臨床研修ブログ

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感染症【治療】の2つの軸・・・化学的と物理的

2021.05.08

4月に開催された松永先生の感染症レクチャーから、基本の復習です。

 

前回は感染症【診断】の2つの軸を紹介しましたが、今回も2年前のブログから感染症【治療】の2つの軸についてです。

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60歳代の女性が発熱で入院。CVA叩打痛と尿所見から尿路感染症と診断しました。尿培養と血液培養を採取後に抗菌薬(CTRX)を開始。培養結果は、尿も血液も素直なE.coliでした。感受性をみても抗菌薬は当たっているはず。なのに、解熱しないし、CRPも良くならない。あなたにはこんな経験はありませんか?今回は松永先生のカンファから感染症治療の2つの軸を紹介します。

 

感染症治療=抗菌薬 

 

というイメージを持っている人は多くいます。もちろん抗菌薬が感染症治療の重要な位置を占めているのは間違いありません。そもそも、抗菌薬の役割は微生物を「化学的に除去する」ことですが、用量が少なすぎたり、目的のところに十分到達しなければ効果は得られません。

 

こんな時に、二つ目の大事な治療の軸があります。それは、「物理的に除去する」ということです。

 

ドレナージや洗浄、切除(切断)、人工物の除去など、外科医など他の診療科とも協力して治療を行う必要があることを忘れてはいけません。

 

物理的に微生物を排除するのは具体的に以下のようなものがあります。

-膿瘍

-「うっ滞性」感染症 

 ・胆石・腫瘍による胆道閉塞 ⇒ 胆管炎

 ・尿路結石による尿路閉塞 ⇒ 尿路感染症

-人工物

 ・中心静脈ライン

 ・動脈ライン

 ・人工呼吸器    

 ・胃管

 ・尿カテ

 ・人工弁

 ・人工関節 など

-壊死組織

 

冒頭の症例は、腎周囲膿瘍を来していたため、単なる抗菌薬の点滴のみでは改善に時間がかかった症例です。幸いドレナージなどせずに、保存的治療のみで治癒しました。

 

あなたも抗菌薬のオーダーをしただけで安心してはいけません。化学的と物理的の2つの治療の軸を忘れないようにしましょう。

(編集長)

手際の良さが光ります♪

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感染症診断の2つの軸・・・どこで?なにが?

2021.05.06

4月にZoomで松永先生の感染症レクチャーがありましたが、感染症診療の基本は日常臨床において、とても大事です。編集長は、もう10回以上聴講しているのでだいぶ覚えてきたように思いますが、毎回何かしらの発見があります。そして、良く分からない時ほど基本に立ち返ることが必要です。

 

今回は2年前のブログの再掲になりますが、感染症診断の2つの軸について紹介しているので、ぜひご覧ください。

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あなたがER当直をしていると高齢の女性で、施設入所中の患者さんが発熱を主訴に搬送されてきました。血液検査ではWBCが1万、CRPは18と炎症反応が上昇していましたが、それ以外は明らかな異常はありません。尿所見は白血球も細菌もなし、腹部は圧痛なしでした。胸部レントゲンは明らかな肺炎像はないけれど、施設のスタッフの話では食事の際にむせこむこともあったらしい。

 

以前に肺炎で入院歴があるので、今回もきっと誤嚥性肺炎だろう。そう考えて、血液培養を2セット採取後に抗菌薬(ABPC/SBT)を開始しました。よくありそうな症例ですよね。

 

ところが翌日に細菌検査室から「4本中4本でグラム陽性球菌です」と連絡がありました。さらにその翌日には「G群溶連菌(GGS)でした!」こんな報告が届きました。

 

この症例の診断は、肺炎で良かったでしょうか?

松永先生は「感染症診断の二つの軸」を強調しています。感染症を診断する時は、同時に2つことを考えるということです。

 

その2つとは感染巣(解剖学的診断)起炎菌(微生物学的診断)。言い換えると、どこで(Where?) なにが?(What?)悪さをしているのかを考えましょうということです。

 

冒頭の症例は、血液培養からGGSが検出されたら、「肺炎ではなさそうだぞ」と違和感を持つ必要があります。

 

微生物学的診断(なにが?)はGGSと判明しているので、どこを探すか?

 

GGSが起炎菌となりそうな臓器、例えば口腔内、皮膚軟部組織、血液を思い浮かべて探しに行きます。この症例は、背部や臀部も含めて皮膚軟部組織には異常なく、感染性心内膜炎も否定されました。最終的に口腔内の所見から化膿性耳下腺炎と診断されました。

 

診断は違っていましたが、当初の抗菌薬でカバーされていたので、結果は同じだったかもしれません。でも、もし感染性心内膜炎だったら、中途半端な治療になってしまうことも十分あり得ます。感染性心内膜炎の再燃で再入院なんて経験したくないですよね。

 

感染巣が分かれば、起炎菌も絞られます。 微生物が分かれば、感染巣も絞られます。

どこで?(=感染巣) なにが?(=微生物)をおさえながら診療に取り組んでいきましょう!

(編集長)

カテの助手として奮闘中

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Clinical Prediction Rule(CPR)を活用しよう!

2021.05.04
カテゴリー: 救命救急センター

めまいを主訴とする患者さんが夜のERを受診しました。

 

詳細に病歴を聴取して、丁寧に身体所見や神経所見を見て、どうやら、中枢性のめまいではなさそう。説明して、帰宅を指示しよう…と思っていたら患者さんがド派手に嘔吐!症状の訴えも強く、家族も心配そうに「大丈夫なのでしょうか?」と聞いてくるし、緊急でCT/MRIを撮ったほうが良いのか迷う…、こんな経験、研修医なら誰しもあるのではないでしょうか?

 

そんなふうに判断に迷うとき、Clinical Prediction Rule(CPR)が役に立つことがあります。CPRとは、臨床現場で得られる複数の情報を組み合わせて、ある疾病の有無や将来起こりうるイベントを予測するための指標です。有名どころでは、SOFA scoreやA-DROPシステムなどは国家試験でも頻出ですよね。

 

2021年3月に出版された舩越拓先生(東京ベイ・浦安市川医療センター救急外来部門部長)の著書『救急検査ケースファイル』はそんなCPRの原則を勉強するのに最適な1冊です。15種類の判断に迷うケース(主訴)に対してそれぞれいくつかのCPRが紹介されています。

 

詳細はぜひ購入して読んでいただければと思いますが、上記の様なケースは「acute vestibular syndrome(AVS)」と呼ばれます。AVSのうち25%は脳血管障害を原因としていることが報告されていますが、めまい以外の神経症状を呈さないこともあり、ERでは必ず中枢性であることを否定しなくてはなりません。

 

では、ERでめまい患者(特にAVS)に対して全例MRIを撮るのか?少なくとも当院のERでは、そんなことをしていたら当直がまともに機能しません。そんな時に研修医の強い味方になってくれるのが「HINTS法」です。

 

HINTS法とは、Head Impulse Test(HIT)、Nystagmus、Test of Skew deviationを組み合わせてAVSにおける脳血管障害の有無を判別するためのCPRです。上記3項目の陰性が確認されれば、MRI拡散強調像よりも正確に(!)中枢性めまいを否定できるとされています。(HINTS法に聴力検査を組み合わせるとその感度は何と100%!)もちろん正しく手技が行えることが前提条件ですが、使いこなせるようになればベッドサイドでほんの数分でヤバイめまいがバッチリ鑑別できる様になること請け合いです。

 

この本の素晴らしいところは、主訴ごとのCPRを網羅的に紹介したのち、「そのCPRはどういう意味なのか?」「実臨床で(筆者・舩越先生が)どの様に活用しているのか?」が記されている点だと思います。

 

この世には数多のCPRが溢れているわけですが、その解釈や有用性に疑問が呈されているものも多く、間違った使い方をすると痛い目を見ることになる危険性もあります。(そうならないようにひとつひとつが徹底的に分析されていて、読むほど嘆息が漏れます。。。)「巨人の肩に『正しく』乗って」ERでの診療をテンポ良く安全に楽しんでいきたいなーと思いました。救急医療のフィールドを志す人にはおすすめの一冊です!

(Dr.K)

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【御礼】6年目に突入します!

2021.05.01
カテゴリー: 初期研修

いつも当ブログをご覧いただき有難うございます。

 

2016年の5月から始めたこのブログですが、今月で5周年を迎えました!そして、6年目に突入です!!こうして長いこと続けてこれたのも、あなたが読んでくれているからです。改めて御礼申し上げます。

 

このブログでは、当院のイベントはもちろんのこと、初期研修医や医学生のあなたに知ってもらいたいこと、病棟やERで役立つ知識などを記事にしています。

 

お気づきの方も多いと思いますが、最近では当院の研修医たちのアウトプットの場としても活用させてもらっています。

 

彼らには、あまり難しい説明ではなく、自分の後輩や一緒に仕事する看護師さんたちに説明するような感じで書いてもらっています。難しい内容を分かりやすく説明するスキルは思っている以上に難しいものですが、患者さんへの説明する時にも間違いなく役立ちますからね。

 

これからも当院の研修をもっと知ってもらい、なおかつ、あなたに役立つ内容をお伝えできるように、このブログを続けていますので引き続きご愛読をお願いいたします。

(編集長)

水戸済生会は研修医がヘリに乗る!

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