専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

【循環器】腸間膜動脈疾患 その3

2020.11.30
カテゴリー: 循環器

前回は、急性腸間膜動脈虚血の

診断について紹介しました。

今回は治療に関してです。

 

上腸間膜動脈が急性閉塞した場合、

壊死した腸管の切除のみで生存できる

のは20~30%で、主に末梢側(腸管に

近い側)の塞栓の場合です。

 

ほとんどの場合、救命するために即時の

再灌流が必要となりますが、腸管の評価

(つまり切除する必要があるかの判断)は

CTだけでは悩ましいこともあり、開腹する

必要も出てきます。

 

開腹が先か?再灌流が先か?は議論の

余地がありますが、実際のところ消化器

外科が主体で見ている施設もあれば、

当院のようにIVRチームが最初に関わる

ところもあり、施設の事情に影響されます。

 

またガイドラインでは、再灌流の方法に

ついても言及しています。

まとめると、

・塞栓性閉塞の場合、開腹再灌流と

 血管内再灌流は同等の効果。

 血栓性閉塞では血管内治療の方が

 死亡率と腸管切除率が低い。

・(高齢の)虚弱な患者を治療する際

 には、ダメージコントロール手術の原則に

 従うことが重要。 

・急性腸虚血患者では血管内治療後の

 開腹手術は必須ではないが、腸の検査が

 必要になることが多い。 

・上腸間膜動脈のカテーテル血栓溶解術は

 良好な結果が報告されており、腸粘膜壊疽が

 なければ、重篤な出血性合併症はまれ。

 

ガイドラインの推奨は以下のように

なっています。

(Angiologist)

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【循環器】腸間膜動脈疾患 その2

2020.11.23
カテゴリー: 循環器

前回は、ESCガイドラインから、急性

腸間膜動脈虚血の診断に関する

推奨事項を紹介しました。

今回は診断に関する補足です。

 

症状の特徴は

・検査所見はほとんどないが激しい腹痛、

・腸の空洞化(多くの場合、嘔吐と下痢の

 両方を伴う)、

・塞栓症の原因(心房細動など)の存在。

約80%の症例で、この3要素を伴っている

そうです。

 

採血検査ではDダイマーの利用を考慮と

なっていますが、メタアナリシスでは

D-ダイマーの感度は96%、特異度は40%と

感度が高いものの、特異度に欠ける検査

です。なので、使い方としては、Dダイマーが

上昇している急性発症の腹痛なら、

急性腸間膜動脈虚血を疑う必要がある、

という程度で他の検査を進めるべきでしょう。

 

ちなみに、腹部の単純X線検査も行われる

と思いますが、この検査の特異性はなく、

正常であれば、診断を除外するものでは

ないということです。

 

診断のためには、やはりCTアンギオが

一番で、メタアナリシスでも診断精度は

高く、感度94%、特異度95%となって

います。

 

なお、腎機能が悪化していることが一般的

ですが、臨床的に疑わしい場合にはCT

アンギオを禁忌とすべきではない、として

います。つまり他の検査法はあまり役に

立たないので、たとえ腎機能が悪くても

疑ったらCTアンギオをやるしかない

ということです。

 

また、診断するという点においては

エコーや血管造影は有用でない、

MRAは実際にほとんど行われていない

のでデータがないと記載されています。

(Angiologist)

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【循環器】腸間膜動脈疾患 その1

2020.11.16
カテゴリー: 循環器

80歳前後の高齢者が、急性発症の

腹痛でERを受診しました。バイタルは

血圧も保たれ、発熱もありません。

腹部の診察をしてみると、腹部は

柔らかく、圧痛もありません。

腹膜刺激所見もないのですが、

患者はひどく痛がっています。

 

こんな時、あなたは何を鑑別に

考えますか?

 

腹部所見が大したことないのに、

本人の腹痛の訴えが強い時には、

必ず上腸間膜動脈閉塞症を鑑別に

挙げましょう。特に心房細動の

罹患率が高い高齢者では要注意です。

 

腹部が柔らかいから大丈夫だろうと

油断すると、数時間後には大変な

ことになっています。

 

ESCのガイドラインでは、

急性/慢性腸間膜動脈疾患は非常に

致死的な疾患であるにも関わらず、

診断が見過ごされやすい。診断のため

には臨床所見から疾患を疑い、その

うえで画像検査を行うことが重要である。

と書かれています。

 

次回からガイドラインの内容を紹介して

いきます。

 

ちなみに、急性腸間膜動脈虚血の診断に

関する推奨事項は、以下の2つです。

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【循環器内科】樋口先生の論文がpublishされました!

2020.11.09
カテゴリー: 循環器

当院の循環器内科で活躍する樋口先生が

まとめたリードレスペースメーカーに関する

論文が、PACEという雑誌にpublishされました!

オメデトウございます!!

 

樋口先生の論文はこちら

 

リードレスペースメーカーを植え込んでも

微妙に閾値が上昇することがあり、どこを

カットオフにするのがいいのか?という

Ckinical Questionから始まったものです。

 

当院ではリードレスペースメーカーの留置

症例が多いので、そのデータをもとに、

カットオフ値を提案した論文です。

 

これが議論の一歩になって、リードレス

ペースメーカーの成績向上につながると

いいですね。

 

ちなみに、樋口先生はPCIはもちろん、

ペースメーカーもICD、CRTD、そして

下肢EVT、EVAR、IVRと非常に幅広く、

何でもできる先生です。そんな忙しい中で

まとめた論文です。

 

樋口先生お疲れ様でした!

(編集長)

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【消化器内科】胆道鏡その3

2020.11.02
カテゴリー: 消化器内科

前回は、ほとんどSpyGlassの話に

なってしまいましたので、今回は

オリンパス社の胆道鏡についても

お話したいと思います。

 

オリンパス社の胆道鏡は使用経験が

少ないため、内容に間違いがあったら

すみません。

 

オリンパス社の胆道鏡の最大の利点、

それはその他の消化管内視鏡同様、

再使用可能であることです。

 

そして、内視鏡メーカーとして、超細経

スコープながら高画質であることです。

 

そのため、使いたいとき「比較的簡単」に

使えます。

 

「比較的簡単に」というのは、

・壊れやすいので、やっぱり必要性は

 吟味して使用しなければならない。

・太いので使用可能な内視鏡が限定される。

・壊さないために、確実に検査するために、

 技術が必要である。

 

開発チームの努力により、確実に壊れにくく

進化してきていると言われていますので、

ゆくゆくは本当に気軽に使える内視鏡に

なってくれると期待しています。

(Nao)

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