専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

【循環器】上肢動脈疾患 原因疾患その2

2020.09.14
カテゴリー: 循環器

上肢動脈疾患の原因の続きです。

 

放射線障害

悪性腫瘍に対する放射線治療の影響で

動脈閉塞や瘤形成、破裂、瘻孔形成など、

頻度は低いものの動脈の合併症を来す

ことがあります。特徴としては、照射野に

限局している、他の周辺臓器(皮膚、筋肉

など)にも放射線障害が出ていることが

多いことがあげられます。

 

塞栓症

上肢動脈に起こる塞栓症の原因は、

心房細動によるものが多いとされています。

腋窩動脈や上腕動脈など、血管径が細く

なる部分や、橈骨動脈と尺骨動脈の

分岐部のような、分岐部にひっかかります。

もともと上肢は虚血に強いところなので、

塞栓症が起こってから、時間が経過して

いても、血栓除去術などの血行再建を

考慮すべきとされています。

 

筋線維異形成

ESCガイドラインでは「筋線維異形成」と

訳されていますが、本邦では「繊維筋

異形成(FMD)」と呼ぶことが多いです。

特徴的な血管造影所見と病理所見で

診断します。部位は腎動脈が有名ですが、

他にも頸動脈や頭蓋内動脈、腹腔動脈、

腸骨動脈、さらに上肢の動脈にも見られ

ることが報告されています。上肢では

狭窄や閉塞というより動脈瘤を形成して

発見される報告が多いようです。

(Angiologist)

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【循環器】上肢動脈疾患 原因疾患その1

2020.09.11
カテゴリー: 循環器

前回は上肢動脈疾患の原因を

紹介しましたが、あまり聞きなれない

疾患も多いので、簡単な解説を

加えていきます。

 

動脈硬化性

動脈硬化性のもので、多くは腕頭動脈

起始部、鎖骨下動脈や腋窩動脈に生じます。

鎖骨下動脈盗血症候群などの症状を

来します。また後述する予定ですが、

冠動脈バイパス術で内胸動脈を使用する時に

見落とさないように評価が必要です。

 

胸郭出口症候群(TOS:Thoracic Outlet Syn.)

神経性、静脈性、動脈性に分けられ、

その中でも動脈性TOSは稀とされている。

ちょうど洗髪する時のように上肢を

90度外転、90度外旋、肘関節90度屈曲位

にする(ライトテスト)と動脈が圧迫されて

橈骨動脈が触れなくなり、しびれや手指の

蒼白が生じます。

 

巨細胞性動脈炎

以前は側頭動脈炎と言われていたもので、

高安病と異なり、高齢者に多い。大型・中型の

動脈に巨細胞を伴う肉芽腫を形成する動脈炎で、

大動脈とその主要分枝、特に外頚動脈を高い

頻度(約2/3)で傷害するが、大動脈とその

分枝部の病変は20%に認められます。

約4割の患者に鎖骨下動脈や腋窩動脈の

狭窄を認めるが、多くは無症状です。

 

高安動脈炎

若年女性に見られる疾患で、大動脈からの

分枝の近位部に狭窄を来すので、鎖骨下動脈や

腕頭動脈、腎動脈、総腸骨動脈などに狭窄病変を

来すことが多い。上肢の症状としては、橈骨動脈

が蝕知しなくなる(脈なし病)、洗濯物を干す時や

洗髪がつらいという訴えが多い。

(Angiologist)

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【循環器】上肢動脈疾患

2020.09.07
カテゴリー: 循環器

前回までは頸動脈、椎骨動脈病変に

ついてシェアしてきましたが、今回から

上肢動脈疾患についてです。

 

上肢動脈疾患といっても、あまり

ピンとこないかもしれません。

仮に経験するとしても、透析患者さんの

シャントトラブルがほとんどかもしれません。

 

でも、ここは鑑別疾患を思いつくだけで

差をつけることができる領域ですので、

ざっくり頭にいれておくと、必ずどこかで

役に立ちますよ。

 

臨床で注意しておきたいのは、やはり

動脈硬化性のもので、多くは腕頭動脈

起始部、鎖骨下動脈や腋窩動脈に生じます。

他の病因を含めて下表に示しますが、

思いのほかたくさんの原因疾患があること

が分かります。

 

臨床的に疑わしい場合は、ドップラーエコー、

CTアンギオ、MRAにて評価を行いますが、

鎖骨や肋骨の影響で評価しにくいことも多く、

状況によっては血管造影も考慮した方が

良いことは覚えておくといいと思います。

(Angiologist)

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【循環器】椎骨動脈病変を見つけた時は

2020.08.31
カテゴリー: 循環器

今回は頸動脈病変ではなく、

椎骨動脈病変についての

マネジメント方針についてです。

 

頭部のMRAを撮影していると

たまに椎骨脳底動脈領域の

狭窄を認めることがあります。

 

そんな時の治療の基本方針を

知っていますか?

 

椎骨動脈病変では、まず

内科的管理で、血行再建は

よほどでないと行われない

と覚えておけば十分です。

 

抗血小板薬とリスク因子の厳格な

管理を優先させるべきことです。

 

これを知っていれば、慌てて

脳外科医にコンサルトしなくても

大丈夫ですよ。

(Angiologist)

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【循環器】頸動脈病変・・・脳梗塞のハイリスク因子

2020.08.24
カテゴリー: 循環器

今回はシェアした頸動脈病変の

マネジメントについて補足追加です。

 

フローチャートの左の方に

「脳梗塞のハイリスク項目1つ以上」

と書いてあります。

 

この部分は知っておいた方が

良いところですので、ぜひ覚えて

おきましょう。

特に無症候性の頸動脈病変であれば

まずは、抗血小板薬やリスク因子の

厳格な管理など、内科的管理を考え

ますが、それでも脳梗塞を起こすリスクの

高い状況が上記になります。

 

これらに該当するなら、患者さんが

ドロップアウトしないで治療を継続する

ように、よくよく患者の話を聞きましょう。

そして脳外科医などに治療方針を相談

するのが良いと思います。

(Angiologist)

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【循環器】頸動脈病変・・・マネジメント

2020.08.21
カテゴリー: 循環器

今回は頸動脈病変を見つけた時の

マネジメントについてです。

 

前回は頸動脈狭窄度の評価を紹介

しましたが、頸動脈狭窄を見つけた時は

症状の有無と狭窄度で方針を決めます。

 

ESCのガイドラインのマネジメントフローを

下記の示しますが、無症状で見つけた時は

内膜剥離(CEA)や頸動脈ステント(CAS)は

慎重な適応が求められます。

まずは、抗血小板薬やリスク因子の厳格な

管理など、内科的管理を考えます。

 

一方で、症状がある(あった)場合は、

CEAやCASなどを考慮していくことになりますが、

施設の成績なども考慮することが求めらて

いることに注意しましょう。

(Angiologist)

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【循環器】頸動脈病変・・・狭窄度の評価

2020.08.17
カテゴリー: 循環器

動脈硬化性疾患は、大動脈疾患、

冠動脈疾患、末梢動脈疾患に

分けられることを紹介しました。

 

さらに末梢動脈疾患(PAD)は、

・脳血管疾患(頸動脈・椎骨動脈病変を含む)

・上肢動脈疾患(UEAD)

・腸間膜動脈疾患

・腎動脈疾患(RAD)

・下肢動脈疾患(LEAD)

が含まれます。

 

このように、PADは色々な領域を

含んでいるのですが、各領域のエッセンスを

少しづつ紹介していこうと思います。

 

さて、今回は頸動脈病変についてです。

 

頸動脈狭窄は、エコーで評価しやすい

部位のため、エコーをしていると意外と

見つかります。もちろん血管雑音の聴取も

大事ですが、じっくり聴かないと、呼吸音に

紛れて聞き逃してしまっていることもあります。

 

では、見つけた時にどうしたらよいので

しょうか?

 

基本的に、症状の有無と狭窄度で方針を

決めていきます。

 

ここでいう症状とは、狭窄側の対側の

脳梗塞やTIAの症状のことを指します。

例えば、右頸動脈狭窄が判明していれば

左片麻痺や左半身のTIAということです。

 

狭窄度の決め方は、ESCのガイドラインでは

2つあるので覚えましょう。

 

①ECST法

(Europian Cartid Sugery Trial)

  エコーなどでの二次元の評価

  簡便

②NASCET法

(North American Symptomatic Cartid 

 Endarterectomy Trial)

  アンギオでの狭窄度の評価

  外科的治療の指標となる

 

下記の対応表を見てもわかる通り、

狭窄度はECST>NASCETとなります。

その他にもドップラー法による流速から

狭窄度を求めたり、血管の短軸像で

内腔の断面積から求めるArea法があります。

(Angiologist)

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【循環器】動脈硬化性疾患

2020.08.14
カテゴリー: 循環器

循環器領域では、心臓と脈管を対象にしています。

脈管というと、動脈・静脈・リンパ管を指すのですが

その中でも、圧倒的に動脈硬化性疾患の割合が

多いことは、あなたも理解できると思います。

 

では、この動脈硬化性疾患とは、具体的に何を

指しているのか、あなたは言えますか?

 

用語の定義になってしまいますが、われわれ

循環器医も、スラスラと答えられる人は少ないと

思います。

 

循環器領域に興味があるなら、ぜひ知っておいて

損はないと思いますので紹介します。

 

用語の定義は時代とともに変わりますが、

2017年に改訂されたESCのガイドラインが参考に

なります。

 

動脈硬化性疾患は、大きく3つに分かれます。

①大動脈疾患:大動脈瘤や大動脈解離など

②冠動脈疾患:狭心症や急性冠症候群

③末梢動脈疾患(PAD):下肢動脈疾患など

 

①と②はすぐにわかると思いますが、

③には、大動脈と冠動脈以外の動脈硬化性疾患

すべてを含むので、さらに下図のようになります。

このPADに関する話題を、次回以降で紹介していきます。

(Angiologist)

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