専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
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急性膵炎のはなし1 概要

2022.02.28
カテゴリー: 消化器内科

今回から何回かに分けて急性膵炎についてお話ししたいと思います。

 

ブログにはちょっと書けない理由なのですが、僕はERCPと膵炎に対しては強い想いをもって消化器内科医になりました。専門医になってからも、ある年末に忘年会で酒をたまたま飲んだ比較的若い男性が重症膵炎になり、全力で治療をしたものの、結局残念な結果になった経験があります。とは言え、膵炎は良性疾患です。一人でも多くの人の命をつなぎとめることができるように、この連載をきっかけに皆さんにも勉強していただけたらと思います。

 

まず、膵炎はいったいなぜ起こるのでしょうか?

 

膵臓から分泌されるトリプシンという、大きく言うとタンパク分解酵素があります。正常状態ではこのトリプシンが食物を分解するわけですが、膵内においてはトリプシノーゲンという非活性状態で存在します。トリプシノーゲンは膵臓から分泌されると、十二指腸のエンテロキナーゼという酵素と反応してトリプシンに変化し上記の通りのタンパク分解酵素として働きます。

 

しかし、これが「何らかの原因によって」膵臓内で活性化されトリプシンになると膵の自己消化が始まり、上記サイクルがどんどん引き起こされて重症化していく。膵炎の発生機序はざっくり上記のような機序で引き起こされると考えられていますが、細かな部分についてはわかっていないことが多いです。

 

これがERCP後膵炎を完全に制御できないことにもつながってます。一発でカニュレーションが決まって、5分そこそこでドレナージ治療を終えた患者さんが膵炎になったりするんですよね。かと思えば、30分以上時間かけた患者さんがなんともなかったりする…。

 

閑話休題、膵炎の発生機序は上記の通り、大まかな部分しかわかっていませんが、その発生にかかわる「何らかの原因」にはどんなものがあるでしょうか?

 

日本においてはものすごくざっくりいうと、アルコール:胆石:その他が1:1:1の割合です。急性期の治療が変わる胆石性については必ず確認する必要がありますが、急性期治療を終えた後の方針が変わる、アルコール性、薬剤性、高脂血症なども当然確認する必要があります。また、絶対外してはいけないのが腫瘍性です。原因のわからない膵炎については、全身状態などにもよりますが、超音波内視鏡を含めたあらゆる手段を用いて原因検索することが求められます。

 

今日長々書いた内容で伝えたかった事、「膵炎の治療においては、急性期治療とともに原因の検索に最大限務めること」

(Nao)

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