専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

大動脈弁狭窄症 (Low Flow, Low Gradient AS)

2023.06.19
カテゴリー: 循環器

今回は低流量低圧格差(low flow, low gradient)のASについてです。

 

ASの重症度を評価する時に、AVA<1.0㎠で、Vmax≧4.0m/secないしmPG≧40mmHgであれば、重症ASと診断は容易です。ところが、たとえ重症ASでもVmax<4.0、mPG<40mmHgの圧格差を示さないことがあります。

 

これは1回拍出量が低下している時に見られるもので、低流量低圧格差大動脈弁狭窄症(low flow, low gradient AS)と呼んでいます。この低圧格差を来す1回拍出量の低下には原因が2つあります。

 

①EFが低下している

②EFは低下していないが、左室肥大により左室内腔が狭小化することで流量が低下する

 

①のEFが低下してる場合には、真の重症ASの場合と、もともと中等症ASがあったけど、EFが低下したことで一回拍出量が低下し、大動脈弁が十分に開かなくなりAVAが小さく算出されてしまう場合(偽性重症AS)があります。

 

この鑑別にはドブタミン負荷心エコーが有用で、ドブタミン負荷後でもAVA<1.0㎠のままで、Vmax≧4.0m/secないしmPG≧40mmHgとなれば真の重症ASということになります。一方でAVA≧1.0㎠となった場合は偽性重症ASという診断になります。

 

しかしドブタミン負荷でも1回拍出量が増加しない場合は、収縮予備能の低下を意味するので、これ以上の鑑別は困難でCTでのカルシウムスコアなどを参考にした総合判断となります。

 

②のEFが低下していない場合は、奇異性低流量重症ASと呼ばれます。しかし、この奇異性低流量重症ASと診断するにはSViとAVAの計測に誤差要因がないかしっかり確認する必要があります。それは、左心室が小さい場合には左室流出路径が小さく、SViが低く、AVAが小さく算出される可能性があるためです。

 

参考:弁膜症治療のガイドライン2020年改訂版

(編集長)

ガイドラインから一部改変

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