専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
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VTEにおける活動性がんの定義とKhoranaスコア

2025.05.19
カテゴリー: 循環器

まずはお詫びさせてください。前回は新しいガイドラインから、VTEを見つけた時のDOACの継続期間について紹介しました。そこで提示した症例は大腸癌術後の症例を提示しましたが、「がんの活動性」について編集長のガイドラインの読み込みが不十分で記載が誤っていたので、前回記事を訂正しています。大変失礼しました。

 

さて、その「がんの活動性」とは,以下のいずれかを満たすこととなっています。

 ① 割り付け前の6ヵ月以内に,がんと新規に診断された場合
 ② 割り付けの6ヵ月以内に,がんの治療(手術・化学療法・放射線療法など)が実施された場合
 ③ がんの治療(手術・化学療法・放射線療法など)を実施中の場合
 ④ 再発,局所にて浸潤する,もしくは遠隔転移巣を有する場合
 ⑤ 造血器腫瘍の患者では,完全寛解を得ていない場合

活動性がんはVTE発症の危険因子となりますが、治癒したがん患者ではVTE再発リスクは高くなく、非がん患者と変わらないことが示されています。そのためDOACを継続するか否かの判断は、がんの既往の有無でなく、がんの活動性の有無で判断するそうです。

 

前回は大腸がんの術後にVTEを発症した症例を提示したのですが、活動性がんに該当しますから、長期のDOAC服用が望ましい症例ということになります。

 

また活動性がん患者では、Dダイマーがあまりあてにならないことが知られています。そこで用いられるのがKhoranaスコアです。

 

このKhoranaスコアの日本人における有効性については、スコア0点ならVTE有病率は1.7%、1~2点なら7.3%、3点以上なら11.0%と報告されていて一定の有用性が期待できるようです。1点以上であればエコーなどでの評価を行っていくのが現実的なところだと思います。

 

 

(出典:2025 年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン)

(編集長)

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