専門研修ブログ

茨城県水戸市にある水戸済生会総合病院の専門研修を紹介するブログです。
初期研修を終えて、自分の専門領域を選ぶ際の参考になる情報や、その領域なら知っておくべきトピックなどを紹介していきます。

心房細動の新しいスコア・・・HELT-E2S2スコア

2024.03.18
カテゴリー: 循環器

心房細動の患者さんの脳梗塞発症リスクを評価する際に用いられるものとして、CHADS2スコアやCHADS2-VASCスコアが有名ですが、今年改訂された循環器学会のガイドラインでは、新しくHELT-E2S2スコアがClassⅡaで推奨されました。

 

背景としては、CHADS2スコアは海外で提唱されたものですが、国内のレジストリデータで検証すると、各項目が脳梗塞の独立した危険因子として必ずしも一致していないことが指摘されていました。そこで国内のスタディを用いて作られたのが今回のHELT-E2S2スコアです。

 

 

このスコアでは、「E」と「E2」はどちらか一方しかカウントできないので、最大が7点となります。

 

抗凝固療法なしの場合、脳梗塞の発症頻度は、このスコアで0点の場合は0.57%/年、1点では0.73%/年、2点では1.37%/年、3点では2.59%/年、4点では3.96%/年、5点以上では5.82%/年と点数が上昇するにしたがって発症リスクが上昇しています。

 

一方で、このスコアの現時点での弱点は「何点から抗凝固療法を開始するかの目安がない」ことです。このため従来ガイドライン通りに、「CHADS2 スコア1 点以上の患者で抗凝固療法の開始を推奨」は変更されていません。

 

今後はこのスコアが国内で普及してくると思いますので、覚えておきましょう。

 

ちなみにこのガイドラインには、水戸済生会循環器内科の特別顧問である青沼先生も外部評価委員で作成に携わっています。(ガイドラインの2ページ目のお名前が載っています♪)

(参考文献:2024JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療)

(編集長)

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