専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

【循環器】アルドステロン症の見つけ方 その11(ガイドラインの変更点3)

2021.12.27
カテゴリー: 循環器

原発性アルドステロン症(PA)の診療ガイドライン2021年から変更点を紹介していますが、今回はデキサメタゾン抑制試験についてです。

 

実はPAには同時にコルチゾールの自律分泌を合併する場合があることが知られています。頻度は評価法によって異なるそうですが、PA全体で3.9~77.6%、片側性のPAでは23.4%と報告されています。

 

アルドステロンとコルチゾールの同時産生腫瘍はアルドステロン単独を産生する腫瘍と比較して

・腫瘍径が大きい

・耐糖能異常

・骨粗しょう症

・蛋白尿

・心血管イベントを合併する頻度が多い

といった特徴があるそうです。

 

そして、コルチゾールの同時産生があると、副腎静脈サンプリングの解釈に影響が出たり、副腎摘出後のステロイド補充が必要になることがあります。さらに同時産生腫瘍では、アルドステロンとコルチゾールの過剰分泌が必ずしも同側とは限らないことがあるため、局在診断が重要となります。

 

このためガイドラインでは

CTで腫瘍径が1㎝以上の明確な副腎腫瘍を認める時は、1㎎デキサメサゾン抑制試験を実施して、コルチゾールの自立分泌の有無を確認する

ことを推奨しています。

 

コルチゾールの産生過剰の判定基準は

1㎎デキサメサゾン負荷後のコルチゾール≧1.8μg/dlで

としています。

(編集長)

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