専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

年末のご挨拶

2020.12.28
カテゴリー: ブログ

早いもので、もう年末です。

 

当院の専門研修を紹介する目的で

始めたこのブログも、今年の7月

から週1回のペースで細々ながら

続けることができました。

 

閲覧数は少ないものの、毎回

あなたに記事を読んでいただき

編集長としてはうれしい限りです。

改めて御礼を申し上げます。

 

さて、話は変わりますが、今年1年は、

コロナの影響を抜きに語ることが

できません。

 

おそらく、ここまで短期間に生活や

仕事、そして世界が大きく変わった

ことはなかったハズです。

 

初期研修中のあなたも、いつも

なら普通にやっているはずの診療が

できなかったり、カンファレンスや

学会が中止になってWebばかりに

なったりと、まさに激変の1年だった

と思います。

 

これからの日本そして世界の医療が

どうなっていくのか?そんなことを

自分なりに想像しながら、これからの

あなたのキャリアのことを考えている

のではないでしょうか?

 

そんな時に考えるべき4つのポイントが

書いてある本を見つけたので紹介します。

 

(Google式_4ステップキャリア戦略、

ダイレクト出版 より)

これは元・Googleの人材開発
マネージャーで、キャリア戦略の

プロであるジェニー・ブレイクと

いう人が提唱している方法です。

あなたのキャリアを考えていく時に
①プラント(基盤作り)
②スキャン(探索)
③パイロット(試行)
④ローンチ(始動)」

という4つのステップを考えると

良いそうです。

Plant(基盤作り)
変化を起こす上で一番大切な

ステップ。
自分の価値観、強み、興味、そして

1年後の未来像=ビジョンに基づいて

土台を作る段階です。

Scan(探索)
スキル、人、潜在的な機会の3つに

関して、自分の価値観や興味に

基づいて情報を探したり整理したり、
機会を探す。
そして、目標に対して不足している

知識とスキルを見極めて補いつつ、

色々な人に話を聞く段階。

Pilot(試行)
試しに小さくスタートする段階。
リスクの低い小さなテストで新しい

方向性を試す。こうすることで、

リスクを減らし成功確率を高め

られる。

必要に応じてここまでの
ステップを繰り返す

Launch(始動)
思い切った行動を取る段階。
目標までの道のりの80-90%は
第3段階までで決まっている。

最後の段階では、未知の領域の

不確定要素があっても、強い信念

を持って重要な決断を下す必要

がある。

これらの4つのステップを踏むことで、

「現在の自分」と「目標 とする自分」

との差を計画的に縮めることが

できるそうです。

今のあなたを客観的に見た時に
どの位置にいるのか?

年末年始に考えてみてはどうでしょうか?

(編集長)

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【循環器】腎動脈疾患・・・疑うポイント

2020.12.21
カテゴリー: 循環器

動脈硬化性疾患について、ESCの

ガイドラインから紹介している

このシリーズですが、頸動脈病変、

上肢動脈疾患、腸間膜動脈疾患と来て、

今回から腎動脈疾患に入ります。

 

腎動脈狭窄が高血圧に関与するのは

有名ですが、一時期は腎動脈狭窄に

対するステント留置が流行ったものの、

今ではほとんど話題になりません。

 

また、腎デナベーション(腎交感神経

除神経術)という治療も盛り上がった

のですが、その後は普及していません。

 

どちらの治療も、非常に有効な症例は

あるのは間違いないのですが、どの

ような症例が治療適応となるのかが

良く分かっていないのが現状です。

 

ESCガイドラインでも、こういった背景も

あって、腎動脈疾患に関する記載は

少ないですね。

 

今回は、腎動脈疾患が疑われる臨床

所見を紹介します。

 

<腎動脈疾患が疑われる臨床所見>

・30歳未満の高血圧発症

 

・55歳以上でCKDや心不全を伴う

 重症高血圧発症

 

・高血圧と腹部の血管雑音

 

・コントロールされていた高血圧の急速

 かつ持続性の悪化

 

・治療抵抗性の高血圧

 

・高血圧クライシス

 (急性腎不全、急性心不全、高血圧性

 脳症、grade 3-4の網膜症)

 

・新たな高窒素血症やRAS系阻害薬

 投与後の腎機能悪化

 

・原因不明の腎萎縮、腎サイズの左右差、

 腎不全

 

・急性肺水腫

 

ちなみに治療抵抗性高血圧は

定義があって、

「他の二次性高血圧でなく、利尿剤と

鉱質コルチコイド(アルドステロン)受容体

拮抗剤を含む適切な容量の4種類の薬剤を

用いても目標値に下がらない」

となっています。

(Angiologist)

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【循環器】腸間膜動脈疾患 その5

2020.12.14
カテゴリー: 循環器

今回は慢性腸間膜動脈虚血(CMI)の

画像診断と治療についてです。

 

【画像診断】

画像診断の第一選択はエコーです。

腹腔動脈、上下腸間膜動脈のフローを

ドップラーで評価するのが、一番侵襲が

少なく評価できます。ただし、評価基準

には定まったものは、まだありません。

 

他には造影CT、MRA、血管造影ですが、

血管造影では、実際のフローの評価と

狭窄前後の圧の評価ができる利点が

あります。

 

【治療】

無症候性の場合は、予防的な血行再建の

適応はありません。一方、症候性の場合は、

栄養状態を改善するために再灌流を遅ら

せることは推奨されていません。

 

侵襲性の低い治療法として血管内治療が

広く行われるようになっていますが、ラン

ダム化比較試験(RCT)がないことから

血管内治療を第一選択としてよいかの

結論は得られていません。

 

他にも、腹腔動脈と上下の腸間膜動脈の

うち、どれを血行再建すべきか、ベアメタル

ステントにすべきか、カバードステントを

用いるべきかなど、明らかになっていない

ことが多々あります。

(Angiologist)

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【循環器】腸間膜動脈疾患 その4

2020.12.07
カテゴリー: 循環器

前回までは急性腸間膜動脈虚血に

ついて紹介してきました。今回からは

慢性腸間膜動脈虚血(CMI)に関してです。

 

CMIというと、あまりピンときませんが、

具体的には腹腔動脈または上下の

腸間膜動脈の狭窄または慢性閉塞が

含まれます。

 

CMIの有病率は、当然のことながら年齢

とともに増加し、特に他の動脈硬化性

疾患および腹部大動脈瘤の存在下では

増加することが知られています。

 

腹腔動脈と上下腸間膜動脈の3つのうち

少なくとも1つの動脈の有意な狭窄あるのは、

腹部大動脈瘤患者で40%、下肢動脈疾患

(LEAD)の患者では27%に認められたとの

報告があるそうです。

 

CMIの典型的な症状は、食後の腹痛、体重

減少、下痢、便秘ですが、無症状のことも

良くあります。また、食後の腹痛を避ける

ために、患者さんは食べることを嫌がります。

でも、悪性腫瘍の患者んなどとは対照的に

食欲は影響を受けません。つまりおなかがすくけど

痛くなるので食べたくない、と言うのです。

 

ポイントは臨床的に疑うことが早期診断の

カギになります。非特異的な検査所見として、

貧血、白血球減少、電解質異常、栄養失調

による二次的な低アルブミン血症などがあります。

(Angiologist)

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