臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

年末のご挨拶

2022.12.31
カテゴリー: 初期研修

早いもので、大みそかになりました。あなたはいかがお過ごしでしょうか。

 

振り返ってみると、今年もコロナに振り回された1年でした。当初のようにECMOを回すような重症症例はほぼいなくなりましたが、院内のあちこちでコロナ陽性患者が現れて、その対応に追われていました。波が過ぎ去ったと思うとすぐに次の波が来て、という感じであっという間に1年が過ぎたというのが実感です。

 

そんな状況でも、当院の研修医らは発熱外来、ER、コロナ病棟、そしてワクチン接種と様々な場面で頑張ってくれました。また、このブログにも多くの研修医が記事を書いてくれました。どうも有難うございました。

 

さて、年が明ければ、6年生のあなたは国試に向けてラストスパートになります。今まで幾多の試験を乗り越えてきたので、真面目に取り組めば問題ないはずです。体調管理に十分に注意を払って頑張ってください!

 

そして、このブログもあなたにとって価値ある情報をお届けできるよう努力して参ります。引き続きよろしくお願いいたします。

 

どうぞ良いお年をお迎えください。

(編集長)

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鑑別疾患のあげ方(VINDICATE!!!P)

2022.12.29
カテゴリー: カンファレンス 内科

早いもので、もう年末ですね。J1のあなたはだいぶ仕事に慣れて、余裕も出て年末年始の当直に臨んでいるはずです。J2のあなたも、春からの研修先が決まり、それに向けてモチベーションをあげてる時期だと思います。

 

さて、あなたがたとえどの診療科に進むとしても、初期研修医のうちに必ず身に着けてもらいたいことの一つに、「鑑別疾患のあげ方」があります。

 

鑑別疾患は、星の数ほどあるので全部覚えることは無理です。でも、鑑別疾患のあげ方(フレームワーク)をおさえておくと、考えやすくなるだけでなく、抜けがなくなるのでお勧めですので、ぜひ覚えて下さい。

 

編集長が勧める鑑別疾患のあげ方には2つあります。1つ目は病因から攻める方法で有名な VINDICATE!!! + P(ヴインディケイト+P)です。2つ目は解剖学的に攻める方法です。

 

今回はVINDIVATE!!!+P(ちなみに!!!にも意味があります)を紹介します。

V:Vascular (血管系)
I:Infection (感染症)
N:Neoplasm (良性・悪性新生物)
D:Degenerative (変性疾患)
I:Intoxication (薬物・毒物中毒)
C:Congenital (先天性)
A:Auto-immune (自己免疫・膠原病)
T:Trauma (外傷)
E:Endocrinopathy (内分泌系)
!:Iatrogenic (医原性)
!:Idiopathic (特発性)
!:Inheritance (遺伝性)
P:Psychogenic (精神・心因性)

 

これは鑑別診断の神様として有名なティアニー先生が紹介していたものですが、すごいところは全ての疾患が網羅されているところです。もともとティアニー先生が病理学をやっていたので、こんなフレームワークに至ったと聞いたことがあります。

 

この鑑別方法は、一見すると関係なさそうな症状や検査データを俯瞰的に考える時に役立つと思います。原因が良く分からない、もしかしたら他の疾患を考える必要があるかもしれないと思った時に、これを見ながら鑑別疾患を考えてみて下さい。

(編集長)

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患者さんとの会話をスムーズにするコツ

2022.12.27
カテゴリー: 初期研修

80歳代後半の男性患者さんが入院してきました。ADLは自立していたものの、当然ながら軽度の認知症もあります。病歴を聞こうと思っても、なかなか話を分かってくれないし、自分からは話をしてくれません。

 

こんな時、あることを尋ねたら、その後は患者さんがいろいろ話をしてくれるようになりました。

どんな質問をしたのでしょうか?考えてみてください。

答えは、「以前の職業」です。

 

この患者さんは、若いころから魚屋さんをやっていたそうです。その話を聞き出したことをきっかけに、患者さんはいろいろ話してくれるようになりました(病歴とは関係ない話もだいぶありましたが・・・笑)。

 

患者さんが、あまり話してくれないことはよくありますが、こちらとしては結構ストレスですよね。こんな時は、FORMを意識して

質問してみるといいかもしれません。

 

FORMとは

Family:家族のこと

Occupation:仕事のこと

Recreation:趣味のこと

Message:自分の信念や人生観など

 

これらのことは、自分から話しやすいからです。また職業について言えば、現役で仕事している方なら、今後の検査プランや、治療プランをどうするかにも関わるので、編集長は必ず聞き出しています。

 

初めのうちは、何となく聞きにくいかもしれませんが、いろいろ役に立つので、必ず聞き出しておきましょう。

(編集長)

患者さんのところに行く前の情報収集中

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救命救急センターだより「当センターでの救急医の役割分担」

2022.12.24
カテゴリー: 救命救急センター

みなさんこんにちは、空飛ぶ消化器内科医を目指すNaoです。

 

以前の記事で次のチャンスでは「外傷外科医を目指したい」とうっかり書いてしまったために、記事を読んでくれた当院の外科のセンセイから「今後はぜひ一緒に」と声をかけてもらいました。最初は「うわ、やってしまった」と思いましたが、これはまたとないチャンスだと思いましたので、「是非呼んでください」と返事しました。今のところ実際には呼ばれていないのですが、この記事も読んでいただいていると思いますので、必ず、忘れずにぜひ呼んでくださいね!

 

さて前回の記事で紹介しましたが、当院の救急外来では一般日当直(walk in担当)、ER日当直(救急車対応)、ドクターカー番、ドクターヘリ番と4人の医師がおり、このうちER、ドクターカー、ドクターヘリを救急科が担当しています。ちなみにほかに、ICU当直、麻酔科当直、産婦人科当直がおり、研修医当直が2名おりますので、常時院内には最低でも研修医を含めて9名の医師がいます。

 

私はドクターカーだけ独り立ちさせてもらっているのですが、ER やドクターヘリはOJT(On the job training:上級医について仕事をしながら学ぶ)立場です。なぜドクターカーは独り立ちできて、ERとヘリは独り立ちできないのか、についてお話させていただこうと思います。私の個人的な意見も入る回ですのでその点よろしくお願いいたします。

 

まずは既に独り立ちしているドクターカー医師の役割について説明します。ドクターカーは水戸市からの委託事業であり、日中のみの運用となっています。カバー範囲はざっくりと水戸消防の管轄地域になります。ただし当院は水戸市の西のはずれの方にありますので、東のはずれに向かうと救急車でも30分以上かかります。

 

ドクターカーの場合は車で移動していますので、基本的にいざとなったら自分の病院へU-turnしてくれば良いということになります。とにかくABCを安定させることを考え、その後、純粋に患者さんの状態からどこに搬送すればよいかを考えるということになります。水戸市内ですので近隣病院の事情も頭に何となく入っていますし、医療機関の選定も比較的スムーズに行えます。

 

一方でドクターヘリはカバー範囲が県内全域、状況によっては隣県も含まれます。ドクターヘリの場合は、医療者の現場出動の他にヘリコプターによる高速搬送という役割もあります。「適当な医療機関」の選定範囲が陸送に比較し広くなりますので検討すべき事情が大きくなります。患者さんの状態、来院する家族の事情、交通事情や土地の状況・天候を踏まえた搬送手段および搬送先の選択、空中での急変に備えた準備(AMI疑いの患者さんにはあらかじめ除細動パッドを貼っておくなど)と考慮すべき事情が増えます。また多重事故や災害などドクターカーより大きな現場へ投入される可能性も大きくなります。そのため、ドクターカー医師より多くのことを考え対応できる必要があるのです。

 

最後はER番です。ER番は、おそらく救急科の先生たちは一番好きじゃないと思います。ER番は20名程度の救急科入院患者の対応と救急車、ドクターカーやヘリの搬送患者すべてに対応する必要があります。カーやヘリが出動していない時は、その担当医も手伝ってくれますが、ER処置中に呼ばれていなくなってしまうと、ER番の先生が全部自分でやらなければならなくなります。また、院内急変があった場合の対応もER番の医師がリーダーとなり対応することになるため、その肩に乗る責任は非常に大きくなります。

 

いつの日かERを任せてもらえる日が来るかもしれません。あまり望んではいませんが・・・(笑)

 

全然関係ないですが、最後に皆さんに一言。

 

いつも書いていますが、人生に無駄なことはないです。医学生の皆さんはこの後、初期研修、後期研修の中でやりたくもないことをやらされたり、経験させられたりすることがあることと思います。そのすべてとは言いませんが、でも多くの経験が何らかの形で役に立つ日が来ます。卒業試験や国家試験のために覚えるマイナーな病気も、役に立つ日が来ます。今与えられた役割をしっかりこなして、将来の研修・勤務先に当院を選んでいただけた日には、一緒に空を目指しましょう!(笑)

(Nao)

ICUでの処置中の一コマ

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あなたが入院時から取り組むべきこと

2022.12.22
カテゴリー: 初期研修

指導医から、「入院が入ったから、先生よろしく」と連絡が来ました。

 

あなたは、何の疾患?主訴は? 今回の入院中にやることは? こういったことを指導医に確認するはずです。

 

この時、指導医が言わなくても、あなたが考えておかなければならないことがあります。それは何でしょう?

答えは 「どうやって退院させるか?」 です。

 

特に高齢の患者さんの場合、今まで自宅で生活していた人でも入院することでADLが一気に悪くなり、自宅での生活が困難になってしまうことがあります。

 

患者さん自身は何とかなりそうだとしても、いわゆる老々介護と呼ばれる高齢の夫婦だけの世帯では、配偶者も病気を抱えていたりするので、完全に元のレベルに戻らないと、自宅で生活できないことが良くあります。高齢者の独居者の場合では、その子どもは遠方に住んでいたり、全く身寄りがいなかったりすることもあります。

 

しかも、今まで困っていなかったので、介護保険などの社会的リソースを全く利用していなかったり、たとえ同居の家族がいても、日中は仕事で不在のため、事実上の一人暮らしだったり。

 

医学的には病気が治ったり、寛解状態に持ち込めても、このように、「退院できない」「退院させられない」という状況に、日常臨床では非常に多く遭遇します。

  

大事なことは、入院の段階で患者さんの退院後の生活をイメージして、看護師やソーシャルワーカーやリハビリスタッフと相談しながら、退院に向けての準備を始めることです。

 

研修医のうちは、どうしても医学的なことに関心が向かいます。もちろんこれは悪いことではありません。でも、入院患者さんの病気を治しても、自宅に帰れないとか帰せない時にどうしたら良いのかアイデアがないと非常に困りますね。

 

ちなみに当院の総合内科では、担当患者さんの入院から退院、さらに退院後のフォロープランまで計画を立てる段階から関わっていくことを求められます。そんな総合内科をローテーションを終えた研修医は、「患者さんの退院のさせ方を今まで考えたことが無かった」 「どうやって退院させるかについて、看護師さんやリハビリと情報を共有するようになった」とよく言ってくれます。

 

疾患を治すこと、コントロールすることは重要ですが、患者さんにとって、どういう形で退院してもらうか?そのために何をすべきなのか?あなたも入院の時点から考えてみてください。

(編集長)

さて、退院どうしようか?

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新生児蘇生法(NCPR)

2022.12.20
先日、新生児蘇生法(NCPR)講習会に参加させていただく機会がありました。そこで学んだことについて皆さんと共有できたらと思い、ブログに書き留めてみました。
 
NCPRは新生児を対象とした蘇生法であり、決められたアルゴリズムに則って行われます。そのアルゴリズムは以下の通りです。
 
結論から言うとこれが全てなのですが、一見するとかなり複雑のように見えます。講習会では各stepの詳細や流れについて解説していただき、模型を通してシュミレーションで反復練習をするため、終わる頃には頭に流れが入るようになりました。
ここで全てを解説するのは難しいので一番大切なところだけお伝えします。
 
NCPRで一番大切なのは、ずばり人工呼吸です。
出生後色々と評価、処置をした後に、呼吸がないor脈拍100bpm以下の場合はまず人工呼吸を行います。しかも生まれてから60秒以内に行わなければいけません。なぜ人工呼吸が大切かというと、新生児仮死はバックマスクを用いた人工呼吸までの処置により90%以上は蘇生できるからです。胸骨圧迫以上の治療を要する生期産児は約0.1%に過ぎません。人工呼吸をしても状況の改善が認めない場合は胸骨圧迫も行いますが、比率としては胸骨圧迫:人工呼吸は3:1です。大人のBLSでの30:2と比較してもいかに人工呼吸が大切かが分かると思います。
 
では、具体的な人工呼吸の方法についてご説明します。
基本的にはバックマスクを用いて行います。まず、児の肩にタオルなどを敷き、頭部を後屈、下顎を挙上した姿勢(sniffing position)をとり気道確保することが大切です。その上で片手で児の下顎とマスクを固定し、他方の手でバックを加圧します。バックマスクには換気圧を表示するメーターがありますが、人工呼吸開始時には生期産児で30cmH2O程度(早産児で20-25cmH2O)の圧をかけます。換気回数としては40-60/分で1秒に1回を超えないことが大切です。
有効な人工呼吸ができているか確認する方法として以下の3つがあります。
①心拍の上昇
②胸部の上がり
③呼吸CO2の排出
 
これで有効な人工呼吸ができていないと判断された時は次の4点を確認してみましょう。
 
①マスクはきちんと密着できているか
②気道確保の姿勢は取れているか
③口腔、鼻腔内の吸引は十分か
④換気圧は適切か
これでも人工呼吸がうまくいかない場合はラリンジアルマスクや気管挿管などほかの人工呼吸法を考慮します。
 
以上、NCPRにおける人工呼吸の要点についてご説明しました。実際に文字で見てもなかなかイメージが湧かないと思います。私自身も講習会に参加する前はさっぱりでしたが、講習会を通して実際の器具に触れて実践することでイメージができるようになりました。
 
余談ですが講習会に参加後、タイムリーなことに新生児蘇生の現場に立ち会う機会がありました。私は記録係として外回りをしていたのですが、新生児科のドクターが人工呼吸までの処置を約20秒という早さで行なっており手早い動作にただただ驚かされました。ただ、勉強した甲斐もあり、先生たちがどのような意図で何を行なっているのかについて自分でも理解することができました。やはり何事にも準備は大切だと痛感しました。皆さんもぜひNCPRの講習会を受けてみてはいかがでしょうか。

(minimum)

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アナフィラキシー

2022.12.17
カテゴリー: 救命救急センター

小児科医を目指しているJ1のminimumが記事を書いてくれました。今回がブログのデビュー記事になります♪

少し前にニュースになったワクチン接種後のアナフィラキシーについてまとめてくれましたので、ぜひご覧ください。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

最近、新型コロナウイルスのワクチン接種によるアナフィラキシーショックのニュースがありましたが、世間の関心も高く、自分自身もう一度勉強し直したいと思いまとめてみました。

 

•アナフィラキシーとは?
<アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応>をアナフィラキシーといい、血圧低下や意識障害を伴うものをアナフィラキシーショックという。

(日本アレルギー学会)

 

診断基準は以下の通りです。

急速(数分〜数時間)に発現する以下の症状を①〜③いずれかを満たす

 

①皮膚粘膜症状+呼吸器症状、循環器症状どちらか
②皮膚粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、持続する消化器症状
③アレルゲン暴露後の急速な血圧低下 平常時血圧の70%以下 またはsBP90以下(11歳から成人)

 


皮膚粘膜症状:全身の発疹、掻痒、紅潮、浮腫
呼吸器症状:呼吸困難、気道狭窄、喘鳴、低酸素血症
循環器症状:血圧低下、意識障害
消化器症状:腹部疝痛、嘔吐

 

原因は薬剤、抗菌薬、造影剤、食物、蜂、蟻、ラテックスなど多岐にわたります。もちろん、コロナワクチンも含まれます。

 

アナフィラキシーの初期対応は次のようになります。

 

①バイタルサインの確認
  循環、気道、呼吸、意識状態、皮膚、体重を評価する

 

②助けを呼ぶ
  院内→蘇生チーム、院外→救急隊

 

③アドレナリン 

  0.01mg/kg 大腿外側 筋注  (最大量 成人0.5mg 小児0.3mg)
  (新型コロナワクチンのアナフィラキシー時の緊急対応ガイドでは0.3mg)

 

④体位変換
  (仰臥位、足を30cmほど高くする。 呼吸が苦しい場合は少し上体を起こす。嘔吐している時は顔を横向きにする。)

 

⑤酸素投与(6-8L フェイスマスクor経鼻エアウェイ)

 

⑥静脈ルート確保

 

⑦必要に応じて心肺蘇生

 

⑧バイタル測定

 

一番重要なのはアドレナリンの投与をためらわず速やかに行うことで、そのためには上記の診断基準を頭の中で整理しておく必要があります。また、アドレナリンについては、打つ部位、投与量、投与経路に関しても合わせて押さえておきたいところです。

 

私自身、まだそのような場に遭遇したことはありませんが、いざという時はすぐに体が動かせるよう準備したいと思っています。

(minimum)

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救命救急センターだより「ECPELLA」

2022.12.15
カテゴリー: 救命救急センター

空飛ぶ消化器内科医を目指して修行中(いつまで続くんだろう…)のNaoです、こんばんは。

 

当院の救急科Drs+研修医たちはメールでつながっており(slackやteamsではないところがポイント)、毎日情報交換が行われています。そこで救急対応や集中管理で必要な知識を適宜共有してくれます。先日の救急医学会に関する話題が出ていた中で、「ECPELLA(エクペラ)」という言葉が出てきました。

 

ECPELLAの話の前に皆さんはE-CPRというものをご存じでしょうか。心肺停止例に対して心臓マッサージは当然行うのですが、これにV-A ECMOを導入することで(E-CPR)救命を図る方法です。PCPS研究会からの報告では2015年度のE-CPRによる救命率は44.6%に達したとされています。E-CPR症例は多少症例が選別されているかと思いますので、何でもかんでもE-CPRすれば救命できるというものではありませんが、症例を選ぶと単に救命率の向上だけでなく、救命後の神経学的予後を含めた向上が期待されます。

 

しかし、救命のためにV-A ECMOには悪い点もあります。それは、心停止から回復直後の心臓は機能が落ちていることが多く(有効な血圧が出せない、EFが保たれていないなど)、どうしてもV-A ECMOによるサポート量が多くなります。それでも、心機能の改善とともに機会によるサポート量を減らしてECMO離脱可能な症例がほとんどです。しかしながら、ECMO依存度が高い心臓の場合、V-A ECMOによる後負荷の増大がかえって回復の妨げになるということがあります。

 

ここで登場するのがIMPELLA(インペラ)であり、IMPELLA(インペラ)とECMO(エクモ)の組み合わせが、ECPELLA(エクペラ)といい、今後大きく期待されている領域です。

 

さて皆さんはIMPELLAをご存じでしょうか。IMPELLAは左室負荷を直接軽減する補助人工心臓の一つです。実は当院は茨城県で2番目にIMPELLAが可能となった施設で、2019年に施設認定を受けています。

 

IMPELLAは・・・と話を続けようと思ったのですが、話が長くなるうえに、よく見てみたら当院の循環器内科のホームページでとても詳しく解説されていますのでそちらを診てもらったほうが良いでしょう。

 

IMPELLA、ECPELLAについて

 

3次救急の世界は、治療法があるだけではだめです。救命に携わる者が、その治療法があることを理解していないといけません。ECPELLAは医療コストはかかる治療ですので、乱発することは許されませんが、これにより職場復帰している症例が少なからず存在していることもまた事実ですので、いざというときの一つの治療手段として皆さんも覚えていてください。

 

研修医のうちに救急救命の世界を見ておきませんか?将来、救急医になるつもりがないあなたこそ、初期研修中に三次救急の世界で一緒に戦いましょう!待ってます!

(Nao)

ERの一コマ

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ものの見方・・・多職種カンファの重要性

2022.12.13
カテゴリー: 初期研修

「もしあなたが金槌しか持っていなければ、全ての問題は釘に見えるだろう」

(欲求階層説で有名な心理学者アブラハム・マズロー)

 

いきなり何のこっちゃと思われるかもしれませんが、この言葉の意味はこんなことです。

患者さんのことで、何かの問題を解決する必要に迫られた時、

・消化器内科医は消化器内科の観点で

・消化器外科医は消化器外科の見地で
・循環器内科なら循環器内科の視点で

・看護師なら看護師の視点で、解決策を考えます。

 

つまり自分の持っている「最も使いやすく手近な道具」を使って解決する傾向が強い、ということです。

 

「自分が最も使いやすく手近な道具」使って問題を解決するということは、もちろん悪いことではありません。これは言い換えれば「長所発揮」であり、強みを生かして課題や困難にチャレンジすることは重要です。

 

しかし、当然ながら全ての問題が「自分が最も使いやすく手近な道具」解決できる訳ではありません。ところが、無意識に「手近な道具」を使って考えているので、そのことに気づくのに時間がかかります。

 

これを日常臨床に当てはめると、患者さんの問題を解決するためにカンファレンスなどで他の診療科の先生と議論をしたり、看護師さんやリハビリ、ケースワーカーなどと患者さんについて意見を出し合う場が必要ということです。自分の診療科内だけでなく、他の診療科や職種との議論は、自分が気づかなかったアプローチを気づかせてくれる貴重な機会なのです。

 

特に多職種が参加するカンファでは疾患のことだけでなく、患者さんの居住環境、交通手段、さらに職業や家族関係が問題となることがしばしばあります。逆に言えば、これらを無視して治療は成立しないのです。そのことに気づかせてくれる重要な機会と考えると、多職種カンファを違った視点で楽しめるかもしれません。

 

「自分が手にしているのは、多くの場合金槌である」ということを自覚しておかないと、自分の知っている範囲でしか考えなくなり、こじつけて解釈したり、手段が目的化してしまう危険性があります。

 

医学生や研修医のあなたの強みは、診療科や職種を気にすることなく、いろいろな人に相談できることです。積極的に相談して、幅広い見方を出来るように、日々トレーニングしてください。 

(編集長)

多職種との回診風景

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救命救急センターだより「腹部刺傷」

2022.12.10
カテゴリー: 救命救急センター

みなさんこんにちは、空飛ぶ消化器内科医を目指すnaoです。

 

当院の休日の救急外来は一般日直(walk in担当)、ER日直(救急車対応)、ドクターカー番、ドクターヘリ番と4人の医師がおり、このうちER、ドクターカー、ドクターヘリを救急科が担当します。

 

私はドクターカーだけ独り立ちさせてもらっているのですが、ER やドクターヘリはOJT(On the job training:上級医について仕事をしながら学ぶ)の立場です。ERやドクターヘリがなぜOJTでカーだけは独り立ちさせてもらえるのか、その差を話すと長くなりますので次回にでも書かせていただきます。

 

ところが、先日突然、独りER当番が割り当てられました。自分の判断でHotLineを受け、ドクターヘリやドクターカーも同時に搬入してくる患者をトリアージしながらマネージメントすることは非常に難しいことを身をもって体験しました(今までは言われたように動いていましたので、自分が指示を出すのは大変でした)。

 

当直明けの先生が長めに残ってくれて助けてくれたり、何より、当院の研修医は当院の救急で育ってますから、なんなら私よりよっぽど頼りになる!笑 救急担当医が自分以外院内にいない時間が何度か発生し、恐怖におびえましたが、なんとか無事に乗り越えられました。

 

さて、関係のない話が長くなりましたが、今回はナイフによる腹部刺傷に関するお話です。先日腹部に包丁を突き立てた患者さんが包丁と共に救急搬送されました。初めての経験で、当然救命救急センターでは対応できなければならない疾患ながら、どのように対応すればいいのかわかっていないので和文誌をあたってみました。

 

「刺された包丁は病院に行くまで抜いちゃダメ!」

 

これはみんな知っていると思います。でも、じゃあ受け入れた病院ではどうやって抜けばいいの?救急外来でぱっと抜いてしまっていいの? そんなことも知らなかったので調べてみました。

 

原則的には深く刺さったナイフはope室で抜くことになります。ナイフなどによる腹部刺傷は緊急手術を念頭に対応します。ただし、意味のない侵襲的処置を減らす取り組みもされていて、手術の必要のない症例を見極めながら対応することになります。

 

緊急手術の絶対的適応は

①    ショック、腹膜刺激症状がある(多量出血や腸管損傷を示唆)

②    多量の内臓脱出を認める(消化管損傷の可能性があるため検索が必要)

③    吐下血、血尿(消化管、腎尿管損傷を示唆)

④    凶器が体内深部に留置(包丁が深くまで入っている状態:抜去時の多量出血、内臓損傷のおそれのため)

 

上記のいずれでもない場合は、画像検査などを行いながら開腹以外の方法での加療を検討することになります(開腹手術をしなくとも、腹部ドレーン留置し腹腔洗浄を行うなどの治療をすることがあります)。

 

つまり、包丁が深く刺さった状態で来た時点で、緊急手術は確定です。外科にcallしながら、全身状態の安定および可能な限りの検索を行います。

 

凶器が取り除かれている状態で、かつ全身状態が安定している場合に限り慎重経過観察の手が取られます。初期治療で緊急開腹を選択しなかった症例でも4.7-20%で遅延手術を要したという報告もあるため慎重な経過観察が必要になります。

 

よく、「もう一度診療科を選択しなおす機会があったら何科を選択するか」を考えることがあります。できればすべてをできる医者になりたいのですが、知識的にも習得するべき技術的にも無理がありますのである程度分野を絞る必要がありますね。これまでは消化器外科医や心臓血管外科医など外科系へのあこがれがあったのですが、最近は外傷外科医になりたいなと思っています。

 

そういうことで、次の人生では内視鏡のできる外傷外科医を目指して頑張ろうと思いますが、この人生では空飛ぶ消化器内科医を引き続き目指して頑張ります。笑

(Nao)

ERでの処置中

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