臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

基本的臨床能力評価試験2023

2023.01.31
カテゴリー: 初期研修

毎年この時期になると基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)というものがあります。日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)というNPOが行っている研修医向けのテストです。

 

研修医の客観的な臨床能力の実力を知ることができ、研修指導や臨床研修プログラムの評価・改善にも使えるというのがウリです。はじめのうちは受験する病院は少なかったのですが、近年では多くの病院で受験するようになっているようです。

 

編集長も経験がありますが、初期研修中はホントに自分は実力がついているのか?と不安になることがあります。自分の実力を知る方法としては、他の研修病院に行った同期の研修医と会話する時くらいで「奴はスゲーな!」とか、「自分は結構できてるかも」と勝手に判断するくらいしかありませんでした。でも、このテストを受ければ自分の実力が全国でどのあたりなのかが分かるので、とても良い機会だと思っています。

 

毎年当院のマッチング研修医には受けてもらっていますが、先日全員の試験が終わりました。昨年からCBT方式になったので、一応研修医室の自分の机で受験してもらいますが、他施設に研修に行っていたり、当直などで受験できなかった研修医は各自で受験となりました。

 

さて、試験の内容ですが、基本的臨床能力と言っても幅広い分野から出題され、総合診療をやっている病院には有利かもしれません。さらに英文の問題が去年より増えたようで、早く終わる人はおらず、全員が試験時間が終わるまで取り組んでいました。そうは言っても、臨床で経験したことをこまめに振り返っておけば、そこそこできる問題と思います。

 

例年当院の成績は偏差値50を超えていますが、今年の結果はどうでしょうか。楽しみです♪

(編集長)

テスト中の一コマ

(決してあきらめている訳ではありません)

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救命救急センターだより「急性アルコール中毒」

2023.01.28
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんこんにちは。2023年も空飛ぶ消化器内科医をめざすNaoです。こんにちは。

 

年末年始、成人式と12~1月は酩酊状態の患者さんが搬送されてくる事例が多数あります。急性アルコール中毒のほか、アルコール+喧嘩、アルコール+交通事故など色々な形でアルコールが絡んでくる時期です。

 

コロナでアルコールは下火でしたが、この年末年始は復活してきましたね。この後、春に向けて花見や送別会、新年会がありますので、また風物詩的にアルコール患者さんと向き合う時期だなーっと思っております。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今までは酩酊状態の患者さんが来ると補液をガンガンしておしっこ出して薄めろー!ってやっていたのですが、先日救命の先生に、その考え方は本当に正しいですか?と聞かれて、はっとして調べてみました。

 

オーストラリアで行われた研究では144名の急性アルコール中毒患者に対して20ml/kgの生食ボーラス投与群と経過観察のみの群でランダム化比較試験が行われました。病院滞在時間は輸液群では287分、経過観察のみの群では274分で有意差はなく、そのほかバイタルサインや血中アルコール濃度の変化、その他症状においても有意な差は認められなかったは認められなかったとのことです。

 

日本においては東京ベイ・浦安市川医療センターからの短施設の後ろ向き研究で、106例の急性アルコール中毒患者さんについて点滴群と非点滴群で滞在時間を比較したところ、点滴群で254分、非点滴群で189分と有意差はないものの点滴群で長い傾向でした。年齢や性別、外傷の有無などを調整して多変量解析を行ったところでは、点滴群では非点滴群に比べ、有意に早期帰宅が半減していたとのことです。

 

この二つの研究から言えることは、点滴することが早期帰宅につながることは、少なくともないという点でしょうか。だって、アルコールって肝代謝ですもんね。消化器内科医なのに頭に入っていませんでした(笑)

 

ただ、アルコールにより脱水をきたしている部分もありますので、脱水の補正という意味での補液は必要になることもありますから、現場判断ということになりますよね。救急搬送されてきて、点滴の一本もないのか!って怒る方も、酔っていると特にありますし。。。

 

ということで、皆さんも固定観念にとらわれず、自分の考えを疑うことも忘れずに!という話でした。

(Nao)

ERの一コマ

(酩酊者の対応ではありません)

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こんな症例を経験しました

2023.01.26
カテゴリー: カンファレンス 内科

J1の研修医Sがはじめてブログに投稿してくれました。彼が担当した患者さんのことを調べてまとめてくれています。ぜひご覧ください。

 

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先日のことですが、こんな症例を経験しました。

 

50歳代後半の男性。主訴は発熱。現病歴は2週間前から38度台の発熱を自覚。その後も軽快せずに救急外来を受診しました。発熱以外の自覚症状はなく、一見して元気そう。既往歴も内服歴もありませんでした。発熱以外のバイタルは正常でした。

 

このような患者さんなら、僕なら話を聞いてたぶん解熱剤を処方して、翌日の内科外来を受診してくださいと言って帰宅としてもらったと思います。

 

ところがこの患者さんを診察した先生は、身体所見をとり、聴診で心尖部の汎収縮期雑音に気づきました。結果として感染性心内膜炎(IE)の診断となりました。

 

咳嗽や右季肋部通など、ある程度臓器を推定できる症状があれば鑑別疾患を思い浮かべるのは比較的簡単ですが、症状がはっきりしない、パッと見て分からない、原因となる臓器を推定できない時には丁寧に身体所見をとることが大切だと改めて気づいた症例でした。

 

Head to toe approachという、発熱患者にとるべき全身の身体所見を示したものがあります。

 

頭頚部:蜂窩織炎・蝶形紅斑・ヘリオトロープ疹・リンパ節腫脹・頸静脈怒張・甲状腺痛

眼:眼瞼結膜蒼白・眼球結膜黄疸・点状出血

口腔:扁桃腫大・白苔・齲歯

胸部:呼吸音・心雑音・胸肋鎖関節痛

背部:呼吸音、CVA叩打痛、褥瘡、棘突起叩打痛

腹部:圧痛・Murphy徴候、肝叩打痛・腹膜刺激徴候

上肢:肩関節・上腕部筋把握痛・ゴットロン徴候・Mechanic’s sign・爪囲紅斑、Osler、Janeway

下肢:膝・足関節の熱感・腫脹、蜂窩織炎、大腿部筋把握痛

 

上に挙げたもの以外にもさまざま追加できるので、症状などに合わせて自分でカスタマイズして、一通りの診察ができるようになれるといいですね。

(研修医S)

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【周産期センター】日々の業務について

2023.01.24
カテゴリー: 周産期センター

こんにちは!
チームさんば所属の産婦人科後期研修医です。今回は毎日の業務についてお話しようと思います。

 

朝は7時半くらいに出勤します。カルテを確認したり、初期研修医の先生と赤ちゃんの診察や褥婦さんの硬膜外麻酔の抜去などの処置をします。

 

8時半から申し送りがあり、当直の先生が夜間にあった出来事のプレゼンをしてくれます。当直の忙しさは日によってまちまちで、朝までぐっすりという日もあれば、手術やお産で眠れない日もあります。

 

申し送り後は全員で回診をして、業務開始です。主な業務内容は病棟当番、手術、外来です。

 

病棟当番の日は入院中の妊婦さんの診察をしたり、近隣病院から妊婦さんの搬送を受けたりします。搬送されてくる方は切迫早産や前置胎盤などハイリスク妊婦さんばかりで、そのまま緊急手術になることもあります。

 

手術の日は朝から手術に入ります。当院は産科がメインということもあり、帝王切開術の執刀が多いです。他にも婦人科の良性手術(単純子宮全摘出術、付属器摘出術など)を担当させてもらうこともあります。

 

外来の日は、再診の患者さんの診察があり、私は婦人科外来を担当しています。細胞診のフォローや、子宮筋腫や卵巣嚢胞のエコー、月経異常のお薬調整などが多いです。研修医の頃の外来では多くても5人前後の診察でしたが、今は午前中で30人近い方を診るので、事前に予習したり、要領の良さが必要だなと思っています。

 

他にも子宮頸がんワクチン接種の対応や自己血貯血の外来など、業務内容は幅広いです。

 

夕方は16時半に全員で一日の出来事の振り返りをした後、回診して何もなければ終了です。

 

当院では悪性腫瘍と不妊治療はカバーできず、他の病院に異動して勉強することなりますが、こうして書いてみると、毎日とても充実していて勉強になっています。

 

ではまた。

(チームさんば)

 

初期研修医も参加しての

会陰裂傷の縫合指導

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救命救急センターだより「搬送困難症例」

2023.01.21
カテゴリー: 救命救急センター

皆さんこんにちは。空飛ぶ消化器内科医を目指して早1年半以上経ちました、naoです。

 

寒さが厳しくなってきていますがいかがお過ごしでしょうか。今年もさっそく低体温でECMO導入など冬の寒さを実感しております。

 

昨年末から救急要請件数が異常に増加しています。発熱患者さんの不適切な救急要請もあり、特に水戸市では救急車の稼働率が異常に上昇してしまい、市が救急車の適正利用についてお願いを繰り返している状況です。

 

この背景にはやはりコロナに端を発する発熱患者さんの受け入れ困難があります。当院のコロナ病床はほぼ満床を常にキープしており、一人退院すればすぐに次が入院する状態です。年末年始は、10件以上断られた発熱患者さんが当院へ搬送されるなども多数ありました。もはやコロナ病床だけでは足らず、やむを得ず一般病床を一部利用して入院対応しました。

 

先日は他県での発熱、呼吸困難のため救急要請され、酸素10L投与が必要な方が、一晩中病院が見つからず、50件以上病院選定を繰り返した結果当院へ搬送された事例がありました。当院へは2時間以上の距離でしたが、その時の担当だった救急医が、酸素需要も大きく、6L⇒10Lと酸素投与量が増えている状況も鑑みて受け入れてくれました。ニュースでは見ていましたが、実際にこのようなケースを目の当たりにして、事態の異常さを痛感しております。

 

当院も事情でお断りして、近隣の病院へ迷惑をかけてしまうことがありますので、大きなことは言えませんが、私が本来所属している消化器内科ではこの地域で消化器患者の難民は出してはいけないをモットーに、断らない医療を続けています。若手の先生たちが一生懸命頑張ってくれているからこそできることではありますが。

 

このブログを読んでいただいている、これから医師になる皆さんもぜひ、自分が最後の砦になる気持ちで医療にあたっていただけたらと思います。

 

当院のコロナ診療も、自主的に集まった専門外メンバーで開始されました。地域医療を支えるには知識と技術だけでなく、想いが大切です。そんな想いを持った医師になってください!

(Nao)

ERの一コマ

PPEで患者対応と外回り

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栄養の評価方法 GLIM・SGA・MUST

2023.01.19
カテゴリー: カンファレンス 内科

当院の消化器外科で専門研修中のMeguが、初期研修医時代に書いてくれた記事から、栄養評価についての続きです。

 

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GLIM criteria(Global Leadership Initiative on Malnutrition )

2018年に提唱された、全世界統一の低栄養の診断基準。評価方法は2段階に分かれており、1段階めでは、MUST等の現在使用されている評価項目を用いて評価を行う。1段階めで問題ありと評価されると2段階めに移り、現症(体重減少、BMI低値、筋肉量減少)と病因(摂食量低下or吸収能低下、疾患・炎症の程度)のそれぞれ一つ以上に該当すれば低栄養の診断となる。診断後は現象に基づいて

重症度を判定する。

 

SGA(subjective global assessment)

主観的包括的栄養評価ともいう。簡便であり、適応範囲が広いことから、栄養評価スクリーニングによく使用される全世界共通の栄養評価法である。病歴(体重変化、食事摂取状況、基礎疾患と必要カロリーのバランス等)と身体所見(浮腫、腹水等)の2項目についてチェックし、それらをふまえて観察者が主観により患者の栄養状態を判定する。
 

MUST(Malnutrition Universal Screening Tool )

化学療法中の患者さんの栄養評価。 BMI、体重減少、急性疾患と栄養摂取不足(5日以上の摂食なし)の3項目からリスク評価を行う。元々は在宅の患者向けに推奨されていたが、近年では急性期の予後予測因子としても有効であるとの報告があり、入院時の栄養評価スクリーニングにも使用されている。

(Megu)

心外Ope中の一コマ

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栄養の評価方法 CONUT・GPS・PNI

2023.01.17
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回の記事で、特に高齢の入院患者では栄養とADLが大事だと紹介しました。実際のところ、栄養状態の評価方法については下記のようにいろいろあります。

 

・CONUT

・GPS

・PNI

・GLIM

・SGA

・MUST

 

これらの多くは外科の患者の評価、特にがん患者の予後評価に用いられますが、内科患者の評価にも使われるものもあります。それぞれ特徴があるのですが、もしあなたがこれらのいくつかでも知っているなら、かなり勉強している人に間違いありませんね。

 

現在は当院の消化器外科で専門研修中のMeguが、初期研修医時代に書いてくれた記事に、それぞれの評価方法の要点が良くまとまっているので再度紹介します。

 

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患者さんの栄養評価の指標となる検査値はいくつかあるが、その一つにCONUT score (Controlling Nutrition Status) がある。

 

2003年に欧州の学会で提唱された指標であるが、CONUT scoreは、日常よく測定される採血項目であるアルブミン値、総リンパ球数、総コレステロール値を用いた、簡便に栄養状態のスクリーニングを行えるスコアリングシステムである。

 

総リンパ球は、低栄養状態や異化亢進状態では、免疫細胞の産生低下が起こる事が知られていることから、免疫能の指標としてこのスコアリングに組み込まれている。

 

CONUT scoreは膵臓癌、消化器癌術後の予後予測因子として有用とされているが、心不全の予後予測因子としても有効という報告もある。

 

CONUT score以外にも、以下に紹介するような栄養評価指標は、特にがん治療の際にがんのステージ分類と組み合わせて使用すると、より正確な予後の評価が可能となる。

 

GPS(Glasgow Prognostic Score)

血清アルブミン値とCRPを用いた指標。非小細胞肺癌等の悪液質の評価に有用。

 

PNI(Prognostic Nutritional Index)

古くはBuzbyらが提唱した指標があるが、現在はより簡便化されたOnoderaらが提唱したものが使われている。血清アルブミンと総リンパ球数を用いて評価し、術前の予後予測因子に使う。この数値が低い(PNI≦40)と吻合不全が起きる可能性が高く、手術は難しいことが多い。

(Megu)

 

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救命救急センターだより「病院前診療と急性心筋梗塞」

2023.01.14
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科を目指すnaoです。

 

救命センターだよりを読んでいただいている医学生の皆さんの中には、「救急」に興味がある方も多くいらっしゃることと思います。私も元々救急志望、その後なぜか耳鼻科医を目指し、最終的には消化器内科を選択し消化器内科医としてキャリアを積んできましたが、重症COVID診療を担うなかで、救急医に集中治療について教わる中で、本当は救急医になりたかったんだと思い出し、集中治療に興味をもって今に至っています。

 

今後は消化器内科医という立場で、専門診療(救急診療も専門診療があってこそですから)をより充実させつつ、病院前診療と集中治療の分野で救急の先生たちの仲間に入れてもらいながら修行を積んでいきたいなと思っています。

 

さて、それは閑話休題として、皆さんは病院前診療ではどんな症例で呼ばれることが多いと思いますか?

 

私の記事を読んでいただいている人はなんとなくイメージがついているかもしれませんが、「意識障害」と「胸痛」、「目撃ありCPA(目撃ナシはドクターカー適応外となっています)」が多いです。

 

そう。外傷は少ないんですよ。少なくとも当県では。外傷が一番テンションが上がるんですが。なんつったって救急医が目に見えてかっこよく動き回れますからね!

 

でも、地味な仕事の中にこそ問われる真価というものがあります。内科系救急医の僕としては、地味な仕事をひたむきにこなしていく中でカッコよさを見せつけていく必要があります。

 

さて、今回は「胸痛」がテーマなわけですが、病院前診療ではそれがいわゆる「本物」かそうでないかをいち早く見極め、適切な医療機関へ搬送することが求められます。

 

最近の救急車は十二誘導心電図が取れるようになっています。でも「とれる」のと「読める」のでは雲泥の違いがあります。救急医は迅速に十二誘導心電図を撮り、かつ心エコーをあて、それが本物かどうかを見極めます。ここで本物であると確信した場合は患者収容要請と同時に、循環器内科医師呼び出しを依頼します。

 

脳血管疾患と違い、心電図と心エコーが使えるので、虚血性心疾患の見極めは精度高く行うことができます(陳旧性の梗塞がある場合などでスカしてしまうこともあるのですが…)。

 

将来的には、救命士たちが心電図を読み、心エコーをあて判断できる日が来ることを願いますが、現状ではすでにその経験のある医師たちがそれを行うことでより迅速に患者さんの対応に当たることができます。

(Nao)

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国家試験までの過ごし方

2023.01.12
カテゴリー: 初期研修

J1の新潟県産もやし先生が、国試前のあなたにアドバイスをくれました。

 

もやし先生は新潟大学からのローテで、昨年4月から当院で研修していましたが、今月末で新潟にもどります。いろいろ経験値を増やしたので、新潟でも活躍してくれるはずです。そんなもやし先生からのアドバイスをぜひご覧ください!

 

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受験生のみなさんへ。国試まで一ヶ月を切り、不安と焦りでいっぱいになっているかもしれません。

国試を受けてまだ一年たってない私から、昨年の経験を踏まえ少しでもアドバイスできればと思い、この記事を記載しました。参考程度に読んでいただければと思います。

 

① あれもこれも手を出さない

各予備校から様々な直前講座が開設され、まわりの友達がやっていると、自分もやらなければいけないのかという気持ちになりますが、惑わされてはいけません。自分がこれまでやってきた勉強を繰り返す方が良いです。自分の場合は回数別5年分を解き直したり、まとめノートを見返したりしていました。直前講座ひとつもやらなくても合格すると思いますが、お守り的な感じで一つくらいは受けてもいいかもしれません。以下にそれぞれの特徴を簡単にまとめます(主観的です)

・究極マップ:広く浅く、抜けがないかの確認ができる

・直前アシスト:要点を絞っているが、近年的中している問題もある。

・サマライズ、ラスメ:量が多くて大変ですが、メックユーザーにはいいかもしれません。

 

② 最後の模試で落ち込まない

テコ4を受験した方は、おそらく偏差値が下がって、もしかしたら落ち込んでいるかもしれませんが気にしなくていいです。今年のテコ4は難易度が高かったようですし、国試前、最後の模試ということで、受験生が気合を入れて受験するので平均点が上がり、自分の偏差値が下がるのは当然です。結果は気にせず、間違えた問題だけを復習し、そのまま国試に出ればいいなーくらいの感覚がいいと思います。

 

③ 国試前日にやることを決めておく

国試前日は緊張で勉強に集中できませんし、あれもこれもやりたいと思ってしまいますが、ホテルまでの移動などを考えると自分のやろうと思っていたことはほとんどできません。この時期から予めやることを考えておき、それだけをやるようにしましょう。私は、公衆衛生の復習とコクタマの確認だけやりました。コクタマは近年ぜんぜん的中していませんが、多くの受験生が登録しているので、一応目を通しておくといいと思います。ちなみに国試前日の夜はなかなか眠れないそうです。(私は寝れましたが)一睡もせずに国試に臨み合格してる人もいるので、寝れなくても大丈夫です。あと検温検査を不安に思う人もいると思いますが想像以上にざるシステムなので心配しなくていいです。

 

国試に合格し、四月から水戸済生会病院で働いている自分の姿を想像し、気分をあげて日々過ごしてください。みなさんが合格できるよう心より願っております。

(新潟県産もやし)

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入院中から忘れず評価すべきこと・・・栄養とADL

2023.01.10
カテゴリー: カンファレンス 内科

80歳代の男性でADLは自立、敷地内の別棟に息子さん家族がんでいる(茨城はこのパターンが多いんです)方が、肺炎で入院しました。幸い、順調に経過し、血ガスも胸部レントゲンも、WBCやCRPも改善しています。

 

では、そろそろ退院してもらおうと家族に話をしたら、「こんなんじゃ、おじいちゃんを連れて帰れません!」と言われてしまいました。

 

なぜだか分かりますか?

その患者さんは、食事は食べれるけどむせ込まないように誰かがついてないといけません。摂取量も十分とは言えない。ADLも歩けているけど歩行器を使用していて自宅で一人での移動は無理。

 

家族からすれば、今まで全く手がかからなかったのに、常にだれか家にいなくてはいけないなんて、家族みんな仕事しているから無理! となる訳です。こんなことは、あなたもこの先必ず経験するハズです。

 

特に高齢者では、入院を契機に急速にADLの低下を来します。脳梗塞を起こしたわけでもないのに、嚥下機能が落ちたり、食事量も激減することはしばしば日常で遭遇します。

 

なので、すべての入院患者さんについて「栄養とADL」を忘れずに評価しておきましょう。

 

入院前の生活に戻れるのか? 転院や施設を考慮した方がいいのか? 早い段階で家族に見通しを伝えて、退院に向けての準備を始めておかないと、退院直前になって冒頭のようなことになってしまいます。

 

疾患のことばかりでなく、いろいろ目配せが大事ですが、特に「栄養とADL」はキモになることを覚えておきましょう。

(編集長)

 

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