専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

【腎臓内科】ドライウェイトの話(2)

2021.08.02
カテゴリー: 腎臓内科

DWが適切でないと気づくチャンスは他にも複数あります。

 

透析患者の血圧は体液量に依存(前負荷のコントロールが自分の体ではできないため)するため,高血圧がうっ血を疑うきっかけになることもあります。また,透析後半の血圧上昇は心不全傾向(除水で心機能が改善している)を示唆し,逆に透析後半に急激な血圧低下がある場合にはDWが下げ過ぎているかもしれません。除水のスピードが多い場合など(後からお話します)は血圧が下がってしまうので一概に判断はできませんが,血圧の動きは一つの大事な指標です。

 

他にDWの評価の仕方としては,症状/臨床所見/血圧だけでなく,胸部レントゲンやhANP(透析後採血, 馴染みがなければBNPでみてみるのもありです)やIVC径など総合的にみて評価します。施設によっては生体インピーダンス法という体脂肪率のように水分量を評価できるやり方や,HctやBUNなどの採血結果から計算する仕方もあるようですが,自分が評価し慣れた方法で総合的にみられれば使う必要はないと思います。

 

ついでにですが,心不全の対応をみているとたまに気になることがあります。しばしば見かけるのは心不全+低酸素の方に人に痰の吸引を頻回にしていることです.確かに心不全の時は,肺炎を合併しやすいのもあって痰の量は多いかもしれません。サクションやマスクを外すことによる<苦しい・痛い>の刺激で交感神経が刺激され,心不全症状がさらに悪くなることが予想されるので,気道閉塞がひどい場合以外はなるべく最小限にするのが良いかなと思います。

 

救急外来や病棟で透析準備が整うまで待っている間,低酸素でモニターアラームはなるし,苦しそうで何かやってあげたいという気持ちもあるでしょう。NPPVを必要であれば装着することは勿論ですが,苦しいことによる不穏で忍容性がなかったり,今のご時世だとCOVID-19抗原(-)だけでも確認しないと使いにくかったり(COVID-19感染者にNPPV使用するとそのNPPVは使用後破棄になってしまいます)すぐに使用できない状況な場合もあります。

 

そんな時はキチンとベットでずり落ちている体勢から整えてhead upさせて,酸素を十分投与するだけでも多少安楽なる場合も多々あるので(大体苦しくて不穏で整えても頻回に直さないといけないことになることが多いです),研修医の先生は看護師さんがパパッと何気なくやっていることを一緒にやってみると良いかもしれません。

(おもち)

腎生検は無事終了♪

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