専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

大動脈弁狭窄症(病因・頻度・自然歴)

2023.05.15
カテゴリー: 循環器

大動脈弁狭窄症(AS)は高齢者に多く、内科的治療には限界があって、最終的にはTAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)もしくは外科的弁置換(SAVR)が必要な疾患ですが、手術のタイミングが問題になる疾患です。

 

水戸済生会ではASに対するTAVIを行っていますが、開心術をためらうような高齢の患者さんにとって非常に有効な治療になります。しかし、出来るからと言って何でもTAVIという訳でもありませんし、ASの診断は意外と難しいところがあります。

水戸済生会 循環器内科のサイトもご覧ください

 

そこで今回から、当院での経験も織り交ぜながら、ガイドラインをベースにASについてまとめてみようと思います。

 

【病因・頻度】

ASの病因としては、リウマチ性や加齢に伴う変性性、先天性などがありますが、本邦では加齢に伴う変性性が大部分を占めています。先天性には一尖弁、二尖弁、四尖弁とあり、二尖弁が最多で、一尖弁と四尖弁は稀です。有病率は全人口の0.5~2%で,男女比は3:1と男性に多く、二尖弁のASに遭遇するのは決して稀ではありません。

 

ASの頻度は70歳未満では1%未満ですが、80歳以上なら7%程度(約15人に1人)と言われています。これは日常診療でASに遭遇する頻度と実感として合致しています。

 

【病態】

ASの病態は大動脈弁の狭窄に伴う慢性的な左室への圧負荷です。圧負荷の結果として左室肥大の進行,左室線維化の亢進などが生じ、左室機能障害(つまりEFの低下)を生じるという流れです。ASの手術適応を決めるうえでEFは重要ですが、中等症以下のASの時点からEFが低下し始めて、その後急速に50%未満まで低下することを認識しておく必要があります。

 

大動脈弁自体の経時的な変化は、当初は弁狭窄を伴わない大動脈弁硬化ですが,その後は大動脈弁尖の肥厚、線維化、石灰化が生じ,ASに至ります。この弁の変性を促進させる因子はいろいろ検討されていて、動脈硬化と重なるとも言われますが、それを否定するデータもあって、現状では動脈硬化とは別物と考えられています。 

 

【自然歴】

AS患者の自然歴としては心不全、失神、胸痛などの自覚症状が出現すると平均余命は2~3年というは有名です。他にも有症状となった後の重症AS患者の予後は手術を拒否した患者の平均余命は、狭心痛出現後が45ヵ月、失神後が27ヵ月、心不全後が11ヵ月という報告もあり、有症候性の重症AS患者の予後が不良であることは間違いありません。無症候性の重症ASも同様に予後は不良ですが、突然死のリスクは年1%程度とされ,無症状のままAVRを受けることなく経過をみることができた場合の5年生存率は93%という報告もあるようです。

 

なお、先天性の場合は、大動脈拡大や大動脈解離を伴いやすいとされていますが、それを否定するデータもあるようです。

参考:弁膜症治療のガイドライン2020年改訂版

(編集長)

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