専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
CLTI 創傷治療(5)
改訂されたガイドラインをもとにCLTIについて紹介しています。
CLTIの創傷治療は8項目に分けて考えていきますが、実は最後の⑧再発の予防/予防的フットケアについては、ガイドラインでは触れられていません。と言っても大事なところなので、当院の経験も踏まえて少しだけ触れておこうと思います。
まずは、CLTI患者の下肢の予後について、ガイドラインには患側下肢と対側下肢に分けて記載されています。
患側下肢では血行再建術後の下肢大切断リスクはとくに術後1年以内に集中しており、それ以降は比較的低率にとどまりますが、術後1~3年の大切断(踵が無くなる下腿切断もしくは大腿切断)の累積発生率は10~20%程度と報告されています。EVTと外科的血行再建術を比べると,最終的な大切断リスクや総死亡リスクは同等とする報告が多いようですが、創傷治癒は外科的血行再建術の方が早期かつ高率に達成されやすいとされています。
そして、血行再建術後にいったん創傷治癒が得られてもCLTIが再発することがあります。CLTI再発率は創傷治癒後1年で2~8%,2年で6~13%,3年で9~17%とされており、創傷治癒が得られた後もCLTI再発のリスクに注意して観察する必要があります。
片側性にCLTIを呈する患者が、経過中に対側肢にCLTIを発症することは珍しいことではありません。術後2年の対側CLTIの累積発症率は20%で、本邦からも対側肢のCLTI発症率は1年で20.8%,3年で44.8%,5年で54.2%であったとの報告があります。
つまり、CLTI患者では患側下肢も対側下肢も十分に注意してフォローする必要があることを認識しておくことが重要です。ただ、日常の外来ではなかなか靴下を脱がせて両足の確認は難しいのが実情です。そうであれば形成外科の受診日と同じ日にするとか、フットケアに関心のある看護師さんを味方につけるなどの工夫が役に立ちます。ちょっと古いのですが、当院でのフットケアの間隔は下記を参考にしてやっています。
患者さんには、創治癒を得ても、足の状態を確認することや、もし傷ができた時は早めに受診するように繰り返し伝えています。また靴の履き方は重要で、サンダルではなくて踵を合わせて靴ひもで甲をしっかりホールドするように履くことが傷を作りにくくします。すでに胼胝(べんち)があるなら、インソールを作ることを病院に出入りしている装具士さんに相談してみるのが良いと思います。
フットケアについては、日本フットケア・足病医学会が中心となって活動しており、2022年9月に学会のガイドラインが上梓されています(編集長はまだ読めていません)。
(参考文献:日本循環器学会・日本血管外科学会 2022年改訂版末梢動脈疾患ガイドライン)
(編集長)
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