専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

新しい内視鏡が入りました!

2022.10.31
カテゴリー: 消化器内科

タイトル通りですが、当院の内視鏡システムが更新されました!

 

 

当科はオリンパス社とフジフィルム社2社の内視鏡を揃えています。これは、世界のほとんどのシェアを持つ2社の内視鏡の特性を理解しつつ使いこなせる医師を育てるためです。当院で育った若手医師はそのままどこの病院に行っても、選り好みすることなく、与えられた内視鏡の特性に合わせて内視鏡検査や処置にあたることができます。

 

若干マニアックな話が入りますが、是非内視鏡医を目指すあなたは読んでいただければと思います。

 

今回の更新はフジフィルム社でした。オリンパス社が一足先にLED光源になっておりましたが、今回フジフィルム社もレーザー光源からLED光源になりました!元々画質には定評のあったフジフィルム社ですが、LEDになりその画質に磨きがかかっています。経鼻内視鏡については目を見張るものがあります。

 

オリンパス社の画像取り込み方式は高速面順次方式と言い、赤緑青の光を高速で切り替えながら照射し、それで得られた3色の色を重ねて一つの画像にしています(実際は、特殊光観測のための2色を加えた5色のようです)。フジフィルム社は同時式で通常のデジタルカメラと同様の方式です。一般的には面順次方式のほうが画質は向上させやすいという評判があるのですが、フジフィルムは同時式で面順次方式に負けない(それ以上の?)画質を出してきています。

 

 

ちなみに、面順次方式では撮影の瞬間にぶれたりすると色分解が起こってしまうのですが(以前の光源では白色光源の前に3色の色のフィルムを高回転で回して撮像する方式で、色の切り替え速度が遅かったこともありこれが起こりやすかった)、LEDのX1シリーズでは色分解がほとんど起こらず、両社とも技術の進歩を感じます。

 

話がブレブレしてしまいましたが、要するに、画質が非常に良くなりました。経鼻内視鏡は近接撮影が強化され、拡大内視鏡の40倍程度と同等の血管情報を得ることができるとのことです。

 

最近の内視鏡学会の主流の意見は、スクリーニングは経鼻内視鏡で十分であるという論調になっているように感じますが、個人的には懐疑的な考えでした。しかし、この経鼻なら!本当にスクリーニングでは経口内視鏡なんか要らない、と心から言えます。

 

ちなみに、当院のオリンパスの経鼻内視鏡は、X1シリーズの最新の光源が入っているにもかかわらず、ちょっとした事情で290という一個前の経鼻内視鏡のままのため、オリンパスの本領が発揮されていません。来年、オリンパスの経鼻内視鏡もちゃんと更新になる予定ですので、非常に楽しみです。

 

尚、実は今回フジフィルム社のAiも入れてしまいました。まだまだ粗削りな技術ですが、市中の基幹病院として実戦でのフィードバックを私たちからも入れさせていただき、更なる技術の発展に貢献したいと思っています。

 

これがAi

 

Aiが私たち内視鏡医の仕事を奪うのか。そんな後ろ向きなことは考えず私たちはAiにタスクシフトをしつつ私たち人間にしかできないことをしっかりこなしていこうじゃないですか。いつの日か内視鏡入れて、何も考えずに抜くだけでAiが病変を指摘してくれるようになり、私たちは内視鏡切除適応病変を切除するだけでいい、なんて日が来たら良いですね。

(Nao

 

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