臨床研修ブログ
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骨粗鬆症の治療薬(1)
冬の気配を感じ始める今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。研修医のオバタリアンです。編集長よりご指名いただいたので、今回は10年ぶりに改訂された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」から、骨粗鬆症の治療薬についてのお話になります。
骨粗鬆症は一般の方々にも広く知られ、よく「骨がもろい」と表現されますが、以下のような明確な診断基準が存在します。
<原発性骨粗鬆症の診断基準>
(低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患、続発性骨粗鬆症の原因を認めないことが前提)
Ⅰ.脆弱性骨折あり
1.椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり
2.その他の脆弱性骨折あり、骨密度YAM80%未満
Ⅱ.脆弱性骨折なし
骨密度がYAM70%以下またはー2.5SD以下
したがって、例えば骨密度を測っていなくても椎体骨折が一つでもあれば骨粗鬆症の診断となります。日々の診療の中でも高齢患者の既往に骨折歴をみることは決して少なくなく、お薬手帳には骨粗鬆症治療薬がしばしば登場します。今回はガイドラインにおいて推奨度が高く、今後も重要となりそうな薬物について簡単にまとめてみました。
改訂された2025ガイドラインでは、薬物の推奨は骨密度に対する効果と骨折抑制効果の2項目で評価されました。骨密度に関しては腰椎と大腿骨の両方に有効であれば「行うことを推奨する」、骨折抑制効果に関しては椎体、大腿骨近位部、非椎体の骨折すべてに有効であれば「行うことを推奨する」とされ、この2項目とも「推奨する」となっているのは、
・アレンドロネート(ボナロン®、フォサマック®)
・リセドロネート(アクトネル®、ベネット®)
・ゾレドロン酸(リクラスト®)←NEW!
・デノスマブ(プラリア®)
・ロモソズマブ(イベニティ®)←NEW! ☆骨密度上昇に対しては唯一「強く推奨」
の5種類でした。
ちなみに今回追加されたアバロパラチド(オスタバロ®)は、骨密度に対しては「推奨」となっていますが、骨折抑制については大腿骨近位部骨折に対する骨折抑制効果のエビデンスを認めなかったため「提案」となっています。
また、ロモソズマブは骨形成促進薬である副甲状腺ホルモン製剤(テリパラチド®、アバロパラチド®)同様に、適応は骨折の危険性が高い骨粗鬆症となっています。
次回に続きます。
(オバタリアン)

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