臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
感染性心内膜炎に細菌性髄膜炎を合併した一例 松永先生の感染症カンファより
9月13日に松永先生による感染症カンファが行われました。その際、症例発表した患者さんについて軽くまとめます。
患者さんは既往に糖尿病がある施設入所中の84歳男性。入院1週間前より発熱を認め、なかなか改善しないため入院されました。入院当初は、尿検査より尿路感染症を疑い、セフトリアキソン(CTRX)を開始しましたが、尿のグラム染色でグラム陽性球菌(GPC)を認め、次に血培でGPC4本/4本で陽性と判明したため、バンコマイシン(VCM)を追加しました。後日、尿培・血培の結果が分かったのですが、結果はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)でした。
さて、ここまでで違和感を感じたあなたはスバラシイです。尿路感染症の原因としてMSSA??
尿路感染症の原因菌として多いのは、大腸菌などのグラム陰性桿菌(GNR)であり、MSSAの頻度は多くありません。松永先生のカンファでもよくでてきますが、感染症治療を考えるときは下図の三角形を意識すると良いです。
どこに?何が?を意識して他に熱源がないか精査したところ、心エコー検査で感染性心内膜炎(IE)の診断となりました。また意識レベルが悪く、頸部硬直を認めたため、髄液穿刺をしたところ、多核球優位の細胞数高値を認めました。この患者さんはIEに細菌性髄膜炎を合併していたのです。
では治療はどうするのか。MSSAのIEのみならば第一世代セフェムのセファゾリン(CEZ)でいいのですが、髄膜炎を合併している場合、CEZは下図のように髄液移行性がないため使用できません。今回の症例は髄液移行性を考慮してCTRXを6W投与しました。しかし、CTRXはMSSAをカバーしているものの抗菌活性は強くありません(CEZに劣る)。
実際のところIEのMSSA髄膜炎合併例に対する治療は現場で苦心する状況であり、苦肉の策としてセフェピム(CFPM)やメロペネム(MEPM)などの広域抗菌薬を使用することもあります。(MSSAごときに緑膿菌をカバーする広域抗菌薬か、、、泣)
具体的な例として、髄膜炎用量で抗菌薬(CFPM、MEPM、CTRXなど)を2週間程度投与し、髄液フォローした後に、CEZを4週間投与するという治療戦略があるそうです。
※国内では承認されていませんが、海外ではMSSAに強い抗菌活性があり、髄液移行性がある抗菌薬にナフシリンやオキサシリンというのもあります。このためMSSAの髄膜炎で悩むことはないそうです。
(新潟県産もやし)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
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高齢者の診察でおさえるポイント DEEP-IN
入院患者さんはご高齢の方がもともと多いものですが、最近はホントに高齢の入院患者が多くて、担当患者のなかで一番若い方の年齢が88歳ということも稀ではありません。ERでも外来でも同様で、ご高齢の患者さんの対応は欠かせないものになっていることに、あなたも何となく気づいているはずです。
さらに年齢だけでなく、合併疾患も非常に多く持っているので、疾患ベースで考えようとすると思考停止になりがちです。でも、患者さん全体を把握して何を優先すべきかを考えることが高齢者診療では大事なことで、これにはコツがあります。
今回はそんな時に役立つ高齢者のアセスメント法のひとつ、DEEPーINについて紹介します。
DEEP-IN は
D:Dementia,Depression,Delirium,Drug(認知機能、抑うつ、せん妄、薬剤)
EE:Eye & Ear(視力、聴力)
P:Fall&Physical function(転倒、身体機能やADL)
I:Incontinence(失禁)
N:Nutrition(栄養、体重減少)
これらのポイントを「すべての高齢者に」、「ファーストタッチの時に」行うことで、後の診療がが非常にラクになります。
具体的に見ていきましょう。
D:認知機能は、家族のこと、服用している薬のことなどを質問して、あやふやな答えなら「認知症があるかもしれない」と把握しておくだけでOK。あとで改めてMMSEなどをやればよいでしょう。
D:抑うつは高齢者に高頻度に見られ、不眠を主訴にしている場合もよくあります。介入で改善する可能性があるものだという認識を持ちましょう。
D:せん妄は成書をみるといろいろ書いてありますが、「いつもと違う」状態と思えばOK。問題はその原因が何か?です。
D:薬剤については、高齢者のポリファーマシーが問題になっているのは聞いたことがあると思いますが、まず何を服用しているのか?どんな病名で処方されているのか?を把握すること。でもこれがかなり大変な作業になることがしばしばです。
E:視力についてはメガネの有無はもちろん、「目が見えにくくて生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
E:聴力も同様で、「聞こえにくくて生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
P:身体機能は杖や車いすの使用の有無、転倒歴(骨折歴)の確認をすればとりあえずOK
I:失禁については質問しにくいですが、大人用おむつを付けている人も多いので、聴診する時などにそっと確認します。
N:栄養は、おいしく食事を摂れているか? 体重が減っていないか?などの質問に加えて、ベルトやズボンのサイズが明らかに合っていないことなどを確認するのもいい手です。
お気づきと思いますが、このDEEP-INは疾患を診断するものではなく、高齢者の機能評価のツールですからざっくりで良いので把握してみましょう。
(編集長)
PICC後の手技の振り返り
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救命救急センターだより「AIUEOTIPS(アイウエオチップス)」
実は空飛ぶ消化器内科医を目指す僕は県外の大学で大学生活をなんと8年もしています。そして何の縁か、大学時代のもとの学年の友人、つまり現在は2年先輩医師となった友人が同じ病院で働いています。その友人との会話。
友人脳外科医:「研修医になるとかかる病気があるんだよ。学生のうちは大丈夫なんだけど、学生のうちはあんなにちゃんとしてたのに、研修医になったら突然かかるんだよ。知ってっか?」
空を夢見る医師:「そんな病気あったか???」
友人脳外科医:「あるんだよ。『意識障害=脳卒中』病」
空を夢見る医師:「あぁ…」
友人脳外科医:「あぁ、じゃねーよ真面目な話だよ。お前意識障害の鑑別言えるか?」
空を夢見る医師:「えーと、脳出血とか、SAHとか…」
友人脳外科医:「待てよ。意識障害って言ったら、鑑別で覚える有名なやつあんだろ。いきなり脳出血からスタートするなよ。お前も同じ病気かかってんじゃねーのか?お前救急医になりてえんだろ?ちゃんとしろよ。」
意識障害の鑑別:AIUEOTIPS
A:alcohol(アルコール・ビタミンB1欠乏)
Apoplexy(脳卒中)
Acidosis(代謝性アシドーシス、循環不全)
I:Insulin(低血糖・高血糖→糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡)
U:Uremia(尿毒症)
E:Encephalopathy (脳症→肝性脳症、副腎不全による二次性脳症、高血圧性脳症)
Encephalitis(脳炎)
Endocrinopathy(内分泌疾患→粘液水腫、甲状腺クリーゼ、副腎不全など)
Electrolytes(電解質→ Na,K,Ca,Mgの異常)
O:Opiate(麻薬)
Overdose(薬物中毒)
Oxygen(低酸素血症)
CO2(高二酸化炭素血症)
T:Trauma(頭部外傷→脳挫傷、急性硬膜外 血腫、慢性硬膜下血腫)
Temperature(高体温・低体温)
Tumor(脳腫瘍)
I:Infection(感染症)
P:Psychiatric(精神疾患)
Porphyria(ポルフィリア)
S:Stroke/SAH(脳血管障害)
Seizure(てんかん重積)
Syncope(失神)
Shock(ショック)
Senile(老年症候群)
(*他にもいろいろあるので、自分なりのAIUEOTIPSを作ってください)
皆さんは僕と同じ病気に罹患しないよう、しっかりとせっかくの知識を使ってくださいね。
(Nao)
ドクヘリの現場
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感染性心内膜炎(IE)を疑う時
こんにちは。研修医1年目のチャリンコです。研修が始まって半年たちますが、感染性心内膜炎(IE)や、その疑いがある患者さんは思っていた以上に多いなと感じたので、いつ疑わなくてはいけないのかや合併症について簡単にまとめてみました。
【感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)を疑うとき】
感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドラインには『IEとは、弁膜や心内膜、大血管内膜に疣贅を形成し、菌血症、血管塞栓、心障害などをおこす全身性敗血症性疾患である。』と書いてあります。これを読むだけで、IEはとても恐ろしい疾患であることが分かります。
IEの主な症状には発熱、心雑音、体重減少、Osler結節やJaneway病変などがありますが、患者さんの主訴は多彩です。不明熱のエピソードや塞栓症の症状を主訴に来院することも多く、疑っていないと見逃してしまう疾患として有名です。たとえば、腰痛を主訴に来院した患者さんで発熱があったため精査したところ、腰痛の原因は化膿性椎体炎で、背景にIEが隠れていたなんていうことがあります。
では、どんな時にIEを疑えばよいのでしょうか?それは原因不明の発熱や炎症が続いている時、血液培養でブドウ球菌やレンサ球菌などのグラム陽性球菌になった時、その他の菌でも血液培養が陽性になり続ける時です。こんな時は積極的にIEを疑う必要があります。
また、IEの診断をして治療を開始しても油断はできません。多彩なIEの合併症に注意して治療を進めていかなければなりません。
以下にIEの合併症を挙げます。
・心不全: 合併症の中で最も多い。感染による大動脈弁、僧帽弁の弁破壊でおきることが多い。
・塞栓症: 脳梗塞が最も多い。脾臓がそれに次ぐ。その他に化膿性椎体炎、敗血症性肺塞栓症など。
・中枢神経合併症: 脳梗塞が最も多い。その他にTIA、髄膜炎、脳膿瘍など。
・腎障害: 腎梗塞、腎膿瘍、腎炎、抗菌薬による腎障害など。
IEは合併症も多彩であり、特に中枢神経合併症に関しては、明らかな神経症状がなく、頭痛、めまいなどの非特異的な症状のみであっても、場合によってはIEによる合併症を疑ってMRIや造影CT撮影を行う必要があります。反対にIEが疑わしい患者さんで塞栓症や中枢神経の症状をみたら、もしかしたら背景にIEがあるかも!と考えなければなりません。
以上のようにIEは主訴や症状、合併症が多彩で見逃されやすい疾患ですが、疑わしい場合は常に鑑別に入れていれば、もしかしたら…と気づくことができ、早期診断ができるかもしれません。疑わしい時はIEを鑑別からもらさないよう注意したいですね!
(チャリンコ)
松永先生のレクチャー
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梅毒の治療
前回までで、は梅毒の症状と診断についてまとめてきました。最後のテーマは梅毒の治療についてです。
梅毒の治療は、感染症を防ぐほか、合併症の予防につながるので治療歴がなければ積極的に治療します。ペニシリンがすべての病期に
選択すべき抗生物質です。
以下は処方例です。
【第一期・第二期梅毒、潜伏梅毒】
・アモキシシリン2-3gを2回/日+プロベネシド1gを1回/日、経口 14日間
・セフトリアキソン1gを生食10mlに溶解し1回/日、静注 14日間
・ペニシリンアレルギーの場合、テトラサイクリン500mg4回/日、経口 14日間
*後期潜伏梅毒の場合は4週間投与
*アモキシシリンに尿酸排泄薬のプロベネシドを併用するのは、アモキシシリンの尿中排泄を阻害して、血中濃度を維持するためです。
【第三期梅毒】
・筋注用ベンジルペニシリンカリウム720万単位を1週間おきに240万単位ずつ3回筋注
・セフトリアキソン1gを生食10mlに溶解し24時間毎に静注 14日間
治療上最も重要なことはRPRなどの定量非トレポネーマ抗原検査の抗体価が低下し、最終的に陰性化あるいは安定化することの確認です。治療後は3-6か月毎にRPR定量化検査をし、低下しているなら効果あり、4倍希釈以上の値の上昇は再感染、再発を疑わせます。
※Jarisch-Herxheimer反応
第一期・第二期梅毒患者の治療開始後数時間で、発熱、皮疹の増悪、リンパ節腫脹などを生じることがあります。第一期梅毒では半数で、第二期梅毒ではほとんどの症例で生じます。自然に消失するので、薬剤性の発熱と判断して、治療を中断してはいけません。国試でもそろそろ出題されそうと噂されてる内容なので学生の方は覚えておくといいかもしれませんね。
(新潟県産もやし)
松永先生とベッドサイドで診察中
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◆内科専門研修プログラム説明会@Zoomを開催します!
来年度からの専門研修をどうするか? 医局はどうしたらいいのかお悩み中のあなた。
医局に属さずに消化器内科、腎臓内科、循環器内科のサブスぺ資格を取得できる
水戸済生会の内科専門研修プログラムについて、下記日程で説明会を開催します。
J2が対象ですが、関心のあるJ1や医学生も参加可能です。ぜひご参加ください。
日時:2022年9月21日(水)20時~(40分程度の予定です)
場所:Zoom
内容:①内科専門研修の概略について
②消化器内科の専門研修について
③腎臓内科の専門研修について
④循環器内科の専門研修について
◆病院見学に来ませんか?
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救命救急センターだより「基本の大切さ」
皆さんこんにちは。食欲の秋ですね。
空飛ぶ消化器内科医を目指している僕ですが、もともとの体重に加え、食欲の秋でさらに体重を増しそうな不安がありますが、ヘリの燃費にも間違いなくかかわってくるので、ダイエットを敢行しようと計画だけはいつもしています。
今回は、あまり医学的な話ではありませんが、研修医の先生と話題に上がったことをお話しします。
それは、意外と「サイドブレーキ引き忘れによる事故」が多いということです。サイドブレーキを引き忘れた結果、自身の車にひかれたり、サイドブレーキを引き忘れた友人の車に押しつぶされたりなど、「基本」を怠ったことによる事故が意外にもあります(最近の車は、そもそも「サイドブレーキ、パーキングブレーキ」がないものもありますが)。
しかし自分たちを振り返えってみると、届けられたインシデントレポートの内容には、リキャップをしない、本人確認を徹底する、オーダーを発行する前に間違いがないか確認をするなどの、基本的事項を怠ったことによる事故というのが大多数を占めていることが分かります。
技術が必要な部活動などを頑張ってこられた方はよくわかると思いますが、一部の天才などに例外はあるものの、何事にも型があり、安定した成果やより難易度の高いプレーなどには、基本的な型を徹底できていることが重要です。
「慣れ」というのは、緊張感を取り、安定して仕事に取り組むためにある程度大切なことだとは思いますが、何事も基本の上に成り立つということを忘れないように気を付けたいなと思いました。
(Nao)
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梅毒の診断
前回は梅毒の臨床症状についてまとめました。今回は梅毒の診断についてです。
基本的には感染初期(第一期・第二期)以外は潜伏する疾患であるため、血清学による診断に依存します。
①非トレポネーマ抗原による検査
梅毒に感染するとリアゲンと呼ばれる脂質と反応する抗体を産生し、この抗体を検出するのにRPRやVDRLなどがあります。定量化することで疾患の活動性や治療に対する反応の指標となる点で有用です。感染直後(リアゲンに対する抗体産生まで3-6週間必要)や第三期梅毒(特に脊髄ろう)では偽陰性となることに注意が必要です。また、膠原病や急性ウイルス性疾患、Hansen病、妊婦などで生物学的偽陽性になることもあります。
②トレポネーマ抗原による検査
TPHAやFTA-ABSで検出します。感度が高く(80%以上)、感染初期や第三期梅毒で非トレポネーマ抗原抗原検査が偽陰性を示すときでも、真の陽性を示します。また特異度も高く、非トレポネーマ抗原検査による陽性が偽陽性か真の陽性かを確認できます。トレポネーマ抗原検査は一度陽性となれば生涯陽性です。
まとめると以下の表になります。
なお、どの病期であっても神経梅毒を来しうるので、常に神経梅毒も鑑別に挙げておく必要があるそうです。神経梅毒の診断は以下の条件を満たす必要があります。
・トレポネーマ抗原検査で陽性。
・髄液5mm3中に最低5つの単核細胞が存在+髄液蛋白>40mg/dL
・髄液中のFTA-ABSやVDRLが陽性。
*梅毒は5類全数把握疾患でRPR値が16倍以上の場合は7日以内に保健所に届け出が必要なことも覚えておいてください。
(新潟県産もやし)
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呼吸器内科専門医と読む胸部X線写真8 井上先生のZoomレクチャーより
山形大学の井上純人先生による「呼吸器専門医と読む胸部X線写真」からのシェアです。今回がこのシリーズの最後になります。
胸部X線写真は日常で最も多く行う重要な検査の一つですが、初学者にありがちなこととして、
・目についたものしか見ない。
・一つの問題が発見されるとそれで満足。
・写っていても、読影していない。
・読影するルールが決まっていない。
・見る≠診る
こんな状況だと見落としをしてしまいます。それを防ぐため、読影をするときに大事なことは一つの所見にとらわれずに必ず全て読影することです。でも、全て読影って、どうすればいいのか?そんな時に役立つ読影の順番を紹介します。
井上先生は2つの読影法を教えてくれました。一つは「人のハイ」読影法、もう一つが「小三J」読影法です。当院の研修医たちは、覚えやすいということで「人のハイ」を覚えて使っています。そこで今回はこの「人のハイ」読影法を紹介します。
まず、「人」で気管→気管支→肺門部をチェックします。
「の」で大動脈弓→下行大動脈→心臓を追っていきます。
「ハ」で心臓の輪郭を確認。
「い」で胸膜→CPA→横隔膜→肺野の順にみていきます
あなたもこの順番で、紹介してきた17個のチェックポイントを思い出しながら胸部X線を読影してみてください!
(編集長)
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◆インスタもやっています♪
当院の初期研修医らが、院内でのショットを載せていきます。
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救命救急センターだより「腹臥位療法」
当院の研修医は本当に優秀で、自分が研修医時代に同僚じゃなくてよかったと心から思っていますが、あっという間に抜かれてしまうのだろうと戦々恐々としています。
今日はドクヘリ当番♪
さて、僕は空飛ぶ消化器内科医を目指して修行中ですが、当院のコロナチームの立ち上げメンバーであります。当院は呼吸器内科不在ですが、心臓血管外科、循環器内科がひじょーに活発ですので日ごろからECMOを回しており、社会的責務として当院は重症コロナを診なければならなくなる、と思いコロナチームで少しでも力になりたいと思い入りました。実際、当院ではたくさんの重症コロナ患者さんを治療し、ECMOも回してきました(たくさん嫌な思いもして大変でしたが…)。
そこで救急科医師との距離が縮まり、わがままを言って2021年5月から救急科の仲間に入れていただきました。以来、空飛ぶ消化器内科医に必要な技術と知識を実戦の中で教えてもらっています。
救命センターでは救急車が来ない時間帯には研修医たちが勉強してきたことを持ち寄って講義してくれたりします。人に伝えることが一番の勉強にもなりますからね。
この週末はチェストドレーンバッグ、呼吸器のAPRVモードや腹臥位療法について学びました。チェストドレーンバッグについて学んだ直後に高度の気胸の患者さんにドレーンを留置したのでとっても学びになりました。
前置きが長くなりましたが、腹臥位療法がなぜ良いのか、について教えてもらったことを分かち合いたいと思います。
ずっと臥位で治療を続けていると青丸の肺領域は広がっていきますが、重力の問題で、黒丸の領域は肺が縮んで無気肺気味になってしまいます。
これを腹臥位にすることにより、黒丸の領域に空気が入るようになるため肺胞が均一に使えるようになるため呼吸状態を改善しやすくなります。また人工呼吸器関連肺障害を回避するためにも有効な手立てと言われています。
しかし、実際腹臥位療法を行うと、腹臥位にした瞬間からどんどんと呼吸状態が改善するのを経験します。これは血流不均衡の改善によるものです。
背臥位では重力的に肺がつぶれている領域に多く血流が分布します。そのためガス交換の効率が低下しています。
これを腹臥位にすると、血流の分布が適正化されるため腹臥位にして間もなくから呼吸状態が改善すると考えられます。
あんまり原理をわからずに、腹臥位が良いといわれて腹臥位にしていましたが、こういう理論的裏付けがあったのだと今更ながら知りました。
(Nao)
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梅毒の症状
今回はJ1の新潟県産もやし先生が梅毒に関する記事を書いてくれました。
もやし先生はその名の通り、新潟大学とのたすき掛けで当院に来てくれて研修中ですが、自分の担当患者さんのプロブレムリストを整理している時に梅毒に気づき、それをまとめてくれました。主病名と関係ないプロブレムかもしれませんが、こういったことを調べていくのが、おそらく一番効率のいい勉強法だと思いますよ。
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梅毒の患者さんがいたので、テーマに分けてまとめたいと思います。
梅毒はTreponema pallidumによる感染症で、性感染症による後天梅毒と経胎盤感染による先天梅毒があります。今回は梅毒の臨床症状について記載します。梅毒は病期によって様々な症状をきたします。
【第一期梅毒(感染後3週-3カ月)】
硬性下疳(T.pallidum侵入部局所の病変で、無痛性)を生じ、治療なしでも病変は消失します。多数の病変がある場合はヘルペスと混同しやすいですが、無痛性なのが特徴的です。
【第二期梅毒(感染後3カ月-3年)】
・全身症状が強く、皮疹、咽頭痛、筋肉痛、全身リンパ節腫脹、脱毛、食思不振などを伴います。
・皮疹は多様であり、扁平コンジローマ(肛門や外陰部など扁平隆起状の結節)、バラ疹(全身性の淡い紅斑で数日で消失)、梅毒性乾癬(掌蹠に限局した皮疹)などがあります。
・第一期、第二期どちらも髄液へ感染し、髄膜炎や脳神経障害など中枢神経障害をきたします。
【早期潜伏性梅毒】
感染後1年くらいまでの時期に第二期梅毒の再発がみられ、再発を繰り返すたびに臨床像は軽度になります。
【後期潜伏性梅毒】
第三期が出現するまでのサイレント期間で、臨床的には血清検査以外の異常はほとんどありません。
【第三期梅毒(感染後3年-)】
・無治療の人の約1/3がこの病期に至るとされ、ゴム腫(皮下や骨などに肉芽腫性炎症)、心血管梅毒、神経梅毒などが代表です。神経梅毒は脳実質が障害されると進行麻痺、脊髄ろうをきたします。
・進行麻痺:感染後10-20年で人格変化や記憶障害が出現し、末期には四肢麻痺も呈します。
・脊髄ろう:感染後15-20年で発症し、電撃痛、深部感覚障害や瞳孔異常(Argyll Robertson瞳孔)をきたします。
臨床像のかなりの部分が起因菌自体の病原性よりも宿主側の免疫応答事態によるので、臨床像は非常に多岐にわたります。今回経験した症例は、後期潜伏期梅毒と考えられるものでした。梅毒の患者さんがいたら、本を見ながらでも、どの病期なのか把握するといいかもしれません。
(新潟県産もやし)
朝回診の一コマ
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