臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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下部尿路障害 その8

2019.12.26

今回も前回に引き続き、

アラレちゃんの症例解説です。

 

39歳女性 

主訴:尿失禁

3経妊3経産。2人目の産後から咳や

くしゃみでときどき尿漏れを自覚した

ため、パットをあてて生活していた。

3人目の産後、仕事の時や、おもいきり

笑った時、子供を抱きかかえる時は

ほぼ必ず漏れるように。趣味だった

ジム通いや友達との旅行も不安で

行けなくなってしまった。

 

解説:

残尿は0ml。咳ストレステストで失禁、

パットテストで100mlの失禁を認めました。

病歴からもお産を契機とした腹圧性

尿失禁ですね。

 

女性は骨盤の底を骨盤底筋や靭帯で

支えているため、お産、加齢、便秘に

よる筋損傷や筋力低下が腹圧性尿失禁

のリスクとなります。

 

最近、骨盤底筋体操がテレビで取り上げ

られることも多く、耳にしたことのある

患者さんも増えてきました。

 

でも、実際の外来では、うまく収縮できて

いる方は意外と少なく、逆に腹圧を

かけてしまっていて、「やめてー!」

と言いたくなる方もいます。

(言うは易く行うは難し)

 

といっても診察は専門外来でないと

難しいので、一般外来レベルでは

「肛門をしめる」というように教えて

あげてください。

 

 

おしっこのトラブルは頻度が多いにも

かかわらず、羞恥心から相談できずに

我慢している人も少なくありません。

 

体は健康なのに、おしっこのことで

生活が制限されるのはもったいない

ですよね。

 

命にかかわる疾患ではありませんが、

患者さんが、これから笑って過ごせる

ように、いつもより少しだけ注目して

みてください。

(アラレちゃん)

 

順調にPICC挿入終了

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下部尿路障害 その7

2019.12.24

前回に引き続き、アラレちゃんの

症例解説です。

 

64歳女性

主訴:尿意切迫感

高脂血症や糖尿病、高血圧で加療を

行っているが、最近体重が増加傾向に

ある様子。以前からトイレが近かったが、

ここ数か月で尿意を感じてからトイレまで

間に合わなくて漏れることが多くなった。

水仕事をすると尿意が強くなる。

 

解説:

残尿は0ml、排尿日誌では昼夜ともに

2時間おきと頻回、1回の排尿量は

50-150mlと低下し、多尿や飲水過多は

ありません。自覚症状と他覚所見から

過活動膀胱による蓄尿障害と診断しました。

 

治療薬としてはβ刺激薬抗コリン薬

なりますが、まずは副作用のより少ない

β刺激薬から始めることが多いです。

 

非神経因性の過活動膀胱に膀胱虚血が

関係していることが知られ、生活習慣病や

メタボリックシンドロームによる動脈硬化は

リスク因子となります。既往症のコントロール

により症状が改善することもあります。

(アラレちゃん)

 

術前のカンファ風景

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下部尿路障害 その6

2019.12.12

紹介してきたアラレちゃんの記事

ですが、思いのほか好評で、

大変喜んでいます!

 

その勢いで、より理解を深められる

ように、典型的な症例を解説して

もらうことにしました!

 

今回は頻尿を訴える高齢男性の

場合です。

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75歳男性      

主訴:頻尿

現病歴:2年ほど前から排尿困難を

自覚し、最近頻尿の症状も出てきた。

日中は2時間ごと、夜ひどいときは

4回も起きてしまい、夜眠れない。

 

解説:

男性の頻尿の場合は、排尿困難や

尿性勢低下といった排尿障害がベース

にあることが多いです。

 

この患者さんは残尿が150ml、尿勢は

max9.8m/sと低下していました。超音波で

前立腺体積は65mlと肥大を認め、

前立腺肥大症に伴う排尿障害が疑われ

ます。

 

主訴は頻尿ですが、まずは排尿障害の

治療を優先し、残尿を減らす必要が

あります。間違っても、残尿を見ずに

蓄尿障害の薬剤(抗コリン薬やβ刺激薬)

を処方してはいけません。

(アラレちゃん)

導入されたばかりの新型ドクターカー

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下部尿路障害 その5

2019.12.07

アラレちゃんの下部尿路障害の解説。

今回は排尿障害の治療に関してです。

 

<治療・排尿障害に対するアプローチ>

女性の排尿障害の頻度は低く、

男性がほとんど。

 

①内服薬やアルコール摂取の確認

感冒薬・鎮咳薬・抗ヒスタミン薬・

抗コリン薬・抗うつ薬により排尿困難や

尿閉をきたす。アルコールは排尿筋の

収縮力を直接低下させることで症状を

増悪させる。

 

②薬物療法

α1遮断薬は前立腺平滑筋および

膀胱頚部平滑筋の緊張を低下させる。

副作用としては起立性低血圧、射精障害

がある。他に5α還元酵素(前立腺体積を

低下させる。ただしPSAが低下するため

使用前にPSA値を確認する必要がある)、

PDE5阻害薬(平滑筋にNOを作用させ

平滑筋弛緩を促進する)がある。

 

③尿道カテーテル留置

留置は尿閉の場合。以後の排尿管理は

泌尿器科へコンサルトが必要となる。

(アラレちゃん)

 

ERCPを終えて、患者さんの入れ替え中

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下部尿路障害 その4

2019.12.05

アラレちゃんの下部尿路障害の解説。

今回は畜尿障害の治療に関してです。

 

<治療・蓄尿障害に対するアプローチ>

 

①生活指導

・水分摂取量・総尿量の確認

体重×25-30mlの尿量となるように

飲水量を調整する。夜間頻尿がある

場合は夕方以降の飲水量を制限する。

 

・カフェイン・アルコール・内服薬の調整

カフェインやアルコールによる利尿

効果で症状を悪化させるため、

摂取の制限が必要。特に夜間頻尿が

ある場合は夕方の摂取を控える。

利尿薬や糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)

なども多尿の原因となりうる。

 

②行動療法

・膀胱訓練

排尿を我慢して、蓄尿量を上げる

ことが目的。強い尿意を感じた時に

気を紛らわせ、尿意がさったところで

トイレへ行く。最初は5分からはじめ

徐々に時間を延ばしていく。

 

・骨盤底筋体操

女性の場合は骨盤臓器を骨盤底筋で

支えているため、お産や加齢の影響で

腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱の原因と

なる。目標は50回/day。

 

③薬物療法

β3刺激薬と抗コリン薬がある。

抗コリン薬は、膀胱にあるムスカリン

受容体に作用して膀胱を弛緩させる。

ムスカリン受容体は全身に存在する

ため、副作用として口腔内乾燥や

便秘の症状に注意が必要である。

 

β3刺激薬は膀胱の平滑筋にある

受容体へ作用し弛緩させることで

蓄尿量を増やす。抗コリン薬のような

副作用は認めないが、不整脈患者

への使用は注意を要する

(新規薬剤のビベグロンはそういった

副作用はない)。

 

また男性の場合、前立腺肥大症の

影響による過活動膀胱の場合は

まずは前立腺肥大症の治療薬を

優先する。

(アラレちゃん)

第28回茨城県央レジデントセミナーより

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下部尿路障害 その3

2019.12.03

今回もアラレちゃんの

下部尿路障害の解説です。

いよいよ下部尿路障害の話です。

 

<下部尿路障害>

蓄尿障害:

膀胱に尿がためられない

 → 尿失禁・頻尿・尿意切迫感

 

排尿障害:

膀胱から尿が出せない

 → 排尿困難・尿勢低下・尿閉

 

障害の原因は、神経性非神経性

の二つがある。言い換えると、

指令系統の異常か、尿路器官の異常

 

神経性は脳卒中後やParkinson病、

水頭症、脊髄損傷、ヘルニア、糖尿病

などが挙げられ、どこのレベルの

神経障害かで症状は変わってくる。

 

非神経性は前立腺肥大症や

骨盤臓器脱、尿道狭窄、尿道

過活動などが挙げられる。

 

 

<評 価>

主観的評価

問診、既往歴、内服歴、

質問票(IPSS、OABSS、ICIQ、etc)

 

尿のトラブルは羞恥心を伴っている

ことも多く、問診に加え質問票を

うまく使用するとよい。

 

内服薬は、感冒薬・鎮咳薬・

抗ヒスタミン薬・抗コリン薬・

抗うつ薬、利尿剤を服用して

いないか確認することに加え、

アルコールやカフェインの摂取

状況も忘れず聞き出す。

 

客観的評価

排尿日誌

超音波検査(残尿量・前立腺体積)

尿流測定 etc

 

排尿日誌          

24時間の排尿量と排尿回数

そして飲水量を確認できる

ただし大変なので2-3日分で十分。

 

超音波検査

残尿量・前立腺体積は 

(長径+短径+前後径)÷2で計算。

残尿は100mlを超えないことが理想。

残尿はブラダースキャンでも測定可能。

前立腺体積は≧20mlで軽度肥大。

(アラレちゃん)

 

PICC挿入前にエコーで練習中

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下部尿路障害 その2

2019.11.30

今回もアラレちゃんによる

下部尿路障害の解説です。

 

すでに知っていることかも

しれませんが、今回は解剖と

生理の簡単なまとめです。

(文字がずれるので修正しました)

 

(アラレちゃん)

 

無事に縫合終了

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