専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

水戸済生会の循環器内科専門研修2024

2024.05.06
カテゴリー: ブログ

今回は循環器内科の専門研修についてです。

 

もしあなたが、循環器内科に関心があって

 

・PCIをできるようになりたい

・PCIだけでなく、アブレーションもやってみたい

・PCIはもちろん、TAVIもMitraclipもやってみたい

・PADやAortaなど、カテーテル治療は何でもやってみたい

 

と考えているなら、この先を読む価値があります。さらに、医局に入らずに循環器専門医資格を取りたいと思っているなら、この記事はあなたの役に立つと思いますので、ぜひ最後まで読んでください。

 

ご存じの通り循環器領域はデバイスの進歩が目覚ましく、治療戦略が次々にアップデートされています。それだけやりがいのある領域ですが、水戸済生会の循環器内科は「地域完結」を一つのキーワードに循環器領域の大部分の診療をカバーしています。

 

循環器内科のサイトもぜひご覧ください

 

水戸済生会は、PCIではもともと県内で有数の施設でしたが、さらにカテーテルアブレーションやICD、CRTにも早くから取り組んでおり、今ではアブレーションも県内有数の症例数となっています。また循環器内科医が関わることの多いPADに対するEVTは県内トップの症例数で、さらに心外との連携が密で、大動脈瘤や大動脈解離へのステントグラフトにも関われますし、大動脈弁狭窄症に対するTAVIや僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraclipも順調に症例数を伸ばしています。現在は循環器内科を志望する内科専攻医3名と循環器専門医7名を含むスタッフ10名で「地域完結」を目指して日々の診療に取り組んでいます。

 

ご存じかもしれませんが、新しいデバイスは症例数の多い施設から導入されることが多いので、あなたが専門研修施設を選ぶ時は当然考慮すべきポイントです。近年では新しいデバイスの術者になるための要件として、ほとんどの場合で循環器専門医資格が必要になっています。循環器専門医を取得したうえで、他の循環器領域の資格であるCVIT専門医や不整脈専門医などを取得するシステムになっています。

 

つまり、循環器専門医を持っていないと、いくら経験や技術はあってもその次の資格が取得できないようになっているのです。あなたが循環器内科を考えているなら、最初にすべきことは内科専門医を最速で取得し、そのまま最速で循環器専門医資格を得ることです。そして、そんな時に水戸済生会の循環器内科は有利です。

 

県立こども病院が隣接しているため成人の先天性心疾患症例も含めて当院は症例数も多く、異動することなく1つの施設で専門医取得のための症例が全部経験できるのです。そして専門医資格を取得後も、PCIをはじめとした各種の施設認定を受けているので循環器領域の各種の資格取得もスムーズです。しかも、大学の医局とは関係なく専門医資格を取得できるのが当院の強みです。

 

当院の内科専門医プログラムから循環器領域をじっくりと腰を据えて、技術の取得と経験症例数の確保に専念できる環境ですので、あなたも当院での内科専門医プログラムから循環専門医取得を目指してください

 

疑問や質問などお問い合わせは下記の問い合わせフォームをご利用ください。

(編集長)

 

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水戸済生会の消化器内科専門研修2024

2024.04.29
カテゴリー: ブログ

水戸済生会総合病院では基幹型の内科専門研修プログラムを有しており、特に腎臓内科、消化器内科、循環器内科は内科専門医を取得後に異動することなく各サブスペシャルティ領域の専門医資格を取得できる施設です。

 

さらにリウマチ膠原病内科、脳神経内科、血液内科の常勤医も加わって、内科専門研修を行う環境が整ってきました。

 

今回は消化器内科の専門研修について紹介します。

 

令和6年度は消化器内科にはスタッフ8名と消化器内科志望の専攻医5名がいます。スタッフのうち2名はJOSLERを無事に終えて内科専門医研修プログラムを終えた2名も含んでいます。また専攻医には院外研修中の人も含んでいますが、やはり若手が多いとフットワークが良くて活気がありますね。

 

どの病院でも消化器内科はとても忙しい診療科ですが、水戸済生会の消化器内科は以下のような特徴があります。

 

① 高いQOL

チーム制を実効性のある形で導入しているので、仕事の時はみっちり仕事。休みの日は、完全オフ。仕事と趣味を両立できます。働き方改革には以前から十分対応できているのですが、それを実現するために、上下の隔たりなく仲間として全員で力を合わせて診療しています。

 

② 幅広い治療手技

内視鏡治療は当然のこと、当院ではエコー下穿刺治療、血管内治療もすべて自科で行います。食道静脈瘤に対するBRTOや憩室出血や腹腔内出血も血管内治療グループと共に治療にあたりますので、消化器内科がカバーすべきほぼすべての治療手技+αを習得できます。

 

③ 高難度治療

EUS下穿刺治療、胆道鏡(SpyGlass)を積極的に行っており、さらに小腸内視鏡も導入されました。これからの内視鏡医に求められる新しい治療技術も身に着けられます。また、外科との合同手術(LECS)も導入し、協力して治療を行っています。

 

④ IBD(炎症性腸疾患)診療

IBD診療も積極的に行っております。典型的初発症例の寛解導入は当然ながら、ステロイド抵抗例などの難治例、外科治療を考慮すべき重症例まで対応しています。IBDの基本治療薬である5-ASA製剤の使い分けはもちろん、栄養療法、血球除去療法、免疫抑制剤、生物学的製剤など、ありとあらゆる医療リソースを用いたIBDの幅広い治療戦略を学ぶことができます。

 

冒頭でも紹介したように専攻医が増えてきていますが、偏りなく内視鏡検査なども経験して、日に日にレベルアップしています。あなたも水戸済生会の消化器内科で一緒にレベルアップを目指しましょう!

 

ご質問など、どんな小さなことでも遠慮なく、下記の問い合わせフォームからご連絡ください!

(編集長)

 

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刺激伝導系ペーシング(CSP) その2

2024.04.22
カテゴリー: 循環器

前回に続いて刺激伝導系ペーシング(CSP)についてです。

 

前回はCSPが再び注目されてきた経緯を取り上げましたが、今回はもうちょっとだけ詳しくCPSについて紹介します。

 

<CPSの定義>

CSP は刺激伝導系(ヒス束,右脚,左脚本幹ならびに左脚枝)を捕捉するペーシング法の総称。ペーシング出力を変更することにより、刺激伝導系ならびに局所心筋の捕捉されるタイミングが異なる結果、QRS波形が出力に依存して変化することが特徴。

 

<ヒス束ペーシング(HBP)>

HBPは三尖弁輪の心房側または心室側にリードを留置してヒス束を捕捉する方法で、もっとも生理的な興奮伝播様式が得られる。ペーシング出力を変更することによりヒス束の単独捕捉(selective pacing)もしくはヒス束と局所心筋の同時捕捉(non-selective pacing)が観察される。

もっとも生理的なペーシング法だが、リード留置が可能な領域が狭く、一般的に手技難易度は高い。デリバリーカテーテルの改良により手技成功率は92% 前後にまで改善されたが、センシング不全や術後早期・遠隔期のペーシング閾値上昇と、それにともなうリード再留置(7 ~ 11%)が大きな懸念点。

 

<左脚領域ペーシング(LBBAP)>

LBBAPは,右室中隔の深部にリードを進め、左室中隔心内膜下からペーシングを行う方法で、左脚本幹あるいは左脚枝を捕捉することが目的。

 

HBP と異なり、かならずしもリード先端で左脚電位は記録されない。LBBAP では右室への興奮伝播が遅延するため、心電図波形で通常V1 誘導のQRS 終末部にR 波を認めるのが特徴。

 

LBBAP ではリード留置の標的となる領域が広く、心室波高やペーシング閾値がHBPより優れていて、手技成功率は90 ~ 98% 前後と高い。リードを中隔の深部に進めるため、心室中隔穿孔や中隔内血腫,冠動脈中隔枝の損傷といった特有の合併症がある。

 

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

(編集長)

(ガイドラインp20 図6より一部転載)

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刺激伝導系ペーシング(CSP) その1

2024.04.15
カテゴリー: 循環器

今回もフォーカスアップデート版が出された循環器学会の不整脈治療ガイドラインからです。今回は刺激伝導系ペーシング(CSP)についてです。

 

まずCSPという言葉を聞いたことがあるでしょうか?このCSPは不整脈をやっている先生でなければ聞きなれないかもしれません。編集長も詳しくはないので勉強も兼ねて紹介します。

 

もともと、徐脈に対するペースメーカ治療では右室心尖部ペーシングが用いられてきました。

 

右室心尖部ペーシング

 

この右室心尖部ペーシングは心拍数維持効果は得られますが、左室の非同期的収縮を生じるため、ペーシング率の増加にともない、EF 低下や心不全など心血管イベントが増加することが知られています。その後は右室心尖部以外に右室中隔ペーシングが試みられてきましたが、心血管イベントの抑制効果は示されませんでした。

 

右室中隔ペーシング

 

動物実験などでは刺激伝導系を直接捕捉するヒス束ペーシング(HBP)が生理的な興奮伝播様式が保持されることが分かっていましたが、デバイスの登場でHBPや左脚領域を直接補足する手技成功率が向上し、CSP の可能性に注目が集まっています。

 

左脚ペーシング

(右室中隔ペーシングに比べて高位に留置されています)

 

今回のガイドラインのアップデートでは、徐脈性不整脈に対するCPSは以下のようになっています。

 

【ClassⅡa】

ペースメーカ適応の房室伝導障害患者で、高頻度の心室ペーシング(> 20%)が予測され、かつ軽度~中等度の左室収縮能低下(LVEF 36 ~ 50%)を認める場合、刺激伝導系ペーシングを考慮する。

 

【ClassⅡb】

・ペースメーカ適応の房室伝導障害患者で、高頻度の心室ペーシング(> 20%)が予測され、かつ左室収縮能低下を認めない場合、ペーシング誘発性心筋症を回避する目的で、刺激伝導系ペーシングを考慮してもよい。

・房室ブロック作製術を必要とする症例に対して,刺激伝導系ペーシングを考慮してもよい。

 

 

当院でもまだ10例未満と少数ですが、左脚領域に心室リードを留置するケースを経験しています。長期経過がどうなるか注目ですね。

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

(編集長)

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専門研修の決め方

2024.04.08
カテゴリー: ブログ

新年度になって、J2のあなたも3年目からの専門研修をどうするか考える時期になりました。J1の時は目の前のことをこなすのに精いっぱいだったかもしれませんが、2年目になると少し余裕ができて、いろいろなことが見えてくるのではないでしょうか?

水戸済生会で初期研修を終えた先輩たちも多くなってきましたが、もともと志していた診療科に進む人はもちろん多いのですが、ローテーションしてみて今まで関心のなかった診療科の魅力を

発見した人もいれば、不向きだと気付いた人、といろいろありました。

以前に調べてみたところ、初期研修開始時の希望診療科と3年目で選択した専門診療科が同じだったのは約4割でした。つまり、学生の頃に考えていた診療科はあるけれど、半分以上の人が初期研修中に悩んで悩んで診療科を決めているという感じなのだと思います。

編集長が研修医らに話すのは、どうして医師になったのか?もともと考えていた診療科をどうして選んだのか?そこを、もう一度考えてみることを勧めています。

実際のところ、自分や家族の病気がきっかけだったり、ブラックジャックなどの漫画やドラマでカッコいいと思った、など人それぞれです。

医師という職業はとてもやりがいがありますが、楽な職業ではありません。どの診療科でも、それなりの覚悟は必要です。

専門研修プログラムの登録開始までは、まだ時間があります。労働条件とか給料といった条件で比較することも必要ですが、カッコイイという憧れの気持ちもすごく大事にしながら、じっくり考えてみてください。

(編集長)

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腎機能障害がある時の抗凝固療法は?

2024.04.01
カテゴリー: 循環器

今年フォーカスアップデート版が出された循環器学会の不整脈治療ガイドラインからです。今回は腎機能障害がある高齢心房細動患者に対する抗凝固療法について紹介します。

 

心房細動のため抗凝固療法を始めようと思ったけど、腎機能障害があるので導入をどうするか悩む症例にしばしば遭遇します。中等度~重度腎機能障害患者に対するDOAC のリアルワールドデータが集積されてきたこともあり、今回のアップデートでは以下のような推奨になっています。

 

【ClassⅠ】 

30 mL/ 分≦ CCr <50 mL/ 分の軽度~中等度腎機能障害患者に対して

抗凝固療法を行う(DOAC を優先する)

 

【ClassⅡa】

15 mL/ 分≦ CCr < 30 mL/ 分の重度腎機能障害患者に対して

ダビガトランを除くDOACを用いた抗凝固療法を考慮する

(ダビガトランはCCr<30ml/分は禁忌となっている。それ以外のDOACはCCr<15ml/分で禁忌)

 

【ClassⅡb】

CCr < 30 mL/ 分かつ非透析導入の末期腎機能障害患者に対して

ワルファリンを用いた抗凝固療法施行を考慮してもよい

 

【ClassⅢ】

維持透析患者に対してワルファリンを用いることは推奨されない

 

維持透析患者ではDOAC は禁忌であり、ワルファリンについても心房細動アブレーション周術期,機械弁症例や脳梗塞二次予防など,例外的に使用せざるを得ない場合を除き原則禁忌となっています。

 

ここでの注意点はCCrを用いていることです。採血検査で出てくるeGFRとは異なるので、勘違いしないようにしてください。

 

CCrと言っても実際はeCCrを用いることになりますが、これはネット上で計算ツールがすぐに見つかるので利用してみて下さい。

 

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

(編集長)

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リードレスペースメーカの適応

2024.03.25
カテゴリー: 循環器

今年フォーカスアップデート版が出された循環器学会の不整脈治療ガイドラインからです。今回はリードレスペースメーカを紹介します。

 

最初に登場したリードレスペースメーカはVVIのみでしたので、徐脈性心房細動や高齢者に用いられることが多かったのですが、現在はVDDのものやスクリューで固定するタイプのものが登場して、以前とは適応も変わってきています。

 

実際のところ当院でもリードレスペースメーカを植え込む機会が増えており、新規植え込みの半数以上がリードレスとなっています。

 

今回のガイドライン改訂では、リードレスペースメーカの適応(推奨クラスⅠ)として

 ①感染リスクが高い

 ②末期腎不全

 ③デバイス感染の既往

 ④先天性心疾患などで経静脈リードの植込みが難しい解剖学的原因がある

 ⑤ステロイドや免疫抑制薬などの薬物治療中

 ⑥放射線治療中
 ⑦長期的血管内カテーテル留置中あるいはその既往

と改訂されています。

 

同時にリードレスの重大な有害事象である心筋穿孔・心囊液貯留のリスクについても言及しており、下記の評価を行うことを求めています。

 ・年齢≧ 85 歳

 ・BMI< 20 kg/m2,

 ・女性

 ・心不全

 ・陳旧性心筋梗塞

 ・肺高血圧症

 ・慢性閉塞性肺疾患

 ・透析

 

もともと高齢者にペースメーカを植え込むことが多かったわけですから、今後もますますリードレスペースメーカを使用する場面が増えると思います。それに伴ってガイドラインが変更されますので、今後も注目して下さい。

 

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

(編集長)

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心房細動の新しいスコア・・・HELT-E2S2スコア

2024.03.18
カテゴリー: 循環器

心房細動の患者さんの脳梗塞発症リスクを評価する際に用いられるものとして、CHADS2スコアやCHADS2-VASCスコアが有名ですが、今年改訂された循環器学会のガイドラインでは、新しくHELT-E2S2スコアがClassⅡaで推奨されました。

 

背景としては、CHADS2スコアは海外で提唱されたものですが、国内のレジストリデータで検証すると、各項目が脳梗塞の独立した危険因子として必ずしも一致していないことが指摘されていました。そこで国内のスタディを用いて作られたのが今回のHELT-E2S2スコアです。

 

 

このスコアでは、「E」と「E2」はどちらか一方しかカウントできないので、最大が7点となります。

 

抗凝固療法なしの場合、脳梗塞の発症頻度は、このスコアで0点の場合は0.57%/年、1点では0.73%/年、2点では1.37%/年、3点では2.59%/年、4点では3.96%/年、5点以上では5.82%/年と点数が上昇するにしたがって発症リスクが上昇しています。

 

一方で、このスコアの現時点での弱点は「何点から抗凝固療法を開始するかの目安がない」ことです。このため従来ガイドライン通りに、「CHADS2 スコア1 点以上の患者で抗凝固療法の開始を推奨」は変更されていません。

 

今後はこのスコアが国内で普及してくると思いますので、覚えておきましょう。

 

ちなみにこのガイドラインには、水戸済生会循環器内科の特別顧問である青沼先生も外部評価委員で作成に携わっています。(ガイドラインの2ページ目のお名前が載っています♪)

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

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日本循環器学会学術集会に行ってきました

2024.03.11
カテゴリー: 循環器

3月8日から10日まで日本循環器学会学術集会(いわゆる総会)が神戸で開催され、当院の循環器内科を志望している2人の初期研修医も参加してきました。

 

非常に幅広いテーマを扱う規模の大きい学術集会なので、発表する側ではなかったものの、二人ともいろいろな刺激を受けたのではないかと思います。

 

編集長も1日目と2日目のみ参加しましたが、Late Breaking Clinical Trailでこれから出てくる研究結果とか、心不全連携関連のセッションでメディカルスタッフの盛り上がりが印象に残りました

 

他にもガイドラインがアップデートされ、心房細動の脳梗塞リスクで使われているCHADS2-VASCスコアよりもHELT-E2S2スコアとういうものが推奨度ClassⅡaで登場したことを初めて知りました・・・。やはりこのような機会を使って勉強しないといけませんね。

 

このHELT-E2S2スコアについては改めて紹介しようと思います。

 

(編集長)

参加した研修医の二人

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飯田修先生のワークショップ

2024.03.04
カテゴリー: 循環器

当院の循環器内科では、虚血に対するPCIや不整脈に対するアブレーション治療はもちろん、大動脈弁狭窄症に対するTAVIや僧帽弁閉鎖不全に対するMitraclipなど、循環器分野の診療を幅広く行っています。その中でも末梢動脈疾患(PAD)に対するカテーテル治療(EVT)は、県内有数の症例数を施行しています。

 

PADは下肢切断に至ることもある重篤な疾患でEVTによる血行再建以外にも血管外科や形成外科、リハビリなど、多診療科・多職種での取り組みが必要です。

 

しかし、特に透析患者さんでは高度石灰化などのため難易度の高い症例が多くを占めており、EVTのレベルアップに積極的に取り組んでいます。今までも新東京病院の朴澤先生や春日部中央病院の安藤先生など、この領域で国内トップオペレーターにお越しいただいてEVTの指導を受けてきました。

 

先日は、大阪警察病院の飯田修先生に初めてお越しいただき、EVTの指導をしていただきました。ご存じない方にちょっとだけ紹介すると、飯田先生は、トップオペーレーターというだけでなく、循環器学会のPADガイドラインや大動脈瘤・大動脈解離ガイドラインの作成にも携わった先生で、ご自身の論文も多数あり、日本からEVTのエビデンスを世界に発信している先生です。

 

 

今回は4症例で、ステント閉塞や透析患者の高度石灰化SFA、そしてBK症例とかなり厳しい症例ばかりでしたが、理論的な戦略とデバイス選択でいずれも成功させていました。手技も早いので、助手に入る我々も追いついていくのが大変でしたが、非常に学びの多いワークショップとなりました。

(編集長)

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