専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

【消化器内科】胆嚢炎の診断は難しい 3つのコツ

2020.10.05
カテゴリー: 消化器内科

編集長はバテ気味で、ブログの更新が

このところ滞りがちでした。スミマセン。

 

そんなところに、消化器内科のNao先生が

記事を書いてくれました。Nao先生は

消化器内科の若手~中堅ですが、

ベテランドクターのように、何でもできて

しまう先生です。

 

消化器内科を少しでも考えているあなたには

きっと役に立つ内容だと思います。

 

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心窩部痛、炎症反応の上昇などから胆嚢炎を

疑われ、コンサルトを受け診察に行く。

エコー上、胆嚢はやや大きいものの、いわゆる

腫大の基準は満たさない(研修医ブログ参照)。

 

胆嚢結石は一応あるが、壁の肥厚もないし、

胆泥貯留もないし。画像上は胆嚢は責任病変

じゃなさそうだ。念のためCTもとってみるが、

所見としては同様。

 

「炎症反応も高いし、心窩部痛もありますが、

Murphyもはっきりしないし、胆嚢炎ではなさそう

ですね。focusはちょっとはっきりしないです。

禁食で様子見てもらって改善なければまた

連絡ください。」

 

その後、禁食にして一旦は改善したものの、

食事再開すると同様だとのことで再コンサルト。

 

今一度エコーを当ててみると、疑いようのない

胆嚢炎の所見…

「胆嚢炎でした。すみません…」

 

こんな恥ずかしい経験、消化器内科の医師なら

一度くらいはあるのではないでしょうか。

(私だけならさらに恥ずかしいですが・・・)

 

こんな経験をしないために、胆嚢炎を否定

しきれず、他の原因も指摘できない時の

3つのコツは、

 

・MRIという手がある。

⇒T2強調でpericholecystic high signalという

胆嚢周囲のhigh signalが胆嚢の炎症を反映して

認められることがあります。

 

・「胆嚢炎ではない」、とは言わない。

⇒当たり前の話ですね。断言するとカッコいい

ですが、「原因ははっきりは指摘できません」

とか、「胆嚢炎も否定はできませんが積極的には

疑いません」くらいにしておきましょう。

 

・時間を空けてもう一度エコーをする。

⇒午前のコンサルトなら夕方と翌日くらいには

繰り返しエコーを当ててみましょう。胆嚢が収縮

している、ほかの原因が判明した、などが判明

するまで、エコーで確認を続けても損はあり

ません。消化器内科医にとってエコーは聴診器

みたいなものですからね。

(Nao)

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