専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

胃静脈瘤の治療・BRTO(2)

2022.01.17
カテゴリー: 消化器内科

前回は胃静脈瘤の治療適応をシェアしましたが、まずBRTOの適応も確認しておきましょう。

 

BRTOの適応

・胃静脈瘤(未破裂、破裂既往、破裂)

・肝性脳症(胃腎シャントによる門脈大循環シャント)

・異所性静脈瘤(十二指腸、空腸、腸間膜など。ただし、排血路にバルーンカテーテルが挿入可能な症例)

 

さて、BRTOは下流にあたる排血路(左下横隔静脈)からアプローチし、流れをせき止めた状態で逆行性に硬化剤を注入して胃静脈瘤の血栓化させる治療ですが、静脈瘤本体まで硬化剤が到達しなければ効果が得られません。

 

ところが実際は、胃静脈瘤から排血路にかけて様々な側副路があるので硬化剤が静脈瘤本体に容易に到達するかは、逆行性の造影で

側副路の評価を行い判断していきます。この側副路の分類を廣田分類と呼んでいます。ちなみに逆行性の造影のことをBRTV(Balloon occluded Retrograde venography)  と言いますが、ヨード造影剤を用いると粘稠度が高いので、CO2を用いて造影しています。

 

廣田分類

 

それぞれのGradeの要点と頻度は

Grade1:胃静脈瘤全体のみが造影(頻度は15%)

Grade2:下横隔静脈といくつかの側副路は造影されるが、胃静脈瘤全体も造影される(頻度は38%)

Grade3:Grade2よりも多くの側副路が造影され、かつ胃静脈瘤も一部しか造影されない(頻度は23%)

Grade4:側副路のみ造影され、胃静脈瘤は全く造影されない(頻度は23%)

Grade5:バルーン径をこえる太い胃腎シャントで、バルーンカテーテルが血流のため腎静脈に移動してしまう(頻度は<1%)

 

BRTOをするなら、Grade1か2でないと上手くいかないとされています。次回はGrade3以上の時はどうするか? について紹介します。

(編集長)

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