専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

左脚ブロックならSTEMIの診断はできない?

2023.09.25
カテゴリー: 循環器

ERに70歳台の男性が胸痛で搬送されてきました。その時にERでとられた心電図がこれです。

 

 

洞調律で、左脚ブロック(LBBB)波形を呈していました。左脚ブロックはST変化が判断でき

ないと教わったと思いますが、この症例も心電図からSTEMIと判断することはできないのでしょうか?

 

LBBBでは、原則STの判断ができないのですが、Sgarbossa criteriaを使うことで、虚血と診断ができる場合もあります。

(*Sgarbossaはスペイン語で、発音は「ズガルボッサ」と聞こえました・・・)

 

Sgarbossa criteriaの話をする前に、LBBBでは前提としてQRSの向きとST-Tの向きが逆になるのが原則です。これをdiscordantと言いますが、虚血などの影響でQRSの向きとT波の向きが同じになる(concordantと言います)と異常所見と捉えます。

 

一般的なLBBB波形

QRSとST-Tの向きが逆になっているのが通常です

 

これを踏まえたうえで、Sgarbossa criteriaとは

①QRSが上向きの誘導で1mm以上のST上昇 →5点

②V1~V3のいずれかの誘導で1mm以上のST低下 →3点

③QRSと逆方向の5mm以上のST上昇 →2点

3点以上で虚血ありと診断できる

 

 

なお、③はST上昇とS波の比が0.25以上とするModified Sgarbossa criteriaを用いた方がオリジナルのものよりも精度が高いとされています。ちなみにSgarbossaスコア3以上の感度は20%、特異度は98%とされています。つまり、特異度が高いので所見が合えば診断できますが、感度が低いので除外には使えないということです。

 

冒頭の心電図を見てみると、V4では①を満たしそうですし、V1~V3ではST上昇/S>0.25となっていて、3点以上をクリアしています。トロポニンも陽性で、緊急CAGではLAD#6の99%病変が判明し、PCIを行って無事に退院しました。

 

冒頭の症例のV2誘導

明らかにST上昇/S>0.25を満たしています

LBBBのSTEMIに遭遇することは少ないと思いますが、記憶のどこかにあるだけで、すぐにスマホで調べることができるので役に立ちますよ。

(編集長

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【書評】SKILL 一流の外科医が実践する修練の法則

2023.09.18
カテゴリー: ブログ

専攻医になると手技の習得が大きなテーマの一つになります。例えば、どの診療科でもエコーは習得すべき手技ですし、循環器内科ならPCIやアブレーション、消化器内科なら内視鏡、当院の腎臓内科ならシャント造設やPTAなど。

 

初期研修医のうちはあまり手技のレベルに差があるようには見えませんが、専攻医になるとちょっと様相が変わってきます。そう、上手い人は最初から上手くできるように見えてしまいます。

 

もちろん経験症例数が多ければ、一般的には上達も早いのでハイボリュームセンターは有利かもしれません。でも、症例数が多いだけでは決して手技が上手くなる訳ではないのも事実。

 

では、上手い人とそうでない人は何が違うのか?そんな疑問に答えてくれるのが本書です。

 

著者はクリストファー・S・アーマッド医師。整形外科医でニューヨークヤンキースのチームドクター長を務めている人です。そして翻訳したのはセントルイス大学で小児外科をしている日本人医師の宮田真先生です。訳者の言葉には「これまで自分が日米で出会ってきた「抜きんでた人たち」の哲学が見事に言語化され、ちりばめられているように思いました。中略 「抜きんでた人たちに」になるエッセンスを読みやすい形でまとめたこの本を、同じような志をもつ多くの日本人医師・研修医・医学生、ひいては一芸に秀でようとするあらゆる分野の人たちに広めたいと、翻訳を決意した次第です。」とありますが、まさにこのブログを読んでいるあなたのためにある本だと思います。

 

編集長自身が実践していたことも書かれていましたし、実践していなかったことも書いてありましたが、手技を身につける、上達するためのコツが見事に言語化されていると思います。

 

上手い人は最初から上手い訳ではない。見えないところで自分の才能を作り出すべく膨大な努力をしていることが分かるはずです。ぜひ何度も繰り返して読むことをお勧めします♪

(編集長

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【おしらせ】水戸済生会 内科専門研修プログラム説明会@Zoom

2023.09.11
カテゴリー: ブログ

J2のあなたは来年の研修先をどこにするか、決めた人もいればまだまだ悩み中という人もいるかと思います。当院のJ2も決めた人、決められない人などイロイロです。

 

専門研修を始めるには、専門医機構に登録して、診療科と研修施設を決める作業が必要になりますが、先日内科学会からメールがあって、昨年同様に11月1日から登録が開始されるそうです。

 

さて、当院では基幹型の内科専門研修プログラムを有しており、特に腎臓内科、消化器内科、循環器内科は内科専門医を取得後に異動することなく各サブスペシャルティ領域の専門医資格を取得できる施設です。

 

5月には院内で当院の内科専門研修プログラムの説明会を開催しましたが、このところお問い合わせいただくことが増えてきました。

 

このため、院外で研修しているあなたを対象にZoomでの説明会を開催することにしました。開催日時は以下の通りです。J2が対象ですが、関心のある方なら医学生でもJ1でも参加可能です。

 

【水戸済生会 内科専門研修プログラム説明会】

日時:2023年9月15日(金)

   20時開始(40分程度の予定です)

場所:Zoom

内容:①内科専門研修の概略

   ②消化器内科の専門研修

   ③腎臓内科の専門研修

   ④循環器内科の専門研修

 

申し込み方法:下記リンクの問い合わせフォームからお申し込みください。フォーム内の「お問い合わせ内容」欄に「内科専門研修プログラム説明会参加希望」と入力し、送信して下さい。

 

お申し込みはこちらから

 

あなたの参加をお待ちしています♪

(編集長

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◆レジナビFairオンライン2023 内科

  ~専門研修プログラム~ に参加します!

 本日 9月11日(月)18時30分~です。

今回は循環器内科の専攻医も登場して、あなたのご質問にお答えします。

是非ご参加ください!

 

レジナビの申し込みページはこちら

 

 

 

 

自分のキャリアを考えるとき

2023.09.04
カテゴリー: ブログ

J2のあなたは、そろそろ来春からの専門研修先をどうするかを決める最終段階に入っているころだと思います。

 

専門研修は3年間で、基幹プログラムの施設と協力施設を回りますが、最低1年間は協力施設での研修が求められています。

 

そして、その次はサブスペシャルティの資格取得となりますが、まだ先のことなのでどうするかまでは考えが及んでいないかもしれません。

 

ところで、あなたは「キャリアのVSOP論」というのを聞いたことがあるでしょうか?年代ごとに求められるスキルのことだそうです。

 

20代はVitality(バイタリティ)

積極的にいろいろなことに取り組んで視野を拡げることで、自分の得意な分野や方向性を掴む年代

 

30代はSpecialty(スペシャリティ)

自分の得意分野を深堀りしていく時期。つまり、「自分はこの分野で勝負する」という方向性を決める年代。

 

40代はOriginality(オリジナリティ)

専門性を持ったとしても、周囲との差別化はできません。自分にしかできない仕事を意識して追及する年代。

 

50代はPersonality(パーソナリティ)

「役職が高い」と言うことではなく、周囲の人から「信頼されている人」なのかどうかで、自分の価値が決まる「人間力」で勝負する年代。

 

ちなみにこのVSOP論は1978年に脇田保と言う方の本に書かれたのが最初のようです。編集長はネットで見つけたので、原著はもちろん読んだことはありませんが、ネット上ではVがVariety(バラエティ:多様性)と書かれている記事が多くあります。でも、原著では「Vitality」と書かれているらしく、時代とともに少し変わっているようですね。さらに60代はPhilosophy(フィロソフィー:哲学)と書き加えられているものも見つけました。

 

由来はどうでもいいですが、研修医から医師として独り立ちしていく過程で、

・20代は失敗しながら一生懸命にいろいろなことに挑戦してみる

・30代は自分の得意な専門性を高めていく

・40代は専門領域の中で自分にしかできないことを探っていく

 

さらに上の年代に達した編集長からすると、このVSOPはすごく腑に落ちるところです。あなたの周りでカッコよく活躍している先生も、最初からできたわけではないのです。

 

将来のことは普段は忙しくて考えることを後回しにしがちですが、VSOPを意識しながら専門研修のこと、将来のことを考えてみてはいかがでしょうか?

(編集長)

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Kounis(コーニス)症候群

2023.08.28
カテゴリー: 循環器

Kounis(コーニス)症候群をご存じでしょうか?

 

ACS患者に関わる循環器医なら、どんな疾患なのかだけでも知っておくべきものです。当院で経験したKounis症候群の症例報告を、7月に開催されたCVITで本田先生が発表してきましたので、今回はその内容をシェアします。

 

Kounis症候群とは、アナフィラキシー反応に伴う冠攣縮や冠動脈の血栓形成で引き起こされる急性冠症候群を言います。1991年にKounisが、内皮機能障害または微小血管狭心症の症状を示す冠攣縮がアレルギー性急性心筋梗塞に進展する”アレルギー性狭心症症候群”を報告したのが最初です。(Br J Clin Pract1991;45:121-8)

 

頻度は非常に稀で、ACSが疑われCAGを受けた患者における発生率は0.002%という報告がありますが、稀な分だけ過小評価されている可能性があり、実際はもう少し多いのかもしれません。

機序としては肥満細胞がマクロファージやTリンパ球と相互作用していると言われています。

 

誘因には以下のものが報告されています。

Unknown 6.3%

Systemic disease 2.4%

Medication 51.7%

Environment 1.4%

Insect bite 18.8%

Contrast 6.3%

Food 9.7%

Other 3.5%

A.Roumeliotis, et al. Vaccines. 10, 38(2022)

 

以下のように3つのタイプに分類されており、ステント血栓症にも関与している症例もあります。

 

•TypeⅠ(72.6%)— 冠動脈に病変がなく、冠攣縮によるもの 

•TypeⅡ (22.3%)— 冠動脈プラークのびらんや破裂を伴う冠攣縮 

•TypeⅢ (5.1%)—  アレルギー反応の結果として引き起こされた冠動脈ステント血栓症

M.Abdelghany, et al. int J. Cardiol. 232(2017)

 

 

頻度が少ないのでなかなか難しいところではありますが、ACSを疑う状況(胸痛、心電図変化、心筋逸脱酵素の上昇)に加え、発疹やかゆみと言ったアレルギー症状、24時間以内にアレルギー反応が生じていた、以前に診断されたアレルギー疾患の再燃が見られるといった点があれば、Kounis症候群を疑うきっかけになります。

 

対応としては、ACSの対応とアレルギー反応への対応に分かれます。

 

ACSの対応はβ遮断薬を避けて、冠攣縮を押さえる硝酸薬やカルシウム拮抗薬を投与を行いつつ、必要ならPCIを行います。アレルギー反応に対しては、アレルゲンの除去、輸液、ステロイド、抗ヒスタミン薬、エピネフリン投与を考慮していきます。

A.Roumeliotis, et al. Vaccines. 10, 38(2022)

 

当院で経験した症例は、造影剤によるアナフィラキシーが関与したと考えられるもので、鑑別も対応もかなり難しかった症例でした。発表の際も、座長の先生らとかなり議論が盛り上がった症例でしたので、ぜひ覚えておいてください。

(編集長)

発表中の本田先生

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腎臓内科の専門研修2023

2023.08.21
カテゴリー: ブログ

今回は水戸済生会 腎臓内科の専門研修についての紹介です。

 

当院は日本腎臓学会認定の研修施設です。内容としては、腎炎やネフローゼ、急性腎不全はもちろんのこと、慢性腎不全の治療選択(血液透析、腹膜透析)、透析患者のアクセス(シャント)トラブルや、他科に入院中の透析患者の合併症も含めて、多くの症例に触れることで幅広い経験を積むことができます。

 

さらに当院の大きな特徴が2つあります。

 

1つ目は、当院は茨城県立こども病院と隣接しており、総合周産期母子医療センターがあります。このため腎炎合併妊娠や透析患者さんの妊娠などの、普通の施設では、まずお目にかかれないような症例が経験可能です。腎生検や透析導入症例も多く、多彩な患者を経験できます。

 

2つ目は、透析のアクセストラブル症例の多さです。残念ながら透析患者さんのアクセストラブルは避けられませんが、当院では、2022年度は手術が年間208件とコロナの影響で前年より減少したものの、PTAが525件とかなり高い水準を維持しています。水戸地区だけでなく、遠方からも症例を紹介いただき、かなり難渋する症例も含まれるのですが、ほとんどを腎臓内科のみで対応しています。ちょっと考えにくいと思いますが、腎臓内科医なのに朝から晩まで手術室かカテ室で過ごす日があるほどです。

腎臓内科のサイトはこちら

 

ここであなたも考えてみてください。

 

あなたが腎臓内科の専門研修を受ける時、まだ十分な専門知識のない時期に、症例数だけ多い病院で研修しても、診療に深みがでません。一方、質は高いけれど、症例の偏りがある病院で研修しても診療に幅がでません。数の点でも、質の点でも腎臓内科領域の症例をバランスよく、そして多くの症例を経験できるのが当院の特徴と自負しています。

 

当院では、内科専門医プログラムを終えて腎臓内科のサブスペシャルティ研修へと、腎臓専門医取得までシームレスな研修環境を提供できます。他にも透析専門医や高血圧専門医、アフェレーシス専門医などを取得することが可能です。

 

現在は、腎臓内科を志望している専攻医が2名在籍しており、女性医師も多くいます。家庭やプライベートとのバランスも整えながら日々研修に励むことができます。症例に困ることもなく、数と質を担保された当院で、あなたも内科専門研修そして腎臓専門医の取得を目指してください。

(編集長)

シャントPTA中♪

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循環器内科の専門研修2023

2023.08.14
カテゴリー: 循環器

今回は水戸済生会循環器内科の専門研修についての紹介です。

 

もしあなたが、循環器内科に関心があって

 

・PCIをできるようになりたい

・PCIだけでなく、アブレーションもやってみたい

・PCIはもちろん、TAVIもMitraclipもやってみたい

・PADやAortaなど、カテーテル治療は何でもやってみたい

 

と考えているなら、この先を読む価値があります。さらに、医局に入らずに循環器専門医資格を取りたいと思っているなら、なおさら読んでください。

 

ご存じの通り循環器領域はデバイスの進歩が目覚ましく、治療戦略が次々にアップデートされています。それだけやりがいのある領域ですが、水戸済生会の循環器内科は「地域完結」を一つのキーワードに循環器領域の大部分の診療をカバーしています。

 

循環器内科のサイトもぜひご覧ください

 

水戸済生会は、PCIではもともと県内で有数の施設でしたが、さらにカテーテルアブレーションやICD、CRTにも早くから取り組んでおり、今ではアブレーションも県内有数の症例数となっています。また循環器内科医が関わることの多いPADに対するEVTは県内トップの症例数で、さらに心外との連携が密で、大動脈瘤や大動脈解離へのステントグラフトにも関われますし、大動脈弁狭窄症に対するTAVIや僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraclipも順調に症例数を伸ばしています。

 

新しいデバイスは症例数の多い施設から導入されることが多いので、あなたが専門研修施設を選ぶ時は当然考慮すべきポイントです。さらに最近では、新しいデバイスの術者になるための要件として、ほとんどの場合で循環器専門医資格が必要になっています。循環器専門医を取得したうえで、他の循環器領域の資格であるCVIT専門医や不整脈専門医などを取得するシステムになっています。

 

つまり、循環器専門医を持っていないと、いくら経験や技術はあってもその次の資格が取得できないようになっているのです。あなたが循環器内科を考えているなら、最初にすべきことは内科専門医を最速で取得し、最短で循環器専門医資格を得ることです。そして、そんな時に水戸済生会の循環器内科は有利です。

 

県立こども病院が隣接しているため成人の先天性心疾患症例も含めて当院は症例数も多く、異動することなく1つの施設で専門医取得のための症例が全部経験できるのです。そして専門医資格を取得後も、PCIをはじめとした各種の施設認定を受けているので循環器領域の各種の資格取得もスムーズです。しかも、大学の医局とは関係なく専門医資格を取得できるのが当院の強みです。

 

当院の内科専門医プログラムから循環器領域をじっくりと腰を据えて、技術の取得と経験症例数の確保に専念できる環境ですので、あなたも当院での内科専門医プログラムから循環専門医取得を目指してください

(編集長)

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CVIT2023で発表してきました♪

2023.08.07
カテゴリー: 循環器

PCIやEVTなどの循環器領域の学会にCVIT(心血管インターベンション治療学会)と言うものがありますが、今年の学術集会(いわゆる総会)は福岡で開催されました。

 

水戸済生会からは編集長と本田先生、さらにメディカルスタッフ向けのセッションでは、診療看護師の青柳先生も招聘されていましたので、あわせて3名が発表してきました。

 

ペイペイドームのスタンドが発表会場

 

暑い福岡でしたが、会場のペイペイドームとヒルトンシーホークにはかなりの参加者がいて、

対面での議論が盛り上がっていました。

 

本田先生は当院で経験したKounis症候群の症例を発表しましたが、座長やコメンテーターの先生らも経験したことがなかったようなので、教育的な議論で勉強になりました。お疲れ様でした。

発表後の一コマ

応援に来てくれた清瀬先生と

ちなみにKounis症候群については次の機会に紹介します。

(編集長)

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水戸済生会の消化器内科専門研修2023

2023.07.31
カテゴリー: ブログ

水戸済生会総合病院では基幹型の内科専門研修プログラムを有しており、特に腎臓内科、消化器内科、循環器内科は内科専門医を取得後に異動することなく各サブスペシャルティ領域の専門医資格を取得できる施設です。

 

今回は消化器内科の専門研修について紹介します。

 

令和5年度は消化器内科には7名のスタッフと7名の消化器内科志望の専攻医がいます。当院の初期研修あがりは3名で、残る4名は他施設での初期研修を終えてから当院の内科専門プログラムを選択してくれました。内科専門プログラムでのローテーションもあるので、全員が消化器内科に固定されている訳でありませんが、若手が多くなって例年になく活気があります。

 

どの病院でも消化器内科は忙しい診療科ですが、水戸済生会の消化器内科は以下のような特徴があります。

 

① 高いQOL

チーム制を実効性のある形で導入しているので、仕事の時はみっちり仕事。休みの日は、完全オフ。仕事と趣味を両立できます。それを実現するために、上下の隔たりなく仲間として全員で力を合わせて診療しています。

 

② 幅広い治療手技

内視鏡治療は当然のこと、当院ではエコー下穿刺治療、血管内治療もすべて自科で行います。食道静脈瘤に対するBRTOや憩室出血や腹腔内出血も血管内治療グループと共に治療にあたりますので、消化器内科がカバーすべきほぼすべての治療手技+αを習得できます。

 

③ 高難度治療

EUS下穿刺治療、胆道鏡(SpyGlass)を積極的に行っており、さらに小腸内視鏡も導入されました。これからの内視鏡医に求められる新しい治療技術も身に着けられます。また、外科との合同手術(LECS)も導入し、協力して治療を行っています。

 

④ IBD(炎症性腸疾患)診療

IBD診療も積極的に行っております。典型的初発症例の寛解導入は当然ながら、ステロイド抵抗例などの難治例、外科治療を考慮すべき重症例まで対応しています。IBDの基本治療薬である5-ASA製剤の使い分けはもちろん、栄養療法、血球除去療法、免疫抑制剤、生物学的製剤など、ありとあらゆる医療リソースを用いたIBDの幅広い治療戦略を学ぶことができます。

 

冒頭でも紹介したように専攻医が増えてきていますが、偏りなく内視鏡検査なども経験して、日に日にレベルアップしています。あなたも水戸済生会の消化器内科で一緒にレベルアップを目指しましょう!

 

ご質問など、どんな小さなことでも遠慮なく、下記の問い合わせフォームからご連絡ください!

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大動脈弁狭窄症(介入のタイミング) 

2023.07.24
カテゴリー: 循環器

前回はSAVRとTAVIのそれぞれの特徴を紹介しましたが、どちらの治療を選択するとしても、あとはどのタイミングで外科的な治療介入を行うかが問題となります。

 

今回はガイドラインでの推奨度を確認してみましょう。

 

【AS に対する手術適応の推奨度】

ClassⅠ

・有症候性重症AS 患者に対する手術介入

・無症候性重症AS を有し,心機能低下(LVEF < 50%)を認める患者に対する手術介入

・無症候性重症AS を有し,他の開心術を施行する患者に対するSAVR

・無症候性重症AS を有し,運動負荷試験で症状を呈する患者に対する手術介入

 

ClassⅡa

・無症候性重症AS を有し,運動負荷試験で有意な血圧低下を呈する患者に対する手術介入

・無症候性の超重症ASを有し,低手術リスク* の患者に対する手術介入

・無症候性重症AS を有し,AS による著明な肺高血圧(収縮期血圧60 mmHg 以上)を認め,低手術リスク* の患者に対する手術介入

・無症候性中等症AS を有し,他の開心術を施行する患者に対するSAVR

 

ClassⅡb

・無症候性重症AS を有し,急速に進行(Vmax 年0.3 m/ 秒以上増加)する低手術リスク* の患者に対する手術介入

(* ここでの「低手術リスク」とは,解剖学的/患者背景をふまえて,その手技(SAVR・TAVI含む)が低リスクであることを意味する)

 

 

このように有症状であれば手術を勧めるのは問題ないのですが、無症状だけど重症もしくは超重症のASを見つけた時に手術をどうするかが昔から議論されてきましたが、いまだに結論が出ないところです。

 

そもそもASは高齢者に多く、高齢であるがゆえに症状の判断が難しく,また有症状の定義が不明確という問題があります。

 

また、当然ながら無症候患者に手術を勧めるためには,突然死や不可逆的左室心筋障害の回避など,早期手術により得られる利益が,手術リスクや人工弁に関連する合併症など,早期手術により被る不利益を上回らなければならない訳です。

 

もちろんガイドラインで推奨されているように、EFの低下や運動負荷で症状や血圧低下を来す場合、超重症ASの場合などは明らかに予後が悪くなるので、我々としては手術を強くお勧めしたいところですが、高齢者ほど患者やその家族らとよくよく話し合って決めていく必要があります。

 

なお、経過観察をする場合は、通常は重症ASであれば6ヵ月から1年毎,中等症ASであれば1年から2年毎,軽症ASであれば3年から5年毎のフォローアップを推奨するとされています。

 

参考:弁膜症治療のガイドライン2020年改訂版

(編集長)

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