専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

【循環器】腎動脈疾患・・・疑うポイント

2020.12.21
カテゴリー: 循環器

動脈硬化性疾患について、ESCの

ガイドラインから紹介している

このシリーズですが、頸動脈病変、

上肢動脈疾患、腸間膜動脈疾患と来て、

今回から腎動脈疾患に入ります。

 

腎動脈狭窄が高血圧に関与するのは

有名ですが、一時期は腎動脈狭窄に

対するステント留置が流行ったものの、

今ではほとんど話題になりません。

 

また、腎デナベーション(腎交感神経

除神経術)という治療も盛り上がった

のですが、その後は普及していません。

 

どちらの治療も、非常に有効な症例は

あるのは間違いないのですが、どの

ような症例が治療適応となるのかが

良く分かっていないのが現状です。

 

ESCガイドラインでも、こういった背景も

あって、腎動脈疾患に関する記載は

少ないですね。

 

今回は、腎動脈疾患が疑われる臨床

所見を紹介します。

 

<腎動脈疾患が疑われる臨床所見>

・30歳未満の高血圧発症

 

・55歳以上でCKDや心不全を伴う

 重症高血圧発症

 

・高血圧と腹部の血管雑音

 

・コントロールされていた高血圧の急速

 かつ持続性の悪化

 

・治療抵抗性の高血圧

 

・高血圧クライシス

 (急性腎不全、急性心不全、高血圧性

 脳症、grade 3-4の網膜症)

 

・新たな高窒素血症やRAS系阻害薬

 投与後の腎機能悪化

 

・原因不明の腎萎縮、腎サイズの左右差、

 腎不全

 

・急性肺水腫

 

ちなみに治療抵抗性高血圧は

定義があって、

「他の二次性高血圧でなく、利尿剤と

鉱質コルチコイド(アルドステロン)受容体

拮抗剤を含む適切な容量の4種類の薬剤を

用いても目標値に下がらない」

となっています。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

お申し込みはこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

申し込みは、下記の

申し込みフォームを利用してください

お申し込みフォームはこちら

 

あなたの参加をお待ちしています!

 

【循環器】腸間膜動脈疾患 その5

2020.12.14
カテゴリー: 循環器

今回は慢性腸間膜動脈虚血(CMI)の

画像診断と治療についてです。

 

【画像診断】

画像診断の第一選択はエコーです。

腹腔動脈、上下腸間膜動脈のフローを

ドップラーで評価するのが、一番侵襲が

少なく評価できます。ただし、評価基準

には定まったものは、まだありません。

 

他には造影CT、MRA、血管造影ですが、

血管造影では、実際のフローの評価と

狭窄前後の圧の評価ができる利点が

あります。

 

【治療】

無症候性の場合は、予防的な血行再建の

適応はありません。一方、症候性の場合は、

栄養状態を改善するために再灌流を遅ら

せることは推奨されていません。

 

侵襲性の低い治療法として血管内治療が

広く行われるようになっていますが、ラン

ダム化比較試験(RCT)がないことから

血管内治療を第一選択としてよいかの

結論は得られていません。

 

他にも、腹腔動脈と上下の腸間膜動脈の

うち、どれを血行再建すべきか、ベアメタル

ステントにすべきか、カバードステントを

用いるべきかなど、明らかになっていない

ことが多々あります。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

お申し込みはこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

申し込みは、下記の

申し込みフォームを利用してください

お申し込みフォームはこちら

 

あなたの参加をお待ちしています!

 

—–

【循環器】腸間膜動脈疾患 その4

2020.12.07
カテゴリー: 循環器

前回までは急性腸間膜動脈虚血に

ついて紹介してきました。今回からは

慢性腸間膜動脈虚血(CMI)に関してです。

 

CMIというと、あまりピンときませんが、

具体的には腹腔動脈または上下の

腸間膜動脈の狭窄または慢性閉塞が

含まれます。

 

CMIの有病率は、当然のことながら年齢

とともに増加し、特に他の動脈硬化性

疾患および腹部大動脈瘤の存在下では

増加することが知られています。

 

腹腔動脈と上下腸間膜動脈の3つのうち

少なくとも1つの動脈の有意な狭窄あるのは、

腹部大動脈瘤患者で40%、下肢動脈疾患

(LEAD)の患者では27%に認められたとの

報告があるそうです。

 

CMIの典型的な症状は、食後の腹痛、体重

減少、下痢、便秘ですが、無症状のことも

良くあります。また、食後の腹痛を避ける

ために、患者さんは食べることを嫌がります。

でも、悪性腫瘍の患者んなどとは対照的に

食欲は影響を受けません。つまりおなかがすくけど

痛くなるので食べたくない、と言うのです。

 

ポイントは臨床的に疑うことが早期診断の

カギになります。非特異的な検査所見として、

貧血、白血球減少、電解質異常、栄養失調

による二次的な低アルブミン血症などがあります。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

お申し込みはこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

申し込みは、下記の

申し込みフォームを利用してください

お申し込みフォームはこちら

 

あなたの参加をお待ちしています!

 

—–

【循環器】腸間膜動脈疾患 その3

2020.11.30
カテゴリー: 循環器

前回は、急性腸間膜動脈虚血の

診断について紹介しました。

今回は治療に関してです。

 

上腸間膜動脈が急性閉塞した場合、

壊死した腸管の切除のみで生存できる

のは20~30%で、主に末梢側(腸管に

近い側)の塞栓の場合です。

 

ほとんどの場合、救命するために即時の

再灌流が必要となりますが、腸管の評価

(つまり切除する必要があるかの判断)は

CTだけでは悩ましいこともあり、開腹する

必要も出てきます。

 

開腹が先か?再灌流が先か?は議論の

余地がありますが、実際のところ消化器

外科が主体で見ている施設もあれば、

当院のようにIVRチームが最初に関わる

ところもあり、施設の事情に影響されます。

 

またガイドラインでは、再灌流の方法に

ついても言及しています。

まとめると、

・塞栓性閉塞の場合、開腹再灌流と

 血管内再灌流は同等の効果。

 血栓性閉塞では血管内治療の方が

 死亡率と腸管切除率が低い。

・(高齢の)虚弱な患者を治療する際

 には、ダメージコントロール手術の原則に

 従うことが重要。 

・急性腸虚血患者では血管内治療後の

 開腹手術は必須ではないが、腸の検査が

 必要になることが多い。 

・上腸間膜動脈のカテーテル血栓溶解術は

 良好な結果が報告されており、腸粘膜壊疽が

 なければ、重篤な出血性合併症はまれ。

 

ガイドラインの推奨は以下のように

なっています。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

お申し込みはこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

 

申し込みは、下記の

申し込みフォームを利用してください

お申し込みフォームはこちら

 

あなたの参加をお待ちしています!

—–

【循環器】腸間膜動脈疾患 その2

2020.11.23
カテゴリー: 循環器

前回は、ESCガイドラインから、急性

腸間膜動脈虚血の診断に関する

推奨事項を紹介しました。

今回は診断に関する補足です。

 

症状の特徴は

・検査所見はほとんどないが激しい腹痛、

・腸の空洞化(多くの場合、嘔吐と下痢の

 両方を伴う)、

・塞栓症の原因(心房細動など)の存在。

約80%の症例で、この3要素を伴っている

そうです。

 

採血検査ではDダイマーの利用を考慮と

なっていますが、メタアナリシスでは

D-ダイマーの感度は96%、特異度は40%と

感度が高いものの、特異度に欠ける検査

です。なので、使い方としては、Dダイマーが

上昇している急性発症の腹痛なら、

急性腸間膜動脈虚血を疑う必要がある、

という程度で他の検査を進めるべきでしょう。

 

ちなみに、腹部の単純X線検査も行われる

と思いますが、この検査の特異性はなく、

正常であれば、診断を除外するものでは

ないということです。

 

診断のためには、やはりCTアンギオが

一番で、メタアナリシスでも診断精度は

高く、感度94%、特異度95%となって

います。

 

なお、腎機能が悪化していることが一般的

ですが、臨床的に疑わしい場合にはCT

アンギオを禁忌とすべきではない、として

います。つまり他の検査法はあまり役に

立たないので、たとえ腎機能が悪くても

疑ったらCTアンギオをやるしかない

ということです。

 

また、診断するという点においては

エコーや血管造影は有用でない、

MRAは実際にほとんど行われていない

のでデータがないと記載されています。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

お申し込みはこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

 

申し込みは、下記の

申し込みフォームを利用してください

お申し込みフォームはこちら

 

あなたの参加をお待ちしています!

—–

【循環器】腸間膜動脈疾患 その1

2020.11.16
カテゴリー: 循環器

80歳前後の高齢者が、急性発症の

腹痛でERを受診しました。バイタルは

血圧も保たれ、発熱もありません。

腹部の診察をしてみると、腹部は

柔らかく、圧痛もありません。

腹膜刺激所見もないのですが、

患者はひどく痛がっています。

 

こんな時、あなたは何を鑑別に

考えますか?

 

腹部所見が大したことないのに、

本人の腹痛の訴えが強い時には、

必ず上腸間膜動脈閉塞症を鑑別に

挙げましょう。特に心房細動の

罹患率が高い高齢者では要注意です。

 

腹部が柔らかいから大丈夫だろうと

油断すると、数時間後には大変な

ことになっています。

 

ESCのガイドラインでは、

急性/慢性腸間膜動脈疾患は非常に

致死的な疾患であるにも関わらず、

診断が見過ごされやすい。診断のため

には臨床所見から疾患を疑い、その

うえで画像検査を行うことが重要である。

と書かれています。

 

次回からガイドラインの内容を紹介して

いきます。

 

ちなみに、急性腸間膜動脈虚血の診断に

関する推奨事項は、以下の2つです。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

お申し込みはこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

 

申し込みは、下記の

申し込みフォームを利用してください

お申し込みフォームはこちら

 

あなたの参加をお待ちしています!

—–

【循環器内科】樋口先生の論文がpublishされました!

2020.11.09
カテゴリー: 循環器

当院の循環器内科で活躍する樋口先生が

まとめたリードレスペースメーカーに関する

論文が、PACEという雑誌にpublishされました!

オメデトウございます!!

 

樋口先生の論文はこちら

 

リードレスペースメーカーを植え込んでも

微妙に閾値が上昇することがあり、どこを

カットオフにするのがいいのか?という

Ckinical Questionから始まったものです。

 

当院ではリードレスペースメーカーの留置

症例が多いので、そのデータをもとに、

カットオフ値を提案した論文です。

 

これが議論の一歩になって、リードレス

ペースメーカーの成績向上につながると

いいですね。

 

ちなみに、樋口先生はPCIはもちろん、

ペースメーカーもICD、CRTD、そして

下肢EVT、EVAR、IVRと非常に幅広く、

何でもできる先生です。そんな忙しい中で

まとめた論文です。

 

樋口先生お疲れ様でした!

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

お申し込みはこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

 

申し込みは、下記の

申し込みフォームを利用してください

お申し込みフォームはこちら

 

あなたの参加をお待ちしています!

—–

【循環器】上肢動脈疾患 原因疾患その5

2020.09.28
カテゴリー: 循環器

上肢動脈疾患の原因の最後です。

 

クリオグロブリン血症

クリオグロブリンとは、37℃以下で

凝集し、それ以上の温度で溶解する

性質をもつ免疫グロブリンのことです。

このクリオグロブリンによる血栓症および

クリオグロブリンが血管壁に沈着して補体が

活性化されることにより生じる免疫複合体性

血管炎のことをクリオグロブリン血症性血管炎

と呼んでいます。上肢では、レイノー現象、

紫斑・網状皮斑などの皮膚症状、関節痛、

血栓症および血管炎による末梢性神経障害

などを認めます。

 

塩化ビニル暴露

化学工場などで塩化ビニルに暴露する

作業に従事する人で塩化ビニル中毒に

なることがあります。症状としては

めまい、羞明、吐気、見当識障害等を

来す中毒症状や、急性の高濃度ばく露

では重症の不整脈、虚脱、意識喪失などから

死亡例もあるそうです。上肢の症状と

してはレイノー症状を来すことがあるそうです。

 

医原性

これは感覚的にわかりますよね。

例えば、橈骨動脈からのアプローチで

心カテをやった時に、血管損傷を

起こしてしまうことがあります。

上腕動脈は高位分岐やUlner loopと

呼ばれるようなバリエーションがいろいろ

あるので注意です。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

 

詳細はこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

 

申し込みは、下記の

見学実習申し込みフォームを

利用して、希望日などを入力し、

「その他ご希望」の欄には

【専門研修・個別説明希望】 

とご記入ください

 

申し込みフォームはこちら

あなたの参加をお待ちしています!

—–

【循環器】上肢動脈疾患 原因疾患その4

2020.09.21
カテゴリー: 循環器

上肢動脈疾患の原因の続きです。

 

細胞毒性薬・動注用薬剤

細胞毒性薬というと、消毒薬も含めた幅広い

薬剤を指してしまいますが、動注も行われる

抗がん剤は血栓塞栓症を来す代表的なものに

なります。代表的なものとして、殺細胞性

抗がん剤ではプラチナ製剤(シスプラチン)や

タキサン系抗がん剤、分子標的薬では多 くの

薬剤で血栓塞栓症を合併するそうですが、

特に血管新生阻害薬や多標的チロシン

キナーゼ阻害薬が多いようです。

血栓塞栓形成に関する病態については

不明な点が多いものの、作用機序が明らか

である薬剤として血管新生阻害薬が挙げ

られます。血管新生阻害薬のベバシズマブは,

大腸がん、肺がん、乳がんなど多くの治療に

用いられますが、血管内皮細胞を標的として

おり血管内皮障害とともに血栓症を発症します。

静脈血栓塞栓症の発症は11.9%、動脈血栓

塞栓症が3.3%と報告されているそうです。

 

(参考文献)

向井幹夫 心臓 Vol . 49 No . 8(2017);816-821

 

糖尿病

糖尿病で足壊疽を来すことは有名ですが、

手指にも壊疽を来すことがあり、血行再建も

難しく、対処困難なことが多くなります。

 

骨髄性増殖性疾患

多発性骨髄腫に代表される骨髄増殖性

疾患は、疾患そのものが血栓塞栓症を

多く合併することが知られています。

さらに、治療薬である免疫調節薬や

プロテアソーム阻害薬にステロイド剤を併用

す ることで、その頻度がさらに増加するそうです。

(Angiologist)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

専門(後期)研修向け

Web版・個別病院説明会

 

Zoomを使って、当院の各科

スタッフと直接話をしながら

専門研修の知りたいところを

聞き出せます!

 

詳細はこちらから

 

個別対応なので、周りを気に

することなく、知りたいことを

質問できます。

 

申し込みは、下記の

見学実習申し込みフォームを

利用して、希望日などを入力し、

「その他ご希望」の欄には

【専門研修・個別説明希望】 

とご記入ください

 

申し込みフォームはこちら

あなたの参加をお待ちしています!

—–

【循環器】上肢動脈疾患 原因疾患その3

2020.09.18
カテゴリー: 循環器

上肢動脈疾患の原因の続きです。

 

Buerger病(バージャー病)

閉塞性血栓血管炎とも呼ばれ、四肢動脈に

閉塞性の全層血管炎を来す疾患。下肢に

多いが、上肢にも発症する。原因は不明で、

喫煙は発症に強く関与している。また、

歯周病との関連も示唆されている。

症状は冷感やしびれ感、寒冷暴露時の

レイノー現象を認め、高度になると安静時

疼痛、潰瘍や壊死に至る。治療は禁煙が

きわめて重要
 

麦角病

ライ麦や小麦などの穀物に寄生する麦角菌

が産生する菌核にアルカロイドが含まれて

いて、これによる中毒症状を麦角病と呼びます。

麦角アルカロイドは血管収縮作用があり、

四肢末梢の循環不全から壊死に至ることも

あります。中世ヨーロッパでは、麦角菌に

汚染されたライ麦で作られたパンを食べる

ことで流行していたそうです。ちなみに、

片頭痛治療に用いられるエルゴタミンは

麦角アルカロイド由来です。

 

結合組織異常

結合組織異常の代表的な疾患はエーラス

ダンロス症候群(Ehlers-Danlos syndrome)

ですが、血管型エーラスダンロス症候群では

動脈解離や動脈瘤破裂などを来すことが

知られています。当然、上肢動脈にも

起こりえる疾患です。治療は外科的修復

ですが、直達手術では縫った所から

血管が裂けてくるような状況になるため、

血管内治療を選択されることが多いようです。

(Angiologist)

 

—–