専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
高齢者の心房細動に対するカテーテルアブレーション
今回もフォーカスアップデート版が出された循環器学会の不整脈治療ガイドラインからです。今回は高齢者の心房細動に関するCQからシェアします。
高齢になるほど心房細動の罹患率が上昇するのはご存じだと思いますが、例えば車いすで外来に来られる83歳の患者さんで心房細動を見つけた時に、アブレーションを勧めるべきでしょうか?
当院でも80歳以上の心房細動の患者さんにアブレーションを施行することが増えてきていますが、何でもかんでもという訳ではありません。何を重視するのか、ガイドラインの記載を確認してみます。
まず、安全性については、高齢な患者さんほど合併症が多くなるのですが、合併症発症率は60歳未満では2.5%で、85歳以上では6.8%と2.8倍の差があります。しかし全体では5.8%なので、絶対にやってはいけないと言えるほどのものではなく、慎重に適応を判断することが大事なようです。
年齢にかかわらず症候性心房細動ではカテーテルアブレーションでQOL が改善することが見込まれますが、患者の予後を改善するというエビデンスは確立していません。
まとめると、
・高齢(≧80歳)のみで症候性心房細動に対するカテーテルアブレーションの選択肢を排除しないことを推奨する。
・高齢者の無症候性心房細動に対して、予後改善目的のカテーテルアブレーションは推奨しない。
となっています。
実際のところ、高齢者における心房細動カテーテルアブレーションは,併存疾患や認知症、フレイルなどを十分に検討して、合併症のリスクが高くないと想定される症候性心房細動の患者さんに対して、心房細動によって低下したQOL やADLを回復させることを目的として行われるべきで、患者さんや家族と何のためにやるのかを良く話し合うことが大事になります。
(編集長)
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