専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
CLTI 創傷治療(1)
改訂されたガイドラインをもとにCLTIについて紹介しています。前回までは、CLTIの評価と血行再建について紹介してきました。今回からは創傷治療についてです。
CLTIは基本的に虚血があることが前提の概念ですので血行再建は間違いなく重要ですが、単に血行再建をすれば傷が治る訳ではないので、創傷治療をどう進めていくかという点を理解しておく必要があります。各施設で創傷管理を誰がするかは異なると思いますが、当院では形成外科に管理をお願いしています。
創傷治療は次の8項目に分けて考えていきます。
① 創傷の評価(虚血/ 感染)
② wound bed preparation/デブリ―ドマンと小切断
③血行再建術
④創傷治癒を促進する治療
⑤再建軟組織の切断
⑥免荷装具
⑦リハビリテーション
⑧再発の予防/予防的フットケア
①創傷の評価について。
虚血と感染についてはWIFI分類を用いましたが、原則として血行再建を先行して行ってから、デブリードマンなどの局所治療を行います。もちろん血行再建とデブリードマンを同時に行っても問題ありませんが、創傷治癒過程は血流が改善しないと開始されないので、血行再建を行わずに虚血状態で外科的デブリードマンを行うと、さらに悪化してしまいます。血行再建は創傷治癒が得られるとされるSPP>40㎜Hgを目標に行います。
ただし、感染が広範囲で高度な場合は早期にガス壊疽または敗血症への進行を防ぐために、緊急でデブリ―ドマンまたは大切断を決断しないといけないことがあります。また、明らかな感染のある組織のみを先ず切除し,再建せずに創傷を閉じることのないダメージコントロール手術が施行されます。全身状態が安定した後で軟部組織再建手術を行います。もちろん抗菌薬の投与も必要になります。
そこまで対応を急がなくて良い状況であっても、創傷は必ず自分の目で確認するようにします。創傷の部位と創傷の深さ、さらに深い潰瘍や骨露出の有無を形成外科に伝えると良いと思います(骨露出は骨髄炎の可能性を念頭に置くためです)。
(参考文献:日本循環器学会・日本血管外科学会 2022年改訂版末梢動脈疾患ガイドライン)
(編集長)
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