専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
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腎機能障害がある時の抗凝固療法は?

2024.04.01
カテゴリー: 循環器

今年フォーカスアップデート版が出された循環器学会の不整脈治療ガイドラインからです。今回は腎機能障害がある高齢心房細動患者に対する抗凝固療法について紹介します。

 

心房細動のため抗凝固療法を始めようと思ったけど、腎機能障害があるので導入をどうするか悩む症例にしばしば遭遇します。中等度~重度腎機能障害患者に対するDOAC のリアルワールドデータが集積されてきたこともあり、今回のアップデートでは以下のような推奨になっています。

 

【ClassⅠ】 

30 mL/ 分≦ CCr <50 mL/ 分の軽度~中等度腎機能障害患者に対して

抗凝固療法を行う(DOAC を優先する)

 

【ClassⅡa】

15 mL/ 分≦ CCr < 30 mL/ 分の重度腎機能障害患者に対して

ダビガトランを除くDOACを用いた抗凝固療法を考慮する

(ダビガトランはCCr<30ml/分は禁忌となっている。それ以外のDOACはCCr<15ml/分で禁忌)

 

【ClassⅡb】

CCr < 30 mL/ 分かつ非透析導入の末期腎機能障害患者に対して

ワルファリンを用いた抗凝固療法施行を考慮してもよい

 

【ClassⅢ】

維持透析患者に対してワルファリンを用いることは推奨されない

 

維持透析患者ではDOAC は禁忌であり、ワルファリンについても心房細動アブレーション周術期,機械弁症例や脳梗塞二次予防など,例外的に使用せざるを得ない場合を除き原則禁忌となっています。

 

ここでの注意点はCCrを用いていることです。採血検査で出てくるeGFRとは異なるので、勘違いしないようにしてください。

 

CCrと言っても実際はeCCrを用いることになりますが、これはネット上で計算ツールがすぐに見つかるので利用してみて下さい。

 

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

(編集長)

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