臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

病院見学のススメ

2025.02.11
カテゴリー: 初期研修

毎日寒い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか?今冬は各地で大雪の影響が出ていますね。水戸では雪の影響はないのですが、寒さのためなのか偕楽園の梅はまだ咲き始めていません。

 

4年生や5年生のあなたは春休み中の遊びの予定を考えていると思いますが、春休みが終わるとあっという間にマッチング面接の時期になってしまいますから、病院見学の予定もぜひ考えてください。

 

時間や予算の制約があるかもしれませんが、マッチングは自分の「研修先」を決めるものですが、言い方を変えると「就職先」を決めることです。ですから、それなりの時間と労力を費やすことは必要だと思います。

 

このブログでは何度も紹介しているネタではありますが、今回は病院見学のポイントを紹介します。

 

・可能な限り、病院見学に行きましょう。

レジナビなどのサイトやWeb病院説明会、リアルイベントで情報収集をするのが当たり前になりましたが、それだけでは不十分だと思います。実際に行ってみると、それぞれの病院によって想像以上に雰囲気が違うことに気づくはずです。行けない時には、Web病院説明会で質問コーナーや個別面談のようなコーナーを設けているものが増えているので、積極的に利用して雰囲気をつかむのが良いと思います。

 

・病院見学に行った際のポイントは・・・、

指導医クラスの話は、半分程度に聞いておけばOKです。なぜかと言えば、基本的にイイことしか言わないからです(編集長にも自覚があります・・・)。

 

・必ず研修医たちに直接話を聞きましょう。

研修医の先生たちにあなたの知りたいことを質問してみましょう。研修医も1年前には同じように悩んでいた訳ですから、たとえあなたがつまらない質問かもと思っても、そのような質問こそ聞いておくべきです。一番参考になる答えが返ってくるはずです。

 

そして研修医たちの元気の良さや看護師さんや技師さんたちの雰囲気にも注目してみて下さい。研修医を育ててくれるのは指導医だけではありませんからね。

 

・気になった病院には2回、3回と見学に行きましょう。

何故かと言えば、どうしても初めてのところは緊張するし、余裕がないので周りを見ているようで見えていません。2回目になると余裕ができて、おなじ病院見学でも見える風景が違うはずです。

 

加えて1回目にあった研修医が、2回目にはものすごく頼りになる研修医に見えるはず。この時期なら、1年目でもかなり仕事ができるようになっていますので、そんな研修医の姿を見ると、あなたの研修のイメージも描きやすくなるはずです。

 

 

当院に病院見学に来ていただいた方からは

・研修医の先生方のモチベーションがとても高く、見習いたいと思いました。

・小児科では、済生会での研修だけでなくこども病院にも行くことができて、初期研修後のイメージも持つことができました。

・昼食の時に研修医の先生とお話する時間が確保されていて、聞きたいことを全部聞くことができ、とても参考になった。

・研修医の先生方とたくさんお話を伺うことができました。またとても気さくにお話をさせていただきました。

・研修医の先生方が主体的に診療に関わっているのを見ることができました。

 

といったコメントをいただいています。

 

そろそろ春休みの病院見学の申し込みをいただいています。あなたもお早めに下のリンクからお申し込みください!

病院見学の申し込みはこちら

(編集長)

 

吸入指導のレクチャーでの一コマ

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◆応募いただき有難うございました!

  第23回水戸医学生セミナーは定員に達したので

  応募を締め切らせていただきました。

  

  現在メディカルラリーの準備中です。

  このブログでも紹介していきますのでお楽しみに♪

 

抗NMDA受容体脳炎(2)

2025.02.08
カテゴリー: カンファレンス 内科

平E先生の抗NMDA受容体脳炎の記事の続きです。今回は予後と鎮静についてシェアします。

 

【予後】

ほぼ回復した症例が75%、死亡が4%、再発率が20−25%と報告されています。身体機能の予後は良い一方で、年単位で高次脳機能障害が残存する例が多いようです。発症から2年後および5年後の認知機能予後を評価した研究(Josephine Heinekenら、2021年)では、2年後時点では85%、5年後時点では65%にmoderate-severeの高次脳機能障害を認めました。

 

一方で全例で認知機能の改善を認めており、これは患者にとっては良い情報でしょう。飯塚らは、半年以上の挿管・鎮静管理を要しほとんど植物状態であった患者が、リハビリを年単位で継続することで会話や書字機能が戻ったり、仕事復帰することができた2例を報告しています。

 

この2例については頭部MRIおよび脳血流SPECTが撮影されており、発症初期には脳萎縮および血流低下の所見が明らかでしたが、5年以上経ってから撮影した画像では、上記所見の改善を認めています。このことは、画像上器質的な変化が見られていたとしても、長期的予後の改善を見込める可能性があることを示唆しています。

 

【鎮静】

最も重症度の高い不随意運動期には、不随意運動による管理困難や難治性てんかん、中枢性低換気の管理目的に、集中治療室における挿管・鎮静管理を要する場合があります。鎮静にはベンゾジアゼピン系、フェンタニル、プロポフォールが使用されることが多いですが、使用期間が長期化することにより各鎮静薬に対する耐性形成が問題になります。

 

特にプロポフォールは長期使用によってPRIS (Propofol Infusion Syndrome)をきたしアシドーシスや致死性不整脈から致命的になる可能性があるため、長期に使用する際には注意が必要です。

 

以上、抗NMDA受容体脳炎の診療にあたって自分が学んだ情報をまとめました。厳しい経過を辿ることもあるこの疾患ですが、このブログが診療の一助になれば幸いです。

(平E)

 

カンファ中の一コマ

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◆病院見学に来ませんか?

当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?

あなたの目で確かめてみてください!

 

病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。

 

なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、

下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。

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合格祈願2025

2025.02.06
カテゴリー: 初期研修

いよいよ医師国家試験も今週末となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

 

今まで何度も試験を受けてきたはずですが、どうしても試験前というのは不安や焦りを感じてしまうものです。国試となればなおさらです。

 

でも、国試は医師になるための通過点ですから、医学部を目指した時の気持ちをもう一度思い出して、そしてこれまでコツコツと続けてきた勉強量を信じて、さらに4月から患者さんの前に立っている自分をイメージして、自信をもって臨んでほしいと思います。

 

お天気は寒波の影響で、特に日本海側では大雪が予想されています。十分わかっていると思いますが、会場までの時間や寒さ対策など、普段以上に余裕をもって行動してください。

 

体調を崩さぬように最後まで気を抜かず、国試当日も最後まで頑張って、合格を手にしてください!当院スタッフ一同、あなたの合格を心よりお祈りしています。

 

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◆第23回水戸医学生セミナー

~復活!メディカルラリーで救急のエッセンスを体験しよう~

 

2025年3月15日(土)、16日(日)に開催します。

定員まで残り1名となりました!

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抗NMDA受容体脳炎(1)

2025.02.04
カテゴリー: カンファレンス 内科

はじめまして、平Eです。

 

今回は自己免疫性脳炎のひとつ、抗NMDA受容体脳炎の症例を経験したので、その際に得た知識を共有します。

 

自分が診ることはないだろうと思うかもしれませんが、脳炎のうち最も多いのが感染性脳炎で、次いで多いのが自己免疫性脳炎です。抗NMDA受容体脳炎は自己免疫性脳炎の中で最も多いため、意外と接する機会は多いかもしれません。臨床像としては次第に増悪する妄想・幻覚などの精神症状で発症し、1−2週間ほどの経過で不随意運動・自律神経障害・中枢性低換気・けいれんなどの神経学的症状が出現します。重症例では神経学的症状のコントロールを目的に鎮静・気管挿管による管理を要する場合があります。

 

ここでは診断・治療・経過・予後と、特に重症例で問題になる鎮静について項ごとにまとめます。

 

【診断】

3ヶ月以内に進行する精神症状や新規発症のてんかん発作、神経局所症状を認めた場合、自己免疫性脳炎を鑑別に挙げる必要があります。基本的には除外診断で、感染性髄膜炎の除外→中枢神経症状を呈する可能性のある全身性自己免疫性疾患(SLE、ベーチェット病、血管炎等)の除外を行った上でどれにも当てはまらない場合、自己免疫性脳炎の可能性を考慮します。

 

診断には特異的自己抗体のスクリーニングに加え、悪性腫瘍のスクリーニングが必要です。自己免疫性脳炎は発症機序に悪性腫瘍が関連するものが多く、傍腫瘍性脳炎であれば治療に早期の腫瘍切除が必要になるためです。若年女性では卵巣奇形種との関連も指摘されているようです。

 

【治療】

治療は自己抗体陽性を待たずに開始することが多いです。理由としては検査可能な自己抗体が限られている点、結果が出るまで時間を要する点、抗体陰性の例も多い点などがあげられます。

 

治療は免疫抑制療法が基本で、1st lineとしてステロイドパルスや免疫グロブリン静注療法(IVIG療法)、血漿交換療法単独もしくは併用を行います。腫瘍性病変を合併する場合は免疫抑制療法への反応性が乏しいため、早期の腫瘍切除を考慮する必要があります。治療に対する反応性に乏しい場合、2nd lineとして保険適応外ではあるもののリツキシマブやシクロホスファミドが奏功するケースもあるようです。

 

【経過】

風邪様の前駆症状期が数日から2週間程度見られた後、精神症状が出現します。精神症状は不安や恐怖、幻覚など多岐にわたり、統合失調症の急性期を思わせる場合もあり、本症例も当初は精神科病院に医療保護入院していた経過があります。

 

数週の精神症状ののち、不随意運動や痙攣発作、自律神経障害が出現します。口腔・舌・顔面の不随意運動が特徴的と言われますが、実際には全身性に不随意運動が出現します。

治療反応性にもよりますが、数週から数ヶ月かけて不随意運動期を脱すると緩徐回復期に入り、数ヶ月から数年かけてもとの意識状態に戻る疾患です。

(平E)

<編集長追記>

映画の「エクソシスト」や「ブレイン・オン・ファイア」、邦画では「8年越しの花嫁 奇跡の実話」がこの抗MDA受容体脳炎をモチーフにしていますので、ご覧いただくとイメージがつきやすくなります。

 

ICUでの一コマ

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井上純人先生によるリアルレクチャー開催!

2025.02.01
カテゴリー: カンファレンス 内科

昨日のことですが、山形大学の井上純人先生に当院にお越しいただき、レクチャーを開催しました。

 

今年度もZoomでのレクチャーを行っていただいているものの改めて紹介すると、井上先生は山形大学の第一内科講師、附属病院教授で、編集長と大学の同級生です。山形大学では、ベストティーチャー賞を何度も受賞しており、今では殿堂入りを果たしていて医学部学生はもちろんですが、学内では知らない人はいないほど教え上手で面倒見のいい先生です。専門はCOPDで吸入療法の重要性を普段から発信していて、吸入療法アカデミーやまがたの代表も務めています。

 

今までのZoomレクチャーでも吸入療法の重要性を繰り返していたので、今回は無理を言って水戸済生会までお越しいただき、リアルでのレクチャー開催となりました。

 

 

今回のタイトルは「吸入指導のエキスパートを目指そう」ということで、さまざまな種類のある吸入薬のデモ機を準備して、実際にやりながら指導法や各デバイスのピットホールを教えていただきました。

 

今回は研修医はもちろんですが、看護師や薬剤師も参加してもらいました。実際のところ、病棟では吸入器を処方すると看護師さんや薬剤師さんに丸投げしてしまい、どんなデバイスなのかすら把握していないことが多かったと思います。今回は様々な吸入デバイスが一通りそろっていたので、比べて特徴を把握することができました。終了後も質問が多くでるなど、学びの多いレクチャーになったようです。

(編集長)

 

デモ機で実際にやってみる

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【御礼】レジナビにご参加いただき有難うございました!

2025.01.30
カテゴリー: 初期研修

1月28日に「レジナビFairオンライン2025 東日本Week ~臨床研修プログラム~」に登壇しました。

 

マッチングが一段落してホッとしていたのですが、もう春休みに向けてのレジナビでした。うれしいことに年々医学生の参加者が増加していて、この時期としては我々の予想を超える50名以上の医学生にご参加いただきました。どうも有難うございました!

 

ご承知の通り、研修病院探しではレジナビは完全に定番となっています。20分という短い時間ですが、司会がいて上手に進行してくれるので、沈黙する時間がなく、我々もとてもやりやすいのが特徴です。

 

いつも通り前半は病院説明、後半の質疑応答ではJ1の土田先生と蛯子先生の2人が加わってくれました。J1と言っても、この時期の二人はそれなりに場数を踏んでたくましくなっていますので、質問に対して、現場目線の良い回答をしてくれていました。

 

普段から言っていることなのですが、今回のレジナビのようなWebでの情報収集をして、必ず病院見学に足を運んで下さい。Webではわからない病院ごとの雰囲気の違いに気づくはずです。そして病院見学では指導医からの話は半分程度に聞いておき、研修医から直接話を聞くのが大事なポイントです。

 

すぐに春休みの記事になりますので、水戸済生会にも病院見学にお越しください。見学を希望される方は下記のリンクからお申し込みください! お待ちしています!!

病院見学の申し込みはこちら

 

もう一つ、3月15日、16日に開催予定の「第23回水戸医学生セミナー」が定員まであと僅かになりました。参加を考えているあなたは、ページ最下段のリンクから今すぐお申し込みください!

(編集長)

 

今回はこの二人♪

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「MIST」と「おいも」

2025.01.28
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

あなたがERで日勤をしていると救急隊からの搬送要請が入りました。ちょうど指導医の先生が処置中だったので、あなたがホットラインに出ると、30歳代男性のバイクの単独事故とのこと。

こんな外傷患者の時には、救急隊からどんな情報を得て、どんな準備をしたらよいでしょうか?あなたは準備ができていますか?

こでのポイントが「MIST」です。

MISTとは

 M:Mechanism 受傷機転

 I:Injury 受傷部位

 S:Sign バイタルサイン

 T:Treatment 治療・処置

 

これらの情報をある程度得られたら、次は受け入れ準備です。

 

スタッフの召集と情報共有を行い、カルテがあれば過去の状況を確認しましょう。モニター類の準備や感染防御も大事です。そして加温された輸液やエコー、ポータブルレントゲンの準備まで出来ると完璧です。

 

いよいよ救急車が到着しました。救急車を降りて、ERのストレッチャーに移すまでの間も無駄にしません。出迎えたら、ストレッチャーで搬入される患者さんに話しかけます。

 

話かけながらABCDの異常が無いかをざっと確認(第一印象)します。

・発語の有無 → Aの評価

・息遣い → Bの評価

・意識状態 → Dの評価

・皮膚と脈をみる+外出血の有無 → Cの評価

 

細かくなくてOKですから、これらを15秒以内で行います。そして、ここで得られた第一印象をもとにしてスタッフに指示を出します。

 

具体的には、

アンパッケージ

外傷患者はバックボードに固定されて運ばれてきますので、頸椎の保護をしながら頭側から固定を解いていきます。

 

②おいも

「お」はOxgen酸素投与、「い」はivライン(静脈)確保、「も」はモニター装着 をスタッフに指示します。そして全身観察できるように衣類の除去もしていきます。

 

外傷患者では、救急隊からの情報収集「MIST」と、ERに到着してからの第一印象、そしてスタッフへの「おいも」の指示というスピーディーな動きが大事になります。実際のERでは、分かっていても声が出ない、動けないことは良くあります。繰り返し練習と実践することが大事になります。

 

 

今回紹介したのはJATECのほんの一部ですが、水戸医学生セミナーではこんな外傷患者の対応も学べて、メディカルラリーで体験できます。この記事が公開された時点で、定員まであと2名となっています。迷っているあなたは、今すぐ下記バナーをクリックしてお申し込みください!

 

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(編集長)

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MCLSとは?

2025.01.25
カテゴリー: 水戸医学生セミナー

ただいま第23回水戸医学生セミナーの参加申し込み中です!

 

おかげさまで定員まであと少しになりました。

定員になり次第締め切りますので、参加をお考えのあなたは今すぐ下記バナーからお申込みください!

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さて、水戸医学生セミナーでは2日目にメディカルラリーを行います。今回のラリーのシナリオを現在作成にとりかかっていますが、第20回までは内因性疾患をベースにACLSを行うシナリオと、外傷患者にJATECやMCLS対応を行うシナリオの、2つがありました。

ここで出てくるMCLSとは、Mass Casualty Life Supportという大規模災害や多重事故など、多数傷病者への対応標準化トレーニングコースのことです。

 

多数傷病者がいる場合は、通常の臨床と異なるので、日常臨床からスイッチを切り替える必要があるため、トレーニングが必要です。これは2011年の東日本大震災を経験してから、必要性を実感して医学生セミナーのラリーでもMCLSを取り扱うようにしたという経緯があります。

 

そのMCLSのキモは、「すしあんじょうほうよう場所取りTTT」

 

あなたには、何のことだか分からないかもしれませんが、講習の中でこの言葉が何度も何度も出てきます。その意味ですが・・・、

 

す :スイッチ

し :指揮

あん:安全

じょう:情報

ほう:報告

よう:要請

場所取り:活動場所の設定

T: Triageトリアージ

T: Treatment治療

T: Transport搬送

 

まず、「スイッチ」ですが、「これは災害だ!多数傷病者事案だ!」と認識して、自分とチームと本部にスイッチを入れる必要があります。スイッチを入れることで、通常の病院での診療ではない、少ないリソースしかない、災害モードで活動することが周知されます。

 

このような大学ではほぼ扱わないMCLSについて経験できる第23回水戸医学生セミナーは、定員まであとわずかです。今すぐ下記バナーをクリックしてお申し込みください!

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(編集長)

 

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基本的臨床能力評価試験2025

2025.01.23
カテゴリー: 初期研修

毎年この時期は当院の研修医らのテストの季節です。

 

テストと言っても、初期研修医の客観的な臨床能力の実力を知るためのテストで、日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)というNPOが行っている基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)というものです。

 

CBT方式で研修医部屋の自分の机で受験するうえ、夜勤や夜勤明けの研修医が必ずいるので全員そろうこともなく、あまりテストという雰囲気を感じさせないのですが、もちろん真剣に臨んでいました。

 

試験の内容は、基本的臨床能力と言っても幅広い分野から出題され、総合診療をやっている病院には有利な印象を受けましたが、毎日の臨床で経験したことをこまめに振り返っておけば、そこそこできる問題だと思います。英文の問題もボリュームがあって、早く終わる人はおらず、全員が試験時間が終わるまで取り組んでいました。

 

初期研修中はホントに自分は実力がついているのか?と不安になることがあります。自分の実力を知る方法としては、他の研修病院に行った同期の研修医と会話するとか、合同セミナーのような時のちょっとした発言などから、「スゲーやつかも」とか、「自分の方が結構できてるかも」と勝手に判断するくらいしかありませんでした。でも、このテストを受ければ自分の実力が全国でどのあたりなのかが分かるので、とても良い機会だと思っています。

 

受験者の母集団が優秀ですから、テストを甘く考えていると信じられないような低い偏差値になることがあります(笑)。でもJ1よりJ2の方が成績が良くなっていますから、成長しているのが数字にも表れていますので安心しています。さて、今年の成績がどうなってういるのか編集長的にはすごく楽しみです♪

(編集長)

 

テスト中の一コマ

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IgG4関連疾患(IgG4-RD)

2025.01.21

60歳代の女性が腎後性腎不全で入院となりました。尿管ステントを入れえて水腎症を解除すると腎機能も改善しましたが、造影CTで後腹膜線維症の疑いと膵頭部腫瘤を指摘されました。こんな時、あなたならどんな鑑別疾患を考えますか?

いろいろ挙げられるかもしれませんが、鑑別の一つに挙げておく必要があるのがIgG4関連

疾患です。そこで今回はJ1のK.T先生がIgG4関連疾患についてまとめてくれたのでシェアします。

 

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皆さんはIgG4関連疾患(IgG4-RD)と聞いて何を思い浮かべますか?名前を聞いたことはあっても詳しくご存知の方は少ないかもしれません。ちょっとだけ一緒に学んでみましょう。

 

【定義】

IgG4関連疾患とは、比較的高齢者に好発し、「リンパ球やIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により、全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める慢性炎症性疾患」と定義されます。

 

【症状・検査・診断基準】

上記に全身諸臓器とありますが、膵臓、胆管、涙腺・唾液腺をはじめとして肺、消化管、腎臓、後腹膜…と挙げればキリがありませんし、症状も多岐にわたります。

 

具体的には自己免疫性膵炎で閉塞性黄疸を呈したり、後腹膜線維症における尿管閉塞による水腎症などなど。体の隅々まで炎症のチェックが必要なため、PET-CTも検査として有用なようです。

 

次に診断基準を見てみます。IgG4関連疾患包括診断基準によれば、

 

1.臨床的及び画像的に単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める。

※リンパ節が単独病変の場合は除く。

 

2.血液学的に高IgG4血症(135 mg/dL以上)を認める。

 

3.病理組織学的に以下の2つを認める。

①組織所見:著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める。

②IgG4陽性形質細胞浸潤:IgG4/IgG陽性細胞比40%以上、かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える。

③特徴的な線維化、特に花筵状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれかを認める。

→上記のうち、1 + 2 + 3を満たすものを確定診断群、1 + 3を満たすものを準確診群、1 + 2を満たすものを疑診群とする。

 

いかがでしょうか。長くなりましたが要するに、「IgG4が増え、体のあらゆるところに腫瘤を形成し、病理学的に特徴的な線維化が見られる炎症性疾患」とでも表現すればよろしいでしょうか。

 

ちなみに上記の包括的診断基準を満たさなくても、臓器別の診断基準は満たすことがあります。またClassificaion Criteriaという別の診断基準もあります。

 

【鑑別のポイント】

特異的な自己抗体のない慢性炎症性疾患ですので、よりコモンな感染や悪性腫瘍を除外しつつ、その他の炎症性疾患を除外することが重要です。

 

【治療】

ステロイドになります。誤って悪性腫瘍に投与した場合も一時的に良くなってしまうことがあるのでしっかりと診断すべきところです。また減量・中断により再発が多いことも難治性疾患と言われる所以です。

 

【国試】

医学生の皆さんに一つお伝えしたいのは、この疾患は日本が先導して情報発信してきた新しい概念ということで、「国試的に出しやすい」とも言われております。具体的には111A08、114A13などに出題されており、今後も対策する必要があるかと思います。

  

まだまだ奥が深く解明されていない疾患です。興味を持たれた方は、ぜひ詳しく調べてみてください。

(K.T)

 

ICUの回診中

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