専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

【循環器】大腿穿刺部トラブル その13(高位分岐)

2021.06.28
カテゴリー: 循環器

穿刺部のトラブルを減らすために知っておくべきことを紹介してきましたが、今回は高位分岐です。

 

このシリーズの「その3」(安全な穿刺とは)で説明しましたが、トラブルを減らす穿刺の条件は、

・動脈・静脈を同時に貫通しない。

・確実な止血が行える(背側に骨構造がある)。

・近傍の分枝を傷つけない

ということで、下図の位置が適切だと紹介しました。

 

しかし、浅大腿動脈(SFA)と深大腿動脈(DFA)が分岐する位置が、通常よりも頭側にずれていると、SFAやDFAを穿刺することになり、止血時のトラブルにつながります。

 

高位分岐は体表からでは分かりませんので、患者さんの過去のCTやエコーなど、画像から確認するしかありません。あまり穿刺部のことをCTで確認することはないかもしれませんが、やはり準備が大事です。

 

CT画像で説明すると、通常は大腿骨頭より足側でSFAとDFAに分岐します。

 

ところが、高位分岐では、大腿骨頭が写っているレベルでSFAとDFAに分岐します。

 

 

これに気づいていれば穿刺部のトラブルを減らすことにつながります。ぜひカテ前の準備でチェックしてみてください。

(編集長)

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【循環器】大腿穿刺部トラブル その12(ガイドワイヤーの特徴)

2021.06.21
カテゴリー: 循環器

穿刺部のトラブルを減らすには、使っている道具の特徴を理解しておくことも重要です。

穿刺の際に使われるシースキットにはガイドワイヤーが付属していますが、このガイドワイヤーには大きく2種類あります。

 

一つは、コアワイヤーにプラスティックをカバーしたタイプで、ラジフォーカス®が代表的なものです。

 

もう一つが、ステンレスコアに細いワイヤを巻きつけてあるスプリングワイヤー

 

ラジフォーカスタイプは滑りが良く、屈曲や蛇行が強くても挿入できますが、どこでも進んでしまうので、分枝に先端が迷入してしまう危険性があります。透視のない状況で、挿入時の手ごたえだけでは、どこに進んでいるのか全く判断できません。それだけと血管損傷のリスクが高くなります。

 

一方で、スプリングワイヤーは滑りはそれほどでもなく、高度に屈曲していると通過困難なこともあります。しかし、多くの製品が先端形状がJ型になっていることもあり、分枝に迷入しにくいワイヤーです。挿入時のワイヤーの抵抗がなくスムーズに挿入できれば、分枝損傷の危険は小さいと判断できます。逆に何らかの抵抗を感じるのであれば、それ以上挿入の手技をやめて、透視などで確認しないと、トラブル必発と言えます。

 

前回の記事で触れましたが、どうしても透視なしで大腿動脈穿刺をしなくてはいけない時には、編集長だったらシースに付属のワイヤーがどちらのタイプかを確認し、あえてスプリングワイヤーを用いてやります。特にERの現場で重症患者に鼠経部から動脈や静脈にシースを入れることがありますが、穿刺部のトラブルを起こして、かえってヤバいことにならないように慎重にすべきです。

(編集長)

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【循環器】大腿穿刺部トラブル その11(シース挿入時の血管損傷)

2021.06.14
カテゴリー: 循環器

あなたが心カテをやっている時のことを考えてみてください。

 

カテをやる時は最初にシースを入れます。今回は右大腿動脈からシースを挿入しますが、その時なんかスムーズに入りません。「何でだろ?」と思ってやり直すと、今度は問題なく挿入できました。カテも無事に終わって帰室の準備をしようと覆布をとったら、穿刺部周囲が腫れていた・・・。

 

 

このように、穿刺部のトラブルは思わぬ形で起こってしまいます。このケースでは、いったい何が起こったのでしょう?

 

このようなことは、シース挿入時のガイドワイヤーが分枝に迷入してしまうことで起こります。ガイドワイヤー先端で血管穿孔を起こし得ますし、ワイヤーでは損傷しなくとも、分枝に進んだワイヤーに気づかずシースを挿入すると損傷してしまいます。

 

特に注意すべき分枝は、この2つです。(冒頭のCTは下腹壁動脈損傷による血腫です)

 

 

下腹壁動脈に比べて深腸骨回旋動脈(DICA)は角度的にガイドワイヤーが迷入しやすいので、特に注意が必要です。血腫ができる位置も穿刺部と離れていることが多いので、自分のせいじゃないと思いたくなりますが、やはり穿刺手技が原因です。

 

でも、これはカテ室では透視で先端がどこにあるのかを確認すれば防ぐことができます。手ごたえがおかしければすぐに透視で確認をする。手ごたえが問題なくとも透視で確認する。透視で確認することが重要です。

 

問題なのは、透視が使えない状況でシースを挿入する時です。具体的にはERでAライン代わりに動脈にシースを挿入する時が特に危ないので、慎重さが必要です。編集長自身は、冒頭のような血管損傷が怖いので、透視なしの大腿動脈穿刺でシース挿入は原則行いません。でも、どうしても必要な時は、ガイドワイヤーを変更してやることもあります。

 

なぜガイドワイヤーを変更するのか?についいて次回に紹介します。

(編集長)

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医局に入った方がいいのか?

2021.06.07
カテゴリー: ブログ

専門研修について相談を受ける時に、よくある質問の一つが「医局に入った方がいいのでしょうか?」というものです。

 

きちんと数えた訳ではありませんが、外科系の専門研修プログラムは、各大学が基幹型となったものが多く、一方で内科系の専門研修プログラムは、市中病院が基幹病院となったプログラムが多くあります。一口に医局と言ってもいろいろな役割があるので誤解されると困りますが、ここでは内科系で内科専門医やサブスペシャルティ領域の専門資格を取得するという点で編集長の考えを述べたいと思います。

 

結論から言うと、内科系では医局に入らなくとも専門医資格もサブスペシャルティ領域の専門医資格も取得することができます。逆に、医局に入ると安心というイメージがありますが、ボーっとしていると専門医取得のための症例が少ないとか、研修施設での研修期間が微妙に足りないなど、苦労している先生を何度か見かけたことがあります。

 

ここで編集長の個人的な話をさせてください。編集長は地方の国立大学を今から25年前に卒業しました。当時は今のような初期研修制度も専門研修制度もありませんでしたから、ストレート研修と呼ばれた、卒業と同時に各診療科の医局に入る人が9割以上でした。編集長はスーパーローテート方式を採用していた病院に関心が向きました。そして鎌倉にあるT洲会の病院で初期研修を行いました。

 

初期研修はきつかったですが、ヤバいほど多くの症例を経験しましたし、いろいろなことをやらせてもらいました。小児科や産婦人科の知識は、その時のレベルしかありませんが、今でもとても役立っています。3年目から内科に進むことを決めて、膠原病以外のほぼすべての内科をローテートして、5年目に内科チーフレジデントも1年間勤め上げて、T洲会をやめました。その後はT洲会の時に世話になった先生を慕って小さい病院に4年ほど勤務し、ご縁があって水戸済生会に平成17年からお世話になっています。そして今まで医局というものに所属したことは一度もなくやってこれました。

 

この間に資格取得は一通りしました。認定内科専門医、循環器専門医、CVIT専門医、ICD・CRT植え込み認定医、脈管学会専門医、IVR専門医などです。留学はしていないので、そこは今でもコンプレックスです。学会発表は当然していますが、原著論文はなし(あっても当時の上の先生が書いてくれたもの)。でも、多施設臨床研究に参加していたご縁で、某学会のガイドライン作成の仕事に携わるという貴重な経験もできました。

 

何が言いたいのかと言うと「専門医などの資格取得に関して医局に入っていなくて困ったことはない」ということです。

 

医局をうらやましいと思うこともありますが、あなたが教授を目指すなら別として、SNSでいろいろな先生と繋がれる今は、市中病院で臨床の実力を付けながら、関心のある領域の臨床研究を行ったり、海外留学を狙うことは可能です。

 

また、医局に入らないということは自分のキャリア(仕事先や留学など)を自分で決めないといけません。あたりまえのことですが、自分の希望通りに進むために何をすべきか? 何を身に付けないといけないのか? を自分でリサーチして、判断して、行動することが必要です。これから時代がどう変化するかわかりません。今までの勝ちパターンが通用しなくなる可能性が大と考えるなら、キャリア選択に自由度があるのは大きな魅力だと思います。

 

あなたが医局という選択肢しか考えていないのなら、医局以外という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?

 

水戸済生会の内科専門研修は、医局に入らずに内科専門医、腎臓内科、循環器内科、消化器内科のサブスぺ専門医資格を取得できます!下記のZoom説明会やeレジ専門研修にご参加ください!!

(編集長)

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