臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

【全員完走♪】第8回水戸黄門漫遊マラソン

2023.10.31
カテゴリー: 初期研修

10月29日に開催された第8回水戸黄門漫遊マラソンの報告です。

 

今回8回目で、参加者が1万人を超えるフルマラソンの大会で、当院からも職員が多数参加しました。もちろん研修医も参加しましたが、なんと全員完走という快挙でした!

 

さすがに大会翌日は院内をつらそうに歩いていて、院内でのコードブルーには走って駆け付けることができなかった人が続出していましたが、みんないつも通りに元気に仕事をしていました。

 

会場では他施設で専攻医をやっているOBもいて、一緒に記念撮影。この他に救護係として参加してくれたJ2もいました。

 

 

第1回大会から、救急科が救護を担当するなど当院も関りの深い大会です。あなたもマラソンは無理でも、スタッフとしてぜひ一緒に参加しましょう!

              (編集長)

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水戸済生会総合病院の臨床研修は

総合診断能力を有するスペシャリスト

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当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?あなたの目で確かめてみてください!

 

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なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。

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【御礼】4年連続フルマッチ!

2023.10.28
カテゴリー: 初期研修

先日マッチングの結果が発表されましたが、当院は4年連続でフルマッチでした!

 

これも関係者の皆様のご協力、特に当院の研修医たちがていねいに見学に来てくれた医学生の対応をしてくれたおかげです。心より感謝申し上げます!

 

今年のマッチングでは中間公表で当院を1位指名してくれた方が、過去最高の16名もいて非常にびっくりしましたが、その分順位を決めるにあたっては、例年以上に院内でかなり長い時間をかけて検討を行いました。面接でも一緒に仕事したいなと思う方ばかりだったので、かなり悩んだ末の順位付けでしたが、マッチしなかった方にはホント申し訳ない気持ちです。でも、当院には後期研修などの今後の機会でお越しいただき、ぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。

 

来春から仲間に加わってくれる10名には、期待以上の成長をサポートできるように、指導医はもちろん先輩となる今のJ1も心して準備を進めたいと思います。

 

医師国家試験まではもう少し時間があります。寒くなる時期ですので、体調を崩さずに頑張ってください!

              (編集長)

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【4年ぶり!】バーネット先生の教育回診

2023.10.26
カテゴリー: 初期研修

水戸地区の研修病院では、共同で外国人医師を招聘し、研修医向けの教育回診を行っていました。コロナの影響で途絶えていたのですが、このたび4年ぶりにバーネット先生を水戸にお呼びすることができ、10月23日に当院でのレクチャーを開催しました。

 

集合写真

(実習中の学生さんも参加してくれました)

 

バーネット先生はニューメキシコ大学臨床医学准教授で、行動科学、家庭医療、老年科をはじめ幅広い分野に習熟しておられ、特にコミュニケーションに関わるテーマで全米の医師を対象としたワークショップを開催するなど活躍していました。日本にもなじみ深く、全国各地で若い医師らの育成に携わってきました。

 

今回は1週間ほど水戸に滞在して、各病院で教育回診を行っています。各病院ではスタイルが異なるのですが、当院では以前から医療コミュニケーションにフォーカスした内容で行ってきました。今回も研修医が病棟やERなどで実際に経験した症例を提示して、医学的な背景を踏まえつつ、コミュニケーションの問題点についてみんなで議論したり、バーネット先生からのレクチャーを受けるスタイルで行いました。

 

取り上げた内容としては、

・外国人とのコミュニケーション

・せん妄

・がん患者さんへの悪い知らせの伝え方

・小児科領域での親とのコミュニケーション

・モチベーショナルインタビュー

 

実際になかなか学ぶ機会が少ない内容ですが、当院の場合は病棟やERだけでなく、1年を通した外来研修でいろいろな場面に遭遇するので、特にJ2は自分のこととして熱心に聞いていました。

 

症例プレゼン後のレクチャー

 

そして何より我々の理解が深まったのは、チェコ帰りの太田さんが1日を通して通訳をしてくれたおかげです。どうも有難うございました♪

              (編集長)

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外来診療をスムーズにする10のコツ(2)

2023.10.24
カテゴリー: 初期研修

「外来診療をスムーズにする10のコツ」の続きです。

 

4)雰囲気や態度で共感的理解を示す

前回の繰り返しになりますが、気になっていることを全部話せて、しっかりと話を聞いてもらった(=共感的理解)という安心感はとても重要です。

 

でも、しっかり聞いてもらっているというのは、言葉よりも、むしろ言葉以外の態度が大きく影響することが分かっています。患者さんが話している時は、電子カルテの方を見ながらではなく、患者さんの方を向いて、少し前かがみになって、視線を時々合わせながら話を聞く、という姿勢が印象を大きく変えます。

 

5)受診動機を明らかにする

なぜ今日に外来受診をしたのか?  なぜ時間外のこの時間に受診したのか?  なぜ夜中にわざわざ受診したのか?こういった受診動機を把握しましょう。

 

それだけ症状が辛くて我慢できなかったという重症度の把握にも役に立ちます。また不安が大きくて受診したという心理的な状況も把握できます。実は、主訴と全く関係ないことで助けを求めている、ということもあり得ます(例えばDVなど)。不安が受診動機なのであれば、検査は最小限に、場合によっては検査なしで、時間をかけて話を聞く必要があります。

 

6)解釈モデルを把握する

解釈モデルとは、患者さんが病気のことや、検査、治療に関して、どのように理解しているかということです。例えば、心筋梗塞のために先月まで入院していた患者さんが、頭痛を主訴にERを受診したとしましょう。我々からすると、心筋梗塞と頭痛は恐らく関係ないものと考えます。実際に筋緊張性頭痛の症状でした。

 

しかし、患者さんは心筋梗塞の影響で頭が痛くなったのではないか?と考えていたとしたら、「心配ありません」とか「痛み止めを出しておきますね」と言っても、患者さんは納得しません。一言、「この頭痛は、心筋梗塞とは関係ないですよ」と言えば、痛み止めも必要なくなります。

 

解釈モデルを理解しないと、いつまでも患者さんとの会話がかみ合わないし、お互いに「なぜ分かってくれないんだ!」と不満が募るだけです。

 

似たようなことですが、例えば知人や家族が癌になったので、自分も不安になって受診したというのはよくあることです。こういった受診動機を把握しないまま検査だけ行っても、かえって不安が大きくなることがあります。患者さんの不安を解消しつつ、なるべく少ない検査を計画しましょう。 

              (編集長)

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外来診療をスムーズにする10のコツ(1)

2023.10.21
カテゴリー: 初期研修

前回は水戸済生会での外来研修について紹介しました。

 

一般内科外来を1年間を通して患者さんをフォローすることで、ERとは違った臨床能力が身につくと考えています。

 

外来では限られた時間の中で患者さんの状態を把握して、必要な検査を計画し、診断さらに治療計画を立てるという、非常に高度なスキルが求められる場です。外来研修を始めたばかりの頃は

上手くいかずに大事なことを聞き出せなかったり、患者さんの話を止められずに時間ばかりかかったり・・・、と言う感じですが、コツをおさえると能率よく、そして患者さんと良好な関係が

作れます。

 

この外来研修導入前の先輩たちは口をそろえて「今のJ1,J2はうらやましい」と言います。専攻医になって、いきなり外来をやると言っても、どうしていいか分からないものです。

 

今回から、そんなあなたに役立つ「外来診療をスムーズにする10のコツ」を紹介します。

 

昨年もこの内容を紹介しましたが、あなたがこの通りにやれば、患者さんに良い印象を持たれて、外来もスムーズに進むはずです。たとえ一部分だけでも取り入れてみると、だんだんとその良さを実感できるはずです。ぜひやってみてください。

 

1)挨拶と自己紹介

患者さんが診察室に入ってきたら、患者さんの方に体を向けて挨拶です。「お待たせしました。内科の○○です」と、はっきり言いましょう。ここでの注意点は、電子カルテの方に体を向けたままでの挨拶はNGです。これから話を聞くのに、誠意に欠けた印象を持たれてしまいます。そして患者さんの名前を確認して、荷物や姿勢などに配慮しましょう。

 

この時に付き添っている人にも患者さんとの関係を聞いておくと良いと思います。ここで注意点は「患者さんとのご関係を教えていただけますか?」と聞きくことです。例えばご年配の男性患者さんに付き添っていた方を、勝手に奥さんだと思い込んで「奥さまですね」と話しかけたら、なんと娘さんだった(!)という失敗を編集長は何度もやっています。この後の会話の気まずさと言ったらありません・・・。必ず上記のセリフ通りに尋ねることが大事です。

 
2)開放型質問から始める

よく言われることですが、「今日はどうしましたか?」など、患者さんが自由に話せるような質問(開放型質問)から始めます。最初の数分間だけでも、こちらから言葉を挟まずに聞くことに徹します。患者さんの方に体を向けて、時々目線を合わせながら話を聞きましょう。

 
3)言葉かけ,うなずき,相槌で話を促す

患者さんは医師の前では話したいことの半分も話せていません。ホントはもっと話したいと思っています。なので、うなずいたり、上手に相槌を入れたり、「他に心配なことはないですか?」と話を促しましょう。これですごく良い印象を持ってもらえます。誤解を恐れずに言うと、気になっていることを全部話せると、それだけですっきりして検査をせずに安心して帰ってくれます。 

              (編集長)

患者さんに入ってもらう前の

カルテの確認

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水戸済生会の外来研修2023

2023.10.19
カテゴリー: 初期研修

初期研修のカリキュラムに外来研修が必修化されて4年目になります。水戸済生会での外来研修は、一般内科外来を1年間を通して行う並行研修で行っています。

 

具体的にはJ1の秋からJ2の秋までの1年間をかけて、週1回の外来を継続する、というものです。このようなスタイルで外来研修を行っている施設はほとんどないと聞きていますが、長期間にわたって患者さんをフォローできるという大きなメリットがあります。一方で、外来の曜日と指導医を固定すると、どうしても疾患の偏りが出てしまうという問題が生じましたが、現在のJ2は半年経過したところで外来日をシャッフルすることでこの問題はクリアしてきました。今年度も11月からJ1の外来研修を開始する予定です。

 

外来研修では、「症候・病態について適切な臨床推論プロセスを経て解決に導き、頻度の高い慢性疾患の継続診療を行うために、特定の疾病に偏ることなく、原則として初診患者の診療及び慢性疾患患者の継続診療を含む研修を行う」とされています。

 

そして、研修目標として「コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、単独で一般外来診療を行える」ことが掲げられています。ERや病棟での診療とは異なり、一般外来診療となると、対象となる患者さんや疾患も異なってきます。当然、やり方も変えていく必要が出てきます。

 

そこで一つだけアドバイスすると、外来診療では「時間を味方につける」ことがポイントになります。ERと違って、その場で検査を全部やって、診断を付けなくともよいのです。それから、長い経過を見ていくことが重要です。何てことないと思っていた胸部レントゲンの影が半年後には肺がんだったということもあります。

 

当院では1年間にわたって、各ローテーションと外来診療を並行して行いますので、できるだけ長く患者をフォローして、臨床能力の向上を目指してもらいます。

              (編集長)

研修医用の外来診察室

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脊髄梗塞(2)

2023.10.17
カテゴリー: カンファレンス 内科

みなさんこんにちは、研修医のUminekoです。前回に引き続き脊髄梗塞について話していこうと思います。

 

前回は血管支配や病因など知識面多めでしたが、今回は実際の臨床像などについてまとめていきます。

 

【臨床症状】

脊髄梗塞の発症経過としては数時間での発症が多く、ほとんどの患者では症状出現時に重度の背部痛や手足の疼痛を持つと言われています。脊髄梗塞の神経学的所見は関与する血管領域によって異なり、その程度としては対麻痺から軽度の痺れまで幅広くあります。そして背中や首の痛みは、通常脊髄虚血が起こっている病変のレベルで発生します。

 

脊髄梗塞の一般的な臨床症状が前脊髄動脈症候群です。前脊髄動脈の支配する領域である腹側2/3が障害されることで、急速に発現する対麻痺や四肢麻痺、病変レベル以下の温痛覚の低下などが認められます。また自律神経機能の障害により低血圧、性機能障害、膀胱直腸障害が生じる可能性が考えられます。

 

【診断】

脊髄梗塞の診断にはMRIが必要です。まずはヘルニアや脊柱管狭窄症などの圧迫による脊髄疾患を除外することが大切です。脊髄梗塞でのMRI所見としてはT2強調画像や拡散強調画像での高信号などがあります。特に脊髄血管領域または腹側角に限定したT2高信号はOwl’s eyesやsnake eyesと言われ、脊髄梗塞に特異的な所見となっています。

 

MRI以外の検査は必ずしも必要ではなく、その他疾患を除外する目的で検査を追加することがあります。(例.大動脈解離鑑別のCT、感染症・炎症性疾患鑑別の腰椎穿刺や髄液検査など)

 

【治療】

残念ながら脊髄梗塞に対して定められた治療法はまだありません。可能性として脊髄虚血に対する血栓溶解療法が現在調査中との報告もあります。脊髄梗塞を引き起こす根本的な病因がある場合は、2次的な障害が出ることを防ぐ目的に治療する場合があります。

 

脊髄虚血が起きてしまった時の対処としては脊髄への酸素供給を維持することが大切です。具体的な方法としては酸素飽和度の維持や貧血の改善などをしてみるといいでしょう。

 

またある報告ではAAAの手術時に内科的予防として脳脊髄液圧を下げる目的にスパイナルドレナージを行ったり、脊髄血流量を改善する働きのあるオピオイド受容体拮抗薬(ナロキソン)を投与したりすることもあるそうです。いろんな報告・検証があるのでみなさんもぜひ調べてみて下さい。

 

いかがだったでしょうか。

脊髄梗塞は稀な疾患であり、臨床現場ではなかなか見る機会はないかもしれません。ですが脊髄梗塞による症状である麻痺や感覚障害などは日々の診療で多く見ると思います。そのような患者さんと遭遇した際にきちんと脊髄梗塞を鑑別に上げられるかどうか非常に大切だと思います。自分も今回のブログで改めて脊髄梗塞について学ぶことができましたので、今後下肢の麻痺患者さんの診察の際にはきちんと想定できるようにしていきたいと思います。

 

それではみなさん失礼します。

              (Umineko)

カルテを見ながら皆で相談

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脊髄梗塞(1)

2023.10.14
カテゴリー: カンファレンス 内科

みなさんこんにちは、初めてブログを書いています、研修医のUminekoです。

 

実は水戸済生会に、今秋から新しく神経内科やリウマチ・膠原病内科の先生が常勤としていらっしゃることとなりました。そのため今では総合内科での日々の回診で循環器内科、神経内科、膠原病内科のプロフェッショナルな方々からの熱心なご指導・フィードバックをいただけるという贅沢なものとなっています。

 

今日はそんな回診の中で話題に上がった「脊髄梗塞」についてまとめてみようと思います。自分としても脊髄梗塞は大学の学びであった以来であり、改めて学び直した内容ですのでみなさんもぜひ一緒に勉強していってください。

 

そもそも脊髄梗塞とはどういう疾患なのか。梗塞といえば心筋梗塞や脳梗塞などがよく聞き馴染みますが、脊髄梗塞も他の疾患と同じで脊髄を栄養する動脈の虚血が原因で起きる疾患です。発症頻度としては、脊髄動脈が脳動脈と比べてアテローム性変化が少なく、側副血行路が発達しているため、脳梗塞と比べて脊髄梗塞の頻度は極めて少ないと言われています。

 

【血管支配】

脊髄梗塞を学ぶにあたって、脊髄周囲の動脈について学ばないといけません。脊髄に栄養する血管は主に2種類あり、脊髄前方を栄養する前脊髄動脈と後方を栄養する後脊髄動脈があります。

 

前脊髄動脈(ASA)は椎骨動脈から発生し、大後頭孔から脊髄円錐まで走る体内で一番長い血管です。各神経根に栄養する際には神経根動脈によって増強されます。有名な動脈としては腰部にあるAdamkiewiczs動脈で、脊髄尾側1/3への栄養を補助していると考えられています。また脊髄深部への栄養はASAから出る中心溝動脈(Sulcul artery)が担っています。

 

後脊髄動脈(PSA)も椎骨動脈から発生しています。PSAはASAよりも多くの神経根動脈によって補助されていると考えられています。

 

脊髄への血流は平均動脈圧と脊髄内圧の差である灌流圧の影響を受けます。本来であれば自己調整により脊髄血流は一定のレベルで維持されています。しかし自己調整できない範囲の全身性低血圧や脊髄内圧の上昇は、脊髄を栄養する血管の灌流を減少させ脊髄梗塞を引き起こす可能性があります。

 図 脊髄周囲の血管

 

【原因疾患・要因】

・大動脈疾患:大動脈解離、大動脈瘤、TEVAR後

・全身の低灌流:心停止、全身出血

・心原性塞栓症:細菌性心内膜炎、心房粘液腫

・血管炎:全身性エリテマトーデス、動脈炎

・感染症:細菌性髄膜炎、梅毒

・脊椎・脊髄疾患:脊椎手術後、椎骨動脈解離、脊髄血管奇形

 

今日はここまでにしようと思います。次回のブログでは脊髄梗塞の症状や診断、治療方法など臨床で知っておくべき内容についてまとめていきたいと思います。それではさようなら。

              (Umineko)

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せん妄の対処2

2023.10.12
カテゴリー: カンファレンス 内科

今回はせん妄に対する各薬剤の特徴についてです。

 

【各薬剤の特徴など】

<第二世代>

リスペリドン(リスパダール®)

液剤の頓服での使用が多い。錐体外路症状(EPS)や誤嚥性肺炎に注意。腎代謝。

 

クエチアピン(セロクエル®)

食欲増進。耐糖能異常・起立性低血圧に注意。DMには禁忌。QT延長しやすい。

 

オランザピン(ジプレキサ®)

DMには禁忌。体重増加しやすい。EPSは起こりにくい。抑うつ・双極性障のうつ病相にも適応あり。

 

アリピプラゾール(エビリファイ®)

ドパミン部分アゴニスト。副作用が起こりにくい。他の抗精神病薬内服下や、切り替え時は精神病症状増悪に注意。抑うつ・双極性障害の躁状態に使用できる。

 

ペロスピロン(ルーラン®)

抗不安作用が強い。抗幻覚・妄想と鎮静作用は弱い。

 

<第一世代>

チアプリド(グラマリール®)

せん妄に対し保険適応あり。夕方に処方量を徐々に増量(25→50→75mg)することが多い。腎代謝。遷延注意。脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄が適応症。

 

スルピリド(ドグマチール®)

150mgまでの低用量で胃潰瘍などに使用し、600mgまででは抗鬱薬、1200mgで抗精神病薬としての適応。

 

<そのほか>

トラゾドン(デジレル®、レスリン®)

睡眠―覚醒リズムの適性が必要なせん妄に使用。

 

抑肝散

元来は小児の夜泣きなどに使用されていた。高齢者の易刺激性によく使用される。

 

*睡眠薬、抗精神病薬、抗てんかん薬、抗うつ薬をジャンル毎に記憶したあと、各薬剤の他の疾患適応を考慮に入れて、実際の現場に役に立てればと思います。                 

(ヒロキ)

 

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せん妄の対処1

2023.10.10
カテゴリー: カンファレンス 内科

入院した初日からせん妄のためソワソワする患者さんがいます。特に高齢者ではびっくりするほど豹変することがあるのは、あなたも実感していると思います。

 

出来るな環境調整をしてせん妄を落ち着かせたいところですが、なかなか上手くいかずに薬剤を使用せざるを得ないのも事実です。

 

以前に先輩研修医のヒロキが書いてくれたせん妄の記事がこんな時に役立ちますので、再度紹介します。合わせて、関連記事もご覧ください。

 

せん妄を見つけた時に考える鑑別診断

せん妄の診断

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【せん妄とは】

せん妄は急性発症の意識混濁に錯覚・幻覚や不穏・興奮・不安が加わった意識変容状態を指す。

様々な原因から発症するが、いずれの場合も同様の症状を示す。認知症に合併することも多い。

病態としては大脳辺縁系や脳幹を中心とする毛様体賦活系の障害によって引き起こされる。

 

【せん妄治療】

せん妄の原因や発症要因となっている身体的な問題を治療することである。第二に環境調整を行う。家族や親しい人に付き添いをしてもらい、患者の周辺になじみのあるものを置くなども有効である。

 

薬物療法は第三の手段であるが、幻覚、不穏、焦燥が強く、しかも早急に改善を図る場合はこれが第一選択となる。最後の手段として、四肢や体幹の抑制による身体拘束がある。

 

【せん妄の薬物療法】

薬物使用の第一選択薬は抗精神病薬である。意識レベルを落とさずに鎮静をかける作用があるためである。

 

現在は第二世代が第一世代よりも副作用が少ないため、リスパダール、セロクエル、ジプレキサ、ルーラン、エビリファイが中心に用いられる。

 

各薬剤の特徴は次回に続きます。

(ヒロキ)

回診のメンバーが代わりました♪

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