専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
自信をつけてもらいたい
前回は専門研修の決め方について取り上げました。ちょっと心構え的な内容でしたが、打算ではなく、関心のあることをやれるのは大事なことだと思います。そして、今回は水戸済生会での専門研修プログラムも、ぜひ知っていただきたいのでご紹介します。
水戸済生会では内科の基幹型専門研修プログラムを有しています。その他の診療科は、筑波大学などの専門研修プログラムの協力病院となっています。今年度の内科専門研修プログラムには専攻医1年目(卒後3年目)が3名と専攻医2年目(卒後4年目)が1名在籍しており、この他に、他施設からローテーションしてきた専攻医もいます。まだまだ実績は少ないのですが、当院で内科専門研修を行うメリットはいろいろあるので、もっと知ってもらいたいところです。
水戸済生会での内科専門研修の特徴を挙げると、
・消化器内科、循環器内科、腎臓内科を中心に、最短でサブスペシャルティ領域の専門医資格(以下、サブスペ専門医)を取得することを目指しています。
・消化器内科、循環器内科、腎臓内科では、施設を異動することなく、当院のみの研修でサブスペ専門医試験を受験できます。また、各領域で関連する多くの資格を取得可能です。
・消化器内科、循環器内科、腎臓内科とも、症例数に比べて専攻医数が少ないので、手技を含めて多くの症例を経験できます。
このため、個々の希望を聞きながら、希望診療科の連動研修(並行研修)を取り入れて、プログラムを組んでいます。
ただし、内科領域については、知っておいて欲しいことがあります。
内科専門研修プログラムでは、内科全領域の症例経験が求められます。初期研修中に経験した症例も一部含めることができますが、いまさら全領域の症例を経験しなければならないのは、なぜでしょうか?
それは、同じ内科領域にもかかわらず、あまりに専門性が高くなってしまった弊害を何とかしたいと、いう危機感が内科学会にあるからです。例えば、心不全患者はよく腎機能が悪くなりますが、ちょっとでも腎機能が悪くなると「心臓は落ち着いているので腎臓内科で見てください」と丸投げしたり、肺炎か心不全かで呼吸器内科と循環器内科で患者を押し付けあったり(注:水戸済生会の話ではありません)。
専門領域しか研修していないと、こんな風に患者さんを振られても「○○があるから、うちでは診れません」となってしまいます。
内科学会の専門研修プログラムの「理念と使命」にいろいろ書いてありますが、大胆に意訳すると、「得意・不得意があっても、まずは患者さんを診察してみる」。そのうえで「必要に応じて、適切な診療科に相談できる」ようになってもらう。これが内科専門研修の大事な目的だと考えています。
さて、ここで勘のいいあなたは疑問を持つかもしれません。水戸済生会ではサブスペ専門医取得を勧めており、矛盾しているのではないか?
これは違います。早期にサブスペ専門医取得を勧める理由は、あなたに自信をつけてもらいたいからです。
内科領域は幅広く、すべてを深く習得することは並大抵のことではありません。でも、自分の好きな、関心のある領域であれば、たとえ手技がうまくなくとも、治療方針について判断したり、その領域の専門医と議論ができます。他の診療科の先生から相談され、頼りにされます。これは間違いなく大きな自信になります。もっと勉強しようというモチベーションにもなります。
当院では、内科専門研修プログラムをとおして、総合診断能力を有するスペシャリストとして、同時に医療を支えるチームの一員として『疾患』のみならず『患者さん』を診ることができる医師を目指して欲しいと考えており、これからもその環境を提供していきます。
(編集長)
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◆10分で分かります!
1月に開催された「レジナビFairオンライン2021 ~専門研修(内科)プログラム~」 での説明動画を、水戸済生会YouTubeチャンネルでご覧いただけます!
水戸済生会の内科専門研修の特徴が10分で分かります。特に、消化器内科・循環器内科・腎臓内科を志望しているあなたは、ぜひご覧ください!