臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
呼吸器内科専門医と読む胸部X線写真7 井上先生のZoomレクチャーより
山形大学の井上純人先生による「呼吸器専門医と読む胸部X線写真」からのシェアです。前回までで、井上先生が教えてくれた17個のチェックポイントのうち14までを紹介しました。今回は残りの3つを一気に紹介します。
15番目のルールは 骨の評価(肋骨、鎖骨、肩甲骨、上腕骨、脊椎、胸骨)です。
たぶん、あなたも一度は骨を見るように言われたことがあると思いますが、意外と見ていないんですよね(編集長の自戒もこめて)。例えば下の胸部レントゲンはどこに異常があるでしょう?
答えは・・・・、右の鎖骨骨折ですね。
ではこのレントゲンは?
正解はこれです。
答えは、肺がんの骨転移で、肋骨の融解像があります。意識して骨陰影を追わないと見落としますね。
そして16番目と17番目のルールは、人工物の存在に注意と、挿入した医療器具の位置を確認です。
こんなレントゲンは撮り直しになります。
そして挿管とか、CV挿入後の確認のレントゲンも十分注意してみるようにしましょう。
下のレントゲンでおかしいところはどこでしょう?
答えは、挿管チューブが深すぎですね。胃管チューブはちゃんと胃内にあるようです。
以上、17個のチェックポイントを紹介してきました。大事なことは、一つの所見にとらわれずに、必ず全部を読影することです。
(編集長)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
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救命救急センターだより「救急外来でのエコー」
たびたび当ブログで取り上げている、救急外来でエコーを積極的に当てよう、という話ですが、皆さん実践しておられるでしょうか?
まだ学生だよ、という皆さんは病院の見学の際にぜひエコーを当てさせてもらってください。
意外と当院の研修医の先生がこの記事を読んでくれて、「あの腹痛できた患者さん、採血結果出るまでエコー当て見てもいいですか?」と積極的にエコーを当てて勉強してくれている姿にとてもうれしく、誇りに思ってみています。
今回は何人かの研修医の先生にエコーを実際に当ててもらった際に伝えたことをブログでも書かせていただこうと思います。
以前の記事でも肋骨を避けてエコーを当てる、という点をコツとしてお伝えしたのですが、肝臓や腎臓を診るときに避けて通れないのが肋骨や胸骨です。
そのような部位を観察するときは、大きく吸気してもらい、深吸気で息を止めてもらいます。その時に、エコープローブを骨の下に潜り込ませるような気持ちで倒しこんでみると肝臓が良く見えます。
実際にこれをやってみると気付くのですが、エコーを潜り込ませるようにしっかり当てるには、かなりの力でプローブを患者さんに押さえつける必要があります。なので、患者さんの状態によっては痛みを伴います。
ということで、コツは2点。
・深呼気や深吸気などの呼吸の協力をお願いする。
・しっかりプローブを押し付けて、観察する。
この点を心がけてやってみてください。また気づいたことがあればお伝えしようと思います。
ところで番外編なのですが、先日胸痛、冷汗で救急搬送されてきた患者さんがいました。心電図で今一つ虚血と診断するに乏しい所見でしたが、心エコーで前壁の壁運動の低下が認められたため循環器内科に相談しました。
実は症状出現から3時間程度だったので、相談後に結果の出た採血でも心筋逸脱酵素の上昇には乏しい所見でしたが、カテで前下行枝の閉塞認め、そのままPCIでうまく治療できました。
僕の専門は消化器内科で、あまり良い研修医でなかったこともあり、これまで心エコーをしっかり勉強してきていませんでした。空飛ぶ消化器内科医を目指すにあたり、救急外来でチャンスがあるたびに心エコーを繰り返し行ってだんだんと所見が取れるようになってきました。
僕も修行中ですので、皆さんも恥ずかしがらず、まず積極的に当ててみるところから始めてください。
(Nao)
格納庫の中!
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仕事の進め方(改訂版)
今日から9月ですね。J1のあなたも仕事を始めてそろそろ半年になります。仕事を始めて半年もたつと、病棟や当直の仕事にもだいぶ
慣れてきて、少し余裕もでてきたと思います。
でも、そうは言っても仕事が無くなるわけはなく、PHSがかかってきて仕事がたびたび中断されてしまいます。そんな毎日ですが、どの仕事から先に片付けるべきか? 生産性を上げて、できるだけ早く帰るにはどうしたらいいか? あなたは意識したことがあるでしょうか?
仕事の進め方をどう考えるのかはすごく大事で、このブログでも過去にたびたび取り上げてきました。その元ネタは「7つの習慣」という本の中の「時間管理のマトリックス」というものですが、少し前に読んだ本に、このマトリックスを少し発展させた考え方が書いてあり、なるほどと思ったのでシェアしたいと思います。
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まずは、7つの習慣の中にある「時間管理のマトリックス」について説明します。
やらなければいけない仕事を、下の図のように4つのカテゴリーに分けた時、あなたは最初にどのカテゴリーの仕事に取り組みますか?
最初はⅠのカテゴリーを選びますよね。これには異論はないと思います。
では2番目に取り組む仕事は何でしょう? たいていの人はⅢのカテゴリーと答えます。
でも、具体的な仕事を想像してみてください。研修医の仕事でⅢのカテゴリーに入るのは・・・、例えば退院直前になって退院指示を書いてくれと看護師さんに言われるとか、夕方になって翌日の点滴の指示を出してくれと看護師さんから電話がかかってくるとか・・。よく考えると、前もって処理できそうなものがほとんどです。
では、カテゴリーⅡに入る具体的な仕事は・・・、例えば学会の発表とか抄読会の当番、専門医試験に向けてのお勉強が相当すると思います。ところが、学会発表の準備が前日まで終わっていないとか、明日の抄読会の準備が出来ていない、と言っても許してもらえませんよね。専門医試験も勉強していなければ落ちるだけです。
つまり、油断していると緊急度も重要度も高いⅠのカテゴリーに移ってしまいます。当たり前ですが、学会や抄読会、試験の準備をちゃんとしていれば、カテゴリーⅡからⅠの事案にならずに済むわけです。仕事を進めるコツは、カテゴリーⅡの仕事を上手く処理して、カテゴリーⅠの事案にならないようにしておくことなのです。
さらに、カテゴリーⅢの仕事を大きくしないように、効率よく片付けることです。Ⅱを大きくして、Ⅲを小さくするように優先順位を決めて取り組んでいくのが理想的です。
ところが、カテゴリーⅡの仕事は大事なことは分かっているけど、どうしても取り掛かりにくいという特徴があります。学会発表の準備をやらなくてはいけないのは分かっているけど、いざとなると後回し・・・。
こんな時に「時間投資思考(ロリー・バーデン著)」という本には、重要度(Important)と緊急度(Emergent)に加えて、「将来的意義(原著ではSignificant)」という3つ目の軸を加えて考えると良いことが書かれています。
将来的意義(Significant)のイメージ
例えばあなたのキャリア形成を考えてみるとイイと思います。将来、どの診療科に進むか?専門医資格などを、いつ取得するのか?といったキャリア形成から見た場合に重要なことがカテゴリーⅡに相当します。専門医資格取得には学会発表が条件となっていることが多いですから、学会発表ととらえるより、その先の専門医資格のための準備ととらえると、少しやる気がでませんか?。
「今」重要なのは何か?だけでなく、「後」に重要な効果を生むものは何か?ということまで考えて判断を下すと、カテゴリーⅠに行かないように、カテゴリーⅡの仕事に取り組めるようになるという話でした。これであなたもちょっと意識を変えて仕事に取り組めるはずですよ。
(編集長)
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