専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
肺高血圧の検査・・・肺動脈造影
今回は改訂されたガイドラインから、肺高血圧(PH)の検査の中で、第4群の診断で重要となる肺動脈造影(PAG)について紹介します。
肺動脈造影(PAG)は第4群の診断と治療方針を決定するためのゴールドスタンダードな検査です。肺動脈全体像の把握には、ピッグテールカテーテルなどを用いて、一般にDSAで行われますが、非DSA造影でも評価可能です。正面像だけでは血管の重なりで評価困難なことも多いため、バイプレーンの撮影装置を用いて斜位を含めた多方向からの造影が望ましく、three-dimensional/rotational angiographyを用いることで、CTと同様に3Dで肺動脈の解剖を把握することも可能となります。ただ、左肺動脈は心臓との重なりなどから描出が不良のことも多いため、選択的肺動脈造影での評価を行った方がよさそうです。
CTEPH診断のためのPAG所見には
①pouching defects(通常,中枢部肺動脈の完全閉塞した袋状の途絶像)
②webs & bands(血管内のクモの巣状もしくは帯状の造影透亮像)
③intimalirregularities(壁在血栓による血管壁不整像)
④abruptvascular narrowing(器質化血栓閉塞部からの末梢血管の先細り像)
⑤complete obstruction(pouching defectsと異なり,区域枝レベルからの選択的造影でわずかにチャネルがみえることが多い)
の5つがありますが、判読が難しいこともあります。
この分類以外に、BPAの際に用いられる分類があります。
タイプA:ring-like stenosis lesion
タイプB:web lesion
タイプC:subtotal lesion
タイプD:total occlusion lesion
タイプE:tortuous lesion
この病変分類は、BPAの成功率が推定できることが特徴で、タイプA,Bが98.6~100%と高い一方で、タイプDは52%ともっとも低いとされ、合併症はタイプC,Eで高いと報告されています。この分類を用いることにより、BPAの合併症の少ない病変から施行することができます。
(出典:2025 年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン)
(編集長)

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