専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

消化器内視鏡学会での発表してきました♪

2022.06.20
カテゴリー: 消化器内科

水戸済生会では研修医のうちに学会発表を1回は行うようにしていますが、コロナの影響でちょっと少なくなっていました。でもコロナが落ち着いてきて、学会も完全Webからハイブリッドやリアル開催にどんどんシフトしています。

 

そんな中、先日開催された消化器内視鏡学会でJ2の竹内先生が発表してきました。今回はその発表をシェアします。

 

40年以上前に十二指腸潰瘍穿孔で胃亜全摘を行われている患者さんの残胃に粘膜下異所性胃腺を5年前に指摘。その後、5年経過して同部位に胃癌が発症したという症例です。発表のポイントは粘膜下異所性胃腺と発癌です。

 

まず今回は粘膜下異所性胃腺について

 

粘膜下異所性胃腺(submucosal heterotopic gastric glands)

【定義】本来胃粘膜固有層内に存在する胃腺組織が、異所性に胃粘膜下層に増殖したもの。

 

【呼称】1947年にScott1)らが報告したdiffuse cystic malfomation(DSM)、1972年にLittler2)らが報告したgastritis cystica profunda(GCP)も、粘膜固有層深層部〜粘膜下層に嚢胞状の拡張腺管を認める病変であるが、これら用語に明確な定義がなく、疾患概念が重複している可能性が高い3,4)

 

【疫学】切除胃の4.0〜10.7%に認められ、特にBillroth Ⅱ法の術後に発生しやすく、40-60代に好発し、男性に多い傾向がある5,6)

 

【発生】先天説1)と後天説7)があり、胃粘膜のびらん・再生を繰り返す間に、粘膜下層に異所腺を生じるという後天性炎症説が有力視されている8)

 

【診断】異所腺の量が多くなり嚢状に胃腺が拡張すると粘膜下腫瘍様の肉眼形態を示す。超音波内視鏡では第3層を主座とした多房性低エコー域が特徴的で診断に有用である。

 

1) Scott,H.W. et al.:Bull.Johns Hopkins Hos., 81: 448-455, 1947

2) Littler,E.R. et al.:Cancer, 29: 205-209, 1972

3) 渡邉信之 他: 癌と化学療法 43(12): 1881-1883, 2016

4) 田中宏樹 他: 日消誌 112: 1657-1663, 2015

5) 岩永剛 他:最新医 41: 2418-2426, 1986

6) Yamagiwa H. et al.: Acta Pthol Jpn 29: 347-350, 1979

7) Kaijser, R. :Acta Chir.Scand., 101: 91-111, 1951

8) 岩永剛 他:日消誌 73(1): 31-40, 1976

(編集長)

 

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