臨床研修ブログ

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IgG4関連疾患(IgG4-RD)

2025.01.21

60歳代の女性が腎後性腎不全で入院となりました。尿管ステントを入れえて水腎症を解除すると腎機能も改善しましたが、造影CTで後腹膜線維症の疑いと膵頭部腫瘤を指摘されました。こんな時、あなたならどんな鑑別疾患を考えますか?

いろいろ挙げられるかもしれませんが、鑑別の一つに挙げておく必要があるのがIgG4関連

疾患です。そこで今回はJ1のK.T先生がIgG4関連疾患についてまとめてくれたのでシェアします。

 

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皆さんはIgG4関連疾患(IgG4-RD)と聞いて何を思い浮かべますか?名前を聞いたことはあっても詳しくご存知の方は少ないかもしれません。ちょっとだけ一緒に学んでみましょう。

 

【定義】

IgG4関連疾患とは、比較的高齢者に好発し、「リンパ球やIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により、全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める慢性炎症性疾患」と定義されます。

 

【症状・検査・診断基準】

上記に全身諸臓器とありますが、膵臓、胆管、涙腺・唾液腺をはじめとして肺、消化管、腎臓、後腹膜…と挙げればキリがありませんし、症状も多岐にわたります。

 

具体的には自己免疫性膵炎で閉塞性黄疸を呈したり、後腹膜線維症における尿管閉塞による水腎症などなど。体の隅々まで炎症のチェックが必要なため、PET-CTも検査として有用なようです。

 

次に診断基準を見てみます。IgG4関連疾患包括診断基準によれば、

 

1.臨床的及び画像的に単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める。

※リンパ節が単独病変の場合は除く。

 

2.血液学的に高IgG4血症(135 mg/dL以上)を認める。

 

3.病理組織学的に以下の2つを認める。

①組織所見:著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める。

②IgG4陽性形質細胞浸潤:IgG4/IgG陽性細胞比40%以上、かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える。

③特徴的な線維化、特に花筵状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれかを認める。

→上記のうち、1 + 2 + 3を満たすものを確定診断群、1 + 3を満たすものを準確診群、1 + 2を満たすものを疑診群とする。

 

いかがでしょうか。長くなりましたが要するに、「IgG4が増え、体のあらゆるところに腫瘤を形成し、病理学的に特徴的な線維化が見られる炎症性疾患」とでも表現すればよろしいでしょうか。

 

ちなみに上記の包括的診断基準を満たさなくても、臓器別の診断基準は満たすことがあります。またClassificaion Criteriaという別の診断基準もあります。

 

【鑑別のポイント】

特異的な自己抗体のない慢性炎症性疾患ですので、よりコモンな感染や悪性腫瘍を除外しつつ、その他の炎症性疾患を除外することが重要です。

 

【治療】

ステロイドになります。誤って悪性腫瘍に投与した場合も一時的に良くなってしまうことがあるのでしっかりと診断すべきところです。また減量・中断により再発が多いことも難治性疾患と言われる所以です。

 

【国試】

医学生の皆さんに一つお伝えしたいのは、この疾患は日本が先導して情報発信してきた新しい概念ということで、「国試的に出しやすい」とも言われております。具体的には111A08、114A13などに出題されており、今後も対策する必要があるかと思います。

  

まだまだ奥が深く解明されていない疾患です。興味を持たれた方は、ぜひ詳しく調べてみてください。

(K.T)

 

ICUの回診中

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