専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

CLTI  抗血小板療法

2023.01.09
カテゴリー: 循環器

改訂されたガイドラインをもとにCLTIについて紹介しています。今回はCLTIを含めた動脈硬化性LEAD患者に対する抗血小板療法についてまとめてみます。

 

冠動脈でも頭蓋内でも、もちろん下肢でも動脈硬化がベースにある場合には抗血小板療法が必須です。この抗血小板療法の目的は2つあって、心血管イベントの抑制と、もう一つは治療後の早期血栓閉塞予防です。つまり、全てのPAD患者は2次予防目的に、基本的に生涯にわたって抗血小板療法が必要になります。

 

特に血管内治療(EVT)でステントやステントグラフトを留置した後は、抗血小板薬を2剤併用するDAPT(Dual Antiplatelet Therapy)が行われます。もともとは冠動脈ステントで行われているものを下肢領域でも慣習として行っていて、明確なエビデンスがある訳ではありません。DAPTにすれば抗血小板作用が強くなるので、血栓性イベントは低下しますが、出血イベントが増加するので、しかし、今さら抗血小板薬を1剤だけでOKという試験は実施できないので、現在はDAPT期間をいかに短くして抗血小板薬単剤(SAPT:Single Antiplatelet Therapy)にできるか?ということが議論されています。

 

抗血小板薬の種類にはいろいろありますが、DAPTは通常アスピリン+チエノピリジン系抗血小板薬(クロピドグレル、プラスグレル、チクロピジン)のことを指していて、アスピリン+シロスタゾールはDAPTには含めないことになっています。

 

主なデバイスのDAPT期間は以下の通り

・大腿膝窩動脈領域に対する自己拡張型ステントグラフト(バイアバーン)では、DAPT6か月が推奨

・腸骨動脈領域に対するバルーン拡張型ステントグラフト(VBX、LIFESTREAM)では、DAPT6~9か月以上が推奨

・DES(Zilver PTX、Eluvia)では、DAPT2か月以上が推奨

・DCB(IN.PACT、Lutonix、Ranger)では、DAPT1か月以上が推奨

 

(参考文献:日本循環器学会・日本血管外科学会 2022年改訂版末梢動脈疾患ガイドライン)

(編集長)

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