専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
運動負荷試験の禁忌
前回はCPXを紹介しました。CPXは有用な情報が得られますが、運動負荷をかけるという点では適応や禁忌を熟知しておく必要がある検査です。今回は運動負荷試験の禁忌をまとめておきます。
<絶対的禁忌>
・2日以内の急性心筋梗塞
・内科治療により安定していない不安定狭心症
・自覚症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈
・症候性の高度大動脈弁狭窄症
・コントロール不良の症候性心不全
・急性の肺塞栓または肺梗塞
・急性の心筋炎または心膜炎
・急性大動脈解離
・意思疎通の行えない精神疾患
<相対的禁忌>
・左冠動脈主幹部狭窄
・中等度の狭窄性弁膜症
・電解質異常
・重症高血圧
・頻脈性不整脈または徐脈性不整脈
・肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄
・試験が十分行えないような精神的または身体的障害
・高度房室ブロック
相対的禁忌とは負荷検査の利点が、運動のリスクを上回る場合に実施してよいという意味です。運動負荷により状態が悪化する可能性が高いものですが、低レベルの負荷で慎重に行うことで貴重な情報を得ることがあります。
状態悪化の可能性を考慮して、緊急対応が取れる準備を整えることはもちろんですが、心疾患患者では症状が刻々と変わるものですので、負荷試験直前のチェックも重要になります。
(参考文献:安達仁編著 CPX・運動療法ハンドブック)
(編集長)
カテ後の振り返り
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
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CPX(心肺運動負荷試験)で分かること
前回は外来心リハについて紹介しましたが、心リハを行う上でどの程度まで運動負荷をかけて良いのかの判断には、バイタルの変化や症状の有無だけでなく、負荷試験での評価が重要になります。
そんな時に用いられる負荷試験の一つにCPX(Cardioplumonary Excercise Training:心肺運動負荷試験)があります。当院にもCPXがあって心リハの際に利用していますが、その特徴をまとめてみます。
CPXは「ランプ負荷」、「運動負荷試験」、「呼気ガス分析」という特徴を有する呼気ガス分析を併用して行う運動負荷試験のことです。運動負荷には自転車エルゴメーターが用いられています。
ランプ負荷とは徐々に負荷量が増加するため、安静時、軽労作、中等度の労作、重度の労作と各段階の血行動態などを把握することができます。そして呼気ガス分析で酸素摂取に関する呼吸機能や心機能、骨格筋、自律神経など関連する病態の把握が可能となります。
他の負荷検査としては、運動負荷心筋シンチや負荷心エコーがありますが、運動負荷心筋シンチでは最大運動負荷かけないと評価できません。例えば膝の悪い高齢者だと最大負荷をかけられないので有用な情報が得られないことになります。また負荷心エコーでは骨格筋を含めた全身の情報はえられません。
そしてCPXはトイレ歩行が許可されたばかりの心不全患者さんでも施行可能で、心リハの方針決定に有用な情報が得られます。
CPXの具体的な臨床応用として以下のようなものがあります。
・運動耐容能の評価
・運動処方・日常生活指導
・息切れの鑑別
・虚血重症度の判定
・心不全の病態解明、重症度把握
・ペースメーカ至適モードの設定
・心不全における僧帽弁置換術/形成術の効果予測
(参考文献:安達仁編著 CPX・運動療法ハンドブック)
(編集長)
筑波大学循環器内科のホームページより
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