専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
【循環器】腸間膜動脈疾患 その2
前回は、ESCガイドラインから、急性
腸間膜動脈虚血の診断に関する
推奨事項を紹介しました。
今回は診断に関する補足です。
症状の特徴は
・検査所見はほとんどないが激しい腹痛、
・腸の空洞化(多くの場合、嘔吐と下痢の
両方を伴う)、
・塞栓症の原因(心房細動など)の存在。
約80%の症例で、この3要素を伴っている
そうです。
採血検査ではDダイマーの利用を考慮と
なっていますが、メタアナリシスでは
D-ダイマーの感度は96%、特異度は40%と
感度が高いものの、特異度に欠ける検査
です。なので、使い方としては、Dダイマーが
上昇している急性発症の腹痛なら、
急性腸間膜動脈虚血を疑う必要がある、
という程度で他の検査を進めるべきでしょう。
ちなみに、腹部の単純X線検査も行われる
と思いますが、この検査の特異性はなく、
正常であれば、診断を除外するものでは
ないということです。
診断のためには、やはりCTアンギオが
一番で、メタアナリシスでも診断精度は
高く、感度94%、特異度95%となって
います。
なお、腎機能が悪化していることが一般的
ですが、臨床的に疑わしい場合にはCT
アンギオを禁忌とすべきではない、として
います。つまり他の検査法はあまり役に
立たないので、たとえ腎機能が悪くても
疑ったらCTアンギオをやるしかない
ということです。
また、診断するという点においては
エコーや血管造影は有用でない、
MRAは実際にほとんど行われていない
のでデータがないと記載されています。
(Angiologist)
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