりました♪

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紹介状を書く時(3)・・・転院を依頼する時

2022.04.23
カテゴリー: 初期研修

今回はリハビリ目的に転院を依頼する時の紹介状を考えてみましょう。

 

紹介状を書く時のポイントは誰に宛てて書いているのかをはっきりさせることですが、今回の場合は、転院を引き受ける病院のドクターや看護師に対して紹介状を書くことになります。

 

例えば、脳梗塞の患者さんや高齢者など、自分が担当した患者さんがリハビリ目的に転院する時に、相手はどんな情報が必要かをちょっと考えてみてください。

 

この場合、入院中の経過は入院サマリーのようにあまり詳しくは必要ありません。むしろ大事なのは、現在のADLはどの程度で、リハビリのゴール(例えば、車いす移乗が出来るようになって、トイレも軽介助でできるなら自宅に戻るなど)をどこに設定しているのか?を必ず含めた方がいいと思います。

 

リハビリという言葉のイメージから「リハビリすればすっかり元通りの生活ができるようになる」と勝手に解釈している家族がいたり、私たち医療関係者の見通しと本人や家族の希望に大きなギャップがあることもあります。ですから、入院中からリハビリのゴールをどう設定するか本人と家族とでよく話をする必要がありますし、状況によっては両方を記載したほうが良いかもしれません(例えば、「自立歩行は困難が予想されますが、ご本人とご家族は、そこを目標と考えており、リハビリに意欲的です」など)。

 

ADLも以前に紹介したDEATHとSHAFTTを参考にするとよいでしょう。

DEATHとSHAFTTはこちら

 

他に併存疾患の状況(安定しているのか不安定なのか?)や、内服薬も必須です。内服薬は高額なものが含まれていると転院を断られる場合があるので、ケースワーカーなどを通して事前に確認が必要です。併存疾患の状況が不安定な場合は悪化した際の具体的な対応(内服薬の調整や紹介元への転院や外来受診など)を記載しておくと丁寧です

           (編集長)

夕回診前のミニレクチャー

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紹介状を書く時(2)・・・精査・治療を依頼する時

2022.04.21
カテゴリー: 初期研修

紹介状を書く時に大事なことは、誰に宛てて書いているのかをはっきりさせることです。前回は5つのパターンがあることを紹介しました。今回からそれぞれ具体的に見ていきます。

 

まず、大学病院や専門病院など高次医療機関で精査や治療をお願いする時はどんな情報が必要でしょうか?

 

この場合は、詳細な治療経過や検査結果が必要です。診断がついていない場合なら、例えば抗菌薬をいつから投与したのか?用量はどのくらいか?培養結果はいつの時点のものか?(抗菌薬投与前?投与何日後?)検査データも時系列で、何をした時のものかが分かるとイイですね。

 

同時に、この所見は無かったという陰性所見もしっかり記載しましょう。これがはっきりしていると、鑑別が絞られて無駄な検査を減らせます。また診断がついている場合は、その根拠(例えば病理結果や画像所見)を明確にする必要があります。

 

さらに、治療方針を決めるのに影響する情報も重要です。例えば手術を依頼する場合、心疾患の既往があるならEFなどの心機能や治療歴(PCI歴など)などの情報の有無で方針が変わる場合もあり得ます。人工物(ペースメーカー、人工関節、人工弁、ステント、人工血管など)が植え込まれている患者さんなら、サイズや形式で、しばしば治療の選択が変わります。具体的には人工血管の太さが違うだけで、侵襲の少ない手術ができたり、出来なかったりします。

 

専門領域に精通していないと難しいかもしれませんが、各科をローテーション中に先生たちがどんなことを気にしているのかを覚えておくとすごく役に立ちます。

 

必要な情報が、チキンと記載されている紹介状は間違いなく評価されます。ぜひともがんばって書いてみて下さい。

           (編集長)

回診後に今日のやること確認!

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紹介状を書く時(1)・・・最も大事なことは

2022.04.19
カテゴリー: 初期研修

患者さんが退院する時に紹介状(正確には診療情報提供書ですが、ここでは「紹介状」とします)を渡すことが多くあります。当院では、多くの診療科でまず研修医に紹介状を書いてもらっています。

 

もちろん指導医のチェックが入り、跡形もないくらいに思い切り書き直しされることもありますが、書いているうちにポイントをつかめるようになって来ます。

 

実は初期研修の評価の中にも、この「診療情報提供書を記載できる」という項目があります。この紹介状を書く時のポイントについて、このブログで4年前に記事にしていました。基本は変わりませんが日常業務でよく使うものですので、加筆・修正したものを紹介していきます。

 

さて、研修医が書く紹介状でよくみられるのが、入院サマリーに酷似したものです。検査データもそのまま記載してあったり、ポイントがぼやけてしまうので非常に読みにくいものになってしまいます。紹介状を書く時に最も大事なポイントはまず、「誰に宛てて書いているのか」をはっきりさせることです。

 

具体的には、

1.他の病院で精査や治療をお願いする時

2.リハビリなどを目的に転院を依頼する時

3.施設入所のため、その施設の嘱託医にお願いする時

4.紹介してくれたクリニックや病院に報告し、フォローをお願いする時

5.かかりつけ医とは別の医療機関から紹介された経過をかかりつけ医に報告する時

 

よくあるパターンはこんなところでしょうか。こうしてみると紹介状といっても全部同じではなく、相手によって書くべき内容を変える必要があることに気づきませんか?次回からそれぞれを細かく見ていきましょう。

           (編集長)

さっそくPICC挿入♪

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消化器内科の専門研修

2022.04.18
カテゴリー: 専門研修ブログ ブログ

今回は消化器内科の専門研修について紹介します。

 

令和4年度がスタートしましたが、今年度は消化器内科には7名のスタッフと5名の専攻医がいます。専攻医5名のうち、3名が当院の内科専門研修プログラムで消化器内科を志望しており、残る2名が千葉大学など他施設の内科専門研修プログラムからのローテーションで来てくれています。

 

どの病院でも消化器内科はとても忙しい診療科ですが、水戸済生会の消化器内科は以下のような特徴があります。

 

① 高いQOL

チーム制を実効性のある形で導入しているので、仕事の時はみっちり仕事。休みの日は、完全オフ。仕事と趣味を両立できます。それを実現するために、上下の隔たりなく仲間として全員で力を合わせて診療しています。

 

② 幅広い治療手技

内視鏡治療は当然のこと、当院ではエコー下穿刺治療、血管内治療もすべて自科で行います。食道静脈瘤に対するBRTOや憩室出血や腹腔内出血も血管内治療グループと共に治療にあたりますので、消化器内科がカバーすべきほぼすべての治療手技+αを習得できます。

 

③ 高難度治療

EUS下穿刺治療、胆道鏡(SpyGlass)を積極的に行っており、さらに小腸内視鏡も導入されました。これからの内視鏡医に求められる新しい治療技術も身に着けられます。また、外科との合同手術(LECS)も導入し、協力して治療を行っています。

 

④ IBD(炎症性腸疾患)診療

IBD診療も積極的に行っております。典型的初発症例の寛解導入は当然ながら、ステロイド抵抗例などの難治例、外科治療を考慮すべき重症例まで対応しています。IBDの基本治療薬である5-ASA製剤の使い分けはもちろん、栄養療法、血球除去療法、免疫抑制剤、生物学的製剤など、ありとあらゆる医療リソースを用いたIBDの幅広い治療戦略を学ぶことができます。

 

冒頭でも紹介したように専攻医が5名いますが、他院のプログラムから来た専攻医は、自院ではあまり内視鏡などの手技をできていなかったようですが、当院ではすでに数多くの症例を経験し、どんどん上達しているようです。あなたも水戸済生会の消化器内科で一緒にレベルアップを目指しましょう!

 

ご質問など、どんな小さなことでも遠慮なく、下記の問い合わせフォームからご連絡ください!

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆水戸済生会での専門研修に関するご質問はこちらへ!

どんなことでも問い合わせフォームからご質問ください。

また、各診療科の専攻医にZoomで質問できますので、その旨もお知らせください!

お問い合わせフォームはこちら

 

◆市中病院で循環器専門医を目指しているなら

水戸済生会循環器内科のサイトを是非ご覧ください!

循環器内科のサイトはこちら

 

PCIだけでなく、Ablation、TAVIなど、当院で行っている幅広い循環器診療を紹介している充実したサイトです。各種の資格取得にも有利です!

是非ご覧ください!

 

◆10分で分かります

1月に開催された「レジナビFairオンライン2021 ~専門研修(内科)プログラム~」 での説明動画を、水戸済生会YouTubeチャンネルでご覧いただけます!

 

水戸済生会の内科専門研修の特徴が10分で分かります。特に、消化器内科・循環器内科・腎臓内科を志望しているあなたは、ぜひご覧ください!

 

水戸済生会YouTubeチャンネルで説明動画見る

P/ F 比

2022.04.16
カテゴリー: カンファレンス 内科

さて、今回は新J1のヒゲだるまが記事を書いてくれました。

 

研修医になって最初のローテーションが総合内科なので、いろいろベーシックなところを確認しながら病棟で奮闘中です。そんなヒゲだるまに酸素化の評価をどうするのか?と宿題を出したら、まとめてくれたのでシェアします。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とても真面目とは言えなかった僕は、呼吸状態は「SpO2が95%くらいあれば大丈夫っしょ」くらいに思ってました。

 

ですが実際は鼻カニューレ、リザーバーマスク、NPPVさまざまな環境で計測されるSpO2があるわけで、そう単純なものではありませんでした・・・・。

 

例えばSpO2は98%であるがリザーバーマスク10Lを付けてる状況ではどうでしょうか?

SpO2は確かに高い値ですが、リザーバーマスク10Lはなかなかの量です。さて、こんな時はどう考えたらよいでしょう?

 

ここで出てくるのがP/F比です。

PはPaO2=動脈血酸素分圧、FはFiO2=吸入気酸素濃度の割合のことを言います。
FiO2の大まかな値は以下に載せておきます。

そしてこのP/F比は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症度を示す基準にもなっています。

 

具体的には
軽 症: 200  < P/F  ≦300 
中等症: 100 < P/F ≦200 
重 症: P/F  ≦ 100

 

さて、ここで冒頭の例を考えてみましょう。
SpO2が98%ではPaO2≒100と考え、リザーバーマスク10LはFiO2が0.8とすると、P/F=100/0.8=125となります。

これは上述したARDSの基準を参考にするとだいぶ悪いということがわかります。

 

おそらく1年前の僕なら「大丈夫じゃね?」でスルーしてたと思いますが、これからは酸素化の指標としてはP/F比を自然と使えるようになりたいものです。

(ヒゲだるま)

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貧血の鑑別・・・RI(網状赤血球指数)

2022.04.14
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はJ1のミッフィーが貧血の鑑別、特に網状赤血球指数を中心にまとめてくれたのでシェアします。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

担当した患者さんのプロブレムに貧血(その患者さんは正球性貧血でした)があったので、貧血の鑑別について調べてみました。

まず貧血がある場合、他に白血球減少や血小板減少がないか確認します。あれば造血器疾患や骨髄疾患を考えます。

次にRI(網状赤血球指数)を調べます。

RIは以下の式で求めるものですが、RIが2以上であれば骨髄の造血は正常の反応であり、2以下だと反応が低下しているとわかります。

ちなみに網状赤血球とは、赤血球の中で最も若いもので、赤芽球が成熟し脱核した1~2日以内の赤血球のことを指します。正常値は4~19‰(パーミルと読みます)で、パーミルは%(パーセント)の1/10の単位なので、0.4~1.9%でも同じことです。また、RIはReticulocyte Indexの略ですが、RPI(Reticulocyte Production Index)と書かれているものもありますが同じことです。

RI >2の場合、さらに溶血しているか検査し、溶血がない場合出血を考えます。溶血ある場合は自己免疫性溶血性貧血や、遺伝性球状赤血球症、発作性夜間血色素尿症などの溶血性貧血を考えます。

RI<2の場合、MCVを確認し、それぞれ大球性貧血、正球性貧血、小球性貧血の鑑別を行います。

小球性貧血ではフェリチンが低下していれば鉄欠乏性貧血。フェリチンの低下なければ慢性疾患に伴う貧血。

正球性貧血では慢性腎臓病や脾腫、甲状腺機能を確認し、腎性貧血や脾機能亢進症、甲状腺機能低下症を鑑別として考えます。

大球性貧血ではビタミンB12欠乏や葉酸欠乏がある場合、巨赤芽球性貧血を考えます。

 

実は国家試験勉強中、貧血の問題が出てきたら鉄欠乏貧血や溶血性貧血など国家試験に出やすい種類の貧血の鑑別をまず考えていましたが、実際には胃潰瘍や大腸癌など出血に伴う貧血や腎性貧血、慢性疾患に伴う貧血など、患者さんの背景を踏まえて鑑別することの大切さを学びました!

(ミッフィー)

今日はペースメーカー植え込みの助手

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「先生!レート走ってますけど」と言われた時は

2022.04.12
カテゴリー: カンファレンス循環器

あなたのところに病棟から「先生!レート走ってます。どうしますか?」とコールが来ました。行ってみるとモニターはこんな波形。

これは頻脈性心房細動のモニター波形です。たとえ循環器疾患で入院していなくとも、発作性心房細動の既往があったり、既往がなくとも

状態が悪い時は、よくこんな状況に遭遇します。

 

こんな時どうしたら良いのでしょう?あなたは準備が出来ていますか?

 

まず最初にすべきことは・・・・、

・バイタルの確認と

・患者さんの様子を見に行く

この2つです。

 

頻脈でも患者さんはケロッとしていることもあれば、苦しそうにしていることもあります。必ず見に行くことが大事です。血圧が下がっているとか、具合が悪そうなら、急いで対応しなければいけないのは当然ですが、血圧もOKで元気そうなら慌てないで対応を考えます。

 

では、その次はどうしましょう?

 

少し慣れてきたあなたは「ベラパミル(ワソラン®)」とか、「ランジオロール(コアベータ®、オノアクト®」など、指導医が使っていたのを見ていたかもしれません。でも、これは編集長的にはNGです。状況によっては危険だからです。

 

次にやるべきことは・・・・、

「なぜレートが速くなったのか?なぜ心房細動になったのか?その原因を考えること」です。

*心房細動は一般的に頻脈になるので、ここからは頻脈性心房細動のことを心房細動と書くことにします。

 

心房細動になる原因には、たとえば

・心不全

・発熱

・低酸素

・貧血

・甲状腺

・疼痛

・脱水

・薬剤(β刺激薬など)

など、いろいろあります。

 

今まで大丈夫だった患者さんが急に心房細動になったのですから、何かしら原因はないか?と考えましょう。

 

心不全が悪化しているのにβ遮断薬を静注しては、かえってヤバいことになります。

 

肺炎が悪化して低酸素が原因になっているのなら、NPPVや挿管を先にしないと、薬剤だけでは良くなりません。

 

脱水が原因で心房細動になってしまうことは、特に高齢者でしばしば経験します。こんな状況でワソランの静注をしてしまうと、びっくりするほど血圧が下がることがあります。(編集長は研修医時代に経験済みです)

 

もちろん、心房細動でも早い段階で電気的除細動をしなければいけないこともあり得ますが、そんなに多い状況ではありません。

 

繰り返しますが、心房細動などの頻脈を見たらすぐにレート下げる薬剤を使おうとせず、まずはその原因を探りましょう!

(編集長)

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