専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

アルドステロン症の見つけ方 その3

2021.09.27
カテゴリー: 循環器

前回はスクリーニングについて紹介しました。

 

スクリーニングでARRとPACが基準を満たせば、次にするのは機能確認検査です。この検査をすることで、通常ならばアルドステロンが抑制される状況を作っても、アルドステロンが抑制されずに異常な分泌を続けているのを証明する訳です。

 

これには

・カプトプリル負荷試験

・生食負荷試験

・フロセミド立位負荷試験

・経口食塩負荷試験

がありますが、どの方法でも良いようです。(日本内分泌学会のコンセンサスステートメントVer4.1)

 

となると、外来で簡単にできるカプトプリル負荷試験がオススメです。カプトプリルはACE阻害薬ですが、先述のように健常人では服用するとレニンが上昇して、アルドステロンが低下します。でも、PAの場合はアルドステロンが過剰分泌されたままなので、レニンは抑制されたまま、アルドステロンも低下しません。

 

やり方としてはスクリーニングの時と同じように、ARRに影響のない降圧剤に変更しておき、外来にきたら安静臥位で負荷前の採血を行った後、カプトプリル50㎎を内服します。その後は院内をぶらぶらしてもらい90分後(60分後でも良いらしい)に戻ってきてもらい、再度安静臥位で負荷後の採血を行っておしまいです。そして、1週間後に結果説明に受診してもらいます。

 

負荷後もARR>200(pg/mlの場合)ならPAの診断となります。

 

ちなみに診断するには、影響ある降圧剤を中止したりと、きちんとした手順で検査をする必要があります。でも降圧剤の中止や変更は思っている以上に面倒ですので、裏技を紹介しましょう。すでにACE阻害薬やARBを服用している人でも、カリウムが高くない場合(低値ではないけど、ACE阻害薬を服用しているのに低めという意味)、そのままARRを調べてみて下さい。この状況でレニンが抑制されたままとか、ARR>200であれば、かなりPAが疑われます。こうなれば、きちんと説明して薬剤を変更してカプトリル負荷試験をやるのが良いと思います。

 

機能検査でアルドステロンの自立性分泌が証明されれば、これでPAの診断は確定となります。

次回は病型診断を紹介します。

                          (編集長)

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内視鏡の話(5)番外編 王者オリンパスと挑戦者フジ

2021.09.20
カテゴリー: 消化器内科

内視鏡について語る、番外編です。

 

ちょっと物議を醸しそうなタイトル及び内容ですみません。相変わらず、個人の見解でありまして、当院や当科の公式の意見ではないことをご了承ください。

 

オリンパスは、世界シェアトップを誇るメーカーです。そのため、多くの内視鏡界の重鎮の先生方に愛されているメーカーです。私自身も若輩者ながら、ERCPについてはオリンパスの十二指腸鏡に強くこだわっています。

 

しかしそれが、オリンパスの最大の足かせだと思うのです。内視鏡医は少しの変化も敏感に感じますし、そこが少しでも思うようでなければ不満を持つことになります。意外と慣れればなんてことなかったりしますが。

 

これまで十二指腸鏡はJF(細めのスコープ)、TJF(太めの処置用スコープ)がありましたが、世界規格に合わせるためTJF一本となります。その件でも担当者は何度も説明に来てくれて、いかにこれまでと変わりなく使えるか、あるいはいかにTJFがJFより優れているかを繰り返し説明してくれました。実際当科でTJFに切り替えた直後はカニュレーション難渋例が増えましたが、すぐになれて元通りになりました。

 

オリンパスという会社はこれまで培ってきた確かな技術と経験で万人に愛される内視鏡を作っていますが、ユーザーに嫌われないことを重視しすぎているのか、変化という点ではインパクトが足りない感じはします。

 

話は逸れますが、私が消化器内科でチーム性導入など新しいことを始めたとき、ある上級医に「うちに楽をしたがる若手は要らない。当科は今までこのやり方でうまくやってきたんだから、何年かしかいないお前が余計なことをするな」と言われました。

 

ですので、私はまず上が楽になる制度(救急当番制度など)を作り、めんどくさい仕事が全部自分に回ってくるようにして、とにかく自分が一番働くことで文句を言われないようにしました。その後多くの上級医たちの理解と協力があって変革は進み、当科はホワイトだと胸を張れるようになってきましたが、人が変わろうとするとき、その抵抗勢力と戦うのは非常に難しいことだと痛感しました。

 

でも、変わることをやめた瞬間に、人は後退していくものです。富士フィルムの台頭により、日本が世界に誇る内視鏡技術が更に磨かれていくことを期待しています。

 

また私自身も、内視鏡本体に負けない技術を持てるよう引き続き精進していきます。あなたも、水戸済生会の消化器内科科で内視鏡の技術の進化を見つつ、自分の技術を磨きませんか?

(Nao)

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内視鏡の話(4)内視鏡操作の違い

2021.09.13
カテゴリー: 消化器内科

内視鏡を語る第4弾です。相変わらず、僕の独りよがりな勝手な意見ですので、そんなもんかと優しく見守ってください。

 

さて、皆さんは内視鏡の操作部の違いをご存知でしょうか?

 

初めて富士フィルムの内視鏡に触れたときは驚きました。なんと言っても操作部が小さいのです!その差はごく僅かなのですが、ちいさい。わずかの違いが、手の小さな僕には大きな違いです。そして、オリとフジの2社の操作感は他にも差があるのですが、実は根底にある操作に対する考え方の違いがあるように思うのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真左がフジ、右がオリの操作部 (見た目はそうでもないけど、持つと違います)

 

まずは拡大内視鏡の操作の違いです。

 

オリの内視鏡はレバー式で最大倍率まで連続性に拡大率が変化します。拡大をレバーで一気に変化させることが出来、時間の短縮にもなります。

 

フジの内視鏡はボタンにより段階的に倍率が変化します。誰が操作しても一律に拡大を得ることができ、倍率が数値として表記されますので、病変評価を標準化することができます。ただし、2段階倍率を上げると、戻すのも二段階戻さなければならないので、拡大観察のスムースさは劣ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真左がフジ(2つのボタン) 右がオリ(青矢印がレバー)

 

次に特殊光の切り替えです(ただしこれは、ボタン配置設定などで、いかようにもできます)。

原則的にオリンパスは1特殊光、1ボタンで配置します。なので、一回ボタンを押せば特殊光、もう一度押せば通常光に戻ります。フジは巡回式です。つまり、一つのボタンで複数の特殊光を操作できます。

 

ちなみに当院では 通常光→NBI-bright→NBI→LCI→通常光 という設定になっています。うっかりボタンを押し間違えると、あと3回押さないともとに戻れません(笑)

 

オリンパスは機能を絞っても、スムーズで正確な操作系を重視、フジは多機能を凝縮した操作系を重視、そんなふうに感じています。

(Nao)

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アルドステロン症の見つけ方 その2

2021.09.06
カテゴリー: 循環器

今回はPAのスクリーニングについてです。

 

PAのスクリーニングには、随時採血で

・血漿アルドステロン濃度(PAC)

・血漿レニン活性(PRA)

を測定して

・アルドステロンレニン比(ARR=PAC/PRA)

を求めましょう。

 

本来、アルドステロンもレニンも座位と臥位では値が異なるので、30分の安静臥位での採血が望ましいとされています。しかし、実際のところ難しいので、座位での随時採血でOKです。

 

なお、ARRを求める時に単位を必ず確認しましょう。PACにはng/dlとpg/mlの二つがあり、各施設(検査機関)によって異なります。

 

そして、カットオフ値は

単位がpg/mlであれば、ARR>200

ng/dlであれば、ARR>20 

となります。(ng/dl=1000pg/100ml=10pg/mlですよね)

 

さらに、ARRに加えてPAC>120pg/ml (12ng/dl)の併用が推奨されています。

(内分泌学会のコンセンサスステートメントVer4.1 平成28年2月)

 

他に注意点としては、スクリーニング採血の際にほとんどの症例では降圧剤を内服しているはずですが、利尿剤、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬(ACE阻害薬、ARB、スピロノラクトン、エプレレノン)はARRに影響してしまうので、事前に変更が必要です。ただ、利尿薬、アルドステロン拮抗薬は6週間以上、β遮断薬は2週間以上の中止がガイドラインでは求められていますが、実際は難しいです。

 

変更する降圧剤については

・ブドララジン(ヒドララジンの同効薬)、

・α遮断薬(ドキサゾシン)、

・カルシウム拮抗薬(ニフェジピン、

 アムロジピン、マニジピン)

 

実際のところ、ブドララジンを処方できる施設は限られるので、ドキサゾシンとアムロジピンの組み合わせが、どの施設でも利用可能で便利です。編集長はドキサゾシンとアムロジピンでコントロールが著しく不良の時は、さらにニフェジピンをかぶせています。

 

スクリーニングの随時採血で、ARR>200かつPAC>120pg/mlの2つの基準を満たせば、次の機能確認検査に進みます。

             (編集長)

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アルドステロン症の見つけ方 その1

2021.08.30
カテゴリー: 循環器

循環器内科には高血圧の患者さんが多く紹介されてきます。健診で指摘された人、既に治療を開始しているけどコントロールがイマイチな人などですが、そのほとんどが本態性高血圧(EH)です。でも、その中に二次性高血圧の患者さんが隠れていて、これを見つけ出すのは循環器内科医のやりがい(ひそかな楽しみ)の一つです。

 

というのも、二次性高血圧の多くは何種類もの降圧剤を使ってもコントロール不良のことが多く、原因に特異的な治療を行うと非常にコントロールも良くなるし、状況によっては降圧剤を最小限まで減らすことができる場合があるからです。

 

そんな二次性高血圧の中で、原発性アルドステロン症(PA)は高血圧患者のうち3~10%を占めるというデータもあるくらい頻度の高い疾患ですので、その気になればあなたも見つけられます。今回から、そんなPAの見つけ方を紹介していきます。

 

まず、PAとくれば高血圧と低カリウム血症ですね。しかしカリウム値が正常の場合も多く存在するので、カリウム値だけで判断するのは良くないようです。

 

PAのスクリーニングとしては、最初に血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)を随時採血で調べて、アルドステロンレニン比(ARR=PAC/PRA)を求めます。本来は高血圧患者全例にPAのスクリーニングが望ましいのですが、費用対効果のエビデンスがありません。

 

このため実際のところ、ARRのスクリーニングが推奨されているのは

 

①低カリウム血症合併高血圧

②若年者の高血圧、

③Ⅱ度以上の高血圧

④治療抵抗性高血圧

⑤副腎偶発腫合併例

⑥40歳以下での脳血管障害発症例

⑦耐糖能障害

⑧肥満

⑨睡眠時無呼吸症候群 

 

スクリーニングでARRを調べるときは、体位は臥位でも座位でも構いません。ぜひチェックしてみてください。

             (編集長)

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失敗の正しい対処法

2021.08.23
カテゴリー: 臨床研修ブログ ブログ

初期研修医のころとくらべて専攻医になると、いろいろ仕事を任されたり、カテや内視鏡などの手技もさせてもらえます。初期研修医や看護師さんからも頼りにされます。とは言っても、すぐに指導医クラスのようなレベルになる訳ではないので、病棟の仕事で失敗したり、カテや内視鏡がうまくできずに指導医に交替したりすることがあります。

 

もちろん、だんだん仕事の段取りもうまくなっていくし、手技も交代せずに最後までできるようになりますが、ちょっと思い返してみるといつも同じような間違いや失敗をしているなんてことはないでしょうか?

 

編集長もよく失敗するのですが、原田隆史という方が書いた「失敗の取り扱い方」という文章が参考になったのでシェアします。その原田先生によると、

 

人は失敗を

1.直視しない(向き合わない)

2.後回しにする

3.人のせいにする

4.忘れようとする

 

その結果

5.繰り返す

 

つまり「失敗をなかった」ことにする= 「あれは失敗ではなかった」としてしまうそうです。

 

この裏には、「失敗を認めたくない」、「失敗は悪である」、「失敗は無駄である」と捉えているから、こう考えてしまうのだそうです。失敗の原因と向き合い、分析し、自分を成長させるヒントにするのが正しい失敗の対処法で、無かったことにするのではなく、自分で向き合って、カタを付けるしかないと。

 

手技については比較的わかりやすいですが、やはり失敗の原因を自分なりに分析しないと上手くなりません。ただ、失敗を失敗と認識していないこともよくあります。

 

例えば、

・いつも同じようなパターンで診断を間違える。

・いつも同じオーダーを間違える。

・いつも看護師さんに同じことを言われる。

・いつも似たようなことで患者さんとトラブルになる。

 

あなたは、こんなことを無かったことにしていませんか?

             (編集長)

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【腎臓内科】ドライウェイトの話(3)

2021.08.16
カテゴリー: 腎臓内科

前回の続きです。

 

大事な点としては除水したくてもできない場合があります。低心機能の人(AS,ARを含む)、感染症など状態が悪くて血圧が低い人(血管透過性が亢進してる人)、肝硬変で腹水はあるけど血管内脱水の人、消化管出血で貧血の人などがその例で、血圧が容易に下がってしまいます。

 

慢性期で、も糖尿病や神経変性疾患で自律神経機能低下している人や重症下肢虚血があって透析中の疼痛がひどい人も、同様に調節は難しいです。うっ血性心不全で入院した人に関しては,DWの下方修正で血圧が1段階下がることが予想されるため,血圧が低めの時には降圧薬を一部中止してベースをあげてもらえた方が除水しやすい傾向にあります。

 

透析は状態が悪い患者さんにとっておそらく,みなさんが思っているよりも急変リスクが高く,循環動態としてはダイナミックな治療です。透析開始し沢山の血液が体外に出ることで循環血漿量が減り,本来であればそれを補うようにプラズマリフィリングといって血管内に水分が移動する調節機構が働きますが,上記のような原因があるとうまく働かない,もしくは調節しきれずに血圧が下がってしまいます。

 

そういった場合、除水のスピードをゆっくりにして長い時間をかける(臨時透析を入れて透析時間を増やす)とか、急性期であればCHDFにすることなどで対応します。透析は,途中でサボることができない治療ですが,血圧がどうしても下がってしまう,いわゆる透析困難症と言われるような方にとっては,透析のたびに血圧が下がって怖い思いをしたり,失神したりと,かなりハードな状況となります。辛い思いをさせながらどこまで透析を続けるのか,どこを体の限界と判断するのかという議論に関しては,とても難しい問題です。

(おもち)

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内視鏡の話(3)特殊光について

2021.08.09
カテゴリー: 消化器内科

内視鏡について語る第3弾です。相変わらず、いち消化器内科医の勝手な個人的な意見ですので、その点だけご了承お願いいたします。

 

私が内視鏡医になったとき、既にオリンパス社によるNBIという技術は一般に浸透し始めていました。その後、今から6年ほど前に、当院にフジフィルム社のカメラが入りました(今から見ると、一世代前のモデルになります)。このモデルにはBLIとLCIという二種類の特殊光モードが搭載され、BLIはNBIと類似モードであるので使い方はそこまで困りませんでしたが、LCIについては何が見れるモードなのか、よくわかんないモードというのが正直なところでした。現在では腸上皮仮性や萎縮性胃炎の中の腫瘍性病変の検索に際して力を発揮することがわかっており、ルーチンの検査でも積極的に活用しています。

 

特殊光については、さすがフィルム会社といいますか、フジフィルムの技術はすごいな、画質と併せて一歩抜きんでているな、と内心思っていましたが、現在のオリンパスの最新内視鏡には、AFIとIRIという新しいモードが作られました。特にIRIは大量出血の中でも、出血点の見極めをサポートしてくれ、ESDの時には威力を発揮してくれます。やはり処置系ではオリンパスが優位なのか、などと思います。

 

ただ、特殊光や拡大など、内視鏡の機能が増えてくるとそれをコントロールする操作系統の工夫が必要になる。そこに両社の考え方の違いがまた現れる、と。それはまた別の話とします。

 

他の会社の内視鏡は触ったことがないのでわかりませんが、オリンパスとフジフィルム作っているのは同じ内視鏡ですが、そこに込められる思想は明らかに違います(営業マンの姿勢も違いますが)。

 

それぞれの内視鏡は日本が世界に誇る技術者たちの知恵と技術の結晶であり、この違いを感じれば感じるほど、そこに込められた技術者の想いにオタク心がくすぐられます。二社の最新機種を触り放題な環境、きっとなかなかないですよ。まだ試しでしか使ったことないですが、今後はAIにも両社の違いは大きく表れてくるとおもわれ、技術の進化が楽しみで仕方ありません。

(Nao)

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【腎臓内科】ドライウェイトの話(2)

2021.08.02
カテゴリー: 腎臓内科

DWが適切でないと気づくチャンスは他にも複数あります。

 

透析患者の血圧は体液量に依存(前負荷のコントロールが自分の体ではできないため)するため,高血圧がうっ血を疑うきっかけになることもあります。また,透析後半の血圧上昇は心不全傾向(除水で心機能が改善している)を示唆し,逆に透析後半に急激な血圧低下がある場合にはDWが下げ過ぎているかもしれません。除水のスピードが多い場合など(後からお話します)は血圧が下がってしまうので一概に判断はできませんが,血圧の動きは一つの大事な指標です。

 

他にDWの評価の仕方としては,症状/臨床所見/血圧だけでなく,胸部レントゲンやhANP(透析後採血, 馴染みがなければBNPでみてみるのもありです)やIVC径など総合的にみて評価します。施設によっては生体インピーダンス法という体脂肪率のように水分量を評価できるやり方や,HctやBUNなどの採血結果から計算する仕方もあるようですが,自分が評価し慣れた方法で総合的にみられれば使う必要はないと思います。

 

ついでにですが,心不全の対応をみているとたまに気になることがあります。しばしば見かけるのは心不全+低酸素の方に人に痰の吸引を頻回にしていることです.確かに心不全の時は,肺炎を合併しやすいのもあって痰の量は多いかもしれません。サクションやマスクを外すことによる<苦しい・痛い>の刺激で交感神経が刺激され,心不全症状がさらに悪くなることが予想されるので,気道閉塞がひどい場合以外はなるべく最小限にするのが良いかなと思います。

 

救急外来や病棟で透析準備が整うまで待っている間,低酸素でモニターアラームはなるし,苦しそうで何かやってあげたいという気持ちもあるでしょう。NPPVを必要であれば装着することは勿論ですが,苦しいことによる不穏で忍容性がなかったり,今のご時世だとCOVID-19抗原(-)だけでも確認しないと使いにくかったり(COVID-19感染者にNPPV使用するとそのNPPVは使用後破棄になってしまいます)すぐに使用できない状況な場合もあります。

 

そんな時はキチンとベットでずり落ちている体勢から整えてhead upさせて,酸素を十分投与するだけでも多少安楽なる場合も多々あるので(大体苦しくて不穏で整えても頻回に直さないといけないことになることが多いです),研修医の先生は看護師さんがパパッと何気なくやっていることを一緒にやってみると良いかもしれません。

(おもち)

腎生検は無事終了♪

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【腎臓内科】ドライウェイトの話(1)

2021.07.26
カテゴリー: 腎臓内科

こんにちは,おもちです。

 

以前に水戸済生会の臨床研修ブログに記事を書いた時には初期研修医でしたが,月日が流れるのは早いもので、当院の内科専攻医、腎臓内科医になりました。今回から,少し腎臓内科らしく、透析の特にドライウェイト(DW)の設定について何度かに分けてお話します。

 

透析患者さんは,体の水分調節が自力ではうまくできません。これは,尿が少なくなり水分排泄ができなくなるからです。体の水分バランスを保つために透析で除水を行いますが,ドライウェイト(DW)とは<透析が終わった後,何kgになっていればその人にとってちょうど良い水分量か>を考えて決めた,目標の除水量を決める透析後目標体重のことを指します。例えば,透析前体重が64kgでDWが62kgであれば除水量は64kg-62kg+0.2kg(透析回路のプライミング分)の2.2kg除水すれば透析後に62kgになり,ちょうど良い水分バランスで患者さんが過ごせる、といった具合に使います。

 

DWは適切でないと困ります。DWが少なすぎる=水分量が足りない場合,脱水になっていることや血圧低下が起きやすいことから、脳梗塞や心筋梗塞,シャント閉塞などの血栓症のリスクが上昇します。患者さんも,透析が終わった後,倦怠感が強く出てることで日常に支障が出たり,足が攣ったり,フラフラしてしまったりといった症状として出ます。

 

DWが多すぎる場合、言わずもがな心不全になります。心不全が爆発すると喘鳴や起座呼吸のように誰が見ても一発でわかる症状が出ますが,その前にも夜間に咳嗽が出るようになったり,食欲不振や下痢(腸管浮腫)として症状が出たり,胸の違和感や喉の違和感などGERDや虚血性心疾患と同様な症状を訴える患者さんもいます。透析患者さんとして特有かなと思うのは,シャント肢のむくみとして症状が現れる人もいます。

 

前に経験したのは,虚血性心疾患の既往のある方で,病棟で頻回にミオコールスプレーを使いたいとおっしゃる方がいました。もちろん,虚血性心疾患を疑いましたが胸部違和感があるときに心電図変化はなく,SPECTまでやってもらいましたが特に新規病変を疑う所見はありませんでした。<前にも同じ事があって体重調整してもらった>との患者さんの一言で,DWを下げたところ胸部違和感はすっかり消失しました。胸部違和感は心不全の症状で,ミオコールスプレー=前負荷が軽減された事で一時的に症状も良くなっていたんだなと、結論的には理解できましたが心不全の症状を見つけるの難しいなとつくづく感じた一例でした。

 

心不全は症状が顕著になる前に,なんらかの不調を患者さんは感じている場合が多いと思います.不定愁訴として見逃されてしまうことや,別の理由でDWが下げられないこと(後でお話する)もありますが,爆発する前に見つけてどうにかしてあげたいなと思いますよね。

(おもち)

 

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