専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
心電図異常の陽性基準 不整脈
前回は心電図異常の基準としてST変化を取り上げましたが、今回は運動負荷中に見られる不整脈についてです。
一般的に、運動による心筋虚血は異所性興奮を起こしやすく不整脈を引き起こすとされています。具体的には心室頻拍、R on T現象、連続する2段脈、3段脈、30%以上の頻度の心室性期外収縮(PVC)がガイドラインでも運動負荷中止徴候として挙げられていますし、運動誘発性に一過性の心房粗細動、Ⅱ度以上の房室ブロック、脚ブロックが出現することがありますが、これらも重篤な基礎疾患を反映している場合があるので、運動負荷中止基準に含まれています。
一方で運動による迷走神経抑制と交感神経刺激により安静時に存在する不整脈を抑制することもあります。具体例としては、安静時のPVCの多くは運動により焼失し、運動後に再出現するパターンをとり、良性の反応と言われます。
【洞不全症候群(SSS)】
洞不全患者では運動に対する酸素摂取量の増加に比べて心拍数の増加の程度が少ないとされていますが、ガイドラインではSSSによる3秒以上の洞停止(Sinus arrest)や洞房ブロック(SA block)を認めても、運動負荷で心拍数が適度に増加すれば運動許容できるとされています。注意すべき点としては、負荷中よりも負荷終了後に迷走神経緊張を来して著明な洞徐脈や洞停止を来すことがあるので、観察を怠らないようにしましょう。
【心房細動】
慢性心房細動患者では、運動時の心拍上昇反応と自覚症状を確認する目的に運動負荷を行う場合がありますが、最大心拍数が高く、最大酸素摂取量が低い傾向があります。このため、心拍数だけでなく酸素摂取量の増加の程度も確認しながら運動負荷を行う必要があります(つまり、トレッドミル検査よりもCPXの方が望ましいことになります)。
【心室性期外収縮(PVC)】
前述のように、安静時のPVCの多くは運動により焼失し、運動後に再出現するパターンをとり、良性の反応と言われますが、負荷終了後だけに出現するPVCは冠動脈疾患と関連し、予後不良とする報告もあります。
運動誘発性のPVCは健常者にも見られることがあり、心拍数130bpm以上で散発するPVCは正常反応とも言われます。しかし連発や頻度が多い場合は虚血と関連しているとされ、中止基準に含まれます。
(参考文献:安達仁編著 CPX・運動療法ハンドブック)
(編集長)
ICUでのECMO抜去の助手
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