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水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
傷病者のトリアージ・・・START法
第23回水戸医学生セミナーまで、あと1週間となりました。
今回のコースディレクターを務める救急科の高瀬先生を中心に、講義やメディカルラリーの準備に励んでいます。しばらくぶりの開催で、院内でも前回のラリーを経験している人が非常に少なくなっているのですが、新しいものを作るという意気込みで頑張っています。ぜひ当日をお楽しみに♪
さて、そのメディカルラリーのシナリオをここで教えることはできませんが、過去の医学生セミナーでは毎回MCLSの内容も取り上げられてきました。MCLSでは多数傷病者のトリアージと情報共有がとても重要になりますが、今回は予習としてこれらを紹介します。もちろん医学生セミナーに参加しないあなたにも役立つ内容ですよ。
まずはトリアージ区分です。
区分Ⅰ 《赤》:緊急治療群 生理学的異常、救命処置が必要
区分Ⅱ 《黄》:非緊急治療群 すぐに治療は必要ない 歩行不能
区分Ⅲ 《緑》:歩行可能、必ずしも治療を必要としない
区分 0 《黒》:蘇生の可能性が低い 死亡
傷病者をこれらの区分に分けていくわけですが、この時用いられるのが「START法」です。STARTはSimple Triage and Rapid Treatmentの頭文字ですが、次の手順で行われます。
START法の補足ですが、
・一度区分が決まったら先には進まない
例えば、呼吸数>30回なら赤と判定。この人には脈のチェックも従命指示も行わないとうことです。
・一次トリアージでは処置は行わない
出来るのは気道確保(しかも用手的、昏睡体位のみ)と圧迫止血のみ
・その後の循環評価で①皮膚の蒼白・冷汗、触知微弱、脈拍>120回/分なら赤として良い
その結果をトリアージタグに記載して、傷病者の右手首につけます。こうすることで傷病者情報の共有が可能となります。さらに搬送されるまで評価を繰り返して、患者の容態変化に気を配ることも重要です。
(編集長)
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水戸済生会総合病院の臨床研修は
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PNPフィードバック
J1のあなたはもうすぐ先輩研修医になります。
1年前の自分を思い出してみると、とにかく学生と違って、全てがやったことないことばかり。バレなかっただけで、人に言えない失敗もたくさんやったはずです(笑)。
そして、もうすぐ新しく仲間になってくれる新J1の後輩たちも状況は全く同じです。そんな後輩たちにあなたが教える番になります。とは言え、どうやって教えたら良いのかわからないというのが正直なところでしょう。今回はそんな時に役立つスキルの一つであるPNPフィードバックを紹介します。
PNPとはPositive-Negative-Positiveのことで、サンドイッチ法と呼ばれることもあります。分かりやすく言うと、最初に良い点をほめて、次に修正点を指摘して、最後にほめて締めるというフィードバック手法です。
最初から悪い点を指摘してしまうと、相手は心を閉ざしてフィードバックがうまく伝わらなくなってしまいますが、最初に良い点を挙げることで相手が話を聞く姿勢になり、フィードバックが効果的になります。
例えば、ERでウォークインの患者さんを後輩研修医が診察した後で、後輩研修医にフィードバックをするときには・・・・
「患者さんから上手く話を聞けた?ERで慌ただしいけど、診察の最初でちゃんと名前を名乗って挨拶していたのは偉いよね。これからも最初の挨拶はもちゃんとやった方がいいよ。でも、話を聞いている途中は電子カルテの画面の方ばかり向いて入力していたので、患者さん表情を見れなかったんじゃない?カルテは忘れないうちに入力したいけど、患者さんの表情とか雰囲気をつかむのもERだけでなくどんな場面でも大事なので、できるだけ患者さんの方を向いて話を聞いた方がいいよ。ま、話を聞いた後の先生の説明は分かりやすいから、患者さんはそんなに不安に感じないと思うけど、そこを注意するともっといいと思うよ」
言われてみれば、あなたも指導医からこんな風に指導されていたことに気づいたでしょうか?
このPNPフィードバックは研修医だけでなく、実習に来た医学生にも、看護師さんたちとのやり取りでも使えるものです。ぜひ身に着けておいてください。
(編集長)
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スプリングセミナー2025にご参加有難うございました♪
2月24日、3月1日、3月2日の3日間にわたって、Webで茨城県の修学生スプリングセミナーが開催されました。このスプリングセミナーは、茨城県の地域枠や修学生を対象に県内の臨床研修病院を紹介するものです。
前半では各病院の特色を動画で紹介し、後半では各病院の指導医や研修医らがリアルに回答する質疑応答コーナーで構成されています。修学生らが対象と言え、Webでの開催ですので一般医学生も参加できます。
当院は3月2日の午前に土浦協同病院、水戸協同病院と一緒の枠で参加しました。1年生から5年生までの就学生が参加してくれており、実際の勤務や生活、そして採用や研修医の特徴など様々な質問を司会が読み上げて、各病院の指導医や研修医が回答する形で進みました。当院からは編集長とJ1の榊先生と立枝先生が参加して、それぞれの質問に答えていきました。
回答してくれたのは、この2人
今回の質問の中で面白かったのは、「研修医の各学年でどんな特徴があるのか?」というものがありました。なかなか答えにくいのですが、間違いなく学年ごとに特徴はあります。それが何によって形成されていくのかは、3つの病院の指導医とも答えられなかったですね。
また、どの病院の指導医も研修医も言っていたことですが、研修病院を選ぶ時にはWebからの情報を収集して比べることはもちろんですが、やはり自分で病院見学をして、Webでは分からない雰囲気などを肌で感じることが大事です。学年が低いからダメということはありませんので、ぜひ足を運んでください。
昼の時間には「地域医療に従事する医師との意見交換会」という企画でJ2の友永先生もパネリストとして参加してくれました♪
今週末3月8日の土曜日には、つくば国際会議場で茨城県内の臨床研修病院が一堂に集まる合同説明会が開催されます。もちろん水戸済生会も参加しますので、会場で研修医からホントのところを聞き出してください!
(編集長)
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糖尿病がある時に確認すべき4つのポイント
糖尿病は全く無症状の期間が非常に長いので、症状が出現した時はすでに手遅れ・・・・、という怖い病気です。網膜症などの合併症だけでなく、心血管イベントも多いし、感染症も重症化しやすい。いろいろとマネジメントも大変なことが多いので、苦手な人も多いようです。
でも、どの診療科に行っても糖尿病の患者さんに関わらないことはありません。もちろん、あなたの担当患者さんの中にも糖尿病の人がいるはずです。でも、糖尿病は耐糖能異常と呼ばれるような状態から、網膜症や腎症などの糖尿病性合併症を来した状態まで非常に幅広い病態を含んでいます。当然ながら対応すべきことが変わってきます。
では、糖尿病の対応をどうすべきか判断する時、糖尿病を持っている患者さんを問診する時、または指導医の前でプレゼンする時は、どんなポイントを押さえればよいでしょう?
ちょっと考えてみてください。
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編集長は普段から以下の4点を把握するようにしています。
①罹病期間
10年以上か10年未満か ざっくりした把握でOKです。患者さん自身が合併症のことを把握していなくとも、10年以上の罹病期間があれば、なにか合併症があってもおかしくないと捉えておきましょう。
②現在の治療内容
インスリン? SU剤? など、当然把握しておくことが必須ですし、低血糖などの合併症への対応も変わってきます。インスリンを行っている患者であれば、Ⅰ型かⅡ型かを確認しましょう。つい忘れがちですが非常に重要です。いつからインスリンを開始されたことが分かるだけでも参考になります。
③最近のコントロール
HbA1cを確認しましょう。最近は患者さんもクリニックで教えてもらっていたり、糖尿病手帳に書いてあったりします。コントロールが悪いのも心配ですが、コントロールが良すぎるのも心配です。治療内容と照らし合わせましょう。
④合併症の有無
腎症は何期?網膜症は?神経障害は?コントロールされていない網膜症がある時に急に厳格な血糖コントロールをすると、網膜症が悪化すると言われています。3大合併症以外にも、脳梗塞や虚血性心臓病などの心血管イベントも把握しましょう。
この4点を押さえておけば別の疾患で入院することになっても、糖尿病への対応を絶対に外せない患者さんなのか、慌てなくてよい患者さんなのかをおおよそ掴むことができます。
もちろん、これらのポイントを押さえておけば、プレゼンする時でも、指導医に突っ込まれた時でも、慌てなくて済みますので、ぜひ使ってみてください。
(編集長)
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入院中の発熱には「8つのD」
あなたは、高齢の肺炎患者さんを担当しています。
入院時は低酸素血症も認めていましたが、徐々に酸素も減らせて昨日から終了できました。食事も摂れていて、むせ込みもありません。WBCもCRPもだいぶ改善してきました。明日には抗菌薬も投与終了の予定で、家族と退院の日程調整も終えたばかりです。
ところが、夕方の申し送りの時間帯に看護師さんから「先生、○○〇さんが、38℃と熱発していますよ。どうしますか?」と言われました。
なんで、このタイミングなの?と、がっかりする状況ですが、 こんな時、あなたはどう対応するでしょう?考えてみてください。
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あなたが、
「ホントは明日で抗菌薬は終了予定だったけど、そのままもう少し継続しよう」と考えたのなら、あまり賢明な選択とは言えません。
発熱の原因は、肺炎なのでしょうか?例えば、尿道カテーテルが入っていて、尿路感染症かもしれません。点滴刺入部のところが発赤していて、点滴ラインからの感染かもしてません。もしかしたら、患者さんの膝が発赤して、熱感を持っていて、偽痛風の発作かもしれません。
つまり、他の感染巣を検索する必要があるのです。最低でも、患者さんを診察して、血液培養をとって、新たな異常所見がないか確認しましょう。
そして、こんな時に、熱源検索に役立つのが、「8つのD」です。
・Device(デバイス)
・CD(CD腸炎)
・CPPD または Pseudogout(ピロリン酸カルシウム結晶沈着症 または 偽痛風)
・DVT(深部静脈血栓症)
・Drug(薬剤)
・Decuvitus(褥瘡)
・GB Debris(絶食による無石性胆泥)
・Deep abscess(深在性膿瘍)
以前に、徳田先生から7Dと教わりましたが、当院では最後のDeep abscessを加えて、「8つのD」で覚えるようにしています。もう少しで治療が終わるとか、退院目前といった患者さんの発熱を見たら、「8つのD」を思い浮かべながら診察をしていきましょう。
(編集長)
総合内科の回診の一コマ
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治療可能な認知症・・・山中克郎先生のレクチャーより
2月6日に開催した山中克郎先生のレクチャーからです。
今回のレクチャーでは「危険な精神症状」がテーマでした。その中で取り上げられていた治療可能な認知症をシェアします。
71歳の女性が食欲低下を主訴に受診しました。ご本人の話では、1ヶ⽉前から⾷欲がなくなり、かかりつけのクリニックに5⽇間⼊院したら元気になった。でも 2週間前から再び⾷欲がなくなったとのこと。ところが看護師の記録では「朝⾷は全部⾷べました」とか、「⺟と同居しています。母は81歳です(本人は71歳!)。」
ご家族に話を聞いてみると、2週間前から⾷欲がなくなり、 1週間前からもうろうとしている。今⽇は何⽇と聞いたり、会ってもいない友達と会ってきたというようになった。幻視はない。⺟親は18年前に亡くなっているとのこと。
どうも1~2週間の経過で認知症の症状が悪化してきているようです。さらに身体診察では眼球運動障害も認めました。さて診断は?
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診断はビタミンB1欠乏症(Wernicke脳症+Korsakoff症候群)でした。
Wernicke脳症は
・リスクファクターとして、アルコール多飲、がん、AIDSなど
・原因はビタミンB1⽋乏(1-2週間で⽋乏)
・症状は ①錯乱、②運動失調、③眼筋⿇痺が有名ですが、3徴がそろうのはたった30%のみで多くの患者は錯乱のみ
・治療をしないとKorsakoff症候群へ移⾏
Korsakoff症候群は
Wernicke脳症の後遺症として発症する認知症のことで、記銘力障害、失見当識、作話が有名です。治療法はありません。
そして、治療可能な認知症には以下のようなものがあるので、これらは是非とも覚えておきましょう。
・甲状腺機能低下症
・正常圧⽔頭症
・慢性硬膜下⾎腫
・ビタミンB1/B12⽋乏症
・肝性脳症
・尿毒症
・神経梅毒
・うつ病
・⾼齢者てんかん
・薬物依存
(編集長)
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患者さんはホントのことを言わない・・・解釈モデル
初期研修中に外来研修が必須となっているのをご存じでしょうか?多くの病院では地域研修などの際に1か月まとめて外来研修をするパターンが多いのですが、水戸済生会では当初から1年間をとおして外来を行う並行研修方式を取り入れています。
そんな研修医外来で実際にあったエピソードからです。
70才台の女性が受診しました。主訴は右肩の疼痛。でも、右上肢の可動制限や筋症状、神経症状も無く、よくよく聞けば、じつはすでに整形外科を受診して治療も開始されていました。
研修医が一通り話を聞き終えてから、隣で外来をやっている指導医のところに相談に来ました。「特に問題なさそうで、整形外科でも痛み止めを処方されています。何もすることもないと思うんですけど・・・、どうやって帰したらいいでしょう?」
確かに肩の痛みは心配な病気ではなさそうです。でも、こんな時あなたならどうしますか?考えてみてください。
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この時、指導医は「何かほかに受診した理由があるはずだから、もっと家庭の状況とか、最近の状況とかを聞き出してごらん」とアドバイスしました。
研修医がもう一度話を聞き出したところ・・・・、
・患者さんの知人が最近ガンで亡くなった。
・その知人が元気な時に、「肩が痛い」と言っていたので、自分も心配になってしまった。
・整形外科では痛み止めで治ると言われたけど、今のところあまり変わりない。
・もしかしたら内臓の病気?ガンかもしれないと思って内科を受診した。
ということが分かりました。
このような「肩の痛み→ガンかもしれない」は患者さんの「解釈モデル」と言いますが、ここで大事なことは、「患者さんの言葉を(そのまま)信じてはいけない」ということです。
どういう事かと言うと、患者さんからすれば病院を受診するのは、なんだかんだ言ってもハードルが高いものです。ドクターや看護師に「そんなことで受診するなんて」と言われたらどうしようと、ちょっとビクビクしながら受診しているのです。ですから、初めからホントのことを言ってくれません。何となくもっともらしい「建前」の理由を話すのです。
患者さんが話していることは基本的に建て前。
患者さんは(最初から)ホントのことを言わない。
患者さんの言葉を(そのまま)信じてはいけない。
話をしながら患者さんの「解釈モデル」を把握する必要がある。
このことが理解できると、あなたは患者さんから格段に良い情報(本音)を聞き出せるようになります。その本音の部分、つまり解釈モデルを理解して、不安や疑問を解決してあげることが大事です。ぜひこれから患者さんの話を聞く時は、これを意識してみてください。
(編集長)
朝の回診風景
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市民公開講座のご報告
こんにちは、水戸済生会 脳神経内科のKiです。
普段は神経内科の一般診療を中心に行っていますが、その他には急性期脳梗塞に対する脳血管内治療(脳血栓回収療法)や、1-2週に1回のドクターヘリ乗務(フライトドクター)をしており、三刀流のつもりで頑張っています。
先日2月8日の土曜日の午後に私と脳神経外科のKo先生と認知症ケアナースともに、水戸市の内原イオンで市民公開講座を行ってきました。実は当院は内原イオンと提携して、年に3-4回市民公開講座を行っており、今回は脳神経系としては初めて市民の皆様の関心の高い、脳卒中と認知症についての講演会を行いました。
最初にKo先生から脳卒中の予防について、2番目にAさんから認知症患者さんとの向き合い方、最後に私から認知症の診断や最新の治療についてお話をしました。
脳卒中予防についてのKo先生の講演では、脳卒中は日本人の死因第4位、介護を必要とする疾患では第1位となっているため、予防が非常に重要性だとのお話がありました。予防としては生活習慣の改善が中心になります。脳卒中であれば高血圧の予防のために、塩分制限や適切な運動、毎日の過剰な飲酒は控えるべきですし、糖尿病の予防のために過剰な炭水化物接種を控えることも大事です。
また、特に急性期脳梗塞では、血栓溶解療法、血栓回収療法という、発症間もない時間に病院に来てもらわないとできない治療があり、発症したらすぐに病院を受診する、もしくは救急車を呼ぶことが重要です。ちなみにKo先生は脳血管障害の手術のスペシャリストで、特に脳血管のバイパス術を得意としており、実際に手術を行った症例についても紹介もされました。
認知症の人との接し方についての認知症ケアナースからの講演では、認知症患者さんの徘徊や、突然怒り出すことについても、本人なりの理由があり、それを尊重することが大事だというお話をされました。患者さんの意思を尊重することは、認知症患者さんの人権を尊重することにもつながります。
また、認知症のケアにおいては、患者さんのみではなく、介護する周りの家族の方の心と体の健康も非常に重要であり、どちらも保たれてこそ認知症のケアがうまくいきます。現在は水戸近辺にも認知症治療を中心に行う医療機関が何個かあり、それらを積極的に活用していくことが大事です。
最後に私からは、軽度認知機能障害や初期アルツハイマー型認知症に対する治療薬である、レケンビ®(レカネマブ)、ケサンラ®(ドナネマブ)についてお話をしました。
どちらの薬でも適応になるのは、かなり早期の段階であり、そのときの症状に気づくには、周りの家族がしっかり注意している必要があります。また、アルツハイマー型認知症では糖尿病がアルツハイマー型認知症のリスクであることが明らかになっており、こちらもやはり脳卒中と同様に生活習慣の改善が予防につながります。
その他には、講演会以外にもブースを設けて医師・看護師・栄養士の相談コーナーを用意して、リハビリからは高齢者の疑似体験、当院に併設する健診センターで用意している「のうKnow」という認知機能チェックのコーナーも用意しました。
脳神経系のイベントとしては初めての試みで、どのくらいの人が集まってくれるか心配でしたが、事前の予約だけで40人以上の予約があり、当日は全てのコーナーを含めて、のべ200人弱の方々に集まっていただき大変盛況でした。来ていただいた方々、当日のイベントのお手伝いをしてくれた当院スタッフの皆様にはただただ感謝です。
脳卒中と認知症は、現在の高齢化社会において非常に重要な疾患でもあり、今後も定期的にこのようなイベントを開催していこうと思っています。
(Ki)
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済生会学会2025 in 松山
済生会は全国に病院や福祉施設がたくさんありますが、臨床研修病院だけでも34病院あります。
そんな済生会では年に1回、総裁である秋篠宮殿下も出席して済生会学会が開催されています。コロナの影響で中断したものの、2年前から再開されて昨年は熊本、今年は愛媛の松山での開催となりました。
この済生会学会にあわせて、全国の済生会病院で初期研修をしている1年目の研修医を対象とした合同
セミナーが開催されます。済生会全体となると初期研修医1年目だけで約260名にもなりますが、今年も編集長と当院のJ1全員で参加してきました。
済生会は、現在の初期研修制度が始まった当初から卒後7年目以上の医師を対象とした指導医講習会を精力的に開催して研修医教育に力を入れてきました。また、多くの病院で医学部の学生実習を受け入れています。
初期研修1年目がもうすぐ終わり後輩たちを迎えることや、医学生の実習に関わる立場になるという背景もあって、数年前からこの合同セミナーでは「教わる側から教える側へ」というテーマで構成しています。前半では「理想の医師像」、後半では「より良い研修を行うためには」というお題目でのグループディスカッションで、各病院の違いなどを互いに把握しながらの議論が盛り上がっていました。
今年のディスカッションで編集長的に驚いたことは、後輩や医学生に教えるにあたってコミュニケーションをとる重要性を各グループで指摘していたことと、そのコミュニケーションをするために「飲みに行く」というワードがいくつものグループで出されていたことです。
昨年はこのような「飲み会」というワードをほとんど見かけることはなかったと記憶しているのですが、ちょうどコロナで飲み会などがなかった世代なので「飲み会」が復活してきたことに驚かされました。
ちなみにこの場でのプロダクトは回収されて、毎年データとして蓄積されています。指導医側からすると、ハッとさせられる視点があり、研修医だけでなく指導医にとっても大事なイベントになっています。
もちろん終了後は研修医らと愛媛のおいしいものをいただいて帰りました♪
(編集長)
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一過性全健忘・・・山中克郎先生のレクチャーより
2月6日に山中克郎先生をお迎えして、今年度2回目のレクチャーを開催しました。
山中先生は藤田医科大学の教授を務めた後、諏訪中央病院の総合診療科、福島県立医大会津医療センター総合内科の教授として活躍され、退官後の現在は諏訪中央病院に戻られて診療を続けている総合内科の大御所の一人です。著書もたくさんあります。
当院とは2018年からのお付き合いでコロナ期間中もZoomでのレクチャーをお願いしていました。今年度は10月にもお越しいただきましたが、今回もリアルでのレクチャーをお願いしました。
最初にJ1の川並先生から症例提示を行って、後半は「危険な精神症状」のテーマでレクチャーをしていただきました。
いくつかの疾患の典型例を教えていただいたのですが、今回は一過性全健忘についてシェアします。
症例は48歳⼥性。現病歴はご主人の話によると、22︓30頃に突然話が通じなくなったとのこと。具体的には「ここはどこ︖」と聞いたり、⾃分で作ったおかずを⾒て、「これ何︖」と突然⾔い出した。話をしている相⼿が夫ということは分かっているようだ。既往は特になし。内服もなし。
経過観察のため⼀泊⼊院を勧め、本⼈も同意されたが、10分後「どうして⼊院することになったの︖もう帰る︕」と患者は夫と喧嘩を始めた。
こんな症状で画像検査でも何も所見がなければ、一過性全健忘(Transient Global Amnesia)を思い出してください。
一過性全健忘(TGA)とは
<症状>
・数⽇〜数年の記憶が喪失(逆⾏健忘)
→「ここはどこ?」「これ何?」
・発作中は新たな記憶ができない(前向健忘)
→本人も同意したが「どうして入院することになったの?」
・患者は不安になり、何度も同じ質問を繰り返す
・昔の記憶は障害されていない
→話をしている相⼿が夫ということは分かっている
・記憶以外の⾼次機能は障害されない
・24時間以内に症状は改善する
<原因>
・不明、中年に多い
・MRIでは海⾺の神経脱落や虚⾎が⽰唆されている
・疼痛、ストレス、息こらえがtriggerとなることがある
編集長もTGA症例に遭遇した経験がありますが、知っていれば一発診断できるものなので、ご家族を安心させることができますよ。
(編集長)
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