専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
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【循環器】アルドステロン症の見つけ方 その7(AVSの解釈)

2021.11.22
カテゴリー: 循環器

前回は副腎静脈サンプリング(AVS)の具体的なやり方について紹介しました。今回はAVSの判定について、3つの指標を紹介します。

 

この3つの指標とは

・SI:Selective Index

・LR:Lateralized ratio

・CR:Contralateral ratio

です。

 

まず、SIについて。

AVSは右副腎静脈のサンプリングが最大の難関ですが、うまくサンプリングできたかどうかの判定はコルチゾールで判定します。(AVSでは左右副腎静脈、IVCの3か所からACTH負荷前後でアルドステロン、コルチゾールを測定します)。この時用いられるのがSIで、副腎静脈とIVCのコルチゾール濃度比のことです。

 

日本内分泌学会のコンセンサスステートメントでは、SIのカットオフ値を

・ACTH負荷前のSIは2.0以上、

・ACTH負荷後のSIは3.0または5.0以上

で適正なサンプリングと判断します。

 

他に適切にサンプリングできたかの判定にコルチゾール濃度も用いられます。

・ACTH負荷前では40μg/dl以上、

・ACTH負荷後は200μg/dl以上

で適正なサンプリングと判断します。

 

さて、コルチゾールでサンプリングが適正に行われたことが確認されれば、局在診断(片側性か両側性か)の判定に移ります。

 

局在診断に用いられるのがACTH負荷後のLateralized ratio(LR)とContralateral ratio(CR)です。

 

LRは左右副腎静脈で比較し、

LR=(高値側のアルドステロン/コルチゾール)÷(低値側のアルドステロン/コルチゾール)

で求めます。

 

CRは

CR=(副腎静脈低値側のアルドステロン/コルチゾール)÷(IVCのアルドステロン/コルチゾール)

で求めます。

 

LR>4かつCR<1.0で片側性と診断し、手術適応を決定するように推奨されています。

 

実際にはこれに当てはまらないグレーゾーンがあるのですが、総合的に判断するか、AVSをやり直してみることになります。

明らかな結果であれば心配いりませんが、判定に悩む時には内分泌専門医に相談したほうが良いですね。

(編集長)

 

これはAVSではなく緊急PCI♪

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