臨床研修ブログ

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BNP/NT-proBNPの使いどころ(3)

2025.09.30
カテゴリー: カンファレンス循環器

今回もBNP/NT-proBNPの続きです。

 

BNP/NT-proBNPの特徴を説明してきましたが、これらをどの場面で使うとよいかは以下の3つになると思います。

 

①心不全の診断・除外

②高リスク患者のスクリーニング    

心不全の管理 

 

【心不全の診断・除外】

例えば普段から喘息で吸入薬を使っている患者さんが、夜間の咳嗽がひどくなったと言って受診してきたら、喘息の増悪だけでなく、心不全も鑑別に挙げる必要があります。夜間咳嗽と言っても、実際には起坐呼吸のこともあるからです。こんな時にBNP/NT-proBNPをチェックしてみて下さい。BNP/NT-proBNPが低値なら心不全を除外できますし、高値なら利尿剤の追加等の介入を検討します。

 

【高リスク患者のスクリーニング】

全く心不全を疑わせる症状はないけど、糖尿病や高血圧、濃厚な家族歴があるような高リスク患者さんでは、心不全の早期発見、生活習慣改善や治療強化のためにBNP/NT-proBNPをチェックしてみる価値があります。ガイドラインでも、無症状でも以下の1つ以上に該当する場合はBNP/NT-proBNPのスクリーニングが推奨されています。

 

 高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、 慢性腎臓病、

 メタボリック症候群や肥満、 心臓病の家族歴、

 心毒性物質(抗がん剤等)への曝露等

 

【心不全の管理】

すでに心不全と診断されている患者さんでは、経過観察に使えます。下図のように心不全学会のステートメントでは、BNP/NT-proBNPが30%以上増加した時には、利尿剤の増量などを検討するように書かれています。

 

ただ、実際のところ腎機能など色々な影響を受けるので、30%以上の上昇や低下はしばしばみられます。そこでBNP/NT-proBNPの30%以上の増加に加えて、

  ・症状(息切れ、浮腫等)の悪化

  ・3kg以上の体重増加

  ・胸部レントゲンでのうっ血所見の悪化

といった他の所見のいずれかが該当すれば、治療強化を考えるというのが現実的だと思います。

 

(参考)

日本循環器学会/ 日本心不全学会 心不全診療ガイドライン 2025年改訂版

日本心不全学会 血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版

(編集長)

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