臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

全身のパラメータ、局所のパラメータ・・・経過観察の2つの軸

2023.05.30

松永先生の感染症レクチャーから、感染症「経過観察」の2つの軸についてシェアします。

 

例えば、肺炎の患者さんに抗菌薬を開始したけど、一向に熱が下がらない、WBCやCRPが下がらない。抗菌剤を代えた方がいいか?なんて不安になることはしばしば経験しますよね。あなたはそんな時はどうしますか?

 

こんな時はまず、抗菌剤を変更する前に感染症治療が上手くいっているかの判断をする必要があります。では、あなたは何を根拠に治療が上手くいっているかを判断していますか?

 

たいていの人は、「発熱」が続いている「WBC」や「CRP」が下がらない、と答えてくれます。確かに、分かりやすく有用な指標ですが、その特徴と限界を把握しておく必要があります。

 

松永先生は「2つのパラメータ」をよく理解する必要性を強調しています。それは、「身体全体の総体を表すパラメータ(全身のパラメータ」「感染局所の病態を表すパラメータ(局所のパラメータ)」です。

 

「全身のパラメータ」とは、体温、WBCやCRP、プロカルシトニンなどの炎症マーカー、そして敗血症性ショックの治療に用いられるノルアドレナリンの用量、インスリンの用量、乳酸値などを指します。

 

「局所のパラメータ」とは、感染局所の症状、徴候、グラム染色などの検査所見を指します。

 

例えば、肺炎の患者さんなら、呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)喀痰量などが感染局所の指標になります。全身のパラメータが改善していなくとも、局所のパラメータが改善していれば、治療は上手く行っていると考えることができます。この肺炎の場合なら、CRPが上昇していても、呼吸回数や酸素飽和度(吸入酸素量)が改善傾向なら抗菌薬を変更する必要はありません。「検査値を治しているんじゃない!患者を治しているんだ!」というのが、松永先生のメッセージです。

 

局所のパラメータの具体例を挙げると・・・、

 

【肺炎】

症状(咳、痰、呼吸困難感)、

徴候(呼吸数、呼吸器の設定、痰の量・質)

検査(血液ガス、喀痰のグラム染色)  

 

【尿路感染】

症状(排尿困難、頻尿など)

徴候(腹部の圧痛、背部の叩打痛)

検査(尿中白血球数、尿グラム染色)

 

【蜂窩織炎】

症状(疼痛)、

徴候(発赤、腫脹、熱感、浸出液の量・質)

検査(浸出液のグラム染色)

 

【心内膜炎】

血液培養が検出されるまでの日数

血液培養の陰性化

 

感染症治療では発熱やCRPだけでなく、感染局所のパラメータに注目して、それを追いかけることが重要です。そして、これらのパラメータは診断する時点、治療を開始する時点で、経過を見る指標を決めていくことが大事です。発熱とCRPが改善しないと、つい抗菌薬を変更したくなりますが、まず局所のパラメータがどうなっているのかを評価してからです。惑わされないで頑張ってみてください。

(編集長)

気合十分でPICCに臨みます

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【お知らせ】令和6年度採用初期研修医の採用について

2023.05.27
カテゴリー: 初期研修

当院では毎年この時期に初期研修医の採用面接日程を公表していますが、来春採用者の募集要項を当院のサイトにアップしました。

募集要項のページはこちら

昨年までは新型コロナウイルス対応として、直接面接とZoomを用いたWeb面接の併用を行っていましたが、遠方の方や他の病院の面接日と重ならずに調整できることが好評で、今年も直接面接とWeb面接の併用を継続します。さらに応募はWebのみで完結するので紙への印刷や郵送が不要です!

直接面接は2回開催しますが、それぞれ8名までとし、直接面接が定員に達した場合はWeb面接になりますのでご了承ください。またWeb面接では日程調整が必要となりますので、できるだけ早めにお申し込みください。もちろん、いずれの方法を選択しても、選考基準に違いはありません。

そして当院のWeb申し込みは、紙の書類なしで手間がかからず非常にラクです。今年も6月中旬からWebでの応募フォームを運用開始しますので、このブログや病院サイトでお知らせいたします。あなたの応募をお待ちしています!

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(編集長)

 

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下剤のキホン2

2023.05.25
カテゴリー: カンファレンス 内科

こんにちは。現在、呼吸器内科で研修中の新潟県産もやしです。

 

肺癌患者さんの入院管理を行う上で必ずぶち当たるのが便秘の対応です。入院しているだけでも便秘が生じやすいのに、抗がん剤の副作用にも便秘があり、また抗がん剤に対する制吐薬の副作用にも便秘があります。以上より抗がん剤治療中の肺癌患者さんはほぼ必ず便秘の訴えがあります。というこうとで今回は下剤についてまとめてみました。以前、ネギトロ先生がまとめてくれたやつがあるので、それに追加してまとめたいと思います。

ネギトロ先生の記事はこちら

 

まず便秘患者さんを診たら器質的な便秘を見逃さないでください。腸閉塞の方に便秘薬を処方すると悪化してしまうので注意です。

 

さて、機能的な便秘についてですが大きく以下の2つのパターンがあります。

①排便の回数が減少する

②便は直腸にあるが排便するのが困難

 

患者さんがどちらのパターンなのか知るには患者さんの訴えも大事ですし、直腸診をして便があるのか軟便・硬便なのか判断してもいいですし、エコーで直腸内を評価しても良いです。

 

患者さんがどんな便秘なのか評価できたら、使用する下剤について考えます。下剤には大きく分けて刺激性下剤非刺激性下剤があります。具体的な下剤についてはネギトロ先生の記事を参照ください。

ネギトロ先生の下剤の記事はこちら

 

①の患者さんには刺激性下剤と非刺激性下剤を用います。ネギトロ先生がまとめてくれたように、非刺激性は長期的な使用に、刺激性下剤は短期間の使用に向いています。ですから、まずは頓用で刺激性下剤を使用し腸を動かし、その後、定期的に緩下剤を使用し便の硬さをコントロールするのが良いです。

 

②の患者さんには、摘便や浣腸、座薬によって物理的に直腸にある便をとり除いたり、定期で非刺激性下剤を使用し、便の硬さをコントロールします。刺激性下剤は直腸を刺激する作用はないので②の患者さんには不向きです。

 

指示簿での便秘の指示は、基本的には頓用の即効性のある刺激性下剤で大丈夫です。ただし、連用すると耐性ができてしまうため、その後は定期で非刺激性下剤を処方しておきましょう。 

 

参考文献:レジデントノート誌2021年5月号「ルーティンを見直す!病棟指示と頻用薬の使い方」

(新潟県産もやし)

日本海の夕焼け

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薬の副作用

2023.05.23
カテゴリー: カンファレンス 内科
新潟大学からのたすき掛けで今年2月まで当院で研修していたJ2の新潟県産もやし先生が記事を書いてくれました。水戸済生会で充実した研修生活を送っていて、このブログにも何度も記事を書いてくれていましたが、大学に戻ってからも自分で問題点を見つけて、それを調べるという非常によい勉強法を実践しています。そんなもやし先生の記事をぜひご覧ください。

(編集長)

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みなさんお久しぶりです。新潟県産もやしです。

 

新潟の大学病院にもどって早いもので数カ月たちました。水戸済生会病院とは異なる電カルシステムに戸惑いながらも、なんとか頑張ってます(笑)。

 

さて現在、大学病院の呼吸器内科で研修しているのですが、肺癌患者さんがとても多いです。抗がん剤治療を行っている患者さんの入院管理を行う上で副作用の対策が大切であると感じています。皆さんの中には薬剤の副作用はなんとなく分かっていても、それがどのくらいの時期に出現するのかまで把握している人は少ないのではないでしょうか。

 

患者さんを診察する際、open question → closed questionを利用する人が多いと思いますが、副作用の出現する時期まで理解しておけば、closed questionはしやすいです。

 

例えば、抗がん剤の有名な副作用に骨髄抑制がありますが、これは投与開始後1-2週間頃から出現します(抗がん剤の種類によりますが、、)。そのくらいの時期の患者さんがいたら、私は回診の際に「立ちくらみやフラフラする感じはありませんか?」や「鼻血が出たり、あざができやすくなってませんか?」など聞いています。

 

薬剤の副作用について調べるときは、ぜひその出現時期についても意識してみるといいかもしれません。今回はステロイドの副作用について簡単にまとめてみましたので参考にしてみてください。(ただし、この表はステロイドの量や投与回数、投与経路によって若干異なってくるのでご注意下さい)

                        (新潟県産もやし)

 

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水戸済生会の院外研修・常陸大宮済生会病院

2023.05.20
カテゴリー: 初期研修

あなたもご存じと思いますが、初期研修では地域研修を1か月(4週間)以上まわることが必修となっています。当院では地域研修として、いくつかの病院や診療所を選択することができます。また、精神科は院内に無いため県立こころの医療センターや栗田病院で、その他にも近隣のこども病院や水戸協同病院、水戸赤十字病院、水戸医療センターといった病院での院外研修が可能で、実績があります。

 

それぞれの施設で実際に研修することで、当院と違った視点で診療に携われるのは非常に大事なことですし、いろいろな意味で視野を広く持つきっかけになるので、ぜひしっかり取り組んでほしいと思っています。

 

そこで、今回は当院から一番多くの研修医がお世話になっている常陸大宮済生会病院での様子をJ2のAotearoaがレポートしてくれました。

 

なお、Aotearoaのレポートの補足説明になりますが、当院の初期研修プログラムでは茨城県の地域枠や一般修学生については、茨城県の医師不足地域にある病院(常陸大宮作成会病院と神栖済生会病院)で、必修の4週間を超えた8週間のローテーションを強く推奨しています。もちろんそれ以外の研修医にも、4週間のローテでは各施設の業務に慣れたところで終わりになるので、できるだけ8週間のローテーションを勧めています。

(編集長)

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常陸大宮(ヒタチオオミヤ)済生会病院での地域医療研修について
 
お久しぶりです、Aotearoaです。
今回は「①地域医療研修について」、いま私が通っている「②常陸大宮済生会病院について」、自戒を込めて「③地域医療を学ぶ意義について」、以上3つのテーマで書いてみました。
 
①地域医療研修について
当院の臨床研修プログラムでは、研修医2年目になると協力型臨床研修病院および協力施設にて4週間(修学生および地域枠は8週間以上)地域医療研修を経験できます。
 
地域枠である私は、協力型臨床研修病院のひとつである常陸大宮済生会病院にて2ヶ月間、研修している最中です。
 
②常陸大宮済生会病院について
内科か外科またはその両方を選択でき、私は2ヶ月間外科のみを選択しました。リハ科医を志望している身なので、それとは対極の外科系を経験しておこうと考えたためです。
 
・1週間の流れ
月・水・木曜日にオペ、火・金曜日に内視鏡が予定されています。オペは腹腔鏡手術がメインなので研修医は腹腔鏡のカメラ操作が身に付きます😳 内視鏡も上部消化管内視鏡ならご指導のもと、実際に操作する機会が与えられます💪
 
外来は平日の午前中にあって、研修医も空いた時間で参加できます。外科医の視点だと初期対応の時点で手術可否の判断が下せるので、今後の日当直に活かしたいですね。病棟では腹水穿刺などの手技や術後管理を学べますよ😎
 オペ室の一コマ
・1日の流れ
8時にカンファレンスが始まり、そのまま病棟回診へ。その後は諸々の手技や各診察所見をとってカルテを書き上げます👨‍💻 10時頃になると曜日ごとのイベントが始まります。症例によっては腹部診察だけでなく神経診察も扱うので幅広いです。
 
昼は職員食堂にて250円と財布に優しく美味しい昼食が食べられます🍚 ときに救急外来の患者さんを診察して、17時頃にカンファレンスと病棟回診を行い18時前に帰宅します🚗
 
・雰囲気
上級医やどのスタッフも優しくて、アットホームさを感じながら研修しています🤗 また、地域住民からの信頼の厚さも感じられました。常陸大宮市はなかなか広いですが近隣に大きな病院がなく、精神的支柱の役割も果たしている印象です。
 
・その他
当直は月2回、2次救急を経験します。これまで水戸済生会の研修では救急搬送を受け入れる側に立つ機会が多かったですが、地域病院では依頼する側に立つ機会が増えます。そのためどんな状況・お気持ちで先生方は依頼しているのか、実際に見てみると新鮮さを感じます🤔
 
あとは病院が大きくて綺麗なので驚きました。水戸済生会は歴史があるからなのか建物がh…おっと誰かが来たようだ🤢
 
③地域医療を学ぶ意義について
我が国では超少子高齢化、人口減少といった社会情勢に加えて、医師・医療施設の偏在や医療・介護のニーズが課題となっています。医療機関へのアクセスですら患者や家族によっては負担となり得ます。
 
そこで患者や家族が孤立してしまわないよう、医療・介護・保健・福祉に関わる様々な施設との連携を通して、地域医療の特性を理解し地域包括ケアを実践することで質を高めていく狙いがあると思われます。
 
研修医1年目では仕事に慣れるのに必死だったこともあり、見渡せる世界はせいぜい病院内がやっとでした。この2ヶ月を通して、県内のごく一部ではありますが地域医療についても視野を拡げられたらと思います。
                        (Aotearoa)

常陸大宮済生会病院

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【御礼】エムスリーのオンライン病院座談会にご参加ありがとうございました!

2023.05.18
カテゴリー: 初期研修

5月17日にエムスリーのオンライン病院座談会 ~救急に強い病院特集~ に参加しました。多数のご参加をいただき有難うございました。

 

エムスリーは昨年と同様に司会ありの40分枠でしたが、質問をたくさんいただき、予定時間を約10分も延長してしまいました。司会の進め方も上手でしたが、多くのご質問をいただき我々もやり易かったです。どうも有難うございました。

 

さて、5月も半分を過ぎてしまいましたが、6年生のあなたにとっては、あっという間にマッチング面接の時期になります。4年生、5年生のあなたは、夏休みを利用した病院見学に関して、いろいろな情報収集をする時期だと思います。レジナビのようなリアルのイベントも有用ですし、オンラインでの説明会もチャットで質問できるので、是非ともいろいろと活用して下さい。

 

今月29日にはレジナビオンラインに、そして6月8日には再びエムスリーのオンラインに参加予定ですので、ぜひ参加して、いろいろ質問して下さい!

 

なお、当日の編集長は循環器内科のセカンドオンコール当番だったのですが、前半の病院説明のプレゼンを開始してすぐに緊急PCIのコールがあって、実はプレゼン中にかなり焦っていました。座談会が終了してすぐにカテ室にダッシュしたのですが、循環器内科のF先生がJ1の研修医と一緒に、ちゃんとPCIを途中までやってくれていました。編集長も途中から加わってPCIは問題なく終了し、一安心しました・・・・。

(編集長)

今回はこの二人が担当しました♪

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物理的と化学的・・・治療の2つの軸

2023.05.16

前回は松永先生の感染症レクチャーから、感染症「診断」の2つの軸を紹介しました。今回は感染症「治療」の2つの軸についてシェアします。

 

70歳代の男性が発熱と食欲低下で入院しました。糖尿病の既往がありますが、特に食欲低下と発熱以外の症状はありません。身体所見でも明らかな異常所見なし。採血では白血球12000、CRP>20と高値であったので、各種培養を採取してから尿路感染疑いと言うことにして抗菌薬(CTRX)を開始しました。翌日に血液培養からクレブシエラが検出されました。クレブシエラに対してCTRXは感受性があるので抗菌薬をそのまま継続しましたが、その後も発熱は持続し、採血データもあまり改善ありません。

 

こんな時、あなたならどうしますか?

 

この症例は、実は肝膿瘍でした。膿瘍であれば抗菌薬だけでは治療が不十分で、ドレナージを考えます。ドレナージしていなかったので、解熱も採血データの改善も得られなかったと考えられます。

(このネタの症例はこちらから見ることができます→ 肝膿瘍の過去記事はこちら

 

多くの人にとって感染症治療といえば抗菌薬の選択というイメージを持っていると思います。もちろん抗菌薬が重要な軸であるのは間違いないのですが、もう一つの重要な軸も忘れてはいけません。それが「物理的に除去する」ことです。

 

そもそも、抗菌薬の役割は微生物を「化学的に除去する」ことですが、用量が少なすぎたり、目的のところに十分到達しなければ効果は得られません。ドレナージや洗浄、切除(切断)、人工物の除去など「物理的に除去する」ことを外科医などと協力して治療を行うことを忘れないようにしましょう。

 

物理的に微生物を除去するのは具体的に以下のようなものがあります。

 

-膿瘍

-「うっ滞性」感染症 

 ・胆石・腫瘍による胆道閉塞 ⇒ 胆管炎

 ・尿路結石による尿路閉塞 ⇒ 尿路感染症

-人工物

 ・中心静脈ライン

 ・動脈ライン

 ・人工呼吸器    

 ・胃管

 ・尿カテ

 ・人工弁

 ・人工関節 など

-壊死組織

(編集長)

松永先生レクチャーの最重要スライド

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どこで?何が?・・・診断の2つの軸

2023.05.13

高齢の患者さんが転倒して動けなくなったとの主訴で救急搬送されてきました。患者さんは転んで腰を打ったらしく、腰痛を訴えています。明らかな麻痺はありません。バイタルを確認すると血圧等は大丈夫ですが、発熱を認めました。高齢者に良くあることですが、発熱でふらついて転倒し、それを契機に立てなくなったようです。

 

脳梗塞の既往があって、ADLは一応自立していたけど、外に出ることはなく、食事などでむせこむこともあった様子。胸部レントゲンも右下肺野で透過性が低下しているように見えます。

 

誤嚥性肺炎からの発熱で合致しそうな経過と判断し、入院して抗菌薬の点滴を開始しました。幸い徐々に解熱が得られ、全身状態も改善傾向です。ところが、2日後に判明した入院時の血液培養では、4本中4本から黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出されました。

 

これって、何かおかしくないですか?ここで「誤嚥性肺炎なのに血培からMSSA?」と、あなたが違和感を感じたのなら、あなたの臨床センスはスバラシイ!

 

多くの人は「感受性もあってるし、患者さんも元気になっているし、抗菌薬はこのまま継続でいいね」としか考えません。でも、ちょっと考えてみてください。そもそもMSSAが肺炎の起炎菌になる得るのでしょうか?

 

松永先生のレクチャーで何度も登場する重要なメッセージに、感染症診断の2つの軸は「どこで」、「何が」があります。

 

「どこで(=感染巣)」が分かると、起炎菌が絞れます。

「何が(=起炎菌」」が分かると、感染巣が絞れます。

 

この症例のように血液培養でMSSAが検出されたら、肺ではなく皮膚軟部組織か血管内を思い浮かべる必要があります。

 

実は病歴をよく確認すると、腰痛は転倒する前から自覚していたらしく、画像検査で化膿性椎間板炎と診断されました。MSSAの侵入経路ははっきりしませんでしたが、かゆみのためによく皮膚をひっかいていたそうです。

 

今回は皮膚から侵入したMSSAによって血流感染から化膿性椎間板炎を来して、発熱と腰痛、体動困難を認めたと考えられます。一度誤嚥性肺炎だと診断してしまうと、解熱してCRPが下がっていると安心してしまいますが、化膿性椎間板炎であれば長期の抗菌薬投与を行わないと再燃してしまいます。培養結果を見て、当初想定していた菌が検出されていればイイですが、想定と違う菌が検出された際は、{どこで」「何が」悪さをしているのかを考える必要があります。

 

培養結果など、後日に結果が判明するものも必ず目を通して、今までの経過と矛盾がないかを振り返ってみてください。

(編集長)

 

松永先生のレクチャー風景

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救命救急センターだより「 思い込みとの戦い・パート2」

2023.05.11
カテゴリー: 救命救急センター

救急医と消化器内科医の二刀流、医者の世界で大谷翔平を目指す、空飛ぶ消化器内科医ことNaoです。こんにちは。(大谷選手のファンの方、調子に乗ってごめんなさい)

 

ところで前回の「思い込み」に関する記事はご覧いただけましたでしょうか。今回は、前回の記事が長くなりすぎたため載せなかった症例のご紹介です。

 

前回は脳血管に関する二症例でしたが、今回は心血管に関する症例になります。「STEMIを診断したときは、できればCTも」と以前からたびたび言われていましたが、その理由を痛感した症例になります。

 

消防からの受け入れ要請は、「初老の男性、激しい胸痛および呼吸困難」でした。救命士の診察で、バイタル以上に全身状態からこれは3次レベルだ、とのことでかかりつけ医ではなく当院へ搬送されてきました。疼痛および呼吸困難から高度の不穏状態であり、鎮静および挿管し諸検査を行う方針としました。心エコーでは心タンポナーデ、広範な前壁の壁運動低下が認められました。心電図でも胸部誘導で広範なST上昇が認められ、STEMIだ!と判断し循環器内科医callしました。

 

しかし、ほかの救急医たちや循環器内科の医師は「なんか違和感がある」と。これはただのSTEMIではないのではないかということで造影CTを撮ると、上行大動脈の基部が極めて限局的に解離し、心タンポナーデをきたし、左冠動脈の起始部を閉塞させていることがわかりました。正直、自分自身では画像をみても最初はわからず、救急医や循環器の先生たちに教えられて初めて分かったレベルでした。

 

「優秀な内科医」に色々な定義はあるかと思いますが、一つ言われているのは「いかに鑑別を出せるか、いかにたくさんの疾患を思い浮かべられるか」が重要であるといわれています。

 

「優秀な救急医」にもたくさんの定義があると思われ、判断が迅速である、当然正しい判断ができるとか、手技が正確であるとかいろいろあると思います。

 

ただ、前回の件や今回の件をして思うのが、「いかにいろんな場面を想定できるか」ということだろうと思います。この患者さんに何が起こっているのか、を短絡的に診断に結び付けることなく、得られた臨床症状を説明しうるストーリーをしっかり考えつくせることだろうと考えます。救急医の判断が誤ると、初動の遅れにつながるわけです。

 

この症例では、STEMIでタンポナーデがおこっているとしたら時間軸が合わないなど、おかしな点がいくつかあるわけです。救急医だけに限らず、「何かおかしい」という感覚を無視せず大事にし、患者さんのために働いていきたいと思いました。

 

「救急診療は医師ならば誰しもができるべき」厚労省はそんな方針で医師教育を考えているように見受けられますが、本物の救急医は、やはり「救急のスペシャリスト」であって決して片手間でできる領域ではありません。僕も早く本当の意味で消化器内科医と救急医の二足の草鞋を履きこなせるように引き続き努力していきたいと思います。

 

皆さんも、当院で救急医(あるいは消化器内科医)を目指しませんか?笑

(Nao)

CPA搬送直後の一コマ

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水戸済生会の外来研修

2023.05.09
カテゴリー: 初期研修

初期研修で外来研修が必修化されていることはあなたもご存じだと思います。この外来研修はなかなか大変で、導入当初はどこの研修病院の担当者は準備に苦労しました。これは、今まで日本の医学教育で外来診療はまともに教えられてこなかったからだと思っています。

 

ちなみにカリキュラムの中では外来研修は、「症候・病態について適切な臨床推論プロセスを経て解決に導き、頻度の高い慢性疾患の継続診療を行うために、特定の疾病に偏ることなく、原則として初診患者の診療及び慢性疾患患者の継続診療を含む研修を行う」とされています。そして、研修目標として「コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、単独で一般外来診療を行える」ことが掲げられています。

 

編集長の聞く限り、多くの病院では地域研修でクリニックなどに行った際に外来をやらせてもらっていて、自分の病院で外来研修をしているのは少数のようです。地域研修の際に外来をやるのは集中してできる反面、1か月の地域研修中に同じ一人の患者さんを診察するのは1回きりのことが多く、外来で何度かフォローして自分の判断が正しかったのかを知ることができないという弱点があります。

 

そこで水戸済生会の外来研修では、当初から一般内科外来を1年間を通して行う並行研修で行っています。具体的にはJ1の秋からJ2の秋までの1年間をかけて、他の診療科をローテーション中でも週1回の曜日を固定した外来を継続する、というものです。

 

当院のようなスタイルで外来研修を行っている施設はほとんどないと聞きていますが、メリットとしては一人の患者を最大で1年間フォローできるので、高血圧や糖尿病といった慢性疾患の治療を経験できることや、良く分からない・診断がつかない患者が最終的にどうなったかを知ることができます。これはERや入院患者では経験できない点です。

 

一方でデメリットは、当院では内科の初診外来医が指導医となりますが、どうしてもその指導医の専門分野に症例が偏りがちになることです。例えば月曜日の指導医が消化器内科だと、月曜日の研修医は消化器疾患が多くなり、他の疾患を診察する機会が少なくなってしまいます。

 

こうした点を改善するために、昨年11月から外来研修を始めたJ2は、開始から半年が経過した今月から曜日の入れ替えを行い、幅広い疾患を経験できるようにしています。目論見通りいくかはこれからですが、貴重な外来研修をより充実させたいと思っています。

 

最後に外来研修について一つだけアドバイスすると、外来診療では「時間を味方につける」ことがポイントになります。ERと違って、その場で検査を全部やって、診断を付けなくともよいのです。それから、長い経過を見ていくことが重要です。何てことないと思っていた胸部レントゲンの影が半年後には肺がんだったということもあります。

 

当院の外来研修では1年間にわたって長く患者をフォローして、あなたの臨床能力の向上を目指しています。

(編集長)

 

これはERでの診察風景

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水戸済生会総合病院の臨床研修は

総合診断能力を有するスペシャリスト

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