専門研修ブログ
茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。
肝性脳症にまつわる誤解 その①
皆様、はじめまして。消化器内科の蒼いRX²と申します。昨年度まで近くの研修病院の総合内科で勤務していました。初投稿の今回は、肝性脳症にまつわる3つの誤解を解いていきたいと思います。
誤解① 肝硬変患者の意識障害 ⇒ 肝性脳症!
誤解② 高アンモニア血症+意識障害 ⇒ 肝性脳症!
誤解③ とりあえずアミノレバン入れておけばOK!
誤解① 肝硬変患者の意識障害 ⇒ 肝性脳症!
「肝硬変の人が意識障害で救急搬送?どうせ肝性脳症でしょ!」と短絡的に考えてしまいがちですが、本当にそうでしょうか?
AASLDガイドラインでは、肝性脳症の診断において、意識障害の原因となる他疾患の除外を行うことを推奨しています。1) まずはAIUEOTIPSの基本に立ち返って考えてみましょう。その中でも特に重要なのが、頭蓋内出血、低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、アルコール性ケトアシドーシス(AKA)です。
アルコール性肝硬変では、頭蓋内出血のリスクは5倍に跳ね上がるとも言われています。2)
低血糖は意識障害において真っ先に除外すべきですし、鑑別から落としがちなのがDKA, AKAです。「肝性脳症っぽいな~」と思いつつも、まずは瞳孔と粗大な麻痺の評価をしつつ、血液ガスでアシドーシス、血糖異常、電解質異常はチェックしておいた方が良いでしょう。何事も基本が肝心です。
少々長くなってしまいました。誤解②と③は次の機会にお話ししましょう。
参考文献:
1) Hepatology. 2014;60(2):715-735
2) BMC Gastroenterol. 2008 May 24;8:16
3) Hospitalist vol.6 No.3 2018『肝胆膵』
(蒼いRX²)
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