専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

「専門」の落とし穴

2024.09.23
カテゴリー: ブログ

ある日のことですが、内科外来をやっていると看護師さんから相談がありました。

 

「検診で肝機能異常と尿酸高値を指摘された患者さんが受診したのですが、初診の消化器内科の先生は尿酸の方は診れないって言っているので、先生に診てもらえませんか?」

 

患者さんの診察をする前から、肝機能異常はOKだけど、尿酸はNGという対応って、あなたはどう思いますか?

 

外来患者さんが多くなると、早く患者さんを診療しなくてはいけないので、だんだんと焦ってきて、自分の専門分野以外のことは診たくない、他に回したくなる気持ちは実によく良く分かります。

 

でもこれが尿酸ではなく、例えば健診で血糖高値の指摘でも、おそらく診れないと言うのではないでしょうか? 内科ではどの領域でも糖尿病を診ない訳にはいかないという現実があるにも関わらずです。

 

検診で指摘された程度であれば、まずは話を聞いて、病歴を確認する程度で、いきなり処方を出したり、その日のうちに入院させて精査が必要になることは通常ありません。肝機能のフォローついでに、尿酸もフォローして、その間にどう対応すればよいのか調べる時間はあります。たとえ糖尿病だとしても、すぐにインスリンが必要なんてことは、外来診療では稀です。

 

しばらく前に当院で内視鏡のトップとして活躍してくれていた消化器内科の先生が開業されたのですが、その先生とお会いした時に「クリニックで診療している患者さんのうち消化器内科疾患はどのくらいの割合ですか?」と聞いたことがあります。

 

その先生の答えは「約2~3割」とのこと。それ以外の大部分が高血圧とか脂質異常症そして糖尿病と言っていました。つまり、専門領域に関わらず内科のコモンな疾患については、ある程度の対応ができないといけないと言えるでしょう。

 

今は内科専攻医、そして勤務医として急性期病院で働いているあなたでも、将来はどこで仕事をするようになるか分かりません。自分の専門分野は○○と思っていても、実際にそれを生かせるのは日常臨床の中の割合から言えばごく小さいことがほとんどです。専門分野を習得することは重要ですが、今から自分のできることを狭めるのはもったいない。どんな状況でも対応できるように、内科のコモンな疾患の評価や管理を自分でやってみるのが大事だと思います。

 

専門にこだわり過ぎて食わず嫌いにならないように、まずは話を聞いてみることから始めてみてください。

(編集長)

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