専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
運動負荷試験の中止基準
前回は運動負荷試験の禁忌をまとめました。今回は運動負荷試験の中止基準について確認します。
中止基準には
・自覚症状
・他覚所見
・血圧
・心電図
で判断していきます。
<自覚症状>
・強い息切れ、下肢疲労や下肢痛(Borgの自覚的強度≧17)
・進行性に増強する胸痛(心電図変化の有無は問わない)
・失調・めまい(中枢神経症状)
・本人の要望(運動を中止したい)
<他覚所見>
・チアノーゼ、顔面蒼白(低潅流の徴候)
・冷汗
・運動失調
<血圧>
・収縮期血圧の上昇不良ないし進行性低下(負荷増強にもかかわらず収縮期血圧10mmHg以上の低下)
・異常な血圧上昇(収縮期血圧250mmHg以上を連続して記録)
<心電図>
・明らかな虚血性ST-T変化(ST上昇や2mm以上の虚血性ST低下)
・調律異常(著明な頻脈ないし徐脈、心室頻拍、頻発する不整脈、心房細動、R on T、心室性期外収縮など)
・Ⅱ~Ⅲ度の房室ブロック
・心電図記録不良(電極接触不良などの技術的要因)
心電図はここに挙げたもの以外にも異常判定の基準がありますが、次回以降に紹介します。
(参考文献:安達仁編著 CPX・運動療法ハンドブック)
(編集長)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
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また、各診療科の専攻医にZoomで質問できますので、その旨もお知らせください!
2025年度の専攻医登録が始まります!
すでにご存知かもしれませんが、2025年4月開始の専門研修プログラムの専攻医登録が11月1日(金)の正午から始まります。
手続きとして、まず専門医機構のサイトで専攻医登録(アカウントの取得)をします。それから希望の専門研修プログラムに専攻医登録サイトから応募します。研修先での面接等の選考を経て採用が決まります。
1次募集の締め切りは11月15日(金) 正午までです。1次募集で希望のプログラムに採用されなかった時は2次募集で別のプログラムに応募することになります。
おそらく多くの研修施設では、例年同様に面接や書類の提出を行い、内定を出しているところが多いかもしれませんが、上述のように専門医機構に専攻医の登録をしてから各研修施設のプログラムに応募しないとできないシステムとなっています。J2のあなたは、よく確認して早めに登録をしてください。
さて、ここで水戸済生会の専門研修についても紹介させてください。
当院は422床の総合病院で、救命救急センター(3次救急)を有するため、ドクターカーやドクターヘリの基地病院としての役割や、茨城県立こども病院と隣接しているため、県央・県北の総合周産期母子医療センターとしてハイリスク分娩などを一手に引き受けています。
専門研修は内科で基幹型プログラムを有していますが、それ以外の診療科は、筑波大学をはじめとした専門研修プログラムの協力施設として、専攻医を受け入れています。
初期研修医の定員は10名で、4年連続でフルマッチしています。このうち当院での内科専門研修に進むのは例年1~2名ですが、近年は他施設で初期研修を終えた専攻医も増えてきています。
水戸済生会の内科専門研修プログラムについてですが、当院には消化器内科、循環器内科、腎臓内科、血液内科、総合内科、糖尿病代謝内科があり、昨年秋から脳神経内科とリウマチ・膠原病内科、さらに今春から血液内科も増員されました。呼吸器内科は現在非常勤のみですが、診療科が増えたことで内科全体の診療がレベルアップしています。
このため、内科専門研修プログラムでは呼吸器内科は水戸地区を中心とした近隣の連携施設で症例を経験できるようにしていますが、それ以外はJOSLER症例の確保に困ることは無くなりました。
また、当院の内科専門研修プログラムの特徴を一言でいえば、消化器内科、循環器内科、腎臓内科を中心に、できるだけ早くサブスペシャルティ領域の専門医資格(以下、サブスペ専門医)を取得することを目指しています。
消化器内科、循環器内科、腎臓内科では施設を異動することなく、当院のみの研修でサブスペ専門医試験の受験資格を得ることができます。そして、これら各診療科の関連する多くの資格を取得可能です。さらにリウマチ膠原病科もリウマチ教育施設に、血液内科も専門研修教育施設に認定されたことから、個々の希望を聞きながら希望診療科の連動研修(並行研修)を取り入れてプログラムを組んでいます。
少しでも早くサブスペシャルティの資格を取りたいあなたは、ぜひ当院の内科専門医プログラムをご検討ください。
(編集長)
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運動負荷試験の禁忌
前回はCPXを紹介しました。CPXは有用な情報が得られますが、運動負荷をかけるという点では適応や禁忌を熟知しておく必要がある検査です。今回は運動負荷試験の禁忌をまとめておきます。
<絶対的禁忌>
・2日以内の急性心筋梗塞
・内科治療により安定していない不安定狭心症
・自覚症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈
・症候性の高度大動脈弁狭窄症
・コントロール不良の症候性心不全
・急性の肺塞栓または肺梗塞
・急性の心筋炎または心膜炎
・急性大動脈解離
・意思疎通の行えない精神疾患
<相対的禁忌>
・左冠動脈主幹部狭窄
・中等度の狭窄性弁膜症
・電解質異常
・重症高血圧
・頻脈性不整脈または徐脈性不整脈
・肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄
・試験が十分行えないような精神的または身体的障害
・高度房室ブロック
相対的禁忌とは負荷検査の利点が、運動のリスクを上回る場合に実施してよいという意味です。運動負荷により状態が悪化する可能性が高いものですが、低レベルの負荷で慎重に行うことで貴重な情報を得ることがあります。
状態悪化の可能性を考慮して、緊急対応が取れる準備を整えることはもちろんですが、心疾患患者では症状が刻々と変わるものですので、負荷試験直前のチェックも重要になります。
(参考文献:安達仁編著 CPX・運動療法ハンドブック)
(編集長)
カテ後の振り返り
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CPX(心肺運動負荷試験)で分かること
前回は外来心リハについて紹介しましたが、心リハを行う上でどの程度まで運動負荷をかけて良いのかの判断には、バイタルの変化や症状の有無だけでなく、負荷試験での評価が重要になります。
そんな時に用いられる負荷試験の一つにCPX(Cardioplumonary Excercise Training:心肺運動負荷試験)があります。当院にもCPXがあって心リハの際に利用していますが、その特徴をまとめてみます。
CPXは「ランプ負荷」、「運動負荷試験」、「呼気ガス分析」という特徴を有する呼気ガス分析を併用して行う運動負荷試験のことです。運動負荷には自転車エルゴメーターが用いられています。
ランプ負荷とは徐々に負荷量が増加するため、安静時、軽労作、中等度の労作、重度の労作と各段階の血行動態などを把握することができます。そして呼気ガス分析で酸素摂取に関する呼吸機能や心機能、骨格筋、自律神経など関連する病態の把握が可能となります。
他の負荷検査としては、運動負荷心筋シンチや負荷心エコーがありますが、運動負荷心筋シンチでは最大運動負荷かけないと評価できません。例えば膝の悪い高齢者だと最大負荷をかけられないので有用な情報が得られないことになります。また負荷心エコーでは骨格筋を含めた全身の情報はえられません。
そしてCPXはトイレ歩行が許可されたばかりの心不全患者さんでも施行可能で、心リハの方針決定に有用な情報が得られます。
CPXの具体的な臨床応用として以下のようなものがあります。
・運動耐容能の評価
・運動処方・日常生活指導
・息切れの鑑別
・虚血重症度の判定
・心不全の病態解明、重症度把握
・ペースメーカ至適モードの設定
・心不全における僧帽弁置換術/形成術の効果予測
(参考文献:安達仁編著 CPX・運動療法ハンドブック)
(編集長)
筑波大学循環器内科のホームページより
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