
専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
急性膵炎のはなし2 診断
今回は急性膵炎の診断についてです。
急性膵炎をまず疑うきっかけとなる症状としては上腹部痛や背部痛があります。自分自身の経験としては、やたら昨日から背中が痛くて病院来てみた。トリアージ看護師が整形外科的な痛みにしては様子が変だということで消化器内科の受診も勧め、当科診察で腹痛も認めたため、採血とエコーしたところ急性膵炎だった、という症例があります。
さて、その診断基準はどのようなものがあるでしょうか。
1.上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
2.血中あるいは尿中膵酵素上昇がある。
3.画像検査において膵臓に急性膵炎に特徴的な所見がある。
上記3項目中2項目以上を満たし、他の疾患を除外できたものを急性膵炎と診断する。
それぞれについて掘り下げます。
1.上腹部痛
これは当然ですが、上記3項目のうち必須項目は設定されていません。つまり、腹痛を伴わない膵炎が存在するのです。これは実際、ERCP後膵炎や意識障害できた患者さんの全身検索中などで遭遇しますが、超高齢の患者さんなどでは全く腹痛を訴えないことがあります。腹痛がなくても膵炎の診断にはなりえます。
2.膵酵素上昇
ちょっとでも上がっていればいいのか、カットオフがあるのか、議論があるところですが、正常上限の3倍というのが一つの目安になります。アミラーゼよりリパーゼのほうがより特異的ですが、当院は恥ずかしながらリパーゼが院内検査できないためアミラーゼで代用するしかありません。リパーゼの院内検査を求めてはいるのですが、なんだかんだでアミラーゼで代用できてしまっているのでなかなか院内検査にはなってくれません…。
話を戻しますが、実は、アミラーゼは唾液腺にも含まれているので激しい嘔吐などでは軽度上昇することがあります。そのため急性胃腸炎で嘔吐を繰り返す場合、心窩部の軽度圧痛、アミラーゼの軽度上昇をきたすことがあります。診断基準に入ってしまいますね。そのため、正常上限3倍に満たない症例ではよく病態を検討する必要があります。そもそも診断基準に他の疾患が否定できることって入ってますしね。
3.画像検査
激しい腹痛の患者さんをMRIに閉じ込めるのはかわいそうですし、エコーも痛いですし、何より見てもよくわかんねということで、実臨床ではCTに行ってしまうことが多いでしょう。でも!皆さんが膵炎に出会うのは救急外来がほとんどでしょうから、まず、エコーを当ててみましょう。答え合わせとしてCTを撮る。なんかのモジりですが、いつでもあると思うな金とCT、です。なにより、腹痛の患者さんにエコー当てて、採血結果が出る前に「膵炎だから、造影CTにしよう」と言えたら、かっこよくないですか?
(Nao)
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